※本記事は、Rob Tarkoffによる”Eyes on the horizon of evolving customer expectations”を翻訳したものです。
この連載では、全4回にわたって、Oracleが考えるカスタマー・エクスペリエンス(CX)の未来についてご紹介していきます。
CXの未来とは、どんなものになるのでしょうか?
それは、顧客がアクションとリアクションを瞬く間に繰り返す(訳者注: 顧客と企業が高頻度でやり取りをする)、エキサイティングなものであることに疑いはないでしょう。顧客は、没入感があり、デジタル世界を基軸としながらも、リアル世界を拡張するような体験を期待しているでしょう。また、あなたのビジネスとの関係が、長期的かつ安定的なものになるよう、記憶に残り、価値があると感じ、賞賛に値するようなものであることを望んでいるでしょう。今や、顧客であることは、ビジネスに対して、力強いサポーターになるか、多くの不満を抱くかの2択になっているのです。その中で、CXのプロフェッショナルになることは、ビジネス面でも、テクニカルな面でも、これまで以上にエキサイティング、かつ、難しいものになっています。
こういった期待とプレッシャーが、顧客との関わり方、企業の価値提供の仕方、企業のITチームによるCX改革を変えてきています。CXの未来は、皆さんが思っている以上に、身近なものであるはずです。
それでは、進化し続ける顧客のCXへの期待について、さらに詳しく見てみましょう。

顧客は多様な方法でコミュニケーションを取っています。
日常だけでなく、仕事においても多様化が進んでいます。消費者にとって、非同期型のコミュニケーションは一般的になってきたと言えるでしょう。いつでも・どこでも同じ体験ができるか、気にしているはずです。また、些細なことであっても、ブランド体験に大きな意味をもたらします。例えば、先進的なブランドは、長期または大口のお得意様に対して、ポイントや感謝の気持ちを、小さなギフトとして提供しています。こうした体験は積み重なります。日常生活において、チャネルをまたいでも、常に便利である体験に慣れた人は、仕事においても、同様の便利な体験を期待するようになっています。
顧客は所有することそのものよりも利益を求めています。
買い切りモデルとは違い、サブスクリプションモデルは、支払いを長期に渡って行うため、金銭的な予測を立てやすくなっています。小売から消費財、製造業に至るまで、全てのビジネスが、既存の製品やサービスを、どのようにデジタルな体験として提供していくか、変革のさなかにいます。シェアリングエコノミーや、製品の「as a Service」化の成功により、私達の消費に対する期待が、日常でも仕事でも変化しています。日常で言えば、タコス(訳者注: 米国でタコベルが復活させた10ドルのサブスクリプション)、仕事で言えば、建設業が、クレーンなどの重機を使った分だけ支払う、といったものです。サブスクリプション型の製品やサービスは、顧客と企業の双方に、多くの利点があります。顧客にとっては、製品やサービスに対する権利を得るサブスクリプション型のビジネスモデルが、不必要に資産を持たなくても良い、というニーズに合致します。企業にとっては、サブスクリプション型モデルによって、アップセルやクロスセルの機会を増加させ、既存顧客から収益を上げることに繋がります。
顧客はプライバシーへの配慮を求めています。
私達が、パーソナライズされた、便利な体験/サービスに魅力を感じることは確かでしょう。しかし、そこには注意すべき点があります。すなわち、私達は、自分自身のデジタルアイデンティティに対してアクセス権を与えることに、細心の注意を払っています。データが有効に活用されていれば、共有されたデータによって、飛行機の遅れへの補償や、事故があった際に保険会社として親身に対応する、といったことが素早くできるようになります。一方で、データが適切に保護されていなければ、ビジネスは顧客を永遠に失ってしまうリスクに直面することになるでしょう。
ビジネスにおいては、データを、顧客分析やターゲティングに使うだけでは十分ではありません。私達は、ブランドに対して、自分自身にとって最も良い体験になるよう、積極的に働きかけてくれることを期待しています。最適な提案・購買などの、未来を予測する働きかけは、まるで自分自身が最も重要な顧客であるかのように、直接的に利益をもたらす必要があるのです。自分自身のデータを提供することで、体験をパーソナライズさせるだけでなく、課題の解決やさらなる付加価値が追加されることを望むのです。
私達は、消費者として、日に日にカスタマーエクスペリエンスに対する期待のハードルを高めています。そのハードルは、ビジネスにとって、これまでにないほど高いものになっています。次回(第2回目)は、ビジネスが、価値を提供し、カスタマーエクスペリエンスのイノベーションを起こし続けることの必要性について記載します。
今後の更新を楽しみにして頂ければ幸いです。