※ 本記事は、Jameson Whiteによる”Make AI agent answers predictable and trustworthy with Analytic views in Autonomous AI Lakehouse“を翻訳したものです。

2026年10月29日

Oracle Autonomous AI Lakehouseは、SQL分析と、Apache Icebergを含むサポート対象の企業データやレイクデータへのアクセスを統合します。クエリするAIエージェントには、使用する指標、ソースの関係、集計方法という業務上の意味も必要です。

中核データがOracle Databaseにあるなら、そのまま置いておけます。Oracle AI Data Catalogを通じ、接続されたサポート対象データに分析ビュー(Analytic View – AV)を作成できます。Autonomous AI Database Catalogが幅広い接続基盤を提供します。行と列は分析モデルの一部にすぎず、コピーしても、Oracleの分析ビューで承認済みの計算、関係、階層は自動再現されません。これらも保持または変換する必要があります。共通モデルに保持すれば、権限を持つアナリスト、アプリケーション、エージェントが、別の基盤で再構築せず同じ定義を使えます。

カタログはデータの発見とアクセスを支援します。分析ビューは、指標と計算、ディメンションへの関係、集計階層を備える、共通の分析モデルを提供します。

全体像は、Oracle Autonomous AI Lakehouseの新機能で企業の全データ資産にAIエージェントを活用するをご覧ください。

得られるメリット

  • 回答の一貫性向上: 人もエージェントも同じ承認済みの指標とレポート定義を使えます。
  • 業務ロジックの再利用: 計算と関係をデータベースで定義し、SQLクライアント、アプリケーション、エージェントで共有できます。
  • モデル作成の容易さ: 少数の有用な指標とディメンションから始め、要件に応じて拡張できます。
  • 接続済みデータの活用: 共通の分析モデルと認可されたデータベースアクセスで、複数のサポート対象データをクエリできます。

列名だけでは答えられない質問

財務責任者から、次の質問があったとします。

「今四半期、製品グループ別の純利益率はどう変わりましたか。」

REVENUEとCOSTの列は見つかっても、計算には業務上の選択が残ります。収益は返品を考慮するか、どの原価を含めるか、といった選択です。

財務部門は、共通モデルで計算とレポート定義を確定できます。Oracle Analytic Viewsは、ファクトデータをディメンションと階層につなぎ、基本指標と計算指標を公開します。人が書くSQLもエージェントが生成するSQLも、同じ業務用語を使えます。定義変更時には、コピーされた多数のクエリ断片ではなく、共通モデルを更新します。

業務の定義から始める

Cube Builderで、ユーザーの意図からAVを作成します。最初のモデルは、次の短い説明から始められます。

「純利益率には、返品後の純収益と承認済みの原価指標を使用し、財務部門の製品階層で報告する。」

元の質問に答えるには、比較対象の期間にも合意し、時間階層を含めます。製品階層は、製品を上位のグループに集約する方法を決めます。時間階層と比較の定義は、「今四半期の変化」が何を意味するかを決めます。

SQLやOracle Data Studioの視覚的な作成機能でも作れます。ファクトデータを選び、階層と指標の候補を生成、確認し、計算を定義して検証し、結果を調べます。データ所有者が業務定義を確認し、ソースデータと結果を照合します。

既存の意味モデルも出発点になります。Apache OssieのYAMLモデルをCube Builderに取り込みAVを作成できます。利用前に、元モデルの指標、関係、ディメンションがOracleモデルへどう対応するかを確認します。

AIがモデルの下書きを支援しても、提案された定義は確認が必要です。業務説明や交換されたモデルは作成の出発点であり、業務上の意味を承認するのはデータ所有者です。

回答の例

純利益率にどの収益と原価を含めるかについて、財務部門で合意済みとします。第2四半期について尋ねられたエージェントは、第1四半期と比較し、次のような架空の結果を返せます。

製品グループ第1四半期の純利益率第2四半期の純利益率変化(パーセントポイント)
ハードウェア18.0%15.5%-2.5
サービス24.0%25.0%+1.0

ハードウェアの純利益率は2.5パーセントポイント低下し、サービスは1.0ポイント上昇しました。財務部門は、ハードウェア製品の責任者に返品、値引き、原価の確認を依頼し、価格や原価の変更が妥当かを判断できます。

業務の必要に応じてモデルを拡張する

単純なモデルから始めるのは有用です。分析ビューは、複数の業務ディメンション、多段階の階層、計算指標による高度な要件も表現できます。

財務モデルなら、製品をグループに、地域を管轄区域に、日付を月、四半期、年に整理できます。計算指標は比率、構成比、順位、期間比較を表します。詳細な報告で再利用できる基盤となり、単純な質問では必要な指標とディメンションだけを使えます。詳しくは分析ビューのドキュメントをご覧ください。

モデルは業務要件を反映させます。必要な定義や報告ルールを表す場合に複雑さを追加し、関連する各集計レベルで結果を確認してください。

エージェントにとって何が変わるか

テーブル名と列名だけを手掛かりにするエージェントは、質問ごとに指標、結合経路、グループ化、集計方法を推測しなければなりません。分析ビューにクエリするエージェントは、すでに確認された定義を利用できます。実行時に組み立て直す業務判断が減り、同じモデルを人間のアナリストや他のアプリケーションにも提供できます。

スキーマのメタデータと共通定義に基づくSQL生成の指針は、Oracle Select AIでNL2SQLの精度を高めるベストプラクティスをご覧ください。

確立された基盤と継続的な改善

分析ビューは、現在の分析エージェントに、再利用可能な指標、計算、階層の確立された基盤を提供します。

今後の記事では、キー宣言の重複を減らすDDLのデフォルト値や、一般的な業務グループを直接表すクエリの改善を、リリース別の構文と実例で紹介します。業務上の意味をデータの近くで定義し、人とエージェントが使いやすくする、という原則は共通です。

繰り返し寄せられる質問を1つ選ぶ

普段から聞かれる質問を選び、承認済みの指標、関係、階層、比較期間を特定します。それを分析ビューに定義し、意図したデータベースIDと権限を使って、生成SQLと結果を確認済みの期待回答と照合します。

業務上の意味をデータとともに保持すれば、人とエージェントに共通の分析基盤を提供できます。有用な質問1つに必要な定義から始め、必要に応じて拡張してください。

参考資料