※ 本記事は、Shruti Mathurによる”Building Specialized Agents with Skills in Oracle AI Data Platform“を翻訳したものです。
2026年11月1日
AIエージェントは、企業データに基づいて推論し、ツールを使い、行動できます。しかし、業務タスクを適切に遂行するには、その組織がどのような進め方を求めているかも理解する必要があります。
Oracle AI Data Platformは、Open Agent Skills標準に従う、コード中心で開発するエージェント向けのスキルをサポートしています。これらのスキルは、企業データやツールと組み合わせることで、エージェントが専門的なタスクを処理するのを支援します。
スキルは、タスク固有の指針を提供し、エージェントは必要に応じてそれを利用します。専門知識、業務ルール、ベストプラクティス、手順、その他の補助資料をまとめたものです。
ツールは、エージェントに実行する能力を与えます。例:データベースへのクエリ、Web検索ツールの呼び出し、メールAPIによる通知の送信。
データは、エージェントに文脈を与えます。例:売上記録、顧客履歴、インシデントログ、ポリシー文書。
スキルは、エージェントに専門性を与えます。例:決済失敗の調査、社内ルールに照らした契約の確認、体系化されたエスカレーション手順の実行。
オンコール担当者向けにインシデントを初期評価するエージェントを例に、実際の動きを見てみましょう。
オンコールのインシデント初期評価スキルを構築する
注文確定時のタイムアウトを調査する、電子商取引企業を考えます。この例では、Oracle Customer Ordersのサンプルデータと、説明用のインシデント対応ポリシーを使用します。
インシデント:INC-48271
サービス:注文処理
報告された症状:注文確定時に上流側でタイムアウトが発生
エラー:UPSTREAM_TIMEOUT
ステータス:調査中
オンコール担当エンジニアが知りたいのは、次の点です。
「INC-48271を初期評価し、このインシデントを上位担当者にエスカレーションする必要があるか教えてください。」
エージェントは、インシデントを評価し、関連する業務上の事実を取得できます。しかし、重大度、管理責任、対応、エスカレーションに関する、その組織固有のルールはまだ持っていません。
それを、On-Call Incident Triage Skill(オンコールのインシデント初期評価スキル)で提供できます。
このスキルには、少数の運用資料が含まれています。
skills/
on_call_incident_triage/
SKILL.md
references/
incident-severity-policy.md
incident-response-runbook.md
escalation-policy.md
service-ownership.md
SKILL.mdには、このスキルを使う場面と、インシデントの初期評価をエージェントがどう進めるべきかを記述します。補助ファイルには、エージェントが適用できる重大度、対応、管理責任、エスカレーションのルールを記載します。

図1:SKILL.mdと補助ファイルを備えた、オンコールのインシデント初期評価エージェント。
業務上の文脈を追加する
インシデント情報は何が起きているかを伝え、業務データはその影響を理解する助けになります。このデモでは、Oracle Customer Ordersのテーブルを、Oracle AI Data Platformのカタログから利用できます。

図2:業務への影響の評価に使用する、AIDPカタログ内のCustomer Ordersテーブル。
INC-48271について、業務影響を調べるツールは、OnlineとSeattleにまたがる注文24件、注文明細48件、注文総額4,267.80を取得します。
スキルの有無による違いを見る
エージェントに、もう一度同じ質問をします。
「INC-48271を初期評価し、このインシデントを上位担当者にエスカレーションする必要があるか教えてください。」

図3:スキルの適用前と適用後のエージェントの応答。
インシデントも業務データも同じです。スキルがあると、応答に、ポリシーに基づく重大度、責任を持つ担当者、対応計画、エスカレーション先が含まれるようになります。
内部での動作
Playgroundのトレースでは、エージェントがスキルを有効化し、関連資料を読み込み、必要な業務影響データを取得する様子が確認できます。

図4:初期評価中のスキルの有効化、補助ファイルの読み込み、ツール呼び出しを示すPlaygroundのトレース。
スキルが役立つその他の場面
同じパターンは、他の多くのユースケースにも適用できます。たとえば、案件を振り分ける前に例外ルールを適用する財務エージェント、重要顧客に対して適切な復旧手順をたどるサポートエージェント、本番環境で障害が起きたときにチームの運用手順書を使うエンジニアリングエージェントなどです。
Oracle AI Data Platformで、コード中心で開発するエージェントにスキルを組み合わせることで、再利用可能な組織のノウハウを、必要なときにエージェントが適用できる専門性に変えられます。
関連資料
Oracle AI Data Platformについて詳しく読む
エージェント、ツール、スキル:企業のAIをより効率的に活用する方法
