この記事は“Kelly Smith”による“What makes Autonomous Recovery Service Autonomous?”の日本語翻訳版です。

2025年8月28日


Oracleは2023年のOracle CloudWorldでZero Data Loss Autonomous Recovery Serviceを発表しました。

Oracle Database Zero Data Loss Autonomous Recovery Serviceの紹介
https://blogs.oracle.com/oracle4engineer/post/ja-introducing-recovery-service

それ以来、顧客からよく聞かれる質問があります。

「このサービスはなぜ“自律的”なのか?」

これに答えるためには、まずOracle Databaseのバックアップを準備・実行・維持する際に通常必要となる作業を振り返ると理解しやすいです。具体的な手順は環境によって異なりますが、主な作業は以下のカテゴリに分けられます。

バックアップ準備で必要な基本作業

  • バックアップ容量の確保

  • バックアップのセキュリティ確保

  • RMANの設定

  • RMANジョブのスケジューリング

しかし、バックアップは「設定して放置すればOK」という単純な作業ではありません。初期設定だけでなく、運用中も以下のような継続的作業が定期的に必要です。

運用中の継続作業

  • ジョブの監視

  • バックアップの整合性検証

  • バックアップ用パスワードの定期更新

  • バックアップ負荷のバランス調整

  • バックアップインフラのパッチ適用

  • バックアップ容量の管理

これらすべてを手作業で管理するのは非常に負荷が大きく、現実にはパスワード更新や検証など重要なステップが省略されることすらあります
まさにここで、Autonomous Recovery Serviceの「自律型」機能が役立ちます。

簡単でガイド付きのセットアップ

Autonomous Recovery Serviceでは、ユーザーインターフェース上で簡単な入力を数点指定するだけでセットアップが可能です。

Automatic Backup configuration screen

自動バックアップ設定画面

パラメータを設定すると、残りの作業はすべてサービスが自動で処理します。

  • バックアップ容量の確保
    データベースから統計情報を収集し、バックアップサイズを推定。Oracleのハードウェア環境内で自動的にストレージを割り当てます。

  • バックアップのセキュリティ確保
    OCI Identity and Access Management (IAM) ポリシーを適用し、バックアップの不変性を簡単なポリシー設定で実現。さらに、プライベートエンドポイントを使って安全なDB→バックアップ通信を可能にします。

  • RMAN設定
    RMAN環境を自動設定・維持。データベースの規模に応じてリソースを動的に調整し、性能を最適化します。

  • RMANジョブのスケジューリング
    ジョブのスケジュールと実行を自動化し、手動操作を最小化します。

  • ジョブの監視
    OCIに統合されており、個別データベースコンソールや統合ダッシュボードで状況を可視化できます。

  • バックアップ整合性の検証
    データ異常チェックもサービス側で実行。バックアップ時および既存バックアップに対して定期的に検証が行われ、運用DBに影響を与えません。

  • バックアップ用パスワードの更新
    数日ごとに自動更新され、古いパスワードによるリスクを低減します。

  • バックアップ負荷のバランス調整
    Oracleのインフラストラクチャにより、ジョブを自動的に分散し、安定した性能を維持します。

  • バックアップインフラのパッチ適用
    ハードウェアは高可用性を確保しており、無停止でパッチ適用が可能です。

  • バックアップ容量の管理
    ストレージ需要の変化に応じて、基盤ストレージの移行も完全自動化され、バックアップ・リストアのプロセスに影響を与えません。


自律型による効果

日常的な作業を自動化することで、Autonomous Recovery Serviceは手作業の負荷を減らし、リスクを最小化しながら信頼性の高いデータベース保護を提供します。
これによりチームは、コアなバックアップ・リカバリ作業を気にせず、より付加価値の高い業務に集中できます。すべてOracleのベストプラクティスに基づいて自律的に処理されます。


利用可能な環境

Autonomous Recovery Serviceは、以下の環境で利用可能です。

  • Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure

  • Exadata Database Service on Exascale Infrastructure

  • OCI、Azure、Google、AWSのBase Database Service