
皆さん、お久しぶりです。クラウド・アプリケーション事業統括の善浪です。
新しい季節がはじまり、春の訪れを感じるこの季節、いかがお過ごしでしょうか?
この春、私たちのブログでは新たに対談シリーズがスタートします。
新たに始めるこのシリーズでは、日本オラクルのSaaSビジネスに関わりのある多彩なゲストをお迎えし、私、善浪が、その方のストーリーやビジネスへの想いや期待などを深掘りして皆様にお届けします。
記念すべき第一弾の今回は、日本オラクルのアプリケーションのユーザ会(日本OATUG)への想いを、その創成期から知る弊社戦略本部の野田さんと共に、熱く語り合いました。
昨年のブログでもお伝えしましたが、日本のIT業界は大きな変革期に入っています。
その変革を推進する重要な一翼を担っているのがユーザ会です。
「日本のITを変えていく」という変革意識がますますユーザ会の参加者様に浸透してきており、今ではユーザ会はお客様とオラクルの双方にとって必要不可欠なプラットフォームになっています。
20年以上にわたり、ユーザ会運営をオラクル側からサポートしていたチームのリーダーとしてユーザ会の発展に尽力してきた野田さんの視点から、ユーザ会の「これまでと現在、そしてこれから」を余すところなく語っていただきました。
ぜひ最後までお付き合いください。
ユーザ会の挑戦「栄枯盛衰の歴史とクラウドシフト」
善浪広行(以下、善浪):簡単に自己紹介とユーザ会の歴史をご説明いただけますか?
野田由佳(以下、野田):ソリューション戦略統括 戦略本部の野田です。社会人になってから一貫してITベンダーで勤務しています。インターネットに代表されるようにテクノロジーが社会や人々の生活を大きく変える現場をずっと一線で見てきました。1998年にJD Edwardsに入って以来、PeopleSoftやCloud ERPのセールス、BD、アライアンスを経験してきました。本業傍ら、ユーザ会はJD Edwards時代から副業のように関わって今日に至っています。
日本のユーザ会は1998年に「Product」と「Industry」の2つのSIG(分科会)で始まりました。ユーザ会はオラクルのアプリケーションビジネスの栄枯盛衰を象徴する存在であり、オンプレミス全盛期には大盛況でした。例えば、2005年ごろユーザ会とオラクルの年次イベントを合同で開催した際、400-500名近いお客様が参加されていました。当時、私は入社したばかりで「オラクルすごい!」って圧倒されたのを覚えています。
善浪:確かに、オンプレミス時代は規模が大きかったですね。
野田:そうですね。2015年頃からクラウドの売上が伸び始め、オンプレミスの売上幅が徐々に低下していったことを覚えています。ユーザ会でもSaaSの推進を進めたいという気持ちはありましたが、参加企業の大多数がオンプレミスのユーザであるため、雰囲気作りに苦労しました。
善浪:当時の話題の中心はオンプレミス製品の改善要求でしたね。
野田:おっしゃる通りです。オンプレミス時代のユーザ会は、オラクルがあまり関与していない独立した組織でした。そのため、オラクルリードでSaaSの雰囲気を作り出すことは難しかったです。オンプレミスの顧客にSaaSを提案しても、「時期尚早である」というのがお客様の共通認識で、導入事例やオンプレミスとSaaSの受注比率のデータを提供してもなかなかご理解いただけませんでした。
さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大が追い打ちをかけ、ユーザ会の存続について善浪さんたちマネジメントと何度も話し合いました。
善浪:覚えています。危うく解散しかけましたね。
野田:ユーザ会の終了を提案する声も上がりましたが、その意見を押し切って、善浪さん自らがSaaS分科会の立ち上げの旗振りをしてくださいました。2021年9月頃から、LINEヤフー株式会社様や株式会社JVCケンウッド様などの主要企業に声をかけ、同年11月26日に第一回のLaunchイベントを開催しました。なんと132社250人のお客様が参加してくださいました!
善浪:その時は感動しました。関係者の皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。

クラウドシフトによるユーザの変化、新規ユーザの共通点は「強い変革意識」
善浪:オラクル主導でSaaS推進の雰囲気作りをしてきましたが、この辺りからお客様側にも変化し始めた気がします。
野田:客層にも変化がありました。変革意識を強く持ったお客様が、率先してSaaSをご採用くださったと感じています。
善浪:業界の中でもIT意識が高い企業、メガバンクやLINEヤフー株式会社様、株式会社JVCケンウッド様が先行して採用されましたね。今でもユーザ会やセミナー等でもお世話になっています。ありがとうございます。
クラウドシフトをきっかけにユーザ会とオラクルの距離がより近くなりました
野田:オラクルとユーザ会の距離感や関係性がオンプレミス時代とは変わりましたよね。先ほども話しましたが、オンプレミス時代のユーザ会は現在とは違い、オラクルがあまり関わらない独立した組織だったこともあり、実は社内でのユーザ会の認知度は低かったです。
善浪:具体的には何をしているか分からないけど、ユーザ会終了後は大量の機能改善要求が上がってくるな、というくらいの認識だったかもしれませんね。現在は、ユーザ会とオラクルとの距離が自然と近くなりましたね。
開発側も積極的に現場からの機能改善要求等に耳を傾ける傾向が強くなりました。本社からはERP開発責任者のRondy(Rondy Ng, ERPアプリケーション開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデント)が日本市場にスポンサーとしてコミットしてくれて、定期的にお客さんと会話してくれています。
野田:あとは、ユーザ会からのリクエストに対しての製品アップデートのスピードが圧倒的に速いですよね。オンプレミス時代は、次の大規模アップデートの内容は確定していたため、約10年以上先の次々回のアップデートに関して会話していました。
それと比べてSaaSの場合は、四半期ごとにアップデートが入ります。アップデートの約8割はお客様からのリクエストに基づいており、最新の生成AIなどの新機能追加はもちろん、法改正の対応、セキュリティ強化が行われ、ビジネス環境の変化対応が可能です。早ければ半年後にリクエストした機能が反映される可能性もあります。
ユーザ会に対する想い。全てのお客様をハッピーにしたい
善浪:これまでのユーザ会を振り返っていかがですか?
野田:私を含めたユーザ会運営サポートメンバー全員がユーザ会専任ではないのにも関わらず、「お客様を大事にしたい」という想いで活動を続けてきた結果、今に繋がっています。
お客様と対峙するのは一回一回が真剣勝負です。
ユーザ会では、私たちの大切なお客様が一堂に会します。その中で、できるだけ多くの有益な情報提供をして全てのお客様にハッピーに帰ってもらいたいと常に考えています。一瞬たりとも気が抜けないです。
善浪:いいですね。全員でお客様をハッピーにしましょう。

イノベーションの実現のために
善浪:ユーザー会の創設期から現在に至るまで、野田さんとの対談を通して、私自身も当時の記憶が蘇りました。ユーザー会の発足から約25年が経ち、クラウドシフトと変革意識を軸に、ユーザー様とオラクルとの距離が確実に縮まっていると実感しています。
先日、当社のイベント「Oracle CloudWorld Tour Tokyo 2024」が開催されましたが、そこでは今後、Classic AIや生成AIの機能が続々とアプリケーションに追加されるとの発表がありました。
すでに多くのお客様からオラクルのAIの将来性についてポジティブなコメントをいただいており、お客様からの期待がさらに大きくなっていることを実感しています。
今後、ユーザー会ではお客様がAIなどのイノベーションを実際に体験できるプログラムの開催を予定しています。
ユーザー会のお客様がイノベーションを実感できるように、オラクルでは今後もサポートしていきたいと思います。

編集部より
こんにちは。ユーザ会と同い年、新卒3年目の千葉です!
編集部の一人として対談の場に同席し、SaaSが約10年、オンプレミスを含めて約30年のERPの歴史と約25年のユーザ会の歴史を少しだけ垣間見ることができました。
対談を通して、クラウドシフトによるユーザとの関係の変化や製品アップデートの約8割がユーザの声であることなど多くのことを学びました。
特に印象に残ったのは、一度は解散の危機に直面したユーザ会がSaaS分科会を立ち上げるまでに再興したことです。
そして、SaaSを採用している企業が年々増えており、現在はオンプレミス全盛期にも劣らない盛り上がりを見せています。
採用しているユーザは共通して「変革意識」を持っています。ユーザ会やOracle CloudWorld Tour Tokyoなどのイベントでお客様と会話するたびに、全てのお客様から変革の気風を感じます。
なぜそんなにも変革意識を強く持ったお客様が集まるのか。
その理由は、オラクル自身が変革を追求し続けているからだと思います。
それが、日本を代表する数多くの企業と連携して日本のIT変革に取り組む原動力になっているのだと感じています。
次回は、最新のユーザー会の活動や新たな取り組みについてご紹介予定です。お楽しみに!
※役職は対談時点のものです
【善浪対談シリーズ】第二弾 直近のユーザ会の取り組み ~Designed for Change. Built for You. ~