この記事はPhilippe FierensによるFPP by Example : Introductionを日本語に翻訳したものです。

2024年1月5日


データベースやインフラストラクチャへのパッチ適用やアップグレードは、退屈な作業になり得ます。 特に適切な自動化や標準化への投資を怠ると、多くの時間を消費する可能性があります。 対象のデータベース数が拡大し、データベースのバージョン、パッチレベル、構成の差分が増えるにつれて、課題と時間の負担はさらに複雑になります。

 

2019年にMaximum Availability Architecture(MAA) Summitで実施されたOracleの調査では、多くのOracle Databaseのお客様にとってパッチ適用とアップグレードが最重要課題とみなされていることが明らかになりました。

 

Survey_MAA_Summit_2019

 

 

Fleet Patching and Provisioning (FPP)は、オンプレミスでのこれらの問題解決に役立ち、Oracle Cloud上のターゲットの管理も可能です(この記事の後半で示します)。 FPPには、エラーが発生しやすいOracle Databaseのメンテナンス・プロセスに関連する頭痛のたねや課題を解決しながら、パッチ適用とアップグレードの実施に役立つ多くの機能があります。

Fleet Patching & Provisioningと言いましたか?

長年にわたり、パッチ適用とアップグレードに関連するOracle Database機能にとても多くの機能が追加されました。 DBホームプロビジョニングとOracle Databaseのアップグレードフレームワークとして開始されましたが、コア機能を形成する自動化と標準化に対する顧客の要望により、急速に進化していきました。

初期は、迅速にオラクルホームをプロビジョニングすることに重点が置かれており、Rapid Home Provisioning (RHP)と呼ばれていました。 ただ、機能拡張されるとその名前では、フレームワークの機能をすべて表現するには不十分になってきました。 そのため、 この製品はFleet Patching & Provisioning (FPP)という名前に変更されました。

この製品は、ゴールド・イメージベースのパッチ適用と、Oracle Grid InfrastructureおよびDatabaseソフトウェア・ホーム、さらに最近ではOracle Exadata Infrastructureのアップグレードが可能なツールへと進化しました。最近では、Oracle Grid Infrastructure、Oracle Databaseホーム、さらには空のデータベースを含むExadataまたは汎用ハードウェア環境上の単一インスタンスおよびReal Application Clusters (RAC)デプロイメント用に新しいサーバーのインストールに対応しており、パッチ適用およびアップグレードに使用されるゴールド・イメージ標準に対する構成の違いを識別して、継続的な標準化を実現することもできます。

大手のお客様による数千のオンプレミスのデータベースおよびGrid Infrastructureへのパッチ適用およびアップグレードの広範囲な使用に加えて、FPPはOracle CloudのAutonomos Databaseやデータベース・サービスにも利用されています。

Autonomous Databaseでは、サービス開始以来、FPPはパッチ適用ソリューションとして利用されきました。これは元からのアーキテクチャ一部でありすべてのリージョンで本番環境にデプロイされています。 FPPは、Autonomous Database Cloud@Customerでも利用されています。

Exadata Cloud@Customer(ExaCC)では、大手通信会社のフリート・パッチ適用ソリューションとしてOracle DatabaseおよびGrid Infrastructureのパッチ適用だけでなく、数百のデータベースで構成されるフリートのアップグレード要件を満たしています。

Exadata Cloud Service (ExaCS)では、Fusion Applicationsチームによるエンドツーエンドの自動化の一部としてFPPが導入され約20,000のデータベースを含むすべてのOracle DatabaseおよびGrid Infrastructureのパッチ適用およびアップグレードのニーズに対応しています。

FPPのライセンスについてよく質問されますが、ターゲットにOracle RACまたはOracle RAC Oneライセンスがある場合、または単一インスタンス用にDatabase Lifecycle Management(DBLM) Packを持っている場合には、幸いなことにこの製品を使用するライセンスが付与されます。

次は?

ライフサイクル自動化機能がFPPには豊富にあるため、使い始めるのは容易ではありません。 この強力なソリューションをシステム全体のアーキテクチャに組み込むには、どこから手をつければよいのか判断に迷うこともあるでしょう。 FPPの使用経験を簡素化するため、私は今後数ヶ月間、FPPの例という一連のブログ投稿を公開する予定です。 このブログでは、FPPの使用開始とスピードアップをガイドし、パッチ適用、プロビジョニング、アップグレードの体験を向上させます。

ピアリング、ユーザーアクション、REST APIを使用するためのFPPの設定など、基本的なトピックからより高度なトピックまでカバーする予定です。 このブログ記事は引き続き更新され、後続のブログ記事へのリンクが掲載される予定です

 

FPPの例 : はじめに

FPPの例 パート1 : アーキテクチャ – 概要

FPPの例 パート2 : FPPサーバーのインストール

FPPの例 パート3 : ゴールド・イメージの作成

Oracle Fleet Patching & Provisioning