※ 本記事は、Jenny Tsai-Smith, Dominic Gilesによる”Introducing Oracle AI Database 26ai: Next-Gen AI-Native Database for All Your Data“を翻訳したものです。

2025年10月15日


私たちは、次世代のAIネイティブ・データベースであるOracle AI Database 26aiを発表できることを大変うれしく思います。AIがデータおよび開発スタック全体に組み込まれて設計されており、業務システムと分析用データレイクの両方を含む、あらゆる場所のすべてのデータに対して、信頼できるAIによるインサイト、イノベーション、生産性を容易に実現します。プライベートなデータベース・データとパブリック情報を組み合わせ、洗練された回答やアクションを提供するダイナミックなエージェント型AIワークフローを実行できます。

Oracle AI Database 26aiは Oracle Database 23aiを置き換えます。23aiから26aiへの移行は簡単で、データベースのアップグレードやアプリケーションの再認証は不要です。2025年10月のリリース・アップデートを適用するだけで移行できます。AI Vector Searchなどの高度なAI機能が、追加料金なしでご利用いただけます。

Oracle Database 23aiの導入以来、私たちは機能を拡張し、性能を向上させるAIファーストの機能群を着実なペースで提供してきました。更新内容は次のとおりです:

  • AIベクター検索機能を拡充
  • ベクター検索と他のあらゆるデータ型の組み合わせサポートを拡大
  • エージェント型AIのサポートを追加
  • データ・プライバシのガバナンスと可観測性を強化

これらは Oracle AI Database 26aiにおける統合的なAI体験への道を開くものです。要するに、23aiが基盤を築き、26aiがそれを統合・発展させ、スケールする本番ワークロード向けの一体的なAIネイティブ・プラットフォームへと高めます。

それでは、以降「AI Database」と呼ぶOracle AI Database 26aiで利用可能になる機能のハイライトを見ていきましょう。

PDF、動画、画像といったマルチモーダルなエンタープライズ・データの検索と推論に向けて、AI Databaseは統合ハイブリッド・ベクトル検索を実現します。単一のクエリの中で、ベクトルとリレーショナル、テキスト、JSON、グラフ、空間の各条件と組み合わせ、ドキュメント、画像、音声、動画、テーブル行をまとめて取得できます。これを業界最先端のLLMやModel Context Protocol(MCP)と組み合わせることで、反復しながら追加コンテキストを取得し、プライベート・データに裏打ちされた高品質な回答を提供するエージェント型ワークフローを実現します。

私たちは、エージェントをデータベースの第一級コンポーネントとして位置づけました。Select AI Agentにより、Autonomous AI Database内で、データベース内ツール、REST経由の外部ツール、あるいはMCPサーバーを用いて、AIエージェントを定義・実行・ガバナンスできます。ノーコードのアプローチを好むチーム向けには、Private Agent Factoryがビルダーとデプロイメント・フレームワークをパッケージ化して提供し、管理下の任意の環境で実行可能です。これにより、データをプライベートに保ちながら、データベースの性能とセキュリティを最大限に活用できます。

データの統制を維持したまま、AIモデルを柔軟に選択できます。ONNX埋込みモデルを利用したり、LLMプロバイダと統合することも、プライベートAIサービス・コンテナを介したプライベート推論を実行によりサードパーティのAIサービスにデータを送信しないようにすることもできます。AI Databaseは、埋込みおよびRAGパイプライン用のNVIDIA NIMコンテナとの統合もサポートしており、NVIDIA CAGRAおよびcuVSによるベクトル索引付けの将来のGPUアクセラレーションにも対応できる設計です。

AI Databaseは、分析の適用領域を分断することなく拡張します。新しいAutonomous AI Lakehouseは、既存のデータ・ウェアハウスやデータレイクを真にオープンでマルチベンダーなAIレイクハウスに変革します。Autonomous AI Lakehouseは、オブジェクト・ストレージ内のApache Icebergデータ形式の読み書きをサポートしており、Exadataによるパフォーマンスやサーバーレス・スケーリングなど、Oracle Analyticsのすべてのメリットを、OCI、AWS、Azure、Google Cloudなどオープンなレイクハウス・テーブルにもたらします。Autonomous AI Lakehouseは、同じクラウド上のDatabricks、Snowflake、その他の多くのIceberg準拠のデータ・ストアと相互運用できるため、データを移動することなく、データ・ストア間でシームレスなデータ共有が実現します。

Oracle AI Databaseにより、開発者はデータを扱うよりシンプルで強力な方法を得られます。リレーショナル、JSON、グラフが統合されているため、同じデータに対してSQL経由、ドキュメントとして、あるいはグラフとしてアクセスできます煩雑で脆いETLの受け渡しは不要です。Data Annotationsにより目的、セマンティクス、制約を記述でき、AI 駆動のツールやエージェントが、より良いコードやより正確な回答を生成できるようになります。迅速なアプリ提供のため、今後提供予定のAPEX AI Application Generatorは自然言語を用いて、エンタープライズ級の体験をより速く構築します。

パフォーマンスとエラスティシティはスタック全体に組み込まれています。Oracle Exadata for AIはベクター検索をインテリジェント・ストレージにオフロードして劇的な高速化を実現し、高負荷のワークロードへスケールします。さらに、新しいExascaleソフトウェア・アーキテクチャにより、より小規模で低コストなデプロイメントにも対応でき、中小規模の企業やワークグループ、AI機能をパイロットしてから本番へ拡大するチームに最適です。True Cacheはアプリケーションから透過的でトランザクション一貫性を備えたミドル層キャッシュを提供し、Oracle Relational、Vector、JSON、Spatial、Graphのクエリ・セマンティクスを含む完全なSQL互換性を保ちながら、低レイテンシを維持できます。

セキュリティとデータ・ガバナンスはデータベース内で強制されます。組み込みのData Privacy Protectionにより、行・列・セル単位の制御に加え、動的データ・マスキングを実現し、ユーザーとAIエージェントの双方が許可されたデータのみを閲覧できるようにします。SQL Firewallは、ミドル層サーバーを追加してネットワーク遅延や運用コストを増やすことなく、スケーラブルなデータベース内保護によって、不正なSQLおよびインジェクション攻撃を防ぎます。暗号のアジリティを確保するため、AI Databaseは通信中データ向けに NIST承認の耐量子暗号アルゴリズム(ML-KEM)を実装し、保存データ向けの耐量子暗号化もすでにサポートしています。

ミッションクリティカルな運用をエンドツーエンドでカバーします。Oracle Database Zero Data Loss Cloud Protectは、変更データを継続的にクラウドへ送信することでオンプレミス・データベースにリアルタイム保護を提供し、データ損失やランサムウェアからの防御を支援します。Globally Distributed Databaseは、組み込みのRAFT複製と3秒未満のフェイルオーバー(データ損失ゼロ)を備えたマルチマスターのアクティブ-アクティブ展開を実現し、超大規模要件とデータ主権要件の両方をサポートします。

結論: Oracle AI Databaseは、ミッションクリティカルなOLTPシステムとデータレイクの両方にAIを独自に提供し、すでにビジネスを支えるデータベース上で、信頼性が高く高性能なAIソリューションを容易に構築できるようにします。クラウド、マルチクラウド、オンプレミスにわたるあらゆるデータに対して、信頼できる AI 駆動のインサイト、イノベーション、生産性の提供を可能にします。新しい AI 機能は、あらゆる場所で追加料金なしで利用可能です。

Oracleは「クラウド・ファースト、開発者・ファースト」の戦略を採用しています。この戦略に基づき、以下のクラウド・プラットフォームでOracle AI Databaseを先行提供しました:

  • Oracle Autonomous Database
  • Oracle Exadata Database Service
  • Oracle Base Database Service
  • Oracle Database@Azure
  • Oracle Database@Google Cloud
  • Oracle Database@AWS
  • Oracle Cloud Infrastructure Compute VMsにインストールされたOracle Database

オンプレミス向けには、以下のプラットフォームでOracle AI Databaseをリリースしました:

  • Exadata Cloud@Customer
  • Compute Cloud@Customer
  • Oracle Exadata Database Machine
  • Oracle Database Appliance
  • Oracle Private Cloud Appliance

AI Databaseを素早く簡単に試すには、FreeSQL.comにアクセスするだけです。開発とテスト向けには、Linux x86、ARM Linux、Windows向けのOracle AI Database Freeをリリースしています。より大規模な開発とテストには、Oracle Autonomous AI Database、Oracle Exadata Exascale、Oracle Base Databaseといったクラウド・サービスの利用や、Oracle Cloud Infrastructure上で独自にOracle AI Databaseを実行すること、または当社のベータ・プログラムへの参加をお勧めします。

その他のプラットフォーム向けOracle AI Databaseの提供時期はまだ発表されていませんが、発表の際にはMy Oracle Support (MOS)Doc ID: 742060.1を更新します。Oracle Databaseのすべてのリリースおよびサポート・スケジュールについては、引き続きこのMOS文書をご参照ください。