少し前のことですがZ世代の75%が「日本の社会の未来に希望無し」と回答したそうです。
希望が抱けない理由は様々ですが、「年上の世代に対して不満があること」について尋ねたところ、「前時代的な価値観の押し付け」が62%と最も高かったようです。
少子高齢化が進む日本で、日本の企業が世界で競争するために、教科書的な言い方になりますが、企業が未来を生き抜く力を強くするためには、未来洞察を通して多様なステークホルダーと共に「ありたい未来」を共創することが大事だと感じます。
デジタル技術の活用、脱炭素など世界的な潮流の中で、企業の組織を強くするために、経理財務部門がテクノロジーを活用し、経営を補佐する最強の組織に進化していくことは、企業が未来を生き抜くために、必要不可欠な要素であると思います。
2024年7月24日に開催されたJBPress主催の「第8回ファイナンス・イノベーション」の講演の中で、オラクルのクラウド・アプリケーション統括のFMS/EPMソリューション部長の大城が、「未来のファイナンス部門に向けたAI活用」として、最新のAI、データ、クラウド技術を活用した会計業務や経営管理の変革方法について解説をしましたので、本ブログで「経営を補佐する経理財務部門のチャレンジ」として先進的なAI技術などを活用して、どのように組織や業務改革が出来るのか、講演内容の復習したいと思います。
まず、初めにオラクルが考える未来のファイナンス部門の動画をご紹介します。
実はこの動画はオラクルが5年以上前に公開した「近未来のCFO」という動画です。
スマホに話しかけるだけでERPが財務レポートを出力し、買収シナリオをシミュレーションする未来のファイナンス部門を描きました。当時はSFのように感じられましたが、生成AIの進化により現実味を帯びています。オラクルはこの未来像に向けて年間1兆円を投資し、自社で成果を実験しています。
ここからは具体的に、オラクル自らの会計領域におけるDXの実践や、Oracle Fusion Cloud ERPの特長、Oracle Fusion Cloud ERPによって経理業務でどのようにAIを活用し、効率化、自動化を成し遂げることができるのか、ご説明します。
オラクルの自社会計領域におけるDXの取り組みとOracle Fusion Cloud ERPの特長
オラクルの会計分野では、決算の早期化や手作業の削減・自動化が進んでいます。多くの企業が約1カ月かけて行う決算発表を、オラクルは9日目で完了し、日本法人も四半期決算を3日早めました。リモートワークへの移行が成功し、マニュアル作業の35%削減と照合作業の40%自動化により業務効率が向上しています。現実的にAIの活用を進めることで決算の早期化や効率化、自動化を向上し、データ集計を迅速化し、経理部門は分析や戦略的アクションに注力できるようになり、会社を戦略的に導く組織への変革を目指しています。
Oracle Fusion Cloud ERPの特長は、ERP、Analytics、AIが一つに統合されている点です。オラクルDBを基盤としたリアルタイム処理と一元管理に加え、BIがデータをリアルタイムで可視化し、AIが入力処理や予測、分析、資料作成を自動化します。これにより、企業はデータを活用した経営をさらに加速させることが可能です。
日常経理、決算処理、予測・分析、監査、開示・報告の5つの業務それぞれでAIがどのように活用されるのか、ご紹介していきます。
会計業務プロセスでのAI活用シーン
1.日常経理業務
紙の請求書の手入力によるミスや時間の浪費といった課題を解決します。請求書を自動で読み込み、データ入力や過去データからの勘定科目の自動導出が可能です。さらに、チャットボットに質問することで、即座に適切な回答を得られます。
・請求書読み取り業務
オラクルの請求書読み取り業務では、IDR機能を活用して業務効率が30%向上しました。このIDRは、一般的なAI-OCRと異なり、読み取るたびに精度が向上し、ユーザーの修正を学習して勘定科目を自動補完するため、精度が高まります。

IDRを活用する際は、取引先から受領したPDFやスキャンした請求書を指定のメールアドレスに送信し、ERPにアップロードします。ERPの管理画面にアップロードされた請求書が表示され、請求書番号やサプライヤ、金額、明細などが自動入力されます。さらに、勘定科目も過去データから自動導出されるため、請求書入力作業がほぼ自動化されます。
2.決算処理業務
オラクルでは、細かい照合ルールを設定して自動照合が可能で、照合業務の40%を自動化しています。具体的には、システム間の残高照合や取引先検収書と自社請求書の照合などの業務が自動化されます。例えば、飲食店企業では、デリバリーサービスの普及に伴い、他社データと自社売上データの自動照合を導入しています。システムは2つのデータソースをクラウドにアップロードし、照合ルールに基づいて差異を抽出し、調整は差異が発生した部分のみ行われます。
3.予測・分析
従来の予測・分析業務では、人の経験や勘で作成されていたと思います。オラクルのAIを使えば過去実績やリスクスコアといった様々なデータに裏打ちされた自動予測結果をお使いいただけます。
オラクルは自社事例で、AIを活用して予算策定業務の時間を50%削減しました。AIが過去の実績から予測値を自動算出し、感覚的な予測を統計的に補完します。また、シミュレーション機能により複数のシナリオを試算でき、販売計画の精度向上や戦略立案に役立てています。

ほかにも、オラクルでは、監査において異常や不正を検知し、アラートを出して改善を促します。職務分掌違反や取引データの異常値、架空取引の検出が可能で、AIは季節性や繁忙期を自動学習し、精度が向上します。開示・報告業務では、オラクルの生成AI機能により、データ統合やレポートの自動生成が可能となり、手作業を削減できます。
オラクルは、最新のAI機能を業務に組み込み、自社のインフラサービスであるOracle Cloud Infrastructure(OCI)上で運用することで、インテグレーションやデータ移動、データセキュリティのリスクとコストを削減しています。ERPだけでなく、全ての企業アプリケーションをシングルデータモデルで提供し、全体最適化されたAIを活用できます。また、四半期ごとのアップデートで最新機能を迅速に利用できる点も特長です。

最後にOracle Fusion Cloud Applicationsのオンデマンド・ウェビナーサイトのご紹介です。以下のポータルから、お客様、パートナー様、弊社SEなどが講演した動画を自由に視聴する事が出来ます。是非、テーマに沿ってご興味のある動画をご覧いただき、経理財務部門のトランスフォーメーションにお役立て下さい。
また、本ブログ記事でご紹介している大城の講演動画もポータル内よりご視聴頂けます。
https://www.oracle.com/goto/apps-ondemand-jp
◆セッション名: 未来のファイナンス部門に向けたAI活用~Oracle ERP/EPMによる徹底的な業務の効率化・自動化~
◆講師:
大城 秀暁 (おおしろ ひであき)
日本オラクル株式会社 クラウド・アプリケーション統括 ソリューション・エンジニアリング事業本部 FMS/EPMソリューション部 部長
イベント&オンデマンド・ウェビナー
