※本記事は、Ashish Rayによる”Raising the Standard for Mission-Critical Availability and Security in the Age of AI“の翻訳です。
2026年4月9日|読了時間:約11分
エンタープライズ企業のITリーダーは、急速かつ重大な変化の時代に直面しています。コアバンキングからERP、物流、顧客向けプラットフォームに至るまでの従来のミッションクリティカルなシステムは、今やAI主導のワークロードによって拡張され、新たな運用パターンや依存関係が生まれています。中でも特に変革的なものの一つが、自律的に動作し、データと動的にやり取りし、分散環境全体で複数ステップのプロセスを実行できる「エージェント型AIシステム」です。
この変化は、単に新しい機能を追加するだけのものではありません。インフラに求められる要件そのものを根本的に変えるものです。ワークロードが予測不能に拡大する中でも、システムは継続的に稼働し続けなければなりません。リアルタイムの意思決定を支えつつ、データアクセスや利用方法に対する厳格な統制も維持する必要があります。また、ハードウェアやソフトウェアの障害だけでなく、AIによって高度化するセキュリティ脅威や量子コンピューティングがもたらす新たなリスクにも耐性を備えていなければなりません。
Oracle AI Databaseは、こうした課題に正面から対応します。可用性階層の進化と統合されたセキュリティ機能の革新により、既存のアプリケーションに影響を与えたり運用を複雑化させることなく、システムのモダナイゼーションを実現します。
そのメリットは明らかです。可用性、パフォーマンス、セキュリティが密接に連携し、どこでもスケール可能な最新のエンタープライズ・ワークロードに適合したインフラモデルを採用すべきです。
プラチナ・レベルの保護:日常的なミッションクリティカルな耐障害性の向上
多くの企業はすでに、多数の独立したハードウェア、ソフトウェア、サービスコンポーネントで構成される高可用性アーキテクチャの導入に多額の投資を行ってきました。しかし、ワークロードの規模と複雑さが増大し、特にAIが導入されるにつれて、そうしたアーキテクチャには限界が見え始めています。
さらに、ワークロードの分散化が進み、データ量が増加するにつれ、従来の可用性や復旧に対する期待と、現代のビジネス要件との間のギャップはますます広がり続けています。たとえ短時間の障害であっても、相互接続されたシステム全体に波及し、顧客体験、収益、コンプライアンスに影響を及ぼす可能性があります。
プラチナ・レベルの可用性を備えた「Oracle AI Database 26ai」は、このギャップを埋めるために設計されています。本製品は、確立された「Oracle Maximum Availability Architecture(MAA)」のベストプラクティスをさらに強化し、潜在的なデータ損失や復旧時間を大幅に短縮するとともに、運用を簡素化する高度な機能を提供します。その際立った特徴の一つは、アプリケーションの変更を必要とせずに導入できる点にあり、クラウドおよびオンプレミスで稼働する大規模なエンタープライズ環境において実用的なソリューションとなっています。
フェイルオーバーを高速化することでダウンタイムを短縮することが、このプラチナ・レベルの重要な特徴の一つです。従来は数分を要していたディザスタ・リカバリ操作が、複数ノードや複数リージョンにまたがる複雑で高スループットの環境であっても、30秒未満で実行可能になりました。この変化により、停止による運用面および財務面への影響が軽減され、長時間の停止を許容できないワークロードの継続性が確保されます。
プラチナ・レベルのMAAを実現する統合技術には、以下のようなものがあります:
Oracle Data Guardのフェイルオーバーおよびスイッチオーバー機能により、通常30秒未満のフェイルオーバー時間で災害復旧操作が可能になります。Oracle AI Database 26aiを使用する場合、予期せぬ障害時のOracle Active Data Guardフェイルオーバーは最大5.3倍、計画的なイベント時のスイッチオーバーは最大3.5倍高速化されます。これらの改善により、組織はアプリケーションレベルでのパフォーマンス向上を実現し、ほぼ連続的な運用を可能にします:
- 医療や金融などの大規模かつ複雑で障害な敏感なシステムにおいて、30秒未満の目標復旧時間(RTO)を実現し、よりシンプルな構成ではさらに短いRTOを達成
- スタンバイからプライマリ、およびプライマリからスタンバイへのロール変換を高速化することで、ダウンタイムゼロのパッチ適用やアップグレードを簡素化
- 読み取り負荷が高くデータ集約型のワークロードをスタンバイ・データベースにオフロードすることで、プライマリ・データベースのレスポンスを向上させます。これによりプライマリのリソースが解放され、読み書きワークロードのパフォーマンスを向上させるとともに、スタンバイ・データベースを利用するレポーティングやAIワークロードでは最大2倍の読み取り性能を実現

Oracle Active Data Guard Remote Data Transfer は、プライマリ・システムとスタンバイ・システム間のデータ転送を高速化します。暗号化されていないデータでは最大2倍、暗号化されたデータでは最大9倍の転送速度を実現し、スループットを損なうことなく強力な暗号化を利用できます。これは、リージョンやクラウドをまたいで機密データを管理する企業にとって特に重要です。
Oracle AI Database 26ai の Oracle RAC Fast Restart Recovery は、主要な操作を並列化することで、障害や計画的なメンテナンス作業によるダウンタイムの短縮を支援します。これにより、RAC クラスタ上で実行されているオンライントランザクション処理(OLTP)アプリケーションは、Oracle Database 19c と比較して最大 10 倍速く処理を再開でき、プラガブル・データベース(PDB)の起動時間は最大 2 倍速くなります。
Oracle Transparent Application Continuityは、バックエンドの障害発生時にもアプリケーションがシームレスに動作し続けることを可能にし、耐障害性をさらに強化します。Transparent Application Continuity による高速かつ透過的なアプリケーションレベルのフェイルオーバーにより、ワークロードは高可用性とスケーラブルな耐障害性を容易に実現しつつ、コスト削減も可能になります。Oracle AI Database 26ai では、より多くのアプリケーションユースケースで透過性の恩恵を受けられるようになり、クエリのフェイルオーバーが 40% 高速化され、データベースサーバーでの CPU オーバーヘッドは最大 50%、クライアント側では 55% 削減されます。

Oracle True Cacheは、読み取り負荷が高くデータ集約型のワークロードにおいて、組織がパフォーマンスと耐障害性を向上させることを支援します。プライマリ・データベースからのデータベース読み取り処理を、インメモリ型の管理対象SQLキャッシュへ透過的にオフロードすることで、アプリケーションの応答時間を短縮します。キャッシュはプライマリ・データベースの変更に基づいて自動的に更新されるためプライマリ・データベースと一貫性が保たれ、プライマリ・データベースが停止した場合も、アプリケーションはキャッシュされたデータを読み取り続けることができます。
さらに、True CacheはOracle AI Database 26aiの一部として提供されるため、アプリケーションの変更や、異なる管理・セキュリティ手順を伴う専用キャッシュ技術の導入を行う必要がなくなり、導入が大幅に簡素化されます。
True Cacheを利用することで、アプリケーションは以下のメリットを得られます:
- 1つ以上のキャッシュノードからのクエリ応答が最大10倍高速化
- プライマリ・データベースへの負荷が軽減されるため、プライマリ・データベースにアクセスするアプリケーションの読み取り/書き込みパフォーマンスが最大2倍向上
- キャッシュへのアクセスがローカルで行えるため、リモート読み取り時の遅延を大幅に削減、光の速さに
- True Cacheノードは、プライマリのOracle AI Database 26aiインスタンスよりも少ないストレージとメモリで済むため、コストを削減
Zero Data Loss Autonomous Data Guardは、Autonomous AI Database Serverlessに対して、さらなる保護レイヤーを提供します。この機能は、ローカルのAutonomous Data Guardスタンバイが有効になっているすべてのAutonomous AI Databaseインスタンスに対して追加料金なしで提供され、世界中のOCIデータセンターに展開されたAutonomous AI Databaseサービスに対し、データ損失をほぼゼロに抑える保護機能を提供します。最新リリースでは以下を実現します:
- データ損失に関するサービスレベル目標(SLO)を1分未満からゼロへ削減
- ユーザーの操作を必要とせず、新規および既存のローカルスタンバイに自動適用
- 運用やパフォーマンスへの影響なし
Oracle Exadataは、MAAプラチナおよびダイヤモンド・レベルの導入環境の基盤を構成しています。18年前に初めて導入されたExadataは、ミッションクリティカルなワークロード向けにOracle AI Database 26aiを実行するための最適なプラットフォームです。マルチクラウドおよびオンプレミス環境のあらゆる組み合わせに対応し、企業が求める高性能、スケーラビリティ、および可用性の要件に応えるよう設計されており、どこでも同じ高度な機能を提供します。
Exadataの設計は、三重冗長化されたストレージ、コンピュート・サーバーのクラスタ、および並列ネットワークを活用し、複数のコンポーネントやサーバーの障害に対する耐性を組み込むことで、ミッション・クリティカルなデータベースの可用性を高めます。高度な障害検出メカニズムにより、システム内のホストノード障害を5秒以内に検出できます。これはExadata以外のインフラストラクチャよりもはるかに高速であり、システムやデータセンターレベルでのフェイルオーバーを必要とせず、サーバーおよびストレージレベルでの継続的な運用を可能にします。これらの組み込み機能により、ディザスタ・リカバリに基づくフェイルオーバーを実施しなければならない回数が劇的に減少します。
ダイヤモンド・レベルの保護:極めて重要なワークロード向けに設計
一部のアプリケーションは、従来の高可用性要件を超える制約の下で稼働しています。リアルタイム決済システム、通信ネットワーク、グローバルな取引プラットフォームなどは、事実上中断のない継続性を必要とします。わずかな停止であっても、即座に広範囲にわたる影響を及ぼす可能性があります。
ダイヤモンド・レベルの可用性は、こうした極めて重要なワークロード向けに設計されています。プラチナ・レベルの機能を基盤としつつ、ほぼ瞬時のフェイルオーバーとデータ損失ゼロを実現するアーキテクチャ・パターンを導入しています。
Oracle ダイアモンド・レベル MAAは、ダウンタイムやデータ損失を許容できない組織向けに設計されており、データ損失やダウンタイムの可能性をほぼゼロに抑え、Oracle AI Databaseに最高レベルの耐障害性を提供します。このアーキテクチャは、Oracle AI Database 26ai、Oracle Exadata、Oracle RAC、Active Data Guard、Zero Data Loss Recoveryサービス、および論理レプリケーション技術を統合し、検証済みの環境として構築されており、幅広い障害シナリオに対して包括的な保護を提供します。

具体的には、ダイヤモンド・レベルは、コンポーネントの障害、計画的なメンテナンスやライフサイクル運用、さらにはサイトレベルの障害が発生した場合でも、極めて重要なワークロードを継続的に稼働させられるように設計されています。
同様に重要な点として、ダイアモンド・レベル MAAは、可用性目標を損なうことが多い運用上の課題、すなわち設定の不整合、パッチレベルの不均一、複雑な統合などといった問題を軽減するのに役立ちます。これは標準化可能な規範的設計であり、複数のアプリケーション・チームや拡大するワークロードのポートフォリオをサポートする際に特に有効です。
Oracle GoldenGate 26aiは、地理的に分散したリージョン間でのアクティブ-アクティブデータレプリケーションをサポートし、ダイヤモンド・レベルの可用性を実現する重要な要素です。複数のシステムが同時にトランザクションを処理できるようにすることで、GoldenGateはパッシブなスタンバイ・システムへの依存を軽減します。その組み込みの競合検出および解決機能により、異なる場所で更新が同時に発生した場合でも、データの一貫性を維持するのに役立ちます。
Oracle Globally Distributed AI Databaseは、データベースに組み込まれた分散データベース機能により、Oracle GoldenGateを補完します。組み込みの同期Raftレプリケーションを活用して同一リージョン内での3秒未満の高速フェイルオーバーを実現し、非同期Raftレプリケーションを活用してリージョン間および地域をまたぐ展開環境におけるデータレプリケーションと継続的な運用を可能にします。Oracle Globally Distributed AI Databaseの導入環境は、複数のクラウドおよびオンプレミス環境にまたがることができ、強力な一貫性を維持しつつ、柔軟な導入を実現します。

戦略的な観点から見ると、ダイヤモンド・レベルの可用性は継続的な運用への転換を意味します。システムは、システム、データセンター、リージョンをまたがって単一の論理エンティティとして動作するように設計されており、障害対応は例外として扱われるのではなく、通常の運用に統合されています。
ITの意思決定者にとって、ダイヤモンド・レベルの機能は、重要システムの設計および導入方法を見直すきっかけとなります。これらは、より高いレベルの継続性を必要とするアプリケーションをサポートするために必要なツールを提供するだけでなく、環境を横断したインフラ管理における柔軟性も実現します。
セキュリティの強化:AI主導の世界におけるデータ保護
組織がAI活用を拡大するにつれ、堅牢なデータセキュリティの重要性はますます高まっています。AIシステムは多くの場合、大量の機密データへのアクセスを必要とし、その自律的な性質ゆえに、データのアクセスや利用方法を管理する上で新たな課題が生じます。
Oracle AI Database 26aiは、データの発生源からライフサイクル全体にわたってデータを保護することに重点を置いた一連の統合セキュリティ機能によって、これらの課題に対処します。以下の強化されたセキュリティ機能は、MAAプラチナ・レベル、ダイヤモンド・レベル、またはミッションクリティカルな可用性を実現するためのその他のアプローチを利用しているすべてのOracle AI Database 26aiのお客様にご利用いただけます。
Oracle Deep Data Securityは、中核となる革新的機能であり、アプリケーション層ではなくデータベース内部で、アイデンティティを識別しきめ細かなアクセス制御を可能にします。これにより、組織は分散したアプリケーションによる制御に依存するのではなく、ユーザーのアイデンティティ、役割、コンテキストに基づいてセキュリティポリシーを定義・適用することができます。
このアプローチは、エージェント型AIシステムにおいて特に有用です。データ層でポリシーを実装することで、AIエージェントが自律的に動作している場合でも、そのエージェントがアクセスできる範囲を制御できます。これにより、セキュリティルールの回避が極めて困難になり、意図しないデータ漏洩の防止をするとともに、リレーショナルデータ、ベクトルデータ、レイクハウスデータなどのさまざまな種類のデータ形式にわたる一貫したガバナンスを支援します。
ポスト量子暗号は、量子コンピューティングの進歩に伴う新たなリスクに対処するための、将来を見据えた新機能です。Oracle AI Database 26aiは、NIST標準の量子耐性暗号化方式およびハイブリッド鍵交換メカニズムをサポートすることで、従来の暗号化手法では不十分となる可能性のある将来に備えることを可能にします。
保存データおよび転送中データの暗号化の強化や、TLS 1.3の鍵ネゴシエーションの高速化により、「今データを収集し、後で量子コンピュータで解読する」といった攻撃手法への対抗力を高めます。

Database Security Centralは、組織のオンプレミスのデータベース全体にわたるセキュリティ状況を統合的に可視化します。これにより、ITセキュリティ・チームはユーザーリスク、機密データの露出、構成変更に関する洞察を得ることができます。これらの機能を統合ソリューションとして一箇所に集約することで、組織は潜在的な問題を迅速に検出し対応する能力を向上させることができます。マルチクラウド環境で運用しているOracleのお客様は、Oracle Data Safeを通じて同様の機能を利用できます
Zero Data Loss Recovery ソリューションには、データベースを意識した保護メカニズムが組み込まれており、Oracle AI Databaseのデータを保護・復旧する際、他社製品の従来の復旧手法に比べて最大5倍の速度を実現します。具体的には、従来の方法で30TBのデータベースを復旧するのにかかる時間で、160TBのデータベースを復旧することが可能です。これらのソリューションには、実質的にデータ損失ゼロのリアルタイム・トランザクション保護、改ざん不可能な不変バックアップ、およびきめ細かなアクセス制御機能が含まれており、組織がデータの整合性を維持しながら攻撃からの復旧を支援します。 また、バックアップを潜在的な脅威から隔離する仮想エアギャップ機能を提供するとともに、バックアップ圧縮技術の改良により、セキュリティを損なうことなく効率性を向上させています。「ゼロデータロス・リカバリー・アプライアンス」は、すでに大手金融企業において、SEC 17a-4(f)に基づく記録保持コンプライアンス戦略の主要コンポーネントとして採用されています。これらの機能を組み合わせることで、現在および新たな脅威からデータを保護するための包括的なアプローチを実現します。
ITリーダーにとって、これらのセキュリティ革新は、統合型保護への転換を意味します。複数の独立したツールを重ねて導入するのではなく、セキュリティをデータ基盤に直接組み込むことで、最新の分散型かつAI主導の環境のニーズに沿った保護戦略を実現できます。
結論: 次世代エンタープライズ・ワークロードに向けた基盤の構築
AI、データ量の増加、そして相互接続性の高まりによって推進するエンタープライズ・ワークロードは、インフラストラクチャの設計および管理方法もそれに応じて進化させる必要があります。可用性とセキュリティはもはや別個に検討すべき事項ではなく、密接に結びついており、一体となって対応する必要があります。
Oracle AI Database 26aiは、それを実現するためのフレームワークを提供します。プラチナ・レベルの保護機能は、幅広いワークロードにおいてアプリケーションに透過的な基盤レベルの耐障害性を向上させ、ダイヤモンド・レベルのアーキテクチャは、ほぼ継続的な稼働が求められる極めて重要なワークロードをサポートします。さらに、強化されたセキュリティ機能により、AIや新興技術がもたらす特有の課題を含む、複雑な脅威環境への対応を支援します。
ITに意思決定者にとって、今後の取り組みは単なる段階的な改善にとどまりません。現在の要件と将来のイノベーションの両方を支えられるプラットフォームの採用が求められます。これらの機能を活用することで、組織はエージェント型AIへの対応、重要なデータ資産の保護、そしてますますダイナミックになる環境における継続性の確保を実現できます。
企業がビジネス全体でAIの利用を拡大し続ける中で、強靭かつ安全なデータプラットフォームの重要性は今後さらに高まっていきます。今こそ、これらの進化がその取り組みをどのように支えるかを評価すべきタイミングです。
参考情報
このブログで紹介した内容およびリンクされている機能に加え、以下のサイトでもいくつかの事例をご覧いただけます:
Oracle Update Advisor
Oracle AI Database
Oracle Autonomous AI Database
Oracle Autonomous AI Lakehouse
Oracle Multicloud Solutions
Zero Data Loss Recovery Appliance
Zero Data Loss Cloud Protect
Exadata Fleet Update
