本記事はHelle Henningsによる“Address Multiple Accounting Standards Easily with Oracle Cloud ERP”を翻訳したものです。

 

財務部門は、企業や地域の会計方針に対応するために、会計処理を自動化することが理想的です。Oracle Cloud ERPでは、複数の会計基準や会計通貨に並行して対応することができます。これにより、地域の規制要件と企業会計ポリシーに同時に対応することができます。Oracle Cloud ERPでは、元帳と補助元帳の会計ルールを定義してニーズを満たします。様々な元帳と報告通貨の使用に関するガイダンスを以下でご覧いただけます。

 

プライマリ元帳

プライマリ元帳を構成して、主帳簿の財務残高を確保、管理、およびクローズします。

 

図1.企業勘定体系を採用する機能の例1

図1.企業勘定体系を採用する機能の例
図1.企業勘定体系を採用する機能の例

 

こちらのブログで企業勘定体系による財務の見識を向上(Improve financial insight with a corporate chart of accounts)させる方法について確認ください。

 

セカンダリ元帳

以下の3つのオプションのいずれかを使用して、元帳と補助元帳の会計ルールを設定し、セカンダリ元帳を入力します。ビジネスニーズに最適な3つのオプションのいずれかを選択します。

図3セカンダリ元帳

 

 

レポート通貨

会計記録を維持し、レポート通貨を通じて複数の通貨で報告します。Oracle Cloud ERPの元帳には、1つまたは複数のレポート通貨を定義できます。プライマリ元帳もしくはセカンダリ元帳の残高を再測定または別の通貨に換算します。通貨変換レベルを、残高、仕訳、または補助元帳のいずれかに決定します。

図4レポート通貨

 

下の図2は、親会社が米国にあり、子会社がスペインとカナダにある場合です。

図2.プライマリ元帳、セカンダリ元帳、レポート通貨元帳の企業体系設計の例
図2.プライマリ元帳、セカンダリ元帳、レポート通貨元帳の企業体系設計の例

 

企業体系設計の決定事項の概要は以下の通りです。

 

プライマリ元帳

  • スペインとカナダの子会社は、親会社に対し、USDおよび米国会計基準で報告しています。
  • 米国会計基準に対応するため、プライマリ元帳に同じ企業カレンダーと会計処理基準を組み合わせた企業勘定体系を設定します。
  • プライマリ元帳通貨を各子会社の機能通貨(現地国通貨)として指名します。
  • 財務データを処理し、結果をプライマリ元帳通貨で画面およびレポートに表示します。

セカンダリ元帳

  • スペイン子会社も、スペインの法定要件を遵守する必要があります。
  • 規制要件に対応するために、補助元帳を定義します。
  • このブログの冒頭で説明したように、どのオプションを使用してセカンダリ元帳に入力するかを決定します。

レポート通貨

図2では、子会社が親会社に対してUSDと米国会計基準で報告する方法が示されています。したがって、次のようになります。

  • USDのレポート通貨元帳をスペインのプライマリ元帳に関連付けます。残高レベル変換を適用します。
  • USDのレポート通貨元帳をカナダのプライマリ元帳に関連付けます。残高レベル変換を適用します。

ほぼリアルタイムに近い統合

企業の元帳セットを使用してビジネスのグローバルな財務状況を即座に把握することができます。企業の勘定体系、カレンダー、会計処理基準、会計通貨を通じて、GL標準化された残高を容易にします。

図3.企業元帳セットを使用する企業設定の例
図3.企業元帳セットを使用する企業設定の例

 

図3は、Future Corp SpainとFuture Corp Canadaのレポート通貨元帳が、Future Corp USのプライマリ元帳を使用して元帳セットにグループ化されています。企業の財務諸表の元帳セットと主要な指標に基づいて、素早くレポートを作成し、経営陣に報告します。

 

まとめ

Oracle Cloud ERPを使用すると、多くの会計基準に簡単に対応することができます。会計入力を自動化するために企業体系を設計します。エグゼクティブへの主要レポートに使用する元帳セットを定義します。これにより、戦略的なビジネス上の意思決定を促進するための洞察を早期に得ることができます。  

エンタープライズ構造と元帳の設計については、My Oracle Supportのホワイトペーパー「Oracle Cloud ERP Enterprise Structures Key Considerations and Best Practices」を参照してください。2020年5月7日に開催されたOracle Cloud Customer Connect(CCC)のイベントWebキャスト「Record to Report Enterprise Structures Best Implementation Practices」を聴くことができます。最初にCCCにログインしてから、こちらのダイレクト・リンクを使用してください。

 

 

Helle Hennings

Helle Hennings /シニアプロダクト戦略ディレクター

E-Business Suiteのリリース8時代から、28年以上にわたってOracle ERP製品に携わってきました。Oracle Product Strategyに入社する前は、Oracle ERP Applicationsのコンサルティング・サービスに積極的に携わり、グローバルに展開する顧客に対する実装、アップグレード、カスタマイズ開発などを担当していました。コンサルティングを行う以前は、会計と財務を専攻していました。ACEチームのメンバーとして、戦略的な顧客の変革の旅に携わっています。

 


<Cloud Application開発チームが語るグローバル展開シリーズ>

Vol.2 Oracle Cloud ERPの勘定体系設計に関する考慮事項