※ 本記事は、Sanjay Goil, Allen Hoslerによる”Oracle Introduces Trusted Answer Search to Deliver Fast, Accurate and Secure Answers from Natural Language—Without the Chatbot Guesswork“を翻訳したものです。

2026年4月22日


自然言語を用いて信頼できるデータから高速・高精度・安全な回答を提供し、信頼できるアクションを実行

Oracleは本日、Trusted Answer Searchを発表しました。これは、正確性、セキュリティ、一貫性、そして高速性が求められるアプリケーションにおいて、自然言語インタフェースの構築を支援するプラットフォームです。企業内のプライベート・データに対する多くの検索課題は、アプリケーションや業務ドメインに特化しており、従来のRAG対応チャットボットで用いられるLLMの汎用性を必ずしも必要としません。

概要

Oracle Trusted Answer Searchは、LLMを使用しない特化型のセマンティック検索プラットフォームであり、アプリケーションがユーザーの質問を適切な事前定義された対象(URL、レポートなど)へ確実にルーティングできるようにします。この仕組みは人によるフィードバックによって継続的に改善され、変更管理を通じて追跡されます。

Trusted Answer Searchは、エンド・ユーザーの自然言語による質問(例: 「月曜日に入金した現金は今利用可能ですか?」「全体のデータベースの稼働状況を表示して」「Slackのステータスを退席中に設定して」など)を、「マッチ・ドキュメント」 (ターゲットとなるURL、レポート、アクションおよび必要なパラメータを含む)にマッピングし、アプリケーションがそれを解釈できるようにします。これにより、アプリケーションは適切なレポートを確実に表示したり、正しいアクションを実行したりできます。そのビジョンは、エンド・ユーザー (顧客、一般利用者、従業員など)が自然言語を通じて迅速に目的を達成できるようにしつつ、機密データの漏えいや予測不能な応答のリスクを回避することです。

課題

従来のエンタープライズ検索のアプローチは、多くの場合、受け入れがたいトレードオフを生み出しています: 

エンドユーザー体験においては、正確性と予測可能性は妥協できません。ユーザーは一貫性があり正しい結果を必要としており、特にその回答が個人のアイデンティティに紐づく場合はなおさらです。例えば、患者が「自分の処方薬を表示して」と問い合わせた際に、他人のデータが漏れる可能性があるような状況は許されません。

汎用的なLLM/RAGベースのチャット体験は、限定されたアプリケーション固有の質問に対してはコストが高く、信頼性に欠ける場合があります。LLMは誤った情報 (ハルシネーション)を生成したり、応答にばらつきが生じる可能性があり、多くのアプリケーション・インタフェースにとっては必要以上に遅く、計算コストも高くなることがあります。

情報は常に追加され続けています。チームが新たな情報を追加し、マッチ・ドキュメントの説明を改善し、ユーザーからのフィードバックに対応するにつれて、質問とマッチ・ドキュメントの意味的な対応関係は変化します。この変更が適切に管理されない場合、これまで適切に機能していたマッチングが崩れてしまう可能性があります。

要するに、組織には、正確性、安全性、運用上の統制を維持しながら、エンドユーザーに信頼できるレポートやアクションへの自然言語アクセスを提供するための、スケーラブルな手段が求められています。

ソリューション

Trusted Answer Searchは、Oracle AIベクトル検索および情報検索技術と、正確性・セキュリティ・継続的改善を実現するエンタープライズ向けワークフローを組み合わせることで、これらのニーズに対応します: 

自然言語を、ベクトル類似性と最先端の情報検索技術を用いて、絞られた数の厳選された説明とマッピングします。これらの説明は「マッチ・ドキュメント」に関連付けられています。特定のアプリケーションにおける厳選された説明の集合は「Search Space」と呼ばれ、Trusted Answer Searchは複数のSearch Spaceを管理することができます。

自由形式のテキストではなく、アプリケーション固有の「マッチ・ドキュメント」 (JSON形式)を返します。アプリケーションはこのマッチ・ドキュメントを解釈し、特定のレポートを開く、URLへリダイレクトする、パラメータ付きのアクションを実行するなど、定められた次の処理を行います。マッチ・ドキュメントの解釈はアプリケーション側に委ねられるため、Trusted Answer Searchは非常に柔軟です。

クエリから重要な値や値のカテゴリ (例:日付、カテゴリ、エンティティ名)を識別し、それらの抽出されたパラメータを含むマッチ・ドキュメントを返す、値特化型の回答もサポートします。これにより、アプリケーションは適切なURLパラメータを用いてユーザーを該当するページやレポートへ誘導することができます。

フィードバックおよび修正のワークフローを実装しており、Search Spaceの担当者は誤ったマッチングをレビューしたり、正しいものとしてマークしたり、新しい説明を提案したり、新たなレポートの作成を依頼したりすることができます。これにより、品質を継続的に改善するための構造化されたループが形成されます。

変更管理およびバージョン管理機能を備えており、チームは更新をまとめて適用したり、一部のユーザーに対して変更を試験的に導入したり、承認プロセスを必須にしたり、ターゲット説明の編集や新規ターゲット追加によって発生するマッチングの劣化を事前に検出することができます。

エンドユーザーの権限に基づいて動作する既存の仕組みを利用することで、設計段階からデータのセキュリティを確保します。Trusted Answer Searchはターゲットドキュメント自体をインデックス化したり保存したりすることは一切なく、単にそれらのURIを保持するのみです。

管理者ユーザーおよびエンドユーザー向けに、初期状態で利用可能なUIを提供します。

また、開発者がTrusted Answer Searchプラットフォームの全機能を活用しながら独自のUIを構築できるよう、APIも提供します。

その結果、正確性、一貫性、セキュリティ、高速性を兼ね備えた、実用的なエンドユーザー体験のパターンが実現されます。アプリケーションは、レポートや制御されたアクションを通じて信頼できるデータ駆動型の結果を提供し、言語レイヤーは人の関与によって継続的に改善されます。

セットアップにはSearch Spaceが含まれ、その中には複数のSearch Target (レポートやデータソースに相当)が存在します。これらは、検索が決定的に機能するよう、情報検索およびコンテキスト駆動の技術を用いて準備されています。これらは以下の図に示されています。

質問を行う際、結果に対して高評価または低評価を付けることができ、そのフィードバックをもとにシステムが学習し、検索機能を改善していきます。この様子を以下の図に示しています。

Trusted Answer Searchは、さまざまな方法で活用することができます。

GUIアプリケーションを使用する場合: 

Trusted Answer Searchには、2つのAPEXアプリケーションが付属しています。1つはシステム管理者が使用するTrusted Answer Search Administrator APEXアプリケーション、もう1つはエンドユーザー向けのTrusted Answer Search Portalです。

APIを使用する場合: 

Trusted Answer Searchを自社のUIやアプリケーションに統合したい開発者や、画面の見た目や操作性をより細かく制御したい場合は、Trusted Answer Search APIを直接利用することが推奨されます。このAPIはPL/SQLで提供されます。

Trusted Answer Searchは、入力された自然言語の質問を、厳選された自然言語の説明の集合にマッピングします。そして、最も適合する説明に関連付けられた「マッチ・ドキュメント」を返します。アプリケーションはそのマッチ・ドキュメントを解釈し、レポートを開く、目的の場所へ遷移する、またはアクションを実行します。

Trusted Answer Searchは、最も適合するターゲット・ドキュメント/リソースを返します

Trusted Answer Searchは、アプリケーションのユースケースに特化したマッチ・ドキュメント (JSON形式)を返します。このマッチ・ドキュメントには、レポートのURLやパラメータ、またはアクションに関する詳細やそのパラメータが含まれる場合があります。その後の処理はアプリケーション側が制御します。

値特化型の回答 (Value Specific Answers)

Search Spaceの担当者が適切に設定することで、Trusted Answer Searchは自然言語の質問からパラメータを識別し、それらのパラメータをアプリケーションに返されるマッチ・ドキュメントに含めることができます。例えば、マネージャーがHCMアプリケーションに対して「現在の有給休暇(PTO)の残高は?」と質問した場合、そのパラメータはリクエストの種類となる可能性があります。以下は、Trusted Answer Searchがアプリケーションに返すURLの例です: https://hcm-app.enterprise.com/deeplink?objType=ABSENCE_BALANCE ここで、ABSENCE_BALANCEはTrusted Answer Searchがマッチ・ドキュメント内で返すパラメータです。このパラメータは、自然言語クエリ内の「PTO」という記述に基づいてTrusted Answer Searchが推定します。なお、認可は常にアプリケーション側で適用されます (ユーザーにPTO残高を閲覧する権限がない場合、HCMアプリケーションがその表示を防ぎます)。

Trusted Answer Searchはユーザー・フィードバックによって改善

Trusted Answer Searchは、質問履歴、マッチ結果、およびユーザー・フィードバックを記録します。Search Spaceの担当者は誤ったマッチングを確認し、構造化された対応を行うことができます。具体的には、マッチドキュメントへの説明の追加、正しい/無視すべき項目のマーキング、新たなマッチの提案などです。また、Trusted Answer Searchは説明が変更された際に過去の質問を再評価し、その変更がもたらす影響 (良い影響と悪い影響の双方)を、変更を展開する前に可視化します。

汎用的なRAGチャットボットより優れている点

LLM/RAGは制約のないQ&Aには強力ですが、回答に信頼性、決定性、高速性が求められる場合のエンドユーザー・インタフェースとしては適さないことがあります。LLMは誤った情報 (ハルシネーション)を生成したり、応答にばらつきを生じさせたり、処理に時間がかかることがあります。Trusted Answer Searchは、ユーザーの質問を厳選された限定的な説明セットに確実にマッチングし、対応するマッチ・ドキュメントをアプリケーションに返すことに重点を置いています。アプリケーションはそのマッチ・ドキュメントの内容に基づいて、適切なレポートを確実に表示したり、正しいアクションを実行したりできます。

Trusted Answer Searchによって期待できるメリット

  • 自然言語によって適切なページ/レポート/アクションへ迅速にアクセス
  • 一貫性のある結果
  • Search Spaceの担当者によってターゲットが精査され、認可はアプリケーション側で制御されるため、より高いセキュリティ水準を実現
  • 言語マッピングの変更時にも、承認プロセス、バージョン管理、リグレッションの可視化によって運用リスクを低減

Oracle Trusted Answer Searchは、Oracle AI Databaseに含まれるダウンロード・パッケージとして提供されており、Oracle AI Database 26aiへのインストール手順も用意されています。詳細については、製品ドキュメント・ページまたは製品Webサイトをご参照ください。