※ 本記事は、Rod Johnsonによる”How composability can help you weather uncertainty on the road ahead”(November 16, 2022 )を翻訳したものです。

 

NFL史上、最高のチームはどこでしょうか?ピッツバーグやサンフランシスコ、シカゴの友人たちと主張は異なるかもしれませんが、私は、1992年のダラス・カウボーイズは、これまでで最も完成されたチームであると信じています。個々の才能がたまたま組み合わさっただけではないか?という意見もあると思います。もちろん、それもあると思いますが、当時のダラス・カウボーイズが他の競合チームと違うのは、チームとしてゲームのあらゆる面で優れていたことです。各選手は自分の仕事だけでなく、周りの人の役割も把握しながら、自分の仕事を効果的かつ一貫して遂行することができたのです。このことが、最も完成されたチームとなった所以です。

If you want to go far, go together

遠くまで行きたければ、みんなで進め

一貫性と完成度の高さという視点は、ビジネスの世界でも同じことが言えます。例えば、数年前、アナリストとしてサプライチェーンのベンチマーキングを行ったときのことを思い出します。当時、1つまたは2つの機能分野において最高クラスの技術を持つ製造業が、全体的な業績や結果では決して優れていないことがわかりました。一方で、サプライチェーンの全ての領域において最もバランスのとれたパフォーマンスを発揮している企業は、総コストと完全受注生産という非常に重要な指標において非常に優れていたという結果があったのです。アフリカに昔から「早く行きたければ、一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め」という諺がありますがこのことをうまく言い当てていると思います。

多くの企業で、業務アプリケーション戦略にも同じ教訓が生かされています。そこでは、各部門のリーダーは、自分たちの部門にとって何の機能がベストであるかを認識した上で、ソフトウェアを決定する権限を与えられています。そして、営業や人事といった個々の機能では多くのメリットを享受していますが、多くの場合、会社全体のパフォーマンスを見失い、特にエンドツーエンドのプロセスの実行やエンドツーエンドの可視化では一歩後退してしまっています。

経営管理ソフトウェア産業の黎明期から、中央集権的な共通プラットフォームと分散型あるいはベスト・オブ・ブリード・システムの間で、どちらが理想かという議論が振り子のように行ったり来たりしてきました。以前のブログで述べたように、現在では、分散型またはポイント・ソリューションから共通プラットフォームへと振り子が戻りつつあります。どのようにすれば、ビジネスの俊敏性を失うことなく、統一されたプロセスとデータの利点を得ることができるのでしょうか。 そのキーワードは「コンポーザビリティ」です。

 

コンポーザビリティの完全性が重要な理由

コンポーザブル・アーキテクチャやコンポーザブルERPと呼ばれることもありますが、コンポーザビリティとは、既存のコアテクノロジーにプロセスや機能を簡単に接続できる能力を意味します。コンポーザビリティの価値は比較的シンプルなことなのです。コア・エンタープライズ・アプリケーションがクラウドに移行した場合、豊富なAPIが提供されているため、企業は複雑な統合やコーディングを必要とせず、独自の革新的なモジュールをプラグアンドプレイできるようになるはずでした。しかし実際には、異種のコアシステムを追加するたびに、統合のための複雑さ(およびコスト)は指数関数的に増大しています。

ジョンソンコントロールズ社の例を見てみましょう。同社は、世界最大のビルの多くに、火災、HVAC、セキュリティ機器等を提供しています。同社は、機器の製造から、AIを活用したサービスソリューションまでの包括的な仕組みを顧客に提供することができるようになりました。

ジョンソンコントロールズが優れた顧客体験を提供するために必要なシステムの数について考えてみたいと思います。彼らは、複数の物理的な場所にある複数のシステムの機器をスケジュールし、配布する必要があります。また、メンテナンスとサービスを最適化し、スケジュールを組む必要があります。これらのことは、適切な人材を確保し、トレーニングを受け、サービスを提供できるようにすることを意味します。顧客に有意義な情報を提供するためには、さまざまなデータにアクセスする必要があります。信頼されるパートナーになるためには、計画、財務、リスク管理の各機能がシームレスに連携する必要があります。

つまり、このような変革を実現し、顧客にこのような高いレベルのサービスを提供することは、カスタマー・エクスペリエンス・アプリの域をはるかに超えているのです。そのために必要なのは、同社が持つほぼすべてのビジネスシステムとの接続です。もし、異なるシステム上でイノベーションを起こそうと思ったら、その労力の大半は統合とテストに費やされたことでしょう。しかし幸いなことに、彼らはOracle Fusion Cloud Appsの完全性を選択しました

 

デジタル・クラウド変革のスーパーボウルに勝利する

コンポーザビリティは、完全性よりもはるかに重要です。完全性が何を可能にするかということです。コンポーザビリティと完全性が組み合わさることで、パートナーやイノベーターたちのエコシステム全体が開放されます。

Discover Financial Services の場合、このことが Discover社、Accenture、Oracle の One Teamとしての パートナーシップの成功の基礎となりました。彼らは、複数の異種システムを、共通のデータプラットフォーム上に構築されたOracle のFusion Applicationに置き換えることができました。ビジネス上関連するパートナー企業からの75のフィードと48のソースシステムから、約1,200のレポートデータ属性を統合することになりした。パンデミックの最中、彼らはこれを全てリモートで、時間通りに、予算内で、高い品質で実現しました。

コンポーザビリティ(とそれが可能にしたパートナーシップ)のおかげで、Discoverは統合を4倍速く実現することができました。また、自立した製品チームを立ち上げることができたと評価しています。このようなスピードと自立性を持つことで、より多くの時間と予算を将来のための革新的なソリューションの創造に充てることができるようになったのです。Discoverのビジネステクノロジー担当副社長 : 戦略、変革、ガバナンス担当のMichelle Greenは、オラクルとの最近の対談の中で、”我々は、1つのチームとしてデジタルクラウド変革のスーパーボウルに勝利した “と表現しています。

 

遠くへいくか、早く進むか?

2022年10月にラスベガスで開催されたOracle CloudWorldに参加された方は、多くのプレゼンターが繰り返し語ったテーマが、変革への切迫感であったと思います。経済的、地政学的な不確実性が迫り、様々な業界の崩壊に対する脅威が常に存在する中、躊躇していると、このビジネス上の嵐を乗り切れないというリスクが高まってきています。では、皆様はどうすべきとお考えでしょうか。遠くへ行くのか、それとも速く行くのか。今日の状況では、その両方を実行する必要があります。コンポーザビリティによって得られるイノベーションへのアクセスがあれば、速く進むことができます。一緒に働くために作られたアプリケーションのポートフォリオの完成度が高ければ、遠くまで行くことができます。次回のブログでは、コンポーザビリティが実現するエコシステムについて、企業やパートナーだけでなく、グローバルなスケールでどのようなものになるのかを掘り下げてみたいと思います。

オラクルの革新的なクラウドアプリケーション・ソリューションの詳細については、こちらをご覧ください。

 


本ブログは2022年11月に初回投稿されました。2025年5月に一部内容を更新し再投稿しました。