※本記事は、Rob TarkoffによるTHE FUTURE OF CX: PART 4 You don’t have to choose between best and completeを翻訳したものです。

前回の記事では、ここ10年のCX製品の導入トレンドが、いくつもの「個別最適な」製品を買い揃えることに終始していることに対して、異議を唱えました。オラクルの重要顧客は、「個別最適な」製品が、必ずしも「ベスト」な選択でないことを、顧客体験がアプリケーションごとに分散され、それぞれがシームレスに繋がっていない時に、特に感じていると言います。例えば、それぞれのCX製品が、それぞれのデータの見せ方(製品/価格/顧客/注文等)を持っているような場合がその一つです。また、こうした製品を提供するベンダーが、他のシステムとの統合を実現する前にプロジェクトから抜けてしまい、従業員がそうした状況下で、アプリケーション間を行き来しながら、顧客体験をなんとか提供しようと奮闘している場合です。

オラクルは、こうしたものとは異なる視点を持っています。すなわち、「ベスト」であることと、「完全(※後述)」であることは、両立しうるものであり、製品機能として提供しうるものであると考えています。我々の顧客は、不確実で高度に専門化された、業界特有な環境な中で、ビジネスを運営しています。お客様それぞれに対して、ただの数字や取引だけでは測ることができない、個別具体の要求に応えることが、企業には求められているのです。さらに、お客様は、カスタマージャーニー全体で最大限のサポートが得られることを期待しています。現在うまく回っている業務を妨げることなく、未来の顧客体験への期待に応えるために、企業のCX担当は、統合・最新化されたアプリケーション群によって支えられる、全社規模のCX戦略を策定する必要があります。オラクルは、我々の顧客がスイートとしてのCX製品を求めていると考える一方で、柔軟性も大切にしています。つまり、必要な時に、必要なパーツを使うことができるようにもしているのです。

それでは、我々の顧客が、競合優位性を保つことができるよう策定した、One Oracleのビジョンを実現するために、オラクルがどこに投資しているのか、見ていきましょう。
 

CX

第一に、オラクルは、我々の顧客に対して、企業活動全体を通して一貫したメッセージを発信しています。

すわなち、顧客体験に最も影響するポイント(例えば、自社システム内のファーストパーティデータや、キャンペーン/カスタマーサービス/サプライチェーン/請求に至るまでの顧客/価格/製品/取引情報)に対して、多くの時間を費やしています。ファーストパーティデータについては、顧客/取引先/サプライヤーから、在庫マスタ/元帳に関連する為替や会計年度等の概念/従業員に関連する組織や給与などの情報が、どのアプリケーションからも共通して参照できるようにしています。マーケティングキャンペーンに始まり、契約の締結、カスタマーサービス、会計に至るまで、全ての従業員が、同一の顧客/やり取りの履歴/請求/所持しているアセットのレコードにアクセスできるようにします。すなわち、全て従業員が、同一のデータにアクセスし、最適な回答を行うことで、どんなタイミングであっても、正しい方法でお客様と接することができるということです。

企業活動全体を通して一貫したメッセージを発信するためには、最も重要なCXに関するデータを集約する必要があります。オラクルは、Redwood Design Systemと呼ばれる、従業員が、データを用いてより良い仕事をすることを意図したアプローチを、UX全般に展開しています。共通的に必要なデータをアプリケーション間で共有できるようにし、ワークフローのガイドを作成し、部門をまたいだCXを実現できるよう、改善を進めています。アプリケーションをまたいで統合されるUXへのアプローチによって、従業員の置かれた状況や役割に沿った使い方を支援するシステムとなるのです。つまり、従業員の行動パターンや、好み、関連性をもとに、より良い仕事ができるようにシステムが学習するほか、そうしたコンテキストをもとに、システムを使う人に合わせたレコメンデーションを、状況に合わせて洗練させていきます。オラクルは、こうしたリッチなデータを機械学習することを通じて、システムを使う人を理解し、システムを使う度に体験を改善させることが可能だと考えています。

第二に、オラクルは、全てのアプリケーション、エンドツーエンドのビジネスフローや業界特化型のプロセスが、機能・オペレーションのレベルで繋がることを目指しています。

具体的には、「完全」に垂直統合された製品群(ハードウェアからアプリケーションまで)によって、システムインテグレーションやメンテンナンス、アップグレード、データマネジメントにかかるコストが削減されるということです。企業は、それによって浮いたコストを、顧客体験の差別化や、市場投入のスピード向上に向けることができます。オラクルは、ここ15年ほどにわたり、メンテナンス、システム監視、アップグレードが容易になるよう、暗号化技術や、アイデンティティ・マネジメントのビルトイン化、アップグレード適用の共有化、データベースインフラストラクチャ全体の見直し等に対して、何千億円もの研究開発投資を行ってきました。オラクルのCX製品群についても、共通化されたAPI標準によって、システムのデプロイにかかる時間短縮ができるようにしています。また、AI/機械学習/IoT/ブロックチェーン/デジタルアシスタント等の最新のテクノロジーを、追加費用を払うことなく利用できるようにしています。一つのOracle Cloudのインスタンスを使うことで、世界中に展開されているOracle Cloudのデータセンターに接続し、企業のビジネスをグローバルに展開することを、オラクルは支援します。また、アイデンティティ管理、セキュリティ、暗号化技術を、アプリケーション製品全体に適用することで、お客様からの信頼を得られるよう、オラクルは支援します。

第三に、多くの業界が、それぞれの特有のニーズを、とりわけビジネスフローや法規制、ガバナンスに対して持っていることを、オラクルは認識しています。

オラクル内部の業界特化型の組織(ヘルスケア、金融、通信、エネルギー)、アプリケーション担当組織、さらにはOracle CXに関する深いドメイン知識を加えることで、フロントオフィスからバックオフィスに至るまで、全体をカバーしています。データモデル、API、UX、プロセスを、ハイブリッドなアーキテクチャに適用し、専門性が高く、CXマーケットをリードする、次世代の業界特化型ソリューションを、オラクルは構築しています。

最新のOracle Fusion Cloud Suiteは、進化するデジタルチャネルおよび人間による接点をシームレスにまたいだ顧客体験を提供し、デジタル主導でお客様を獲得・維持することができます。「One Oracle」の考え方は、顧客のフロントオフィスとバックオフィスのデータを繋げ、より成果の上がる従業員体験を支援し、新たなサブスクリプション型のビジネスモデルをサポートします。統合されたアプリケーションとインフラストラクチャによって、リスクを削減しながら、企業の変革を加速させ、カスタマージャーニー全体を通した顧客体験を向上させます。

 

「Future of CX」の連載を最後までお読み頂き、ありがとうございました。

Oracle CXが、あなたのビジネスにどのように寄与するか、興味を持っていただけたら幸いです。「Oracle Fusion Cloud Application Suite」は、より良いCXを実現するための、業界で最も包括的でコンポーザブルな製品群です。マーケティング、セールス、サービス、コマースのデータを、当連載でご説明した、ネイティブな自動化およびエンゲージメント・エンジンと融合させることで、ビジネスを、単一のビジョン、単一のインフラストラクチャのもと、ゴールに向かって推し進めことができます。私たちは、2023年、そしてその先の成功に向けて、皆様をサポートします。


Future of CXシリーズ(日本語版)

Part1 進化し続ける顧客のCXへの期待を捉えよ

Part2 顧客が抱く体験への期待と、企業へのプレッシャー

Part3 CXテクノロジーに対する従来の考え方をアップデートせよ