※本記事は、Piers Conwayによる“Digital-first customer service: Exploring the power of predictive service”を翻訳したものです。
前回の記事”カスタマーサービスはデジタルファーストであれ”でご紹介したように、今日の企業活動は、顧客体験を競争の軸としています。顧客体験は競合優位性を生み出すことに加え、企業が長期的に生き残るための要素であると言えます。
しかし、これまでの、画一的かつ受け身で、顧客よりも業務の効率に重きを置いたカスタマーサービス戦略から、新たな、記憶に残る素晴らしい体験を届けるデジタルファーストアプローチに移行するには、次に示すことに優先順位を置いていく必要があります。
デジタルファーストサービスには、3つの考え方があります。
- プレディクティブ(お客様の行動の予測)
- ハイパー・パーソナライズ(お客様に合わせて最適化)
- ハイパーコンビニエント(お客様にとって便利)
この連載では、これらの考え方それぞれについて確認し、どのようにカスタマーサービスの体験に適用していくかを説明していきます。
今回は、「1. プレディクティブ(お客様の行動の予測)」です。

プレディクティブな(お客様の行動を予測する)カスタマーサービスとは?
一言で言うと、プレディクティブな(お客様の行動を予測する)カスタマーサービスとは、企業側からアクションを起こすことで、顧客の課題を解決することです。
顧客は、カスタマーサービスに連絡をしなければならない時、とりわけ、その原因が企業側にある時、イライラした感情を持っているはずです。カスタマーサービスは、受動的に対応をするのではなく、プロアクティブに、また、そうでなくとも、問題が起こったその場で、顧客のイライラを取り除くような素早い対応を行うべきです。
ウェブサイト上に適切なタイミングでコンテンツを表示したり、顧客が不満に感じた時にテキストメッセージを送ったりするなどの手法の違いはあれども、最終的な目標は、カスタマーサービスが行った課題解決によって、顧客に満足を感じてもらうことにあります。
とはいえ、効果的な「プレディクティブな(お客様の行動を予測する)カスタマーサービス」を提供するには、閲覧履歴やクリック等のイベント、資産、取引、プロファイルなどを含む、多くの場所・種類・分量のデータを用意しなければなりません。
そして、こうしたデータに対してアクションを起こすには、カスタマーサービスチームが、統合された顧客プロファイル、顧客の購買・お問合せの履歴、その他の関連になると思われる情報に、アクセスできるシステムが必要です。
すわなち、様々なデータポイントから、データを収集・統合し、カスタマーサービスとしてアクションを起こすだけの知見(インサイト)を見出すということです。
簡単なことではありませんが、これこそが、Oracleが強みとするところです。
Oracleはどのようにしてプレディクティブな(お客様の行動を予測する)カスタマーサービスの実現を支援するのか?
先述したように、プレディクティブな(お客様の行動を予測する)カスタマーサービスは、顧客が不満に感じた時にテキストメッセージを送るなど、いくつかの手法があります。それでは、どのようにして実現するのでしょうか?
まずは実店舗での例を考えてみましょう。不安そうにお店を歩き回っている顧客がいたとします。ある従業員がそれに気づき、その顧客が以前にも来店したことがあるのを思い出したとします。その際、「いらっしゃいませ。今日は以前買った商品に関してお困りでしょうか?それとも、何か新しいものをお探しですか?」と話しかけます。こういった会話から、従業員は、顧客が求めるものが何か(商品に関する質問なのか、返品の方法なのか等)を特定することができます。
この例をデジタルでの体験に当てはめてみましょう。とある顧客が、最近購入した商品に不満を抱いているとします。その顧客が、企業のナレッジベース(FAQや取扱説明書等)サイトから、購入した商品について調べはじめました。そのページでしばらく動きがないと、チャット画面が開き、「最近ご購入された商品についてご質問があるようですね。チャットボットに聞いてみませんか?」と提案します。顧客がそれに答えると、チャットボットが、関連するナレッジベースの記事を提示したり、顧客から状況を補足するような情報を引き出したりします。実店舗での体験に似ていると思いませんか?
閲覧履歴や、取引履歴、最近のお問合せでのやり取りなどの顧客に関するデータを使うことで、システムは関連性が高く、プレディクティブな(お客様の行動を予測する)サービスを提供することができます。そして、そのシステムがお客様の状況を的確に捉えることで、デジタルアシスタントが、実店舗の従業員のように、パーソナライズされた、プロアクティブなサービスを手伝います。
実店舗の従業員は、営業とカスタマーサービス両方の役割を担います。顧客と繋がり、ニーズを捉え、期待に沿い、それを超えるように振る舞います。デジタルの世界でも、先述したような自動化プラットフォームを、簡単に構築・展開し、営業とカスタマーサービス両方の機能を、顧客が望む体験として提供することで、あなたの企業のカスタマーサービス組織は、成功に近づきます。
プレディクティブな(お客様の行動を予測する)カスタマーサービスは顧客体験全体を強固なものにする
この記事では、プレディクティブな(お客様の行動を予測する)カスタマーサービスについて、ほんの表層だけではありますが、解説しました。プレディクティブな(お客様の行動を予測する)カスタマーサービスは、業界や、B2BとB2Cといった形態によって、異なるようにも見えるかもしれませんが、エッセンスは共通しています。プレディクティブな(お客様の行動を予測する)カスタマーサービスという考え方は、デジタルファーストなサービスにとって必須の要素であり、あなたの企業の現状のカスタマーサービスを見直すきっかけとなるでしょう。
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