※ 本記事は、Aphrodite Brinsmeadによる”Manage Enterprise AI Capabilities and Access with AI Registry
“を翻訳したものです。

2026年11月1日

AIエージェントの導入が急速に進んでいます。Gartnerは、世界のFortune 500企業が使用するエージェントの数は、1社当たりの平均で、2025年の15未満から、2028年には15万を超える可能性があると予測しています。また、適切なAIエージェントのガバナンス体制を整備できていると回答した組織は、わずか13%だったと報告しています。1

組織内にどのようなエージェントがすでに存在し、誰が管理責任を持ち、誰が利用できるのかを把握することが難しくなっています。業務ユーザーは、タスクに合ったエージェントを見つけるのに苦労するかもしれません。一方、ITチームとAIチームは、エージェントが企業のデータ、システム、ツールにどのように接続しているかを把握する必要があります。

Oracle AI Data Platformは、AI Registryでこの課題に対応します。AI Registryは、承認済みのAIエージェントと、それを支える機能を一元的に登録、管理し、アクセス制御を適用する手段を提供します。

エージェントの増加に伴う複雑化

組織が作成、利用するAIエージェントが増えるにつれて、判断すべきことも増えていきます。何を新たに構築し、何を再利用し、何を管理の対象とするのか。AIで反復作業を減らせるのはどこか。承認済みの機能を社内全体でどのように利用できるようにするのか、といった判断です。

これらを判断するには、次のような問いに答える必要があります。

  • どのようなエージェントやAI機能がすでに存在するか。
  • ツールは、より広い範囲での利用に向けて審査、承認されているか。
  • チーム間で再利用できる共通機能は何か。
  • エージェント、ツール、再利用可能なAI機能で支援できるのに、チームがまだ手作業を繰り返している業務はどこか。
  • 各機能の管理責任と保守を誰が担っているか。
  • 各機能に誰がアクセスできるか。

明確な答えがなければ、エージェントが不必要に乱立したり、すでに存在する機能を再び構築したりして、業務ユーザーが必要な支援を見つけにくくなるおそれがあります。ITチームとAIチームは、どのエージェントが使われているか、どのデータやシステムにアクセスできるか、そして、そのアクセスが企業の権限設定やガバナンスポリシーに沿っているかを把握する必要もあります。

AI RegistryによるITチームとAIチームの可視化とアクセス管理

Oracle AI Data PlatformのAI Registryは、IT部門、AIプラットフォームチーム、管理者に、登録済みのAI機能を管理し、アクセス制御を設定するための一元的な場所を提供します。

管理者は、エージェントとMCPサーバーを登録できます。対象には、Oracle AI Data Platform、Fusion、Database、その他のサポート対象環境のエージェントに加え、Agent2Agent(A2A)プロトコルをサポートする互換性のある外部エージェントも含まれます。

A2Aのエージェントカードには、サポートするスキル、ストリーミング機能、入力と出力の種類などの詳細が記載されています。一方、MCPサーバーのメタデータには、名前や説明が含まれます。これらの情報は、管理者がAI Registryを通じて利用できる機能を理解するうえで役立ちます。

こうした可視化によって、チームは同じようなエージェントやツールを重複して構築する代わりに、既存の機能を見つけて再利用しやすくなります。

AI Registryは、登録済みのAIエージェントとMCPサーバーを、メタデータや設定済みのアクセス制御とともに一覧表示します。

Oracle AI Data PlatformにおけるAI Registryの仕組み

AI Registryは、Oracle AI Data Platformの一部として、企業向けAIを開発、利用するための一連のワークフローに組み込まれています。組織は、データの準備と接続、エージェントの構築や持ち込みを行い、サポート対象のアプリケーションや利用環境を通じて、承認済みの機能をユーザーに提供できます。

どの機能の利用を承認し、誰にアクセスを許可するかの判断を含め、AIの利用と管理に関する独自の方針や運用ルールを策定、実施する責任は、引き続き組織自身が負います。

データの準備と接続

データチームは、関連する企業データを利用できるようにし、AIがそれを解釈するために必要な業務上の文脈を付加します。Oracle AI Data Platformは、業務上の意味や関係性、意味体系を表現することで、エージェントが文脈を踏まえて企業データに基づく推論を行えるよう支援します。

AIエージェントの構築

開発者やその他の作成者は、Oracle AI Data Platformや他のサポート対象環境でエージェントを作成します。再利用可能なスキルを適用することで、特定の業務に特化したエージェントに、タスクに応じた指針、業務ルール、手順を与えることができます。サポート対象のOracle環境やサードパーティ環境にある互換性のあるエージェントも、AI Registryに登録できます。該当する場合は、A2Aプロトコルをサポートするエージェントも対象となります。

エージェントの登録と管理

管理者はAI Registryを使用して、組織全体の承認済みエージェントとMCPサーバーを登録し、それらに対するロール(役割)に基づくアクセス制御を定義、設定します。

必要なエージェントをユーザーが利用できるようにする

組織は、AI Registryのロールベースのアクセス制御を使用して、登録済みのエージェントとMCPサーバーへのアクセスを管理できます。ユーザーは、それぞれのロールと権限に応じて、Oracle Agent Hub、互換性のあるサポート対象のサードパーティ製AIアシスタント、その他のアプリケーションや業務ワークフローを通じて、承認済みのエージェントとMCPツールを利用できます。

Oracle Agent Hubは、承認済みの企業向けエージェントを利用するために、Oracle AI Data Platformが業務ユーザーに提供する利用環境です。ユーザーが、タスクに適した1つまたは複数のエージェントを特定し、連携させることを支援します。一方、AI Registryは、それらの機能を一元的に管理する手段を提供します。

ITチーム、AIチーム、業務ユーザーにとってのメリット

ITチームとAIチームに対して、AI Registryは、承認済みのエージェントとそれを支える機能を一元的に把握できるようにします。チームは、登録された機能を個別に管理する代わりに、アクセスを管理し、利用可能な機能を整理できます。

開発者やその他の作成者にとっては、レジストリによって、すでに存在するものを確認しやすくなります。その結果、プロジェクトごとに同じ機能を作り直すのではなく、承認済みのエージェント、ツール、接続を再利用する機会が増えます。

業務ユーザーは、Oracle Agent Hub、サポート対象のAIアシスタント、業務アプリケーションなど、すでに利用している環境を通じて、承認済みのAI機能をより簡単に見つけられます。 これにより、組織は、業務で使用するエージェントやAI機能の状況を把握しながら、企業向けAIの利用範囲を広げられます。

AI Registryを使い始める

AIエージェントの利用が拡大するにつれて、組織は、何が存在するかを把握し、誰が利用できるかを制御し、承認済みの機能を社内全体で利用できるようにする方法を必要とします。AI Registryは、承認済みのAI機能を一元的に登録し、アクセス制御を設定する手段を提供するとともに、従業員が企業向けAIにアクセスし、利用する方法に柔軟性を持たせます。

これらの機能は、組織独自のガバナンス方針や運用ルールと組み合わせることで、企業のAIエージェントやツールの管理と再利用を支援できます。

詳細情報

1 出典:Gartner、「AIエージェントの乱立を管理するための6つのステップをGartnerが提示」、2026年4月28日