この記事は”Gregory King“による”QuickDR Sets Up Fully Automated DR for OCI Virtual Machines in a Few Minutes“の日本語翻訳版記事です。

2025年8月8日


OCI Compute に新しく追加された「QuickDR」機能により、リージョン全体の災害から仮想マシンを守る準備が、簡単かつすばやく行えるようになりました。

QuickDRを使うと、すでに存在する仮想マシンに対してリージョンをまたいだ完全自動の災害復旧(DR)を、図1のようにボタンをクリックするだけで数分以内に構成できます。

Figure 1: QuickDR is now visible on the details page for any OCI Compute virtual machine.

図1:QuickDRは、OCIの任意のコンピュート仮想マシンの詳細ページで表示されます

QuickDRはOCI Full Stack Disaster Recoveryの機能

上の図1にある「QuickDRのアクティブ化」ボタンをクリックすると、下の図2の画面に移動します。
ここでは、新しいDR構成を作成するか、既存のDR構成に仮想マシンを追加するかを選べます。

新しいDR構成に対するQuickDRを使うと、既存のOCI Compute仮想マシンに対して、災害復旧のための設定がすべて自動で行われます。
いくつか必要項目を入力するだけで、あとはQuickDRが必要な処理をすべて実行し、任意の2つのOCIリージョン間で仮想マシンの災害復旧を、3分以内で構成してくれます。

Figure 2: Use QuickDR in the compute resource page to automatically set up complete disaster recovery for any existing virtual machine.

図2:インスタンスの詳細ページでQuickDRを使うと、既存の仮想マシンに対して完全な災害復旧の設定を自動で構成

Full Stack DRに詳しい方であれば、この新機能が災害復旧に必要なすべての構成を自動で行うことがわかるでしょう。具体的には、ログ保存用のストレージバケットを作成し、DR保護グループを作成・関連付け、必要であればブートボリュームやブロックボリュームを新しいボリュームグループ(VG)に追加します。その上で、リージョン間のストレージレプリケーションを構成し、待機リージョンにネットワークが存在しない場合は新しくネットワークも作成します。

さらに、待機リージョンには、DRドリル(動作確認)、フェイルオーバー、スイッチオーバー用の完全な復旧プランも自動で作成されるため、すぐにテストや本番での災害復旧をFull Stack DRとして実行できる状態になります。

QuickDRを使って仮想マシン用のDR構成を一から作成した後は、同じ DR 保護グループや復旧プランに、他の仮想マシンを追加することもできます。また、QuickDR を使って、別の既存の DR 保護グループに仮想マシンを追加することも可能です。

Figure 3: Use QuickDR in the compute resource page to add virtual machines to existing DR Protection Groups.

図3:インスタンスの詳細ページから、QuickDR を使って仮想マシンを既存の DR 保護グループに追加することがで可能

QuickView vs QuickDR

図4に示されているOCI Computeインスタンスのページには、「QuickView」と「QuickDR」という2つの機能が連携して動作します。

既存の「QuickView」機能は、ComputeやOracle Databaseの詳細ページに表示され、対象のOCIリソースが Full Stack DR保護グループに含まれているかどうかを確認できます。

今回紹介している新しい「QuickDR」機能は、仮想マシンの災害復旧を構成するための機能です。

今後1年以内に、QuickDR機能をKubernetes Engine(OKE)やOracle Databaseなど、他のFull Stack DR対応サービスにも対応させていく予定です。

Figure 4: Both QuickView and QuickDR are visible in the resource detail pages for OCI Compute virtual machines.
図4:QuickViewとQuickDRの両方が、OCIコンピュート仮想マシンのリソース詳細ページに表示されます。

より少ない手間で、より多くの災害復旧を実現するFull Stack DR

QuickDRは、仮想マシンに対する災害復旧(DR)を簡単かつ強力に構成できる機能です。しかし、仮想マシンの復旧は災害復旧全体のほんの一部にすぎません。実際には、ストレージ技術、データベース、他のOCIサービス、ロードバランサ、アプリケーションなどを含む、ビジネス全体のシステムを復旧できるような包括的なDR構成が求められます。

QuickDRで仮想マシンのDR構成を行った後は、より高度な構成が可能な「Full Stack DR」サービスを活用することで、単に複製された仮想マシンを別のリージョンで起動するだけでなく、復旧プランを細かく調整できます。Full Stack DR は、仮想マシン単体ではなく、ビジネスシステム全体のエンドツーエンドの復旧を自動的にオーケストレーションするよう設計されています。

Full Stack DR サービスを使えば、ブロック・ファイル・オブジェクトストレージ、データベース、Kubernetesクラスタ、ロードバランサなども DR保護グループに追加できます。

QuickDR によって作成された既存の DRドリル・フェイルオーバー・スイッチオーバーの各プランは、Full Stack DRによって自動的に調整され、追加されたすべてのOCIリソースを含めた完全な復旧ステップが組み込まれます。さらに、他のOCIサービス、OCI Marketplaceアプリケーション、ユーザー管理のミドルウェア、Oracle以外のアプリケーションも含めて、停止や起動の手順をカスタマイズすることが可能です。

Figure 5: Use Full Stack Disaster Recovery for greater control over end-to-end recovery of all supported OCI resource types.

図5:Full Stack Disaster Recoveryを使うことで、サポートされているすべてのOCIリソースタイプのエンドツーエンドのリカバリをより細かく管理できます。

もっと詳しく知りたいあなたに

私たちは、新しいQuickDR機能の使い方をステップごとに解説したOracle Help Centerのチュートリアルを作成しました。この短いチュートリアルに従って、あなたのテナンシー内にある既存のOCI Compute仮想マシンの最初のDR構成を作成してみてください。

まだOCI Full Stack Disaster Recoveryの実際の動作をご覧になっていない場合は、ぜひOracle Cloud Infrastructureのアカウントチームにデモの設定を依頼してください。ドキュメントや料金情報、導入事例、動画、チュートリアル、ハンズオンラボなどの詳細情報は、OCI Full Stack Disaster Recoveryの製品ページをご覧ください。