※ 本記事は、George Lumpkinによる”Autonomous Database brings AI to your data“を翻訳したものです。

2024年3月4日


AIイノベーションが市場で喧騒される中で、専門用語の解読や新しいツールの習得、さらにはAIツールのためにデータの転送が必要であるという課題をお客様から耳にします。オラクルは、データベースを含むフルスタック・レイヤーにAIを組み込んでいるので、もはやAI機能を使うためにデータを移動させる必要がありません。

これを念頭において、オラクルでは、AIと高度な機械学習をアプリケーションに統合するための最先端イノベーションなど、いくつかの機能強化をOracle Autonomous Databaseに導入しています。これらの直感的で使いやすい機能強化には、以下が含まれます: 

  • Autonomous Database Select AIを使用することで、開発者は、会話スレッドでユーザーの自然言語による質問を理解し、プライベートデータから回答を得るAI対応アプリケーションを作成できるようになりました。
  • Oracle Machine Learningの新しい空間拡張機能により、企業はMLモデルに位置関係を含めることができるようになりました。これにより、モデルの精度が向上します。
  • 最新かつ使いやすい「ノーコード」のモデル・モニタリング・インターフェースにより、MLモデルの品質やコンセプトにドリフトがないか、すみやかに検出できるようになりました。
  • Autonomous  Database Graph Studioの新しいUIにより、RDF(Resource Description Framework)ナレッジグラフ上のプロパティ・グラフ・ビューをドラッグ&ドロップで作成できるようになりました。これにより、企業は、複雑なコーディングやデータの重複なしに、ナレッジサイロ間の関連性を調査できるようになりました。

Autonomous Databaseに対するこれらの機能強化は、AIとMLをアプリケーションに統合するために必要なツールを提供し、データから迅速にインサイトを得てタイムリーなビジネス上の意思決定を行えるようにするという、オラクルの継続的なコミットメントを反映したものです。これらの新しいイノベーションはすべてAutonomous Databaseに直接組み込まれているので、様々な組織ですぐにご活用いただけます。

データとの会話

Select AIは昨年9月にリリースされた画期的な機能で、Autonomous Databaseを通じて自然言語を使ってデータを分析することができます (「『人間』の言葉を話すAutonomous Database」参照)。Select AIの大きな利点の1つは、データがどこに保存されているか、SQLクエリをどのように作成するかを理解していなくても、ビジネス上の質問ができることです。どのSQLアプリケーションからもアクセス可能で、Autonomous Databaseの統合機能として利用できるため、ユーザーはすぐにその機能を活用し始めることができます。さらに、Select AIは会話をサポートしています。

従来のSelect AIでも、ユーザーは大規模言語モデル(LLM)を使って、自然言語でデータに質問することができました(例:今年の総売上は?)。しかし、質問の履歴を記憶し、それらに基づいてフォローアップ質問に答える機能はありませんでした。新しいSelect AIでは、LLMがチャット履歴を利用してフォローアップ質問の文脈を理解できるようになりました。ユーザーは、実際のディスカッションと同様に、データベースと「会話」して、必要な回答を探索および絞り込むことができるようになりました。さらに、完全な透明性を確保し、回答の正確性を検証するために、生成されたSQLおよびクエリ処理の説明を生成するよう、Select AIに求めることができるようになりました:

つまり、Select AIの利点は、最小限の労力で直感的にAIを活用して、アプリケーションを強化できる独自の機能です。オラクルは、カスタム・コーディングや独自のインターフェイスを使用してAIをアプリケーションに統合するのではなく、開発者や組織全体が可能な限り直感的にエンタープライズ向け生成AIを取り入れられるよう注力しています。

ユース・ケースや例など、Select AIの会話機能の詳細をご覧ください

「AIはデータなしでは成り立ちません。もちろんオラクルも、インターネットから入手した大規模言語モデル(LLM)から抽出された、容易にアクセス可能なテキストデータへの会話アクセスを提供しています。しかし、このサービスは業界で期待される基本的なレベルに過ぎません。難しいのは、定義もセマンティクスもないデータベース内の構造化データにこの機能を拡張し、これらを指定または推論することです。ペタバイト級のデータがOracle Databaseに格納されている点で、オラクルが絶対的に有利です。Autonomous Databaseが組織データのエンタープライズビューを提供し、Select AIが広範なSQL翻訳や生成機能を備えた自然言語インターフェースを提供することで、データ・インタラクションの限界は新たなレベルに押し上げられます。これは大きな差別化になるでしょう。さらに魅力的なのは、このAI機能がオラクルのフルスタック・アプローチに組み込まれていることです。そのため、ユーザーは、構造化データと非構造化データの両方を簡単に利用することができます。」

—    IDC、データ管理ソフトウェア担当リサーチ・バイスプレジデント、Carl Olofson氏  

OCI Generative AIと緊密に統合されたSelect AI

先日、Select AIがOCI Generative AIのサポートを開始する予定だと発表しましが、このサポートが開始されましたので、お知らせいたします。Autonomous Databaseのプライベート・エンタープライズ・データと生成AIの生産性と創造性をセキュアに組み合わせることで、アプリケーション開発を加速し、新しいビジネス・ソリューションを構築することができます。Select AIとOCI Generative AIは、データを安全に保護します。データはOracle Cloud Infrastructure(OCI)を離れることはなく、AIプロバイダーと共有されることもなく、Oracle Databaseの高度な機能を使用して保護されます。発表内容や、Webキャスト(概要 | 開発者向けの詳細)をご覧いただき、魅力的なAI主導のソリューションを提供する方法をご確認ください。

コンテキストを活用して分析を強化

データおよびデータの関連性にセマンティクスを適用することは非常に価値があります。AIと機械学習アルゴリズムは、これらのセマンティクスを利用して、より説得力があり信頼性の高い結果を生成することができます。この度、ビジネス・コンテキストの活用を支援する2つの重要な機能強化がAutonomous Databaseに導入されました。それは、ナレッジグラフで定義された関連性と接続性の分析、そして、より効果的な機械学習モデルを構築するための地理的な位置情報の利用です。

ナレッジグラフで定義された関係を簡単に分析

RDFナレッジグラフは、組織内のサイロ化されたデータ間の複雑な関連性をキャプチャすることで、データの関連性に意味を持たせるのに役立ちます。組織はナレッジ・グラフ内のデータからさらなるインサイトを得ることができます。これは従来、データの重複や複雑なコーディングなしに行うのは容易ではありませんでした。現在では、Autonomous Databaseの組み込みのグラフ分析(パス検索、中心性、異常検知アルゴリズムなど)を、プロパティ・グラフ・ビューを通してナレッジ・グラフに適用することで、隠れた関係性を簡単に発見することができます。プロパティ・グラフ・モデルの設定は、Graph Studioの最新かつコード不要のユーザー・インターフェースで簡単に行えます。

ユース・ケースや事例を交えてRDFナレッジグラフのプロパティ・グラフ・ビューについて、詳しくご紹介します

位置情報による機械学習の改善

地理的な位置情報は、さまざまな予測分析において重要な入力情報となります。Oracle Machine Learning for Python(OML4Py)の新しい機能強化により、開発者やデータ・サイエンティストは、空間データ型、索引、分析に対するOracle Spatialのネイティブ・サポートを活用しながら、位置関係を組み込んだ機械学習モデルを作成できるようになります。データ・サイエンティストは、データベースの外にデータを移動したり、自分で複雑なアルゴリズムを記述したりすることなく、空間クラスタリング、回帰、分類、異常検出などの定量的アプローチによって空間パターンを検出できます。

ユース・ケースや事例を交えて機械学習による空間統合について、詳しくご紹介します

「ノーコード」のモデル・モニタリングでMLソリューションの有効性と的確さを向上

機械学習が直面する課題は、実世界の課題に直結しています。例えば、不正行為の進化、顧客の購買パターンの変化、ミクロ経済やマクロ経済の変化などは、市場全体に大きな影響を与えます。ML運用スタッフは、さまざまな外部要因によってMLモデルの精度が低下し始める「モデル・ドリフト」を常に警戒する必要があります。新しいモデル・モニタリングUIは、専門家も、専門家でないML運用スタッフも、複雑なコーディングなしに、数回のクリックでMLモデルの有効性を監視し、必要に応じてMLモデルを迅速に調整できるようにします。

モデル・モニタリングの詳細をご覧ください

すべてはデータが基本

AIや機械学習は、データなしには成り立ちません。AIと機械学習の結果の有効性は、元となるデータの有効性に直結しています。Autonomous Databaseは、データ環境の統合ビューを提供することで、分析アプリケーションを劇的に簡素化します。何百ものアプリケーション、データ・レイク、データベースから分析用のデータにアクセスし、準備するための統合機能を提供します。Autonomous Databaseは、Oracle OCI Data CatalogやAmazon Glueなどのデータ・レイク・カタログを活用し、必要なデータにすぐにアクセスできるようにします。また、そのための管理は必要ありません。

Oracle Autonomous Database provides a unified view of your data
Oracle Autonomous Databaseはデータの統合ビューを提供します

まとめ

AIと機械学習の進歩は、息をのむようなスピードで進んでいます。Autonomous Databaseを活用することで、データの複雑性、データ・プライバシー、組織のスキル・セット、分析の運用など、導入に伴う多くの課題を克服することができます。今こそ、AIとMLでイノベーションを起こす絶好のタイミングです。

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