※本記事は、Fusion Development による2024 Oracle CX strategy update—GenAI and more を翻訳したものです。
AIのような先進的なテクノロジーの進化とベストプラクティスの活用によって、営業、マーケティング、サービス領域のリーダーは、チームが少ない労力で、より良い成果を出すための支援ができるようになります。専門性やスキルが低いメンバーでも、顧客に高い価値を提供するフロントオフィス業務を担えるようになれば、業務効率が上がり、ビジネス全体の成功の可能性も高まります。Oracle CXは、これらのニーズに応えるため、以下4つの点に重点を置いています。
- フロントオフィスへのAI導入による「シフトレフト」の実現:バックエンドのタスク(通常、後工程で実施する複雑で準備が必要な技術的作業)を顧客対応の初期段階で処理できるようにすることで、フロントオフィスの業務の円滑化を実現します。このように、従来、後ろの工程で実施するタスクを、より早い段階に移すことで、効率を高める手法のことを「シフトレフト」と呼びます。
- ビジネスユーザーでも簡単に利用できるユーザーフレンドリーなAIの提供:ビジネスユーザーがデータサイエンティストのサポートなしにAIの性能や効果を評価できるようになります。
- AIの活用による営業活動とマーケティング活動の連携強化:アップセル・クロスセルの促進にAIを活用することで、連携したマーケティングおよび営業キャンペーンを簡単に実現します。
- AIの活用によるサービス担当者のナレッジ共有:生成AIを使用し、ナレッジベースを統合することで、フロントオフィスとバックオフィスのスタッフがアクセスしやすく、再利用可能なナレッジを収集・整理します。
1. フロントオフィスへのAI導入による「シフトレフト(業務効率性改善)」の実現
私たちは、フロントオフィス担当者がAIを使って、ベストプラクティス(テンプレート、事前定義されたAIプロンプト)を確立できるように投資しています。それにより、チームの日常業務において、シンプルでガイド付きのユーザー体験(誰にとってもわかりやすいUIでガイダンスやナビゲーションが提供されるユーザー体験)を提供します。
これらのベストプラクティスは、一度確立されれば、導入や導入後に必要な作業がより簡単に実現できるようになります。例えば、OracleのGuided Campaignsでは、事前定義されたルールを使うことで、「商談可能」なオポチュニティを直接、営業支援ツール(SFA)に提供することができるようになります。
2. ビジネスユーザーも簡単に利用できるユーザーフレンドリーなAIの提供
私たちは、ビジネスユーザーがAIの設定を理解し、柔軟に変更できるように取り組んでいます。具体的には以下2つの取り組みを行っています。
- 「独自モデル構築」機能の強化による柔軟性向上:AIの設定がどのように機能するかを示す指標を追加し、設定変更前にその性能をユーザー自身で確認できるようにする
- 「説明可能なAI」による営業担当者の利用促進:AIによる予測・提案の背景や理由を営業チームが理解することで、信頼性を高め、リスクを軽減し、営業担当者の利用率を大幅に向上させる
3. AIの活用による営業とマーケティング活動の連携強化
私たちはAIに投資することで、顧客が営業とマーケティングの機能を横断して、より一貫性したアプローチが取れるよう支援しています。
Oracle Fusion Marketingでは以下の機能を提供します。
- 適切な購買グループのターゲットに活動をフォーカス:標準搭載のAIモデルには、新しい類似アカウントモデル、アカウントスコアリングモデル、そしてタイトルとコンタクトのマッピングが含まれます。
- 生成AIによるメール作成支援:自動化された件名の提案やメールの作成により、マーケターがメール配信率や顧客の関心、エンゲージメントを高めることができます。
- 生成AIによる顧客獲得に向けたストーリー作成支援:案件から受注までの複雑なプロセスの履歴を生成AIがまとめ、インサイトと共に事業開発チーム内や顧客との会話を促進するような獲得事例ストーリーとしてまとめます。
Oracle Fusion Salesでは、より多くのタッチポイントにおいて販売戦略を拡大できるよう支援することを目的としています。現在は、「Next Best Offer(最適な次の推奨アクション)」やOracle Intelligent AdvisorにおいてAIの機能を提供することで、アップセルとクロスセルの支援を行っています。今後は、これらの機能を強化し、より広範な顧客とのやり取りに展開できるように投資をしていきます。
- アップセルとクロスセルのためのAIによるガイド付きフロー:Oracle Intelligent AdvisorはOracle Sales内でアップセルとクロスセルの機会を提案しています。今後は、Oracle Intelligent Advisorを拡張することで、営業、カスタマーサービス、さらには一部の顧客セルフサービスアプリ内でもアップセル・クロスセルの機会を提供できるようにしていきます。また、複雑な製品やサービスが関わる場合には、Oracle CPQが自動的にアップセル・クロスセルの提案内容を保証の遵守、製品の適格性、割引条件など様々な観点からチェックします。
- アカウント固有の提案事項:Oracle Fusion Salesでは、アカウントごとに最適なオファーをするため、AIによって生成された提案を営業担当者に提供します。また、営業担当者はAIによって提供されるコンタクト関連図を活用することで、ターゲットの購買アカウントの中で、誰とコミュニケーションを取るべきか、最適なアプローチを理解することができるのです。
4. AIの活用によるサービス担当者のナレッジ共有
サービス担当者の持つナレッジは非常に貴重ですが、それらの情報が、サービスアプリケーション内に留まり、活用できない状態になっているケースが多々あります。私たちは既にサービス担当者の専門知識をナレッジベースの文書としてまとめ、ナレッジを適切に管理・共有できるように投資しています。現在は、さらなる価値を引き出すため、以下2つの取り組みを行っています。
- 生成AIを使ったナレッジベース記事の作成:Oracle Serviceは、生成AIを活用して新しいナレッジベースの記事を作成します。生成AIによるナレッジの要約と人間によるレビューを組み合わせ、将来の顧客からの問い合わせに役立つ記事を作成します。
- 生成AIを使ったコミュニケーションの促進:生成AIをさまざまな場所で活用することで、検索結果の改善(例:キーワードマッチング)やコミュニケーションの改善(例:エンティティ抽出機能を持つチャットボット)、サービスリクエストに対するナレッジベース記事の要約を実現します。
結論
Oracle CXは、マーケティング、営業、サービス担当者や組織がこれまでとは異なる新しい方法で業務を実現できるよう、AIと自動化に投資しています。お客様の組織内にAIを広く導入し、ベストプラクティスを浸透させることで、業務の効率化を支援していきます。私たちの目標は、お客様に迅速で簡単、かつ魅力的な体験を提供できるようにすることです。お客様を含む私たち双方の成功によって、収益の増加と顧客ロイヤリティの向上、さらには顧客からの支持という成果を手にすることができるでしょう。
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