※ 本記事は、Ludovico Caldaraによる”2X to 9X Higher Oracle Data Guard Redo Transport Throughput“を翻訳したものです。
2026年4月13日
ネットワークの速度は向上し、ワークロードは増え続けています。その結果、従来はネットワーク層に存在していたボトルネックが解消され、長年にわたり不要とされてきたソフトウェアやアーキテクチャの改善の機会が生まれました。
過去数回のRelease Update(RU)において、Oracle Data Guardではこうした改善を数多く実施してきました。それら改善点での焦点は単純で、現行の仕様においての制限となるものを見つけ出し、それを取り除くことです。
その結果、オンプレミスのExadataおよびOracle Cloud Infrastructureにおけるベンチマークテストでは、構成に応じて、REDO転送スループットが約2倍から9倍向上していることが確認されています。お客様が最新のExadata System SoftwareおよびOracle AI Database 26ai Release Updateを利用すれば、同様のメリットを享受できるものと期待しています。
あらゆる環境における明確な効果
これらの改善効果は一貫していますが、その程度は実行する場所や方法によって異なります。
ネットワーク暗号化を使用しないオンプレミスのExadataでは、REDO転送速度が約2倍に増加しました。以前は約850MB/秒で動作していたシステムは、現在最大1.6 GB/秒に達しています。
ネットワーク暗号化が必須となるクラウド環境では、その効果はさらに顕著です。AD間やリージョン間の環境において、のスループットが約4.5倍から9倍に向上しています。

効果の程度に関して、暗号化方式も重要です。TLSベースの転送は、ネイティブ・ネットワーク暗号化(NNE)よりも大幅に高いスループットを実現します。
最後に、ASYNC(非同期)転送はより効果的にスケーリングされます。複数の接続がある場合、REDO送信は基礎となるネットワークの特性(特に接続ごとの帯域幅制限)と一致する可能性があります。
この改善が重要な理由
この機能改善により、アーキテクチャを再設計することなく、REDO生成率の増加に対応するための余地が増えます。また、転送する距離が長くなっても、より一貫した低い転送ラグを実現します。さらに重要なことは、より多くのスタンバイ・データベースがある構成で保護目標を達成することができるようになります。以前は目標RPOの達成がギリギリだった構成でも、この改善によって目標RPOの範囲で動作することができるようになります。
実現までの道のり
REDO転送処理において、いくつもの異なる部分に改善を入れています。
TLSベースのトランスポートの最適化
OpenSSL 3.5の利点を活かし、TCPSプロトコルにベクトル化されたI/Oを利用することで、バッファのコピーが削減され、カーネル空間の遷移を最小限に抑えています。その結果、暗号化処理がスループットの向上に追従できるようになり、より高いスループットに対応できます。
注意: TLS Vectored I/Oは、Oracle AI Database 26aiおよび19.30以降で使用できます。OpenSSL 3.5は、現時点ではOracle AI Database 26aiでのみ利用可能です。
ASYNC REDO転送でパラレル接続が使用されるように
これによって、特にリージョン間のデプロイメントにおいて、Data Guardが使用可能なネットワーク帯域幅をより効果的に利用できるようになります。接続ごとの帯域幅を飽和させる単一の接続に依存するかわりに、ネットワーク帯域幅に合わせてスケーリングされます。
注意: ASYNC REDO転送パラレル接続は、Oracle AI Database 26ai限定機能であり、OCIではデフォルトで有効になっています。
スタンバイREDOログがExadata Flash Cacheを最大限に活用
この改善が行われる前は、スタンバイREDOログがFlash Cacheをバイパスしていたため、REDOの生成量が多い状況ではI/Oサブシステムがボトルネックとなっていました。現在では、転送層の処理速度に追従できるようになりました。これにより、Exadata上のスタンバイ・データベースはより高いREDO生成量を安定して処理できるようになります。
注意: この改善は、Exadata System Software 25.1.6以降で利用可能です。
まとめ
今回の機能改善は、暗号化、ネットワーク利用、ストレージ、内部処理など、処理経路のいくつもの部分に改善点を入れています。これらが相まって、全体的にスループットを向上させます。
Data Guardの新しい運用範囲
REDO転送のスループットは、最速のネットワーク環境により適した水準となりました。
これらの改善点は、ユーザーが意識することなく機能します。Maximum Availability Architectureのベストプラクティスに従う以外、これらの恩恵を受けるために大きな変更を行う必要はありません。
変化するのは、期待できる成果です。REDO転送率の向上、転送距離の延長、そしてより厳格な保護目標値の実現が期待できます。
