※ 本記事は、Hasan Rizviによる”Oracle AI Database Delivers Mission-Critical Agentic AI Built for Business Data“を翻訳したものです。
2026年4月15日

ここ数年で、AIは目新しい存在から日常的な存在へと急速に進化し、情報の探し方から働き方に至るまで、あらゆるものに影響を与えています。消費者にとってAIは非常に身近で手軽なものであり、質問をすれば答えが返ってくる、文書を作成する、旅行プランを立てる、画像や動画を生成するなど、さまざまな用途に利用されています。
しかし多くの組織では、いまだに試験導入の段階にとどまっており、本番環境でAIプロジェクトが失敗しているケースも見られます。その課題の根本にあるのはデータ基盤です。大規模言語モデル(LLM)は世界中の公開情報を活用する点では非常に優れていますが、ビジネス価値を生み出すためには、信頼できる形で企業のプライベート・データにアクセスする必要があります。このデータは通常、さまざまな形式、システム、クラウドにまたがるサイロに分散しています。その結果、開発者やITチームは寄せ集めのソリューションを構築せざるを得ず、性能ボトルネック、脆弱な統合、複雑なパイプライン、信頼性に欠ける回答といった課題が生じがちです。同時に、AIはチャットボットから、計画立案、意思決定、複数ステップの処理を自律的に実行できるAIエージェントへと進化しています。しかし、エージェント型AIが有効に機能するためには、リアルタイムの業務データへの高速かつ安全なアクセスが不可欠であり、データ基盤の重要性はさらに高まっています。
Fortune Global 100企業の97%がビジネスデータ管理にOracleを信頼していることからも分かるように、私たちはセキュリティを損なうことなく、このデータをAIイノベーションに活用する重要性を理解しています。だからこそ、Oracle AI DatabaseにAI機能を直接組み込むことで、シンプルで高速かつ安全に利用できるよう設計しています。実際に、Munich Re HealthTech、Rappi、Retraced、Unitiといった企業は、すでにOracle AI DatabaseのAI機能から恩恵を受けています。
本日、皆様のような組織がAIを安全かつ確実に構築・展開・拡張できるようにするエージェント型AIの新たな機能を発表します。これにより、公開データで訓練されたLLMと自社のビジネスデータを容易に組み合わせて活用し、データ向けに設計されたAIによってより迅速なイノベーションを実現しつつ、AIに関するデータリスクを最小化し、オープンな標準やフレームワークによってAIデータのロックインを解消しながら、価値ある成果を生み出すことが可能になります。
データのために設計されたAIで、より迅速にイノベーションを実現
Oracle AI Databaseは、最小限の労力でビジネスデータの価値を最大化するよう設計された、信頼性の高いエージェント型AIアプリケーションの構築を可能にします。安全かつスケーラブルなデータベースにエージェント型AI機能が直接統合されているため、結果を遅らせるような複雑なデータ移動パイプラインを作り込む必要はありません。
Oracle AI Databaseは、AIエージェントがコンテキストやセッション情報を保存する統合メモリ・コアを提供します。AIエージェントは、同一のコンテキスト内でベクトル、JSON、グラフ、カラム型、空間データ、テキスト、リレーショナル・データなどの処理が必要なことが多くありますが、これらの多様なデータ型を同一のエンジンで処理できるのはOracle AI Databaseだけです。さらに、同一エンジン上でミッションクリティカルなトランザクション性能、高可用性、強固なセキュリティを提供します。トランザクション処理と分析処理を同時にサポートするよう設計されたデータベース・エンジンにより、エージェントはリアルタイムの業務データを含むすべてのデータに対して、最小限のレイテンシで推論を行うことができます。同時に、外部データストアとの同期に伴う複雑さやデータの陳腐化の問題も解消されます。
AI検索を活用するアプリケーションを開発者が迅速に構築できるよう、私たちはAutonomous AI Vector Databaseを発表しました。これは、AI導入の簡素化と迅速化を目的として設計されたフルマネージドのベクトル・データベース・サービスです。直感的なAPIと使いやすいWebインタフェースにより、開発者はベクトルを活用したアプリケーションを短時間で構築できます。Oracle Autonomous AI Databaseの信頼性の高いデータ管理と高度な機能を基盤としており、シンプルな開発者体験とエンタープライズグレードのセキュリティ、信頼性、運用管理機能を兼ね備えています。現在は限定提供(Limited Availability)で、Oracle CloudのFree Tierを通じて利用可能になります。さらに、低コストで利用できるDeveloper Tierも提供予定です。いずれのティアでも、処理要件の増加に応じてワンクリックでAutonomous AI Databaseへアップグレード可能です。詳細については技術ブログをご参照ください。
AI Database Private Agent Factoryも新たなイノベーションの一つです。これはノーコードのプラットフォームであり、ビジネス・アナリストや業務領域の専門家がエージェントやワークフローを迅速に構築・拡張し、安全に展開できるようにします。Private Agent Factoryフレームワークは、パブリック・クラウドまたはオンプレミス環境でコンテナとして稼働し、AIエージェントの開発とオーケストレーションを、サードパーティとデータを共有することなく可能にすることでデータ・セキュリティを維持します。ビジュアル・インタフェースとテンプレート・ライブラリを備えたAIエージェント・ビルダーにより、Oracle AI Databaseの持つ強力な機能を活用して、インテリジェントなデータ中心型エージェントの作成と管理を容易に行えます。Private Agent Factoryには、データベース・ナレッジ・エージェント、構造化データ分析エージェント、ディープリサーチ・エージェントなど、いくつかの事前構築済みデータ中心型AIエージェントが含まれています。開発者はまた、Select AIエージェント・フレームワークを利用して、Autonomous AI Database内でAIエージェントの構築、展開、管理、および既存エージェントのカスタマイズを、使い慣れたPL/SQLやPythonを用いて行うことも可能です。
実際の動作についてはPrivate Agent Factoryのデモをご覧いただき、詳細については技術ブログをご参照ください。
AIデータリスクの最小化
新しいAIアプリケーションは、データ・セキュリティと信頼性に対する重要性をさらに高めています。そのリスクは、不正確な出力から、プライベートで機密性の高いデータの漏えいの可能性にまで及びます。現在の多くのアプリケーションでは、きめ細かなエンドユーザー・レベルのアクセス制御はデータ層ではなくアプリケーション・コード内で実装されています。その結果、アプリケーションはエンドユーザーの資格情報ではなく、特権アカウントを使用してデータベースに接続するのが一般的です。このアプローチは、さまざまなツールによって制御が回避されることが多く、検証や強制が困難です。また、データにアクセスするすべてのアプリケーションで制御を実装する必要があるため、大規模環境で一貫性を保つことも困難です。AIの場合、エージェントが多様なSQLクエリを生成できるため、機密データ露出のリスクをさらに増幅させます。さらにAIは、プロンプト・インジェクションのような新たな脅威ももたらします。これは、ユーザーがモデルを操作してガードレールを回避し、本来許可されていないアクセスを得ようとする攻撃手法です。
Oracle AI Databaseは、業界をリードするデータセキュリティとロールベースのアクセス制御をデータ層で提供し、LLMおよびユーザーの双方による機密ビジネス・データへの不正アクセスを防止します。さらに、この強力なセキュリティ機能を拡張するために、プロンプト・インジェクションのようなAI時代の新たな脅威に対抗するOracle Deep Data Securityを提供します。Deep Data Securityは、宣言的でデータベースネイティブな制御を用いて、行レベルおよび列レベルでエンドユーザーのアクセス権限を強制します。エンドユーザーのセキュリティをアプリケーションコードから分離し、中央集約することで、新たな脅威の出現に応じて防御を継続的に更新できるようになります。詳細は技術ブログをご参照ください。
確率的に動作するLLMは時にハルシネーションを起こす可能性があるため、回答に確定性が求められる場合には、Trusted Answer Searchを利用することができます。これはLLMではなくAI Vector Searchを用いて、自然言語の質問に対して最も適合する回答リソースを検索します。APEX AI Interactive Reportsは、事前に定義されたデータビューに限定された信頼性の高い回答を提供します。LLMは自然言語の質問を、エンドユーザーが容易に理解・編集できるフィルタや集計へと変換します。数百万に及ぶ既存のAPEX Interactive Reportsは、今後のAPEXの新バージョンにアップグレードするだけでAI対応となります。
もう一つ考慮すべきリスクは、AIエージェントのさまざまなワークロードがバックエンドのデータベースの性能、スケーラビリティ、可用性に与える影響です。既存の数千人のユーザーに加えて、数万規模の自律型AIエージェントがエンタープライズ・データにアクセスするようになると、バックエンドのデータベースは数百万件規模の追加トランザクションを処理する必要があります。AIエージェントはデータ基盤にこれまでにない負荷をかけ、高頻度のやり取りに対応するエージェントの同時実行性、大規模データ・セットに対するAIベクトル検索、バックエンド・システムにおけるトランザクション処理能力が求められます。
Oracle Globally Distributed AI Databaseは、Exadataの力を得ることで、高い性能とオンデマンドのスケーラビリティを備え、最大5エクサバイトのストレージ容量と10万を超えるCPUコアによってピーク時のワークロードにも対応できます。さらに、エージェント型ワークロードには、分散データへの常時アクセスが可能な統合環境が求められます。Oracle AI Database、特にExascale Infrastructure上で動作するGlobally Distributed Exadata Databaseは、エージェント型AIワークロードの厳しい可用性およびデータ・レジデンシー要件に対応するよう設計されています。
オープン標準とフレームワークによるAIデータ・ロックインの解消
私たちは、可能な限り柔軟性と選択肢を提供し、ユーザーがロックインを回避できることを目指しています。過去数年間にわたり、Oracle AI Databaseをすべての主要なクラウドおよびオンプレミス環境で利用可能にしてきたことで、データやAIワークロードを実行する場を自由に選択できるようにしてきました。しかし、柔軟性はデプロイ先の選択にとどまりません。データ・ロックインを解消するために、Oracle AI Databaseはスタック全体にわたる選択肢を提供します。すなわち、利用するクラウドやプラットフォーム、AIモデル、そしてアプリケーション層のエージェント型フレームワークを自由に選択できます。オープン標準、言語、API、データ形式を活用して、エージェント型AIアプリケーションを構築・実行することが可能です。
近年ますます重要性が高まっているオープンなデータ形式の一つがApache Icebergです。Oracle Vectors on Iceは新たに、Apache Iceberg表およびオブジェクト・ストレージ内のベクトル・データをネイティブにサポートします。Iceberg表から直接ベクトルデータを読み取り、Oracle AI Database内でベクトル索引を作成し、Iceberg表内の基盤データの変更に応じてこれらの索引を自動的に更新します。また、Oracle AI DatabaseはIceberg表に対する統合型ハイブリッド・ベクトル検索も可能にします。CSV、テキスト、JSON、ORC、AVRO、Parquetなどのファイル形式に格納されたベクトルデータも、索引作成や検索のためにOracle AI Databaseへ取り込むことができます。その結果、オブジェクトストレージ上に非構造化データとベクトルデータの両方を持つワークロードは、Oracle AI Databaseの性能、スケーラビリティ、セキュリティの恩恵を受けることができます。詳細については技術ブログをご参照ください。
このオープン性への取り組みは、利用するエージェント標準やフレームワークにも及びます。Oracleは、AIエージェントとワークフローを統一された宣言的フォーマットで定義するための、フレームワーク非依存のオープン標準であるOpen Agent Specificationも発表しました。これにより、プラットフォーム間での移植性、再利用性、相互運用性が実現され、AI Database Private Agent FactoryやSelect AI Agentで構築されたエージェントのインポートやエクスポートが容易になります。さらに、Oracle AI Databaseは、OCI Generative AI、Google Vertex AI、Amazon Bedrock、LangChain、CrewAIといった主要なアプリケーション層のエージェント型フレームワークとも統合されており、既に利用しているツールやフレームワークを用いて開発を行うことができます。
さらに、Oracleは、AIモデルとエンタープライズのツールやデータを接続するために、急速に普及しつつありオープン標準であるMCPへの対応も継続しています。Oracle Database 19c以降のリリース向けに、Oracle SQL DeveloperのVS Code拡張機能を通じて提供されるOracle SQLcl MCP Server for Oracle AI Databaseは、AIをOracle AI Databaseに安全かつ容易に接続する手段を提供します。Autonomous AI Database MCP Serverはフルマネージド機能であり、外部のAIエージェントやMCPクライアントが、カスタム統合コードや手動のセキュリティ設定を行うことなく、安全にAutonomous AI Databaseおよびその機能へアクセスできるようにします。
これらのオープン標準、統合、およびデプロイメントの選択肢により、OCI、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud、さらにはハイブリッドおよびオンプレミス環境にまたがって、AIエージェントを柔軟に構築・展開・実行することが可能になります。
エージェント型AIとビジネスデータで次の一手を創出
次世代のエンタープライズAIは、本番環境において自社のビジネス・データをどれだけ簡単かつ安全に活用できるかに大きく依存するでしょう。Oracle AI Databaseを活用することで、エージェント型AIアプリケーションをより迅速に構築し、確信を持ってスケールさせ、実運用環境で求められる性能、セキュリティ、柔軟性、そしてオープン性を備えた形で、実際のビジネス価値を提供することができます。
一方で、他のアプローチでは外部のエージェント・オーケストレーションに依存したり、異なる種類のデータベースへの呼び出しが必要となる場合がありますが、Oracleはエージェント型AIをOracle AI Databaseに直接組み込むことで、ビジネス・ユーザー向けに利用を簡素化しています。これにより、あらゆるエージェント型ワークロードにおいて、一貫性とシンプルさに加え、同一レベルのセキュリティ、耐障害性、スケーラビリティを提供します。
Oracle AI Databaseに組み込まれた多くのエージェント型AI機能は、世界中の組織や開発者がすぐに利用可能であり、データの移動や新たなスキルの習得、データベースのスケーラビリティに関する課題に悩まされることなく、革新的なエージェント型AIアプリケーションの開発や展開を開始できます。これらの新しいイノベーションにより、組織は実験段階から本番運用へとより迅速に移行し、自社のビジネス・データを活用して次の革新を生み出すことが可能になります。
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