※ 本記事は、Naren Chawla(CX向けアナリティクス・アプリケーション、プロダクトマネジメント責任者)による”Oracle enables revenue transformation with Fusion CX Analytics”を翻訳したものです。

オラクルは、次世代のOracle Fusion Salesのローンチの一環として、Oracle Fusion CX Analyticsを発表しました。Fusion CX Analyticsは、フロントオフィス、ミッドオフィス、バックオフィスのデータを組み合せる統合ソリューションです。ユーザーが収益拡大のためのインサイトを提供する実用的な分析の仕組みです。

このブログでは、私たちがこの製品をどのようにコンセプトで開発し、具体的にどのようなビジネス課題を解決していくのかをご紹介します。

課題解決のポイント

Fusion CX Analyticsは、広範囲にわたるユーザー調査を経て構想・開発されました。調査においては、営業部門、マーケティング部門、サービス部門、収益管理部門のマネジメントの方から現場でご担当される方を対象とし、様々な役割を担う人々の分析ニーズを理解することを目的として実施しました。その結果、4つの主要なペインポイントが浮上しました。

  • 見込客の管理から契約、更改までを含めた顧客ライフサイクル全体の分析の難しさと遅れ
  • 複数ソースからデータを統合して分析を行う場合に発生する複雑なプロセス
  • 異常値や例外を検出する際に、業務的な観点からの質問に対して限定的にしか回答が得られない
  • エンド・ユーザーが、利用可能データをもとに将来予測を迅速に実施することができない(システム部門に頼らざるを得ない)

 

収益ファネル

上記ニーズに対応できる包括的な部門横断型ソリューションを構築するには、それぞれの役割の方がどのように売上貢献を評価したいかを理解する必要があります。多くのB2BまたはB2B2Cの購入プロセスにおいては、売上の計上の前に複数のシステムを横断した複雑なジャーニーが発生します。通常、各業務システム内だけでサイロ化したトランザクションやイベントのレポートが作成されてしまいます。

カスタマージャーニーは、マーケティング・オートメーション・プラットフォーム(MAP)から始まります。マーケティング・チームは、MAPにおいて複数のチャネルを使用して、見込み客とエンゲージメントを進めます。エンゲージメントが進む中で、リードの質が高まってきているかを判断していきます。これらのリードがクオリファイされると営業チームに引き渡され、営業がSFA(Sales Force Automation)システムを使って営業サイクル内で進捗を追跡し、商談に変換します。そしてうまく商談が進んだ場合、営業部門は通常Configure-Pricing-Quote(CPQ)システム内のプロセスに従って見積書を生成します。見積書を提示し、価格交渉が終わると、注文管理システム(通常はサプライ・チェーン・システムの一部)で注文書が生成されます。もしも顧客のビジネス・モデルにサブスクリプション・モデルが含まれている場合、サブスクリプション請求システムが関わってくることになります。生成された請求書は、ERPシステムの売掛管理のエントリーにつながっていきます。

私たちが調査の中でお話をお伺いしたユーザーの方は、上記のような複数の業務の異なるシステムからのデータを使って、売上に関わるサイクル全体の分析を一箇所で行いたいと考えていました。調査の結果ユーザーの方が分析したい内容は次の通りでした。

  • このサイクル全体においてどこで収益機会を漏らしているのか
  • 高いLTV(生涯価値)を持つ収益性の高い顧客を獲得できているか
  • 現在の割引戦略がマージンに及ぼす影響はどの程度か
  • 最適な割引以上の割引を与えていないか
  • どのマーケティング・キャンペーン、どのチャネルがより質の高いリードを獲得しているか
  • 収益に貢献していない特定のタッチポイントがあるか
  • 今後4四半期の商談の見込量を考えたときに、生産ラインに十分なキャパシティがあるか
  • どの価格設定モデル(リカーリング、もしくは1度限りの使用か、あるいはその組み合わせ)がより多くの収益をもたらすか
  • どの製品構成がより多く販売されているか、またどのリージョンでより多く販売されているか
  • 顧客満足度の向上につながるのはどのような活動か

人々は、Sales、Marketing、Service、CPQ、Subscription、Financeのデータが何を示しているのか、1つのシステムで理解する方法を探していました。言い換えると、フロントオフィス、ミドルオフィス、バックオフィスのデータを集約し、1つのシステムでアクセスし、相関関係のパターンを見て、次に何が起こりうるかを評価し、ビジネスを1つの塊として見ようと考えたのでした。そして、その分析によってリソースと活動を最適化し、収益を最大化していきたいと考えていました。

テクノロジーの闘争

データウェアハウス戦略を中心とした上記の問題に対処するために、システム構築の長い道のりに取組んでいる企業も少なくありません。調査の結果、いくつかの障害/課題に直面していることがわかりました。

  • 情報源のシステム(ソース・システム)に接続することが難しく、また、どのAPIを使用すべきか、どのETLツールが最適化かの判断が難しい。最もシンプルな方法は、ファイルを抽出してウェアハウスに取り込むことですが、接続が不安定になり、エンド・ユーザーのレポートのデータが不正確になる。
  • 異なるシステムのデータを組み合わせたデータ・モデルを作成するにはどうすればいいか。正しい結合キーとは何か。ソース・システムで特定の表または列は何を意味するかの理解。ソース・データ・モデルを理解しているエキスパートが誰か。
  • 組織内でKPIを正確に解釈するために、どのようにガバナンスを強化すればよいか。
  • ETL、DW、BIの各レイヤーの異なるベンダーに対応するにはどうすればよいか。これらの各システムのエキスパートを見つけて管理するにはどうすればよいか。
  • トランザクション・システムと同じセキュリティ・モデルを作成するにはどうすればよいか。

データウェアハウスの領域において複雑さと混乱の闘争が続いています。多くの組織は、この検討過程で止まってしまい、プロジェクトを開始することさえできませんでした。

KPIを使用した連携とコラボレーション

カスタマージャーニーに関連する包括的な収益化までのプロセスにおいて、多くのユーザーはKPIの定義し、様々な部門のビジネス・リーダーと連携したいと考えています。また、これらのKPIを監視した上で、例外があった場合には事前に通知することを希望しています。しかし、実際には、これらのレポートやダッシュボードはIT部門が関与しなければ作成できないことが多いため、業務とレポートが分離された状態になります。そのため、特定のダッシュボードやレポートが配信される時には、すでに時間が経過してしまっており、多くのユーザーは本来確認したかった当初の疑問点を忘れてしまうことがあります。このようなテクノロジーの問題のため、レポートを結合し、部門横断的なKPIを作成することが非常に困難になります。

Oracle Fusion CX Analyticsの概要

Oracle Fusion CX Analyticsは、ユーザーが作成した次のニーズに対応するように設計されています。

  • KPI主導での事前通知機能によって、詳細レベルまでをドリルダウン
  • 顧客へのコンタクトから購入まで、または、リードから受注までのプロセス全体を分析して収益を最適化する機能
  • 共有KPIを使用した部門間の連携とコラボレーション
  • データの取得と管理に関する複雑さを軽減し、共有データの信頼性を向上
  • 各ソース・システムからセキュリティ構成を伝播してセキュリティを簡素化

ウィザードを使用してデータ取得プロセス全体を簡略化することができます。また、クラウドネイティブの新しい商談管理の仕組みを作成しました。API、コネクタ、ETLなどについて心配する必要はありません。Oracle Cloud ApplicationsへのURLを指定し、いくつかのパラメータを構成すると、ソース・システムからのデータが定期的に転送されます。それだけでなく、データを検証し、増分更新およびソース・スキーマの変更に関連するすべての複雑な作業も処理します。

次に、ソース・システム・データ・モデルの深い知識を活用して、すべての種類のデータ結合が正しく動作するためのデータ・モデルを作成しました。さらに、部門間セマンティック・モデルを階層化して、収益サイクル全体のすべてのKPIと指標を統一的に解釈できるようになりました。セールス、マーケティング、財務、業務の各システム間でディメンションを適合させる取り組みも実施しており、それによって、ビジネス・ユーザーは、部門横断した分析が可能になります。

さらに、価値実現までの時間をさらに短縮するために、Oracleの製品には、事前に構築された何百ものKPIとキュレーションされたドリルスルー・レポートが含まれております。また、システムのプロビジョニング後は、誰でも1日で使いこなし、業務の生産性を向上させることができます。

最後に、Oracle Fusion CX Analyticsには、Oracleクラウド・アプリケーション、オンプレミス、サード・パーティ・システムなど、データ・パイプラインおよびモデルをカスタマイズとともに簡単に拡張するための事前構築済のメカニズムが含まれています。

Oracle Fusion CX Analyticsの詳細や経験については、製品ツアーをご覧ください。

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