※ 本記事は、Dominic Gilesによる”Announcing Oracle Database 23ai : General Availability“を翻訳したものです。
2024年5月7日
Oracle Database 23ai 技術概要資料
提供開始
Oracle Database 23aiの提供開始を発表できることを嬉しく思います。この4年間、Oracle Databaseの開発チームは、AIと開発者の生産性向上に重点を置いて、Oracle Databaseの次の長期サポート・リリースの提供に向けて懸命に取り組んできました。このリリースではAIに焦点を当てており、データベースの名前をOracle Database 23cからOracle Database 23aiに変更することを決定しました。これは、このリリースの焦点と、リリースされる情勢を反映しています。

流れを変える変革
Oracle Database 23aiは、3つの主要分野に焦点を当てています。
- データとAI (AI for Data)
- データと開発 (Dev for Data)
- データとミッション・クリティカル (Mission Critical for Data)
このブログでは、このリリースの重要な機能のいくつかを取り上げ、これらの重要な注力分野での取組みを確認しながら、ご利用のプラットフォームでの詳細をお伝えします。
データとAI
AI for Dataの目標は2つあります:
- アプリ開発者がデータドリブン・アプリケーションにAI機能をより簡単に追加できるようにすること
- 生成AI機能を当社の製品に組み込むことで、データ・アナリストからアプリ開発者、DBAに至るまで、Oracle Databaseのあらゆる層のユーザーが生産性を高めることができるようにすること
これは、AIを使用してOracleのデータ管理プロセスを合理化すること、AIアルゴリズムを提供しデータから新しいインサイトを発見できるようにすること、自然言語の会話ベースでデータベース・クエリーを容易にすること、AIによって生成されたベクトルを保存してユーザーがオブジェクトの類似性検索を迅速かつ効率的にできるようにすることが挙げられます。これらの機能をさらに掘り下げてみましょう。
新世代のAIモデルの強化
ChatGPT、Google Gemini、Cohere、LLaMAといった製品に代表されるように、人々はAI大規模言語モデル(LLM)の影響を感じています。LLMは日常業務のやり方に大きな影響をもたらしているものの、これらのエンジンが直面する課題の1つは、質問への回答がモデル作成時の時間枠に制約を受けていることです。また、組織が所有するデータの背景や詳細も反映されません。こうしたLLMや他のLLMをもっと有用にするには、データベース内に蓄積されたデータを活用し、質問に関連するデータを使って、LLMの”既存の理解”を強化する必要があります。
Oracle Database 23aiでは、新しい世代のAIモデルを活用してベクトルを生成・格納できる強力な新技術、AI ベクトル検索を導入しました。このベクトルとは、埋込みと呼ばれることもあり、ドキュメント、イメージ、ビデオ、サウンドなどを多次元表現したものです。こうしたオブジェクトをベクトルとしてエンコードすることで、数学計算を使用してそれらの間の類似性を検索できます。Oracle Database23aiのソリューションの真のパワーは、SQLを使用して簡単にこれらの類似性検索とビジネス・データの検索を組み合せることができることです。SQLの基本的な知識があれば、誰でも類似性やその他の検索条件を組み合せた強力なステートメントを作成できます。問合せを組み合わせることで、LLMに追加のコンテキストを提供してLLMの知識を拡張し、顧客や組織の質問に対してより正確で関連性の高い回答を可能にします。この実現に向け、新しいデータ型、新しいベクトル索引および拡張機能をSQL言語に追加したことで、ベクトルを問い合わせを、既存のビジネス・データと組合せてOracle Database 23aiの高度な分析機能を活かし、非常に簡単に実行できます。

データのセキュアなエンコード
LLMが提供する利点を最大化するには、まずデータセットやその中のオブジェクトに関する理解を深める必要があります。これらのオブジェクトをエンコードするモデルは、大規模で複雑なコードとなる場合があります。そのため一般的に、エンコード処理をサードパーティ・サービスにオフロードします。つまり、機密性の高い情報を、第三者と共有することになり、潜在的なリスクを抱えることになります。
Oracle Database 23aiでは、オブジェクトのエンコーディングをより安全にするために、ONNX標準のモデルをサポートし、自分の信頼するAIモデルをデータベースに直接ロードできます。これにより、Oracle Database 23ai上で、オブジェクトがデータベースに挿入されるときにエンコードすることが可能となっています。オブジェクトの安全なほぼリアルタイムの推論が可能になり、データベースからデータを抽出してサードパーティのサービスに引き渡す必要がなくなります。
質問を自然に
SQLは非常に強力な言語ですが、最初に慣れるまで少し難しいかもしれません。幅広いユーザーがOracle Databaseに対してより複雑な質問をできるように、CohereやLlamaなどのLLMと連携して、自然言語を使って質問できるようにしました。例えば、「若い世代に人気のある商品の過去4四半期の売上高を教えてください」のようなことをシンプルに質問するだけです。Oracle Database 23aiは、ユーザーの質問とともに、質問に答えるのに必要な表のメタデータをLLMと共有します。LLMは「若い世代」の意味を理解し、それをSQL問合せのフィルタとしてデータの範囲に変換し、データベースに渡します。もちろん、Oracle Database 23aiは、データベース内の情報の問合せのみを行うことだけに制限していません。また、Oracle Databaseのすべての側面について質問することもできます。
データの新たなインサイトを見つける
20年以上前にOracle Database 8iがリリースされて以来、データベースには機械学習(ML)アルゴリズムが組み込まれており、表内に保持されているデータのパターンと傾向をすばやく検索し、顧客の行動を予測できます。これらのMLアルゴリズムにより、高度なモデルをデータベース上で学習できるうえ、情報を抽出しその後結果を書き戻す複雑なETL操作も必要ありません。学習したモデルは、Oracle Databaseに挿入・ロードされる情報を分類・クラスタ化や予測するのに使用でき、お客様へのお勧めや不正行為の検出など、ビジネス上の具体的な利点をもたらします。当初のリリース以来、Oracle Databaseに新しいMLアルゴリズムや機能が改良・追加され、業界で最も洗練された有能なデータ・マイニング・プラットフォームとして利用され続けています。
Oracle Databaseのすべてのエディションで使用可能
AIベクトル検索は、Oracle Database 23aiの一部として、Enterprise Edition、Standard Edition 2、Database Free、およびすべてのOracle Databaseクラウド・サービスで追加料金なしで利用できます。
初期テスターからのフィードバック
AIベクトル検索は、発売前から大きな反響を呼び、多くのお客様やパートナー様から、最新機能をお試しいただき、フィードバックをいただきました。以下は、寄せられたフィードバックの一例です。
「『Oracle Database』 に『AI Vector Search』 が追加されたことを嬉しく思います。『AI Vector Search』 は『 Oracle Database』 で他のワークロードと同様に実行できる点を評価しています。これにより、信頼性が高く安全なソリューションを提供できます。」
株式会社野村総合研究所 NRI認定ITアーキテクト 大塚 紳一郎 氏
「AIベクトル検索は、お客様のデータにAIを導入することで、ビジネスの考え方を変えます。例えば、自然言語を使ってドキュメントを照会し、お客様からの質問に対する答えを見つけることができます。これにより、顧客対応のプロセスがより速くなり、サービスの質も向上します。当社独自のデータで生成AIの力を利用できることは、大きな進化です。」
Miracle Finland Oy社 CEO Heli Helskyaho氏
「弊社は様々なお客様のデジタルによる事業変革を支援しています。Oracle Database 23ai の AIベクトル検索は従来のRDBにvector型が追加されたとてもシンプルなアーキテクチャです。既存データと同一レコードに収まるので、類似性の並び換えもSQL1文で済むことにワクワクしています。これにより、大規模言語モデル(LLM)と企業データを組み合わせて、企業レベルの検索拡張生成(RAG)システムを簡単に作成・運用できるようになります。」
ウルシステムズ株式会社 代表取締役会長 漆原 茂 氏
「クロスキャットは日本国内の労働人口が減る中で、省力化を進めたいお客様をご支援しています。Oracle Database 23ai のAIベクトル検索はSQLを使ってベクトル検索が行えるため、AIの知識が無い一般的なエンジニアでもベクトルデータを扱うことができる点が素晴らしいです。また、多くのOracle Databaseを使用しているお客様に対し、追加料金なしでAIデータも扱えることは大きな魅力です。」
株式会社 クロスキャット 代表取締役社長 山根 光則 氏
データと開発
Oracle Database 23aiでは、データベースとのやりとりに関連する複雑な操作をなくすことで、アプリケーションの開発経験をシンプルにすることに重点を置いています。アプリケーション開発プロセスの複雑さをなくすことで、技術的な細部にとらわれることなく、お客様の要件に合ったエレガントなアプリケーションを作成するための綿密な作業に集中する機会を増やすことができます。さらに、複雑さを軽減すると、開発サイクルを短縮することができます。これは、市場の要求が急速に変化する、今日のペースの速いデジタル環境において重要です。
JSONかリレーショナルか、難しい選択?
Oracle Database 23aiには、開発者の込み入った作業を軽減するための重要なテクノロジが数多く導入されています。おそらく、最も革新的で重要なのは、JSONとリレーショナルの二面性 (JSON Relational Duality)の導入です。このテクノロジにより、リレーショナルの機能とJSON開発アプローチのシンプルさを、同時に1つのアプリケーション内で活用できます。JSONでは、エレガントなデータ・モデリング・アプローチが可能で、問合せに答えるのに必要なすべての関連データが単一のオブジェクトに含まれており、表にまたがる複雑な結合を実行する必要はありません。一方、リレーショナル・アプローチは、SQLなどの言語で簡単に問合せできる、柔軟でストレージ効率の高い一貫性のあるデータ・モデルを提供します。従来、アプリケーション・ライフサイクルの開始時に、どちらのデータベース・モデリング・アプローチをとるかを選択する必要がありました。初期段階での決定は、ビジネス要件の変化に伴って、ずっと後になって影響を及ぼす可能性があります。JSONとリレーショナルの二面性の利点は、複雑で厄介なオブジェクト・リレーショナル・マッピング・フレームワーク(ORM)を使用する必要なく、両方のアプローチの利点を享受できることです。
リレーショナル表の上に単純なJSON二面性ビューを作成することで、JSONドキュメントを使用して基となるデータ・セットの問合せ・更新を行うアプリケーションを構築できます。Oracle Database 23aiでは、ドキュメント・レベルのシリアライズがユーザーにかわって管理されるため、データの重複(ドキュメント・モデリングの基本的な問題)は回避され、複雑なデータベース・レベルの同時実行性制御からも解放されます。引き続き単純なHTTP PUT、POSTおよびGET操作を使用するか、OracleのSODA APIなどの各種言語に対応したAPIまたはMongoDB APIを使ってOracle Databaseを直接操作できます。JSON二面性ビューでは、「二兎を追うものは一兎も得ず」ということわざはもはや当てはまりません。

SQLが少し簡単に
SQLは、現在、アプリケーション開発者に使用されている最も一般的な開発言語の1つです。ビジネス・データについて最も単純な質問から最も複雑な質問まで対応する汎用性により、SQLはデータ管理の要となっており、今後も引き続きその地位は変わらないでしょう。だからといって、改善すべき点がないと言っているわけでははありません。Oracle Database 23aiでは、一般的な機能強化の要望に耳を傾け、データベースとの対話をよりシンプルにしたり、より魅力的な方法を提供したりできることを検討しました。SQLの改善例としては、2つの新しいデータ型「Boolean」と「Vector」が追加され、また、「データ使用状況ドメイン」が追加され、表定義で使用されるデータ型の意味をエンリッチできるようになります。読みやすさを向上させるために、単純なSQL文で”from dual”を使用する必要がなくなり、”interval”データ型に対する集計が簡単になります。表値コンストラクタの導入により、SELECT文またはマージ文の挿入で複数の行を簡単に指定できるようになりました。これらは、SQLに対して行った多くの改善のほんの一部です。詳細は、このブログをご覧ください。
AI Vector Searchと同様、Oracle Database 23ai Betaプログラムに参加されたお客様やパートナー様から、多くの有益なフィードバックをいただき、感謝しています。以下は、いただいたコメントの一例です。
「JSONとリレーショナルの二面性ビューは、アプリケーション開発のゲームチェンジャーであり、オブジェクト-リレーショナルマッピングの問題が最終的に解決されます。また、多層アーキテクチャやウェブアーキテクチャにおいて、ACIDに準拠したトランザクションがついに実現しました。」
Transfer Solutions社、プリンシパルコンサルタント、Peter de Vaal氏
「JSONとリレーショナルの二面性により、双方の長所が活かされます。まずリレーショナル・エキスパートは、新しいスキルを習得することなく、ドキュメント データベース エキスパートと同じデータを扱うことができます。またアプリケーション開発者は必要な柔軟性を手に入れ、データベース管理がよりシンプルになります。オラクルは、他のデータベースを凌駕する大きな飛躍を遂げました。」
Qualogy社 シニア オラクル・コンサルタント Patrick Barel氏
「Oracle Database 23aiのJSONとリレーショナルの二面性ビューとOracle APEXのおかげで、JSONヘルスケアデータを扱うためのフル機能の標準準拠アプリケーションを作成できるようになりました。」
VDEL Informationstechnik & Consulting GmbH社 テクニカル・ディレクター Rade Pobulic氏
プロパティ・グラフが複雑な関係をモデル化
グラフ・データベースは、現実のシナリオで見られる複雑な関係をモデリングする新しい視点を提供します。しかし、最近まで、開発者は独自の言語を使って、これらの関係を管理するための特別なデータベースにデータを送る必要がありました。このことが、この画期的な技術が広く受け容れられるのに妨げとなっていました。幸いなことに、業界はグラフの普及に向けて協調的なアプローチをとり、標準化の確立に至りました。標準化により、開発者はSQLの汎用性と使いやすさを活かせる、よりアクセスしやすい環境が整います。Oracle Database 23aiは、この新しい標準を採用した先駆的な商用データベースです。このような進歩により、企業のエコシステム内のグラフ・データベースの活用が大幅に増加すると予想しています。
JSON二面性ビューと同様に、プロパティ・グラフ・ビューの利用を介して、既存のリレーショナル表またはJSONコレクション内に保持されているデータをどのように利用したいかという意図を表現しやすくなります。シンプルにビューを使用することで、データをエンリッチして、データが保持する複雑な関係をモデル化できます。新しいSQL拡張により、強力な問合せを記述しやすくなり、標準SQLでは記述しにくかった情報をより深く理解できるようになります。また、高度なグラフ・アルゴリズム(最短パス、分類、接続など)の新しいセットの追加も、GA後に予定されています。
プロパティ・グラフ機能は、Oracle Database 23aiのすべてのエディションに組み込まれています。
データとミッション・クリティカル
Oracle Databaseは、世界で最も重要なアプリケーションをいくつも動かしていることで知られています。長年にわたり、企業の最も貴重な資産であるデータの強固な保護者的な役割としての地位を確立してきました。他の追随を許さない幅広い機能を持つOracle Databaseが優れていることの1つは、不測のダウンタイムから重要なシステムを守ることです。その代表例が、Oracle Real Applications Clusters (RAC)です。これは、すべてのアクティブな共有ディスク・データベースを可能にする最先端のテクノロジであり、最もミッションクリティカルなシナリオに最適です。Oracle Active DataGuardおよびOracle GoldenGateは、それぞれ同種アーキテクチャと異種アーキテクチャのデータの複製を構築する際に比類のない柔軟性を発揮します。
共有をより巧く、より速く、よりシンプルに
企業がデータをより長距離に分散することを検討しているユース・ケース: 例えば、規制上の理由から、ユーザーのデータを顧客の居住国に保存する必要がある場合や、グローバルに分散されたアプリケーションでアクセスの待ち時間を短縮させたい場合などに対応します。Oracle Database 12cでは、データベース・シャーディングを新たにサポートしました。シャーディングは、データセットを複数のOracleデータベースに分散しますが、単一の論理データセットとして管理されます。このシャード・アーキテクチャでは、シャードを追加および削除することで、データベースをスケール・アップまたはスケール・ダウンでき、Oracleがデータセットを自動的にリバランスします。シャーディングがデータベースに直接組み込まれているため、Oracleはこの作業をオンラインで実行でき、ビジネスにはほとんど影響を与えません。
Oracle Database 23aiでは、グローバル規模の分散データベース(Globally Distributed Database)テクノロジにより、新たにRaftレプリケーションがサポートされています。これは、すべてのシャードにわたるレプリケーションの自動構成を容易にするコンセンサスベースのプロトコルです。raftを使用すると、レプリケーションは、すべてのシャードにレプリケーション・ユニットと呼ばれるコピーを保持します。シャード障害または再構成が発生すると、Oracle Database 23aiはデータを自動的にリバランスします。また、新しいRaftプロトコルにより、1秒未満のフェイルオーバーが可能になり、ビジネスの継続性が確保されます。

Oracle Database 23aiは、パッチ適用を受けるのと同じノードに別のインスタンスを起動することで、クラスタ内のローリング・パッチの影響を簡素化する新しい「ローカル・ローリング・データベース・メンテナンス」など、高可用性製品の全体にわたり多数の改良が加えられています。また、新たにプラガブル・データベース(PDB)毎のData Guardをサポートし、アクティブなワークロードを実行している2つのコンテナ・データベース(CDB)間でプラガブル・データベース・レベルの障害保護を実現しています。また、Oracle Clusterware内のPDBの統合および管理も改善されています。これらのHA機能やそのほか多くの機能の詳細は、Markusのブログを参照してください。Oracle Database 23aiで行った改善点について詳しく説明しています。
データのキャッシュをシンプルに
アプリケーション層でデータをキャッシュすると、大きなメリットが得られます。通常、アプリケーションの応答性を高め、データベースの負荷を軽減するために使用され、アプリケーション・コードの近くにキャッシュを置いて問合せをオフロードさせます。ただし、これらのメリットを得るために、開発者は多くの課題に直面します。最も大きな課題の1つは、キャッシュがバックエンド・データベース内に保持されているデータと一致していることを確認すること、または古いデータや間違った可能性のあるデータに対処するリスクがあることです。多くの場合、開発者はあらゆるシナリオを想定し管理するために複雑なコードを書く必要があり、多くの場合、データをキャッシュから定期的にフラッシュしリロードする「存続時間」などの設計パターンに頼る必要があります。これらの課題やその他の多くの課題により、多くの場合、キャッシュのメンテナンスが困難で高価になり、場合によっては、キャッシュを使って解決しようとした問題よりも大きな問題となることもあります。
Oracle Database 23aiでは、「True Cache」という新機能を使用して、Oracle Databaseに対して構築されたキャッシュの問題の解決を見込んでいます。True Cacheは、プライマリ・データベースのフロントで実行されているディスクレスOracle Instanceです。True Cacheインスタンスでは、Active Data Guardテクノロジを利用して、プライマリ・データベース・インスタンスのデータ変更時に自動的に更新されるようにします。この新しいキャッシング・テクノロジの最も重要な特徴の1つは、そのシンプルな構成と、必要最小限のコード変更だけでそのメリットを活用できることです。

SQL実行の安全性
組織が直面する課題の1つは、悪意を持つ活動家がデータを盗んだり、日々の活動を混乱させたりしようとする継続的な試みです。Oracle Database 23aiでは、SQLインジェクション攻撃による権限のないSQLの実行、または権限のないスタッフによる不正なSQLの実行を防ぐために、SQL Firewallを導入しています。SQL Firewallでは、実行が許されているSQLをデータベースに登録トレーニングできます。SQLの「許可リスト」を使用して、認可されていないSQLをログに記録するか、その実行をブログに記録できます。IP範囲または認可済み呼び出しプログラムの例外を許可するために、追加の条件を加えたりできます。SQL Firewallの強力な点は、Oracle Databaseの一部であるため、SQLの実行にかかるオーバーヘッドはほとんどありません。SQL Firewallの設定と登録トレーニングは、GUIから、またはストアド・プロシージャへのいくつかの簡単なコールを介して実行でき、非常に簡単です。

300以上の新機能
私の以前のブログで、Oracle Database 23aiのクラウド・リリースについて説明し、300以上の新機能の一部を説明しました。他の注目に値する機能には次のようなものがあります。
- JavaScriptストアド・プロシージャ
- 優先トランザクション
- データ使用用途ドメイン
- スキーマ権限
- 注釈 (Annotations)
- ブール・データ型
- 開発者ロール
- PDBごとの読取り専用スタンバイ
- JSONスキーマ
- リアルタイムSQL計画管理
- パフォーマンスの向上
- ロックフリー予約
- マイクロサービスのサポートの改善
- XMLおよびJSON検索索引の拡張
- その他多数
これらの詳細については、新機能ガイド・ドキュメントも参照してください。
プラットフォーム・ロールアウト
Oracle Database 23aiは、Oracle Exadata Cloud@Customer、OCI Exadata Database ServiceおよびOCI Base Database Serviceで利用できるようになりました。Azure Oracle Database Serviceでも利用できます。開発者にとって、Oracle Database 23aiは、Always Free Autonomous Databaseで利用できるようになり、Autonomous Database 23ai Container ImageおよびOracle Database 23ai Freeでダウンロードできるようになりました。また、Oracle GoldenGate 23aiおよびGoldenGate 23ai Freeもダウンロード可能であることをお知らせします。Oracle Database 23ai for Linux (OL & RHEL 8/9)およびWindowsのオンプレミス・バージョンは、今後数か月にわたって他のプラットフォームとともにまもなくリリースされる予定です。詳細は、Oracle Supportノート(ドキュメントID 742060.1)を参照してください
Oracle Database 23aiの提供開始は、この重要なリリースの中でも新しいフェーズの幕開けとなります。何千人もの開発者が設計、開発、テストに貢献し、市場で最も優れたエンタープライズ・データベースであると信じています。
Oracle Database 23aiを今すぐダウンロード
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Autonomous Database 23ai Container Imageのダウンロード
詳細情報
上記のいくつかの機能の詳細については、新機能ガイドのドキュメントを試すか、このブログを参照するか、以下にリストされているブログの一部を参照してください
- Oracle Database 23aiでAI Vector Searchを提供開始
- Oracle Database 23aiでJSONリレーショナル二面性の提供開始を発表
- JSONリレーショナル二面性: ドキュメント、オブジェクト、およびリレーショナル・モデルの革命的な統合
- Oracle True Cacheの概要: インメモリーで一貫性があり、自動的に管理されるSQLおよびキー値(オブジェクト)キャッシュ
- Oracle Database 23aiがクラウドで利用可能
- Oracle Database 23ai for Freeを試す
- Micronaut FrameworkでのJSONリレーショナル二面性ビューの使用
- Oracle Database API for Mongo DBでのJSONリレーショナル二面性の使用
- Oracle Database 23ai In-Memory Deep Vectorizationの機能拡張
- SQL FirewallがOracle Database 23aiに組み込み
- Oracle Globally Distributed Databaseの力の解明: Oracle Database 23aiの進歩
- Oracle Globally Distributed Databaseは、Oracle Database 23aiにおけるRAFTレプリケーションをサポート
- 23aiでのロックフリー予約
- faker-js/SimpleFakerを使用したOracle Database 23aiでのテスト・データの生成
- SQLおよびPGQLを使用したグラフの問合せ: 違いは?
- Oracle Database 23aiの高速収集拡張機能
- Database 23aiでのスキーマ・レベルの権限付与
