※本記事は、Neil RamsayによるWhy Implement the Accounting Hub for Pass-through Accounting?を翻訳したものです。

はじめに

Accounting Hubとは?

Fusion Accounting Hubは、上流アプリケーションに会計サービスを提供します。Accounting Hubは、会計基準、会計エンジン、および仕訳や残高という形の会計結果で構成されます。会計エンジンは、会計基準と企業体系定義、ソース・システム・トランザクションを組み合せて、会計表示と呼ばれる1つ以上のすべての会計セットを生成します。Accounting Hubは、下流の財務レポートおよび管理分析に使用される財務データの単一の情報源となります。詳細については、ERP-ACEのブログ記事「Fusion Accounting Hubとは」をご参照ください。

パススルー会計とは?

パススルー会計は、上流アプリケーションが貸借一致仕訳をAccounting Hubに送信するときに実行されます。上流アプリケーションは、ソース・システムのトランザクションまたは残高に独自の会計基準を適用して、貸借一致仕訳を生成します。

Accounting Hubでは、仕訳の取引通貨金額を変更することなく、パススルー仕訳を取り込みます。ただし、プライマリ元帳、セカンダリ元帳およびレポート通貨元帳において、元帳通貨金額の換算や勘定科目体系のマッピングを行う場合があります。

イベントベース会計とは?

上流アプリケーションは、会計基準を適用したAccounting Hubに生トランザクション・データを送信して、貸借一致仕訳に変換します。Accounting Hubルールと組み合せたトランザクション属性は、仕訳のあらゆる側面を管理します。:会計日、借方、貸方、勘定科目組合せ、摘要など

イベントベース会計のメリットとは?

イベントベース会計では、業務ユーザー向けのアプリケーションでの会計基準の定義と実行を一元管理できます。これにより、会計ロジックは、ソース・システム、インタフェース・プログラム、および多くの場合スプレッドシートに分散されることがなくなります。会計基準は、複数のソース・システム間で共有でき、要件の変化に応じて、Accounting Hubで一元的に変更できます。

会計基準構成が一元化されたアプリケーションにより、ユーザーは可視性と統制を確保できます。すべてのユーザー・コミュニティは、会計基準の作成、保守および監査において信頼できる唯一の情報源を共有します。

パススルー会計を実装する理由

多くの金融機関は、イベントベース会計のビジネス上の価値を認識しています。したがって、財務変革の取り組みにおける目指すべき姿は、通常、Accounting Hubのイベントベース会計です。ただし、既存のシステムをイベントベース会計に変換するには、インタフェースおよびステージング領域の変更が必要になる場合があります。

現在、上流アプリケーションが完全かつ有効な会計処理を生成しているの場合、Accounting Hubでイベントベース会計を実装するための短期的な工数がパススルー会計に対する工数を上回る可能性があります。一方で、上流アプリケーションが不完全または誤った会計処理を生成しており、その結果、監査およびコンプライアンス上のリスクとなっている場合は、イベントベースに直接移行することでメリットを得られる可能性があります。

パススルー会計のAccounting Hubを実装する理由

一部の金融サービス機関では、パススルー会計のAccounting Hubを実装するというビジネス価値に疑問を持つ場合があります。彼らは、なぜCloud General Ledgerに仕訳を直接送信しないのかと考えるのです。

その理由は次のとおりです…

複数の会計表示

複数の会計表示は、異なる会計基準または会計通貨(あるいはその両方)に従って会計を生成するための要件に対応します。

Accounting Hubでは、複数の会計基準セット(会計処理基準)がソース・システム・のトランザクションに並行して適用されます。会計表示ごとに、Accounting Hubに渡されるデータに直接基づいて詳細な仕訳が生成されます。

Accounting Hubは、仕訳や残高を複製・修正するアプリケーションや手動の手順と比べて、次の点で優れています:

  • 完全性:Accounting Hubは、複数の会計表現をパラレルに生成し、それぞれが完全で有効であることを保証します。
  • 照会性:Accounting Hubは、複数の会計表現にわたって生成された仕訳を強固に関連付けます。たとえば、異なる会計基準や通貨に従ってトランザクションがどのように会計処理されているかを示すことができます。
  • 一貫性:Accounting Hubは、企業体系、換算レート、勘定体系などの参照データを一般会計と共有します。その為Accounting Hubと一般会計の間で不整合が発生することはありません。
  • 柔軟性:Accounting Hubルールとマッピング・セットは、複雑な条件マッピング、ワイルドカード、オーバーレイなどをサポートします。

実装担当者は、Enterprise Data Management (EDMCS)を構成することで、Accounting Hubがある勘定科目体系から別の勘定科目体系に変換する際に使用するマッピング・セットを一元的に保守できます。

財務勘定科目体系の合理化

財務変革イニシアチブの目的には、次のようなものがあります。

  • 簡素化された勘定科目体系を使用することで、純粋な財務処理を合理化する。
  • 決算処理を、業務処理と調整への依存から解放する。
  • 財務レポートと業務レポートの間の一貫性を確保する。

Accounting Hubのサポート参照は、取引デスクや事業所などのソース・システム固有のディメンションを使用して財務勘定科目体系を「拡張」することで、これを支援します。サポート参照は、Accounting Hubの仕訳明細または残高に保存されますが、一般会計には転送されません。これらは、詳細な契約レベルの情報と高度に集約されたGL残高間の橋渡しの役割を果たします。これらの機能により次のことが可能となります。

  • ソース・システムと財務会計の間の照合が容易になる。
  • 一般会計を業務上の詳細情報から解放し、財務処理を合理化する。
  • 頻繁な業務上の変更や調整から一般会計を分離する。

エンリッチメント

上流アプリケーション仕訳は、通常、パススルー仕訳をソース・システムの取引通貨で貸借一致させます。ただし、適切な為替レートを使用して元帳通貨金額を換算できない場合があります。実装担当者は、一元的に定義されたレートを使用して、複数の元帳通貨の金額を計算するようにAccounting Hubを構成できます。

同様に、実装担当者は、上流アプリケーション管理者や開発者に頼ることなく、必要に応じて上流アプリケーションによって導出された勘定科目組合せに対する変更を構成できます。

会計ポリシーの今後の変更

Accounting Hubは、イベントベース・フィードとパススルー・フィードをまったく同じ方法で処理します。そのため、会計方針が変更された場合、新しい会計基準または変更された会計基準を両方に適用できます。

Accounting Hubで会計基準の変更を一元化することで、複数の上流アプリケーション間で変更を調整する必要がなくなります。

ビジネス・ユーザーは、開発者に頼ることなく、Accounting HubまたはEDMCSのマッピング・セットに基づいて勘定科目導出ルールの変更を管理できます。

要約すると、イベントベース会計とパススルー会計の両方をAccounting Hubに格納することで、今後の変更に備えることができます。

会計リポジトリ

パススルー・トランザクションとイベントベースのトランザクションをAccounting Hubに送信することで、すべての上流アプリケーションにわたって一貫性のある詳細な会計仕訳を格納できます。Accounting Hubの仕訳および残高は、下流レポートおよび分析アプリケーションへの抽出元となる単一のソースとなります。

イベントベース会計への円滑な移行

Accounting Hubは、パススルー会計からイベントベース会計への移行による影響から、一般会計およびその他の下流アプリケーションを保護します。インタフェース管理者およびその他のユーザーは、GLインタフェースからAccounting Hubへの切替えに対応する必要がなくなります。

なおAccounting Hubでは、会計基準が補助元帳アプリケーションごとに明確に区分されています。補助元帳アプリケーションの会計処理をパススルーからイベントベースに変換しても、他のアプリケーションの会計基準に問題を引き起こすことはありません。

その他の考慮事項

Accounting Hubを使用した仮勘定への計上

上流アプリケーションは、必ずしも完全で有効なパススルー仕訳を生成するわけではありません。Accounting Hubに片側仕訳や、無効な勘定科目組合せが流入する例は非常に一般的です。

この場合、エラーを調査、修正し再送信するのではなく、仮勘定へ転記する必要があります。ユーザーは、それをレビューして、通常の勤務時間中に適切な是正措置/調整を決定します。

Accounting Hubは、無効な仕訳を作成しません。しかし、仮勘定への転記または無効な勘定科目の自動修正によって、ストレート・スルー処理をサポートする機能を提供しています。またAccounting Hubでは、会計基準がトランザクションにどのように適用されたかについての監査証跡が保持されるため、監査性が保証されます。

貸借不一致仕訳

実装担当者は、任意の仮勘定を使用して仕訳を自動的に貸借一致するようにAccounting Hub会計基準を構成できます。詳細は、ERP/ACEブログで「デフォルト値vs補助元帳仮勘定」と「補助元帳会計貸借一致の解釈」を投稿しています。最後のセクション「明示的な貸借一致ルール」では、この要件に対処するための会計基準の構成方法を詳細に説明しています。

無効な勘定科目組合せ

無効な勘定科目組合せは、たとえば、セグメント値がCloud ERPで定義されていない場合や、相互検証ルールに違反している場合に生じます。

「会計の作成」プログラムで無効な勘定科目組合せが検出されると、パススルー仕訳のステータスは「無効」に設定されます。これらのエラーのストレート・スルー処理を実装するには、「イベントの処理」パラメータを「無効な勘定科目」に設定して「会計の作成」プログラムを再実行します。詳細は、「補助元帳会計帳簿の使用」の「会計例外のレビューおよび修正」の項を参照してください。無効な勘定科目エラーの再処理は、Webサービスを使用してオーケストレーションできます。

勘定科目組合せの終了日

企業が変化していくにつれて、有効な勘定科目組合せを構成する定義も変化します。たとえば、取引デスクや事業所が閉鎖されると、それに関連するセグメント値および勘定科目組合せには終了日が設定されます。過去の仕訳や残高は引き続き有効ですが、上流システムから新たな会計が流入するべきではありません。しかし実際には、処理中の取引やソース・システムにおける遡及的な調整により、終了日を過ぎてからかなり時間が経過した後でも、古い勘定科目を使用したパススルー仕訳が上流アプリケーションから流入することがよくあります。

これらの無効な組合せを仮勘定に転記するのではなく、代替勘定科目機能では置換用の勘定科目組合せが保存されます。「会計の作成」では、無効な組合せが検出されると、代替勘定科目が使用されます。詳細は、ERP-ACEのブログ「ストレート・スルー・アカウンティングに代替勘定科目を使用」をご参照ください。

Accounting Foundation Cloud Service (AFCS)およびAccounting Hub

AFCSとAccounting Hubは、金融サービス向けの包括的で高性能なソリューションを提供します。

AFCSでは、ソース・システムの生取引データまたはパススルー仕訳がステージング表に格納されます。その後それらを検証して集計してからAccounting Hubします。

Accounting Hubは、取引およびパススルー仕訳に会計基準を適用して、1つ以上の会計表示を生成します。

  • Accounting Hubの財務残高は、外部アプリケーションまたはEnterprise Performance Management (EPM)が提供する下流の財務連結およびレポート・アプリケーションに連携されます。
  • Accounting Hubの詳細仕訳はAFCSに渡され、分解機能を使用して金融商品単位の勘定科目残高を計算します。

AFCS管理元帳には、金融商品単位の勘定残高、財務残高およびソース・トランザクションが入力され、レポートおよび下流処理で利用できるようになります。

詳細は、Customer ConnectのSubledger Accounting and Accounting Hubフォーラムから入手可能な「Accounting Hub Financial Services Reference Architectures and Best Practices」ホワイト・ペーパーをご参照ください。AFCSの詳細は、Oracle Financial Services Accounting Foundation Cloud Service をご参照ください。

まとめ

パススルー仕訳を上流アプリケーションからOracle Cloud Applicationsに送信する予定であっても、Accounting Hubで処理することは、明確なビジネス上の利点があります。

Neil Ramsay

クラウドERP開発担当シニアディレクター

E-Business Suiteまでさかのぼり、30年にわたるOracle ERPアプリケーションの経験を持ちます。製品戦略に参加する前は、OracleのRedwood Shoresキャンパスでアプリケーション開発担当のシニアディレクターを務めていました。ACE ERPチームのメンバーとして、戦略的なお客様のクラウドトランスフォーメーション ジャーニーに協力しています。現在、スペインのマドリッドを拠点に活動しています。