※ 本記事は、Fusion Developmentチームによる”A playbook for scaling business value with Fusion AI”を翻訳/意訳したものです。また、将来提供予定の機能を一部含みます。

AIを業務に取り入れるべきか?という検討は多くの企業ではすでに終わっています。今の課題は、すでに実施している点在した実証実験から、安定的かつ費用対効果の高い方法でAIを業務に大規模に運用する段階へどう移るかです。Fusion AIは、この移行を支援します。AIを実際の業務の中に組み込み、価値の高い業務を見極め、経済性を検証し、成果を確認しながら導入範囲を広げる道筋を提供します。

オラクルのお客様は、この取り組みを有利な状態から始められます。Fusion AIは、すでに利用しているアプリケーション、データ、ワークフロー、権限、業務コンテキストの中で動作します。そのため、別のAI基盤を構築し、後からセキュリティやガバナンスを追加する必要はありません。必要な業務コンテキストもあらかじめ備わっています。AIを試す段階から実際の業務で運用する段階へ移りやすく、以下の取り組みを数年ではなく数四半期で進められます。

ビジネス成果から始める

エージェント型AIは、質問への回答や文案の作成にとどまらず、業務を完了まで実行します。この違いによって、最初に行うべき質問も変わります。以前の質問は「どこにコパイロットを追加できるか」でした。これからは「システムにどのような成果を実現させたいか」を考えます。成果から検討すれば、技術の新しさではなく、ビジネス上の価値に焦点を合わせられます。

取り組みを始める前に、費用の仕組みも理解しておく必要があります。Fusion AIの料金は、AIを構成する個々の要素ではなく、確実な業務の実行に基づきます。料金の対象は、トークン数、モデルの呼出し回数、中間処理にというよりは、プラットフォームが導き出した結果に対してです。詳しい仕組みは後述しますが、基本は、業務の完了に対して支払い、事前に予算を立てられる料金体系になっています。

Fusion AIを選ぶ理由

従業員の業務を効率化するツールは数多くあります。Fusion AIは、企業がすでに運用しているルールの範囲内で、実際の業務を遂行するために設計されています。Fusion AIには、次の特徴があります。

提案だけでなく業務を完了

アシスタントは助言を提供するだけですが、エージェントは成果を出すために業務を実行します。Fusion AIは、タスクを最初から最後まで担い、組織の生産性と投資対効果を高めるように設計されています。適切に活用すれば、従業員は業務を短時間で進め、企業の強みにつながる判断に集中できます。

後付けではなくFusion Appsに組み込み

AIはFusion Appsに組み込まれているため、アプリケーションが持つ知識と制御をそのまま利用できます。OCI上で動作し、Fusion SaaSの標準的なロール、権限、セキュリティに従います。Fusion Appsと接続済みの外部データが持つ業務コンテキストも利用するため、一般的な推測ではなく、自社の情報に基づいて結果を生成します。ほぼすべての業務領域と業界向けに、数百のエージェント、エージェント型アプリケーション、テンプレートが用意されています。多くのお客様は、一から構築するのではなく、実績のある構成を自社向けに調整するところから始められます。

分かりやすい料金体系

Fusion AIでは、価値を測る単位としてAI Unitを使用し、1 AI Unitは1USセントに相当します。SaaSのお客様には毎月一定量が割り当てられ、必要に応じて追加購入できます。料金を考えるうえでは、何が消費量として計上されるかが重要です。AI Unitは、API呼出しなどの中間処理ではなく、提供と完了まで実行されたAIアクションに対してのみ消費されます。成果に基づく料金体系なので、費用の予算を立てやすくなります。消費量が提供した価値に連動するため、上限の見えない使用量を監視するのではなく、投資対効果の目標に沿って計画できます。

拡大前に価値を検証

効果を確認する前にAIの利用を拡大してしまうと、取り組みの勢いを失いやすくなります。価値の高いユースケースを選び、既存の資産を活用しながら段階的に展開することで、有望な試行から根拠のある事業計画へと発展させられます。

取り組む価値のある業務を選ぶ

まず、現在の業務で負担や停滞が最も大きい箇所を特定し、価値の高いユースケースを優先します。そして、候補を、目標ROI、想定処理量、恩恵を受ける利用者数で順位付けします。各候補について、現在の業務にかかる費用を算出します。たとえば、ヘルプデスクの問い合わせ1件を処理する総費用や、従業員が複数の画面から情報を探すために費やす時間です。十分な削減効果を見込める場合は、簡単な事業ケースを作成する価値があります。次に、ユースケースごとにAIの利用費用の想定を事前に設定します。実際の費用と削減額をユースケース別と総計の両方で測定し、報告します。数値で妥当性を説明できるユースケース群を作ることが目標です。

優先順位を付けたユースケース一覧とROIの可視化

実績のある構成から始める

AI Agent Studioには、すぐに利用できる数百のエージェントが用意されており、ユースケースや設計の参考にできます。既存のエージェントを自社の業務に合わせて編集することも、独自に構築することも、ノーコード、プロコード、または両方を組み合わせてできます。他から使用される前に、各エージェントの結果、性能、効率を検証します。実績のあるパターンを利用すれば構築を短縮でき、最初の本番ユースケースを適切な基準から始められます。

AI Agent Studioで利用できる標準エージェント

段階的に対象を拡大

最初から全社へ展開せず、対象を段階的に広げます。たとえば、10人、50人、200人程度の順に、小規模、中規模、大規模なグループへ展開します。各段階の間に、品質、費用、投資対効果を測定し、うまくいった点と改善点を確認してから次の対象へ広げます。可能であれば、当初はこれまでの手順を残すソフトローンチを行い、十分な信頼を得てから旧手順を廃止します。各段階で検証を重ねるため、全体展開の時点では、すでに複数回確認した仕組みを拡大することになります。

価値を軸に管理

適切なガバナンスの目的は、費用を抑えることだけではありません。支払った費用に対して得られた成果を継続的に確認し、根拠を持って投資することです。Fusion AIは、次の3つの運用を支援します。

予算とアラートを設定

エージェント別またはチーム別に予算を設定し、管理に必要なしきい値でアラートを通知するようにします。予算上限がガードレールとして働くため、現在の消費状況を把握し、上限に近づいた時点で対応できます。

AI Agent StudioでAI Unitの予算と消費アラートを設定

利用量だけでなく価値を測定

使用量だけではエージェントの価値を正しく判断できない場合があります。AI Agent Studioで成果、費用、投資対効果を定期的に確認します。そのうえで、利用量、費用、成果を結び付けて検討します。
最も使われているエージェントはどれか、完了した業務、回避できた例外、短縮した処理時間で測ったときに最も価値を生んでいるエージェントはどれかを確認します。AI Unitの消費量を予測値と比較します。計画より消費が多い場合は、成果も計画を上回っているかを確認します。成果も上回っているなら、その効果をさらに得るために、どのユースケースを前倒しするか検討します。確認結果をもとに、今後の予測を調整します。消費量と価値を一つの指標として継続的に確認する運用を定着させます。

調整と改善

エージェントは、利用状況を確認して調整することで効率を高められます。プラットフォームが提供する利用データを見て、効果が出ている箇所と停滞している箇所を確認します。まず、利用者が必要な成果を得ているか、ワークフローを簡素化できないかを利用者の立場から検討します。その後、回答を簡潔で適切な詳しさに調整したり、API呼出しでは必要な入力だけを使うようにしたり、利用者へ実行可能な内容と質問例を案内するようにします。必要に応じて、作業を担うエージェントを分割して役割を明確にしたり、複数のエージェントを統合して引継ぎを減らしたりします。どの方法を選ぶ場合も、判断に必要な利用状況がプラットフォーム上で確認できます。

効果を広げる

大きな成果を得るには、個別のエージェントではなく、AIを組み込んだ業務全体として考える必要があります。そのための手順は3つあります。

1つ目は、関連する業務をつなぐことです。個別のエージェントにも価値はありますが、エージェントチームやエージェント型アプリケーションは、複数の業務を連携して成果まで実行できます。その結果、引継ぎで失われていた時間と情報を減らせます。

2つ目は、現在の手順をそのまま自動化するのではなく、業務プロセス全体を設計し直すことです。既存の各手順を速くするだけでなく、プロセスの目的から見直します。高度な推論やプロコードを活用すれば、シンプルなエージェントでは扱えなかった課題にも対応できます。

3つ目は、効果を上げた方法を組織の標準として定着させ、単発の成果で終わらせないことです。再利用できるエージェントの設計パターンとテンプレートを作り、簡潔なガバナンスの仕組みを設け、成功したユースケースを部門間で共有し、社内のAI実践者を育成します。確認できた削減額と新たに生まれた余力を次のユースケースへ再投資すれば、得られた成果を次の展開に活用できます。

今月から始めよう

大規模な変革推進組織や1年間の計画がなくても始められます。まず一つの業務を選び、次の手順を今月中に実行します。

  1. 負担や停滞が大きいワークフローを3つ特定
  2. 効果を測定でき、AIによる自動化に適したワークフローを1つ選定
  3. 改善量を確認するために、現在値を測定
  4. Fusion AIの機能やテンプレートを確認し、対象業務に適したものを選定
  5. 必要に応じて、プロコードまたはノーコードのツールで構築や調整を実施
  6. 一部の利用者による試行
  7. 成果と消費量の両方を測定
  8. 改善、拡大、停止のいずれかを判断

最後の判断は、最初の選定と同じほど大切です。規律あるプログラムでは、投資を拡大する場面と、いったん縮小する場面を見極める必要があります。Fusion AIの世界は、成果と費用を比較し、その判断ができるように設計されています。

Fusion開発

Fusion 開発チームは、Oracle ERP、EPM、SCM、HCM、CXを含むOracle Fusion Cloud Applications Suiteでイノベーションを構築、維持、推進する責任を負います。メンバーは世界中に拠点があり、米国、インド、メキシコ、フィリピン、ルーマニアに中央オフィスがあります。