
生成AI市場は全世界で年平均成長率が30%とも言われています。既にご存知の方も多いと思いますが、生成AIに期待されているのは、従来のAIが実現してきた単純な情報の整理や作業の効率化の世界ではなく、様々な情報を捉えて関係性やパターンを学習・認識しながら、コンテンツを生成していく領域です。
現在、生成AIを使ったマニュアルや記事の原稿作成、問い合わせ対応のサポート業務等、比較的単純な文章作成の領域での活用が始まっています。今後はさらに活用のユースケースが高度化し、大量の社内のデータや文書を読み込んだ上での事業方針策定や、商品開発計画、経営への提言等、重要な意思決定の領域で活用が進むと考えられます。このような高度な意思決定の領域では、より多くのデータと深い業務の理解の上での回答が求められます。また、高度な質問の意図を的確に理解するということも重要になります。例えば、自社財務の全体を把握して運転資金を最適化するための質問や、資産の財務的価値を高めるための質問等、複雑な質問の意図を理解する必要があります。
このような高度なビジネス領域で生成AIを活用するためには、社内外の様々なデータや基幹システムのデータも組み合わせて、生成AIのLLM(大規模言語モデル)を進化させる必要があります。また、質問に対する精度の高い回答を実現するために、自社の構造・非構造データをベクトル化して保持しておく必要もあります。
これらのことは、ファインチューニングとRAG(Retrieval-augmented Generation)という仕組みが支えています。ファインチューニングは、一般的な知識の学習済モデルに対して自社データを追加で学習させることで、優れたモデルを作り出す技術です。ファインチューニングにはGPU環境が必要で、環境不足で学習時間がかかったり、高コストだったりすると実用に耐えられません。また、業務データをベクトル化するために、別データベースを準備してデータを移動させるのは大きな負担となり、実運用が難しくなります。
Oracleでは、Cohereと呼ばれるLLMをOracle Cloud Infrastructure(OCI)の生成AIサービスで使用しています。Cohereは、モデルが高性能で、パラメーターが小さく、ファインチューニングと呼ばれるカスタマイズが簡単にできます。また、このLLMがOCIの高速インフラ上で稼働しますので、圧倒的なパフォーマンスを実現できます。そして、学習時間が短縮され、回答のためのコストも低くなります。
業務データのベクトル化には、既に業務データが保持されている場所で実施するのが最も効率的です。Oracleは、企業で業務データが最も格納されている Oracle Database 内でベクトルデータを活用できるようにしました。これによって、生成AIにおける企業データが格段に活用しやすくなります。RAGのために、企業データをOracle Database以外の場所へ移す必要はもはやありません。
これらのテクノロジーに支えられた上で、実際の生成AIの活用はどのようなイメージになるのでしょうか?すでに、Oracleでは、経営報告や財務報告文書の自動化といった、より高度な業務の効率化が生成AIで実現できるよう開発を行っています。
こちらの動画でユースケースを是非ご覧ください。
Oracle Fusion Applications 生成AIデモ(ナラティブレポーティング)
Oracle Fusion Applications 生成AIデモ(プロジェクトプランニング)