この記事はTammy BednarPrince MathewLeo Alvaradoによる’Simplify Your Cloud Operations: Enhanced Maintenance Controls for Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure‘を日本語翻訳したものです。

2023年4月28日


ExaDB-Dの四半期メンテナンスはオラクル管理の自動化された処理で、データベース・サーバー・ホスト、ストレージ・サーバー、そして回線スイッチに対するソフトウェアのアップデートです。セキュリティ脆弱性やバグ、新機能の追加や更新、そして業界の規制基準などをを満たすなど様々なことに対する影響があるため、四半期メンテナンスの適用はOCIの安定性、セキュリティ、そしてパフォーマンスを維持するために非常に重要です。

OCIのコンソール画面では、四半期メンテナンスをいつどのように適用するかを指定できる機能を提供しています。また、Exadata Software Updateはノードごとにローリング適用され、データベースサーバーは各VMごとに再起動がかかります。つまり、VM上にホストされたデータベースを使用するアプリケーションの継続的な可用性は、RACのローリングアップデートに関するMAAのベストプラクティスに従うことで達成できます。

このブログでは、ExaDB-Dのために強化されたインフラストラクチャ・メンテナンス制御の機能と操作方法についてご紹介します。

機能強化

  1. 非ローリング・メンテナンス: すべてのデータベース・リソースが停止しているときに更新を行うことでメンテナンス・ウィンドウを縮小する。非ローリング方式では、すべてのストレージ・サーバーとデータベース・サーバーが同時に更新されます。
  2. カスタム・アクションの実行:次のデータベース・サーバーでメンテナンスが始まる前にスクリプトを実行してアプリケーションを特定の状態にしたり、データベースインスタンスまたはリスナーが稼働していることを確認したりするなど、追加のタスクを実行します。カスタム・アクション時間には最大2時間まで指定できます。カスタム・アクションを設定することでメンテナンス・ウィンドウに追加の時間がかかりますが、アプリケーションやデータベースに対して特定のタスクを実行する柔軟性を持たせることができます。
  3. メンテナンス計画の表示: コンソールでは、推定されるメンテナンス時間の合計、データベースとストレージ・サーバーのメンテナンス予定時間、リソースの更新順序を表示することでメンテナンス計画をより把握しやすくします。

OCIコンソール画面での操作

OCIのコンソールからメンテナンス設定を表示・更新し、実行中のメンテナンスタスクを管理する方法について見ていきましょう。

1.メンテナンス詳細の編集

Exadataクラウド・インフラストラクチャ」の詳細ページから、「メンテナンス・プリファレンスの編集」ボタンをクリックします。

 

Edit Maintenance Preferences

 

ボタンをクリックすると「メンテナンス構成」の編集パネルが表示されます。

 

Edit Maintenance Preferences Panel

 

ここでのメンテナンス方法は、ローリングまたは非ローリングから選択できます。ローリングメンテナンスは、基盤となるRACデータベースの可用性を維持しながら、サーバーを1台ずつ更新していきます。非ローリングメンテナンスでは、サーバーのシャットダウンとアップデートを並行して行います。この方法はメンテナンス時間を最小限に抑えることができますが、システムとデータベースに対して完全なダウンタイムが発生します。

オプションのカスタムアクション時間を有効にすると、データベースサーバーのメンテナンスを実行する前にカスタムのスクリプトやアクションを実行することができます。チェックボックスをクリックすると、「カスタム・アクション・タイムアウト」でアクションの継続時間を分単位で入力する項目が表示され、カスタム・アクション・オプションに設定された時間だけOCIは各データベースサーバーのメンテナンスを開始する前に待機します。非ロール方式で構成されたメンテナンスの場合、メンテナンスの実行はすべてのデータベース・サーバーでメンテナンスを開始する前に、構成されたカスタムアクションの時間まで待機することになります。

「メンテナンス構成の編集」パネルからは任意の時間にメンテナンス・スケジュールを設定することもできます。

2.スケジュール済みのメンテナンス計画を編集

インフラストラクチャの四半期メンテナンスの計画がスケジュールされると、「Exadaraインフラストラクチャの詳細」ページの「次回のメンテナンス」の項目に設定された日付と時刻が表示されます。また、日付の横にある「表示」リンクをクリックすると、メンテナンスの表示と編集ができます。

 

Next Quarterly Maintenance

 

メンテナンスの詳細ページには、設定されたメンテナンス方法、カスタム・アクション・タイムアウト、推定メンテナンス時間合計、そしてメンテナンスで適用される対象のデータベース・サーバーとストレージ・サーバーのバージョンが表示されます。

 

View Schedule Maintenace

 

設定されたメンテナンス方法がローリングである場合に「推定メンテナンス時間合計」の「表示」リンクをクリックすると、メンテナンスが実行される順序と推定メンテナンス時間がデータベースとストレージサーバ、およびネットワークスイッチなどコンポーネントレベルに分解された形でパネル表示されます。右側の項目「影響を受けるVMの数」の下にある「詳細の表示」をクリックすると、データベースサーバー上の各VMを一覧表示するパネルが表示されます。

 

Estimated Maintenance Time Details

 

メンテナンス方法の更新、カスタム・アクション・タイムアウトの変更、メンテナンス開始時刻の編集が必要な場合は、メンテナンスの詳細画面の右上にある「メンテナンス実行の編集」ボタンをクリックします。

 

Edit Maintenance

3.実行中のメンテナンス運用を編集

四半期ごとのインフラストラクチャ・メンテナンスの実行が開始されると、「Exadataインフラストラクチャの詳細」ページのExadataインフラストラクチャのリソースと次回のメンテナンスは「メンテナンス中」として表示されます。「次回のメンテナンス」の「表示」リンクをクリックすると、進行中のメンテナンスの表示と編集ができます。

 

View Running Maintenance Run

 

「メンテナンス」詳細ページには、現在更新中のリソースとそのステータスが表示されます。

 

Maintenance Details

 

データベース・サーバーのメンテナンス中に、「メンテナンス実行の編集」ボタンをクリックしてカスタム・アクションの設定を変更することができます。設定された変更は全て、まだ更新されていないデータベース・サーバーの更新前に有効になります。

メンテナンスの更新がカスタム・アクションの完了時間を待っている場合、「今すぐメンテナンスを再開」ボタンが表示され、次のデータベースサーバーのメンテナンスがすぐに開始するオプションを選択できます。また、カスタム・アクション時間を延長する必要がある場合は、「カスタム・アクションのタイムアウトを延長する」をクリックし、現在のカスタム・アクションの時間を30分単位で最大120分まで延長することもできます。

 

Resume Maintenance Run

 

メンテナンス方法をローリングに設定した場合に「推定メンテナンス時間」の「表示」リンクをクリックすると、更新された推定メンテナンス時間、およびデータベース・サーバーのステータス(スケジュール済み、メンテナンス中、または完了)などのメンテナンス実行状況がコンポーネントレベルで表示されます。

 

Estimated Maintenance Time Details

 

メンテナンス実行時の状況は「ログ・メッセージ」から追跡することができます。また、OCIイベントサービスをご利用いただくと、開始から終了までのカスタムいただいた各アクション時間や各データベース・サーバー、その他のコンポーネントのメッセージを受信可能なので、個々のコンポーネントレベルでメンテナンスの進行状況を追跡することができます。

 

Log Messages

 

メンテナンスが完了すると、ExadataインフラストラクチャActive状態に戻り、Exadataインフラストラクチャの詳細ページではバージョンが更新されます。メンテナンスの記録はメンテナンスの詳細画面のメンテナンス履歴から確認できます。

以上が四半期メンテナンス実施の流れと詳細でした。

 

Updated Exadata Database Service Maintenance

まとめ

この記事では「ローリングおよび非ローリングメンテナンス方法の選択」、「メンテナンス前のカスタム・アクションの実行」、「コンポーネントレベルでの詳細なメンテナンス進捗の追跡」などのクラウドのメンテナンスを監視することが出来る強化機能をご紹介しました。このようなメンテナンス時の大きな制御と可視化はクラウド基盤の安全性と最新性を確実に維持することを促進します。近年、組織がより多くの業務をクラウドに移行してきていますが、クラウド運用には徹底的かつ計画的なメンテナンスプロセスを導入することが重要だということを是非覚えておいてください。

クラウド・インフラのメンテナンスは、クラウド環境のセキュリティ、安定性、およびパフォーマンスを確保するための重要な要素です。オラクルはOCIデータベース・サービスの管理をさらに自動化・簡素化するためにメンテナンス・アップデートの強化を日々続けています。

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