※ 本記事は、John McHughによる”Unlocking Data for All with Sidecar: Empowering Business Users with AI-Driven Insights“を翻訳したものです。
2025年3月5日
すべての人のためのデータの民主化: AIドリブンのインサイトによるビジネス・ユーザーのパワーアップ
データはイノベーションを促進し、イノベーションはビジネスの成功を促進します。しかし、データに頼っているビジネス・ユーザーは、多くの場合、データのクエリ、ビジュアライゼーションの作成、革新的なインサイトの発見などのスキルがないという障壁に直面しています。これにより、意思決定が遅くなり、効率に影響を与えます。
ビジネス・ユーザーが従来の問合せモデルに頼るのではなく、データと直接会話する世界を想像してみてください。レポート作成の複雑さと遅延をなくし、必要なインサイトを即座に求めることができるプラットフォームです。
Autonomous Database (ADB) Select AIは、重要なビジネス・データとの自然言語インタラクションを可能にすることで、このギャップを埋めます。セキュアなAIサイドカー・リポジトリ(並列接続のAI用リポジトリ)、使い慣れたLarge Language Model (LLM)とのシームレスな統合、複数のクラウドとデータ・ソースにまたがるフェデレーテッド・クエリ機能により、ADBは情報アクセスに革命をもたらします。
マテリアライズド・ビューとコスト効率の高いストレージにより、迅速で効率的なデータ・リフレッシュを実現します。ビジネス・ユーザーは、ボトルネックや遅延なくインサイトにアクセスできるようになり、よりスマートで迅速な意思決定を容易に行えるようになりました。
Select AIの仕組み
Select AIを使用すると、ユーザーは自然言語を使用し、LLMの入力プロンプトとしてデータを問合せることができます。Select AIは、ユーザーのデータベースのスキーマ・メタデータを組み込むことで、プロンプトに必要な情報を追加し、LLMが生成するSQLの正確性と信頼性を高めます。
ADB Select AIは、生成されたSQLを表示および実行するshowsqlコマンドとrunsqlコマンドと、より会話的でインタラクティブなエクスペリエンスを実現するためのnarrateコマンドおよびchatコマンドをサポートします。Select AIは、自然言語クエリを簡素化することで、技術者以外のビジネス・ユーザーが高度なSQL知識を必要とせずにデータに簡単にアクセスして分析できるようにします。

図1. 元の自然言語問合せは、データベース・スキーマのメタデータおよびコンテキストで拡張され、LLMから正確なSQLを生成
Select AIの機能についてさらに学習するには、「Autonomous Databaseでの自然言語からSQLへの生成の概要」を参照してください。
Select AIによるデータ・セキュリティ
Select AIは、セキュアでフルマネージドのAIサイドカー・データベースとしてデプロイでき、セキュアなADBインスタンス内で自然言語をSQLに効率的に変換できます。権限、行レベル・セキュリティ・ポリシー(VPD)および監査など、データ・ガバナンスのすべてのデータベース・セキュリティ機能を適用し、Select AI生成の問合せが確立されたセキュリティ標準に準拠していることを保証します。Real Application Security (RAS)と統合されたSelect AIは、堅牢なデータベース・アクセス制御と監査を維持しながら、セキュアなデータ・アクセスを可能にします。
Select AIによる横串検索 (フェデレーテッド・クエリ)
Select AIサイドカーは、Select AIパイプラインを活用して、オンプレミス環境でもマルチクラウド環境でも、多様なデータセットにわたるフェデレーテッド・クエリをサポートします。ADB Select AIにより、技術者でないユーザーも複雑なフェデレーテッド・クエリのSQLを生成し、実行を効率化し、データの重複やETLプロセスを排除し、より正確な結果を確保することができます。
たとえば、「Acme社の保留中の注文を表示して」のような自然言語問合せにより、Google CloudのBigQuery表から顧客データをシームレスに取得し、AWSのAmazon Redshiftデータベースから注文の詳細を取得します。Select AIが、結合、データの場所、クエリの最適化の複雑さに対処します。ユーザーはSQLの記述や、データの場所の把握、データの移動を行う必要はありません。
フルマネージド・データベースとエンドツーエンドのセキュリティを実現するReal Application Security (RAS)を備えたADB Select AI サイドカーは、AIドリブンのデータアクセスと分析を成功させるために不可欠な基盤を提供します。

図2. ADB Select AIサイドカー・アーキテクチャおよびフェデレーテッド問合せを利用するデータ・フロー。
検索拡張生成(RAG)によるSidecar Select AI
Select AIは、自然言語プロンプトからSQLを生成、実行、説明するか、LLMとチャットするかに関係なく、生成AIを組み合せて使用し、すでに簡素化および自動化しています。RAGを使用すると、生成AIをSQLから次のレベルに便利に使用できます:
- 組込みの自動AIパイプラインを介して、プライベート・データを使用してベクトル・ストアを作成および移入
- セマンティックな類似性検索を通じて取得されたベクトル・ストア・コンテンツでプロンプトまたは問合せを自動的に補強
- 指定したAIプロバイダおよびLLMにこの拡張プロンプトを送信し、生成された結果を返します
Select AIは、Oracle Database 23aiの新機能であるOracle AI Vector Searchを使用したRAGをサポートしています。
Oracle Toolsとのシームレスな統合
Select AIは、SQLcl、SQL Developer Web、Oracle Application Express (APEX)、Oracle Machine Learning Notebooksなど、さまざまなツールとシームレスに統合されます。この幅広い互換性により、ユーザーはSelect AIを既存のワークフローに組み込むことができ、容易なデータ問合せと分析が可能になります。
たとえば、APEXアプリケーションは、Select AIサイドカーおよびOCI Generative AIと接続して、Oracle HCMシステムとの自然言語のやり取りを促進できます。次のデモでは、Ask Oracle E-Business Suite (EBS) のAPEX UIについて説明します。このUIは、ADBサイドカー・インスタンスとインタフェースし、拡張SQLプロンプトを生成します。これらのプロンプトは、OCI Generative AI LLMによって処理されます。このデモでは、従業員の資格に関する3つの連続した質問で会話が展開し、それぞれがドリルダウンしてより詳細なインサイトが得られます。すべて自然言語での問合せを通じて表現されます。

図3. ADB Select AIサイドカーとOCI Generative AI LLMを使用して、Oracle E-Business Suite APEXアプリに問い合わせ
まとめ
ADBは、SelectAIを介し、データ・アクセシビリティを変換し、ビジネス・ユーザーが自然言語での会話を通じて、複雑な分散データを簡単に問い合せることができます。Select AIは、ユーザーとそのデータのギャップを埋め、イノベーションを加速し、データ・インタラクションを簡素化します。
シームレスなAIサイドカーとして、Select AIは生成AIへの移行への簡単なエントリー・ポイントを提供します。飛び込む準備はできましたか? まず、ADB Free Tierインスタンスのデプロイから始めてSelect AIの機能を確認し、この強力なフェデレーテッド・クエリ機能を今すぐ試してみましょう。
次の参考資料をご覧ください!
リファレンス
「会話」は次世代の自然言語クエリ(NLQ)
AIモデルによる自然言語クエリの生成を支援する方法
Autonomous Database Select AI: エンタープライズ・データ、OCI Generative AI、セキュリティ強化によりイノベーションを加速
Autonomous Databaseでの検索拡張生成(RAG)を使用したSelect AIの発表
Oracle Generative AIを使用したEBS 122の自然言語問合せの有効化
Autonomous DatabaseでのSQL生成に自然言語を導入
Select AI Livelab ワークショップ
Oracle Database Real Application Security
DBMS_CLOUD_AI
著者: Kumar Rajamani、John McHugh。また、EBS ADB Select AIデプロイメントに関するインサイトを提供してくれたNadia Benjedouに感謝します。
