※ 本記事は、日本オラクルより発表されたプレスリリース「オラクル、Oracle Fusion Cloud Applicationsスイート全体に強力な新しいAI機能を追加」、「オラクル、AIエージェントにより、新たな水準で組織の生産性向上を支援」の発表内容と、Fusion Developmentチームによるブログ投稿 ”Introducing AI agents in Fusion Apps”を元に構成しております。
オラクルは、「Oracle Fusion Cloud Applications Suite」内の新しいAI機能を発表しました。これらの機能は、お客様が複雑なタスクを正確に実行し、ワークフローを自動化し、業務効率の向上を支援するものです。すでにスイート全体に組み込まれている包括的な生成AI機能を拡張する最新のAIイノベーションには、50以上の新しいAIエージェントと、オーサリング、アドバイス、推奨アクションを提供するさまざまなAI機能が含まれています。この新しいAI機能により、財務、サプライチェーン、人事、営業、マーケティング、サービスなど、あらゆる分野でさらなる生産性の向上が実現します。
オラクルのアプリケーション開発担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるスティーブ・ミランダ (Steve Miranda) は次のように述べています。「当社は、ハードウェアからデータベース、アプリケーションに至るまで完全に統合されたテクノロジー・スタック上で、包括的なビジネス・アプリケーション・スイートを提供している業界唯一のベンダーです。また、AIの主要プロバイダーや世界有数の大規模言語モデルが信頼を置くインフラストラクチャも提供しています。このように、オラクルは、お客様が最新のAIイノベーションを迅速かつ容易に活用できるよう支援するための最適な体制を整えています。『Oracle Fusion Applications』に組み込まれた新しいAI機能は追加費用なしで利用可能で、お客様のビジネス・プロセスのスピードと精度の向上、意思決定の迅速化、収益の増加を強力に支援します。」
「Oracle Fusion Applications Suite」はビジネス全体にわたってワークフローを接続することで、お客様がクラウドと最新のAIイノベーションを活用して組織のサイロを排除し、プロセスを標準化し、データからより多くの価値を引き出せるよう支援します。「Oracle Fusion Applications」の最新のAI機能には、以下が含まれます。
ERP、HCM、SCM、CX向けの50以上のAIエージェント
AI エージェントとは何か?
AIエージェントは、大規模言語モデル (LLM) とその他の高度なテクノロジーを組み合わせたもので、ユーザーと連携しながら頻繁に繰り返されるタスクや複雑な業務を自動化し、従業員やマネジャーがより戦略的な業務やイニシアティブに集中できるようにすることで、組織が新たなレベルの生産性を達成できるよう支援します。LLM のReasoning (リーズニング、推論)により、AIエージェントは従来のルールベースの自動化とは一線を画しています。AIエージェントは判断を下すことができるため、単独で、または人間の監督の下で、アクションプランを作成し、ワークフローを管理できます。
AIエージェントの機能の中核となるのは、過去のやり取りから学習し、内部システムのデータを活用し、人間や他のエージェントと連携する能力です。この継続的な適応能力により、AIエージェントは、柔軟性と拡張性が重要となる複雑なビジネス環境にとって、特に価値のあるものとなります。生成AIの最新イノベーションを搭載した新しいエージェントにより、お客様はエンドツーエンドのビジネス・プロセスを完全に自動化できるだけでなく、特定のビジネス・プロセスやユーザーの役割を考慮してパーソナライズされたインサイトやコンテンツ、そして推奨を得られるようになります。
Fusion Applications における AI エージェントの仕組み
AIエージェントは、単純なタスクも複雑なタスクも支援し、部門間で連携することができます。次に、さまざまなタイプの実例を示します。
- 監督エージェントは、他のエージェントを管理し、複雑なワークフローを監視し、人間の介入が必要かどうかを決定します。
- 機能エージェントは、企業内のさまざまなペルソナのデジタル・アシスタントとして機能し、ドメイン固有のタスクを実行します。
- ユーティリティ・エージェントは、データの取得、通知の送信、レポートの実行など、日常的でリスクの低いタスクを実行します。
多くの場合、特定の役割を支援するように最適化されているため、AIエージェントまたはエージェントの集合体は、財務担当者、採用マネジャー、またはカスタマーサービス担当者として機能する場合があります。
AIエージェントは、従来のAIをはるかに超えるものです。自動化だけでなく、人間の作業者と連携して、AIエージェントを単なるツール以上のものにします。高度なAIをビジネス・システムに統合することで、オラクルは生産性と運用効率の向上をリードし続けています。AIテクノロジーが進化するにつれて、ビジネス・プロセス全体を自律的に管理できるさらに高度なAIエージェントが登場し、チームは戦略的で影響力の大きい活動に集中できるようになります。
AI エージェントのユースケース
当社は、50を超えるAIエージェントをFusion Applications Suite全体に展開し、様々なユースケースを支援することを発表しました。以下にユースケースの例を示します。
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「Oracle Fusion Cloud Human Capital Management (HCM)」のAIエージェントの内容
- シフト管理アシスタント: 社員のシフト・スケジュールを作成、管理、最適化し、各社員の希望やコンプライアンス規制に対応できます。例えば、スケジュール管理担当の社員が過密シフトに関する方針を把握できるよう支援し、検討すべき規制を指摘します。
- 社員採用アドバイザー: 組織が最適化された募集により候補者にアプローチし、採用責任者や採用担当者が求人情報を作成できるよう支援し、採用に要する時間を短縮します。例えば、新たな採用枠の正式な要請、欠員の補充、企業の方針に沿った求人の作成などを支援します。
- 福利厚生アナリスト: 組織が社員による福利厚生の活用を促し、社員が個人のニーズに応じて福利厚生パッケージをより深く理解し最適化できるようにします。例えば、異なる福利厚生パッケージの内容を明確にし、さらにはオプションを比較して福利厚生に関する重要な判断について理解を深められるように支援します。
- 「Oracle Fusion Cloud Supply Chain & Manufacturing (SCM)」のAIエージェントの内容
- カスタマーセールス担当ガイド: 注文問い合わせの処理において状況に応じたインサイトや推奨を提供し、顧客体験を向上させることができます。例えば、顧客の注文に対する影響がある場合、組織のカスタマー・サービス方針に基づいて注文の遅延や欠陥をどのように対処すべきか、適切なガイドを提供することができます。
- メンテナンス・トラブルシューティングのアドバイザー: 資産のメンテナンスや修理に関する、状況に応じた適切なインサイトや推奨を提供し、メンテナンスの迅速化、修理の効率化を実現することができます。例えば、エラーコードといった主なトラブルシューティングに関する情報を機器保守マニュアルから引き出し、可能性のある原因やトラブルシューティングのガイダンスを提供します。
- 「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning (ERP)」のAIエージェントの内容
- 文書入出力エージェント: サプライヤー、顧客、銀行、官庁、物流プロバイダーなどのサード・パーティの複雑な連携におけるオンボーディングを自動化、簡素化し、効率化を図り、あらゆるトランザクション、電子チャネル、文書標準、フォーマット、言語で文書の読み取りや生成を向上させることができます。例えば、画像、PDFなどのフォーマット化された文書、異なる言語の電子文書を取り込み、あらゆる属性を標準化、マッピングし、これらの文書を要求書、請求書、支払依頼書などに変換し、人が確認、承認できるようにします。
- 元帳エージェント: トランザクション・データ内の例外や異常を特定することでマニュアル作業をなくし、残高、例外、異常を効率的に監視、分析し、プロンプトに基づく自然言語による勘定分析により補助元帳の関連の内容を確認することができます。例えば、特定の事業ラインにおける収益が四半期の終了前に予想を下回っているかどうかを監視、特定し、注文の遅延といった売上に影響する要因についてプロンプトに基づく自然言語の問い合わせを受け付け、経過勘定仕訳による調整を自動化します。
- 高度な予測エージェント: 予測において、財務因子、業務因子、さらに外部因子を活用し、多変量AI予測モデルに対応します。例えば、社内外のデータ因子を用いて隠れたパターンや傾向をあぶりだし、データに基づく収益予測を作成し、よりタイムリーに正確なキャッシュフローの予測を行うことができます。
- 「Oracle Fusion Cloud Customer Experience (CX)」のAIエージェントの内容
- 顧客アカウント調査エージェント: 営業部における企画や調査業務に関するインサイトの提供、自動化により、担当者が顧客関係構築やアカウント拡大により多くの時間を充てられるようにします。例えば、アカウントの全般的な健全性に関する重要な情報のサマリーを営業担当者に提供し、アップセルやクロスセルの機会を特定し、主要なステークホルダーや企業の活動を表示します。
- 契約調査エージェント: 営業部に必要な定型的な契約のワークフローや承認作業を自動化し、事務作業だけではなく本来の営業活動に集中できるようにします。例えば、契約先とのコンプライアンスを遵守しつつ、契約書の作成や更新プロセスを効率化することができます。
- インセンティブ報酬制度のガイド: 上級役員の戦略的意向に基づいた形で営業担当者が活動するように動機づけを行うことができます。例えば、営業担当者は報酬制度の内容を明確に確認することができ、営業活動のモチベーションにつなげることができます。
最新のAIイノベーション
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Oracle Cloud ERPにおける新たなAIイノベーション
資金予測や管理レポート作成など、主要な財務プロセスの最適化を支援するほか、サステナビリティ分析のスピードと精度も向上させます。新しい資金予測機能は、AIモデルを適用して、日次、週次、月次の規範的かつ継続的な資金予測を作成することで、インサイトを加速します。新しいナラティブ・レポート機能により、AIが生成する財務パフォーマンスのナラティブ、差異の説明、ビジネスに影響を与えるトレンドに関するコメントを活用して、管理レポート作成を加速し、より賢明な意思決定を下すことができます。さらに、「Oracle Fusion Cloud Sustainability」の新しい自動取引記録機能により、ビジネスリーダーはAI、分類ルール、サステナビリティ・メタデータ属性を使用して、活動記録を自動的に作成し、取引をサステナビリティ元帳に追加できます。
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Oracle Cloud HCMにおけるAIベースのスキル・インサイト:
スキルに関するインサイトの精度とスピードを高めることで、人材をビジネスの優先事項により適切に一致させられるようにします。お客様ごとに最適なスキル・インベントリにより、人事リーダーはAIを使用して組織のスキルに関する完全なカタログを取得できます。このカタログは常に最新の状態に保たれ、変更や修正が可能です。さらに、新しいAIベースのデータ強化機能により、人事リーダーは強化されたスキル・データと企業全体およびサード・パーティ・ソースからのデータを組み合わせることができます。
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Oracle Cloud SCMにおける新たなAIイノベーション:
製造および業務パフォーマンスの向上を支援します。新しいスマート・オペレーション・ワークベンチは、生産目標に影響を与える問題に対して組織が集中的に取り組めるよう、作業指示に関するリアルタイムのインサイトや生成AIを活用したシフト報告を提供します。さらに、「Oracle Order Management」の新しいオーサリング支援機能により、生成AIを活用して受注確認メールや注文変更履歴メモを作成できるようになります。
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Oracle Cloud CXにおける新たなAIイノベーション:
組織が販売機会を迅速に活用し、パーソナライゼーションを強化し、アップセルやクロスセルの成約率を改善するのに役立ちます。「Oracle Cloud CX」の新しいオーサリング支援機能では、契約関連の質問に対する回答、メール、アクティビティの概要、見積書や提案書に関するエグゼクティブ向けの概要などを生成AIが作成します。これにより、営業チームはより効率的に顧客とエンゲージメントを図れるようになります。さらに、「Oracle CX Unity」の新しいAI機能は、役割、役職、トピックへの関与の集計に基づいてシグナルを検出し、最も効果的なアクションを推奨します。
まとめ
オラクルは、ハードウェアやインフラストラクチャからデータベースやアプリケーションに至るまで、完全に統合されたテクノロジー・スタックを提供するエンタープライズ・ベンダーです。これにより、速いイノベーション・サイクルを実現しています。さらに、「Oracle Fusion Applications Suite」では四半期ごとにアップデートが提供されるため、世界のあらゆる業界や地域の組織は、継続的なイノベーションを取り入れ、次々と起こる変化に先手を打つことができます。
また、組織はクラウドとAIの最新の進化を活用し、組織的なサイロを解消し、業務を標準化し、財務、人事、サプライチェーン、顧客体験に関するデータを単一の統合クラウドプラットフォームで管理できるようになります。
<引用元>
「オラクル、Oracle Fusion Cloud Applicationsスイート全体に強力な新しいAI機能を追加」(2024年9月12日発表)
「オラクル、AIエージェントにより、新たな水準で組織の生産性向上を支援」(2024年9月12日発表)
Oracle blog: The Fusion Insider “Introducing AI agents in Fusion Apps” (October 10, 2024)
