
サンフランシスコで開催されたOpenWorld 2019では、重要な発表の1つにOracle Data Safeがありました。Data Safeは、Oracle Autonomous Data Warehouse(ADW)に対応したまったく新しいクラウドベースのセキュリティ・コントロール・センターで、完全に無償でご使用いただけます。
Data Safeコンソール
Data Safeのメイン・コンソールであるダッシュボード・ページは次のように表示されます。

Autonomous Data Warehouse内に保存された各種のデータセットを直接確認できるので、次の処理が可能になります。
- データベースがセキュアに構成されているかどうかを評価する
- GDPRの条項/備考、Oracle DatabaseのSTIGルール、CISベンチマークの推奨事項に基づいてリスクを調査し、軽減する
- 重要なユーザー、ロール、権限を明確にすることで、ユーザー・リスクを評価する
- 監査ポリシーを設定し、ユーザー・アクティビティを収集して、異常な行動を特定する
- 機密データを見つけて、その保存場所を把握する
- 機密データをマスキングして、本番以外のデータセットからリスクを除外する
既存のAutonomous Data WarehouseをData Safeに接続するのはごく簡単です。ここからは、その方法とデータセットに対して実行できるセキュリティ・レビューの種類を紹介しましょう。
Data Safeと連携するためのADWの設定
ここでは設定を簡単にするため、既存のADWインスタンスにLOCAL_SHという新規ユーザーを作成します。続いて、デモグラフィック、国、顧客の各表を、読取り専用の販売履歴デモ・スキーマから新しいlocal_shスキーマに追加でコピーします。 これにより、ADWをData Safeに接続したときにData Safeが検出する”機密”のデータ・ポイントがスキーマに含まれます。
CREATE USER local_sh IDENTIFIED BY “Welcome1!Welcome1”;
GRANT DWROLE TO local_sh;
CREATE TABLE local_sh.supplementary_demographics AS SELECT * FROM sh.supplementary_demographics;
CREATE TABLE local_sh.customers AS SELECT * FROM sh.customers;
CREATE TABLE local_sh.countries AS SELECT * FROM sh.countries;
顧客表にはどのようなデータが含まれるのでしょうか。

間違いなく個人の特定につながりそうな列がいくつかありますね。このような列は、開発者チームやビジネス・ユーザーに表示されないようにするか、マスキングしなくてはなりません。

ここまでで、非常に機密性の高いデータが含まれることが確認できました。
今回の例とは異なり、まっさらなADWにデータをロードする必要がある場合は、オラクルのドキュメント・ガイドに記載された手順を参照してください。このガイドでは、ユーザー・データをADWにロードする方法について説明しています。 https://docs.oracle.com/en/cloud/paas/autonomous-data-warehouse-cloud/tasks_load_data.html
次に、Data Safe接続プロセスで使用するユーザーをADWインスタンスに作成します。新しく作成することで、セキュリティ・レビュー・プロセスがいずれかのアプリケーション・ユーザーに関連付けられることを回避します。
CREATE USER datasafe IDENTIFIED BY “Welcome1!DataSafe1”;
GRANT DWROLE TO datasafe;
このあとで、インストール・スクリプトを実行する必要がありますが、スクリプトはデータベースの登録時にData Safeコンソールから入手できます。既存のアプリケーション・ユーザーに関連付けないようにしたのは、Data Safeの実行に必要なロールと権限をこのユーザーに付与するからです。
Oracle Cloudアカウントの種類の確認
Oracle Cloudを初めて使用する場合や、アカウントを作成したのが過去12か月以内である場合は、このセクションをスキップして問題ないでしょう。Oracle Cloudのクラウド・アカウントを2年以上前に作成している場合は、Data Safeにアクセスしようとすると、連携アカウントに関する警告メッセージが表示される可能性があります。
Data Safeへのアクセス
クラウド・アカウントにログインし、左上にあるハンバーガー(3本の横線)メニューをクリックします。ポップアップ・メニューで、Autonomous Transaction Processingの下にData Safeが表示されます。
「Data Safe」をクリックすると、次のような画面が表示される場合があります。このメッセージが表示されない場合は、”Data Safeの有効化“セクションに進んでください。

メッセージが表示されても心配ありません。必要な作業は新しいOCIユーザーを作成することだけです。ハンバーガー・メニュー・リスト内を下方向にスクロールし、”Governance and Administration”が表示されたら、「Identity」→「Users」の順に選択します。

画面上部にある青色の大きな「Create User」ボタンをクリックし、各フィールドに値を入力して新規OCIユーザーを作成します。このユーザーはあとでData Safe環境の所有者として使用します。

新規ユーザーを作成した後に届く「ようこそ」メールには、以下のようにパスワードをリセットするためのリンクが記載されています。

新規ユーザーを作成したら、Data Safeがテナント内でリソースおよび自律型データベース・インスタンスにアクセスできるようにするため、正しい権限をすべて有効化する必要があります。
ここでは、DataSafeというユーザーのために、Data Safeで必要になる権限をすべて含んだ“administrators”グループをテナント内に作成してあります。
実際には、より慎重な方法として、Data Safe管理者専用の新規グループをセットアップし、このグループだけにOCI権限を割り当てると良いでしょう。このプロセスについての詳細情報はこちらを参照してください。 https://docs.oracle.com/en/cloud/paas/data-safe/udscs/required-permission-enabling-oracle-data-safe.html
簡単なおさらい
ここでは、あらかじめセットアップしてあったAutonomous Data Warehouseインスタンスを使用しました。SQL Developerを使用して新規ユーザーを作成し、潜在的な機密情報を含む小さなデータセットの所有者にしました。機密データ・ポイントを含むことがわかっている既存のスキーマから、いくつかの表をコピーして、作業用データセットを作成しました。また、新しいOCIユーザーに対して、Data Safe導入環境の所有者として使用できるように設定しました。
Data Safeの有効化
ここまでで、Data Safeを使用する準備が整いました。ハンバーガー・メニューから「Data Safe」を選択します。このテナント・リージョンでのログインが初めての場合は、次のような画面が表示されます。画面から、Frankfurtデータセンターを使用中で、データセンターへのログインは今回が初めてであることがわかります。

次の段階へ進むには、大きな青色のボタンをクリックしてData Safeを有効化します。いつもの”作業中…”画面が表示されます。

その後、”準備完了”画面になります。

パート1のまとめ
パート1はここまでです。次回は、Autonomous Data Warehouseインスタンスの登録方法を確認してから、顧客に関する機密データを含むオブジェクトを突き止めるときに役立つセキュリティ・レポートを実行します。
詳細情報
オラクルのセキュリティ・チームは、Data Safeの学習に役立つコンテンツを多数作成しています。ここでは、個人的に使用しているブックマークを紹介します。
ドキュメント – ますはここから: https://docs.oracle.com/en/cloud/paas/data-safe/udscs/oracle-data-safe-overview.html
Oracle.comのData Safeページ – https://www.oracle.com/database/technologies/security/data-safe.html
データベース・セキュリティ・ブログ: https://blogs.oracle.com/cloudsecurity/db-sec
- https://blogs.oracle.com/cloudsecurity/keep-your-data-safe-with-oracle-autonomous-database-today
- https://blogs.oracle.com/cloudsecurity/keeping-your-data-safe-part-4-auditing-your-cloud-databases
※本記事は、Keith Laker (Senior Principal Product Manager)による”Keeping Your Autonomous Data Warehouse Secure with Data Safe Part 1“を翻訳したものです。

