※ 本記事は、George Lumpkinによる”Oracle Autonomous AI Lakehouse Embraces Apache Iceberg to Deliver Open, Multicloud Data Access“を翻訳したものです。

2025年10月29日


現在、多くの組織のエンタープライズ・データ資産は依然としてプロプライエタリなデータ・ストレージにロックされており、単一のエンジンからしかアクセスできません。複数のデータ・エンジンをサポートするには、しばしばデータの重複と複雑なパイプラインの維持が必要となり、エンタープライズ・データ・アーキテクチャに非効率をもたらします。Apache Iceberg のようなオープン・テーブル形式は、完全なデータ相互運用性とデータ・ロックインの排除を約束するため、組織にとって非常に魅力的です。

しかし、オープン・テーブル形式の約束はまだ完全には実現していません。パフォーマンス、同時実行性、更新可能性、セキュリティといった領域でのIcebergのトレードオフにより、組織は依然として、複雑な分析ワークロードの実行にプロプライエタリなエンジンへ大きく依存しています。

Autonomous AI Lakehouseは、妥協のないデータ・プラットフォームを提供します—Oracle AI Database のパフォーマンス、信頼性、信頼性に、Iceberg のオープン性と相互運用性を兼ね備えています。現在、OCI、AWS、Microsoft Azure、Google Cloudで利用可能となり、Autonomous AI Lakehouseは、オープンで相互運用可能なプラットフォーム上で、組織がデータの価値を最大化できるよう支援します。

新時代のデータ管理

Icebergベースのプラットフォームは、そのオープン性で知られ、オープンソースのツールや分析エンジン(Spark など)との互換性に加え、スケーラブルで低コストなオブジェクト・ストレージ上でParquet、CSV、JSON、Avroといった一般的なデータ形式をサポートします。Oracleのデータ・プラットフォームは、コンバージド・アーキテクチャにより、主要なあらゆるデータ型と高度な SQL分析をサポートし、セキュアで高性能なExadataシステム上で動作することで、エンタープライズの信頼を獲得してきました。

Oracle Autonomous AI Lakehouse
図1: Oracle Autonomous AI Lakehouse

いまやOracle Autonomous AI Lakehouseにより、組織はオープン性のためにパフォーマンス、信頼性、あるいは信頼を犠牲にする必要はありません。両者の長所を同時に手にできます。

データの統合とAIの加速

Autonomous AI Lakehouseは Autonomous Data Warehouseの次世代製品です。40年以上のイノベーションを重ねたOracle AI Databaseプラットフォームの全機能を継承し、Icebergやその他のオープンソース技術と緊密に統合する新機能を多数導入しています。たとえば「カタログのカタログ」であるAutonomous AI Database Catalogは、Databricks Unity、AWS Glue、Snowflake Polarisといったカタログを含む、クラウドやプラットフォームをまたいでデータとメタデータを簡単に発見・接続・統合できるようにします。これにより、チームは場所を問わず、すべてのエンタープライズ・データ資産を迅速に発見、アクセス、分析できます。ネイティブなIcebergサポートは、データ移動やベンダー・ロックインなしに、あらゆるIcebergテーブルへのプラグアンドプレイの高性能SQLアクセスを提供します。クエリの実行中は、Autonomous AI Database Data Lake Acceleratorがコンピュートとネットワーク帯域を動的にスケールし、柔軟な従量課金で高速かつ効率的なクエリを実現します。

Oracle Autonomous AI Lakehouseの主な新機能は次のとおりです:

カタログとレイクハウスのメタデータ

  • Autonomous AI Database Catalog: 複数のクラウドやオンプレミス資産にまたがるエンタープライズ・データの統一ビューを取得。データレイク、ウェアハウス、データ共有、既存カタログへのシンプルな接続により、迅速なデータ発見、強化、コラボレーションを実現します。
  • プラグアンドプレイのSQLアクセス: カタログ接続を介した新しいシンプルなSQL構文で、Icebergや他のカタログ(AWS、Databricks、Snowflake など)内のデータを即座にクエリし、データ移動ゼロで高速なインサイトを提供します。

Icebergテーブル向けパフォーマンス

  • Autonomous AI Database Data Lake Accelerator: アクセラレータが自動かつ透過的に追加のネットワークおよびコンピュート資源を割り当てて速度を最適化することで、Icebergテーブルやオブジェクト・ストア・データに対する大規模クエリを効率的に実行。コストは従量課金で最適化され、クエリ実行中に有効化、終了後に無効化されます。
  • Exadataテーブル・キャッシュ: よくアクセスされるテーブルをOracle Exadataのフラッシュ・ストレージにキャッシュし、ネイティブなExadataテーブルに匹敵する性能でIcebergデータを高速化します。

AIイノベーション

  • Select AI Agent: Autonomous AI Database内のシンプルでセキュア、スケーラブルなフレームワークを用いて、AI搭載エージェントを構築・デプロイ・管理。カスタムおよびプリビルトのPL/SQL ツール、REST経由の外部ツール、MCPサーバーを通じて複数段のワークフローを自動化し、迅速な AIイノベーションを推進します。
  • Data Science Agent: 事前構築済みの AI アシスタントを使って、データ・カタログの検索、データ準備と探索、主要なインサイトの発見からアクション可能な示唆への変換までを、自然言語で実行します。

データ統合と共有

  • Oracle GoldenGate for Iceberg: 運用系や分析系を含む数百のソースからのデータをリアルタイムでIcebergに直接ストリーミングし、Autonomous AI Lakehouseを用いた分析を可能にします。
  • Autonomous AI Database Table Hyperlink: 一時的なダイレクト・リンクで、最新データを組織内外とセキュアに共有。データ・プライバシーを保護しつつコラボレーションを効率化します。

「お客様からは一貫して、保有するデータの上で既存のツールを使いたいという声をいただいています。Databricksは分析とAIにおけるオープンで相互運用可能なデータアクセスにコミットしており、Unity CatalogはApache Icebergのようなフォーマットに対する統合的なガバナンス層を提供することでそれを可能にします。Oracle Autonomous AI LakehouseのUnity Catalogとの統合を歓迎します。これにより、共通のお客様はデータへシームレスにアクセスでき、OracleとDatabricksを組み合わせて柔軟に活用できるようになります。」- Stephen Orban氏(SVP、製品エコシステム&パートナーシップ、Databricks)

すべてのデータからより深いインサイトを

本当に重要なのは、実行可能なインサイトを得られるときだけです。Oracle AI Lakehouseは、コンバージド・データ・プラットフォームに基づき、Icebergテーブルに対して広範な新機能を解放しました。Oracle AI Lakehouseは、Icebergテーブルに対して Oracle AI Databaseの強力な機能を余すところなく提供します。AI Vector Search、グラフ分析、空間分析、機械学習、JSONリレーショナル・デュアリティ・ビューなどの高度な分析やアプリ開発機能を、Icebergテーブル上で活用できます。Icebergデータに自然言語で質問し、Select AIを使ってエージェント型ワークフローを作成することも可能です。

オラクルの差別化要素: 妥協なきレイクハウス

Autonomous AI Lakehouseは、以下の3つの重要な領域でメリットを提供します:  

  • オープンかつ相互運用可能:  Autonomous AI Lakehouseは Icebergテーブルを完全にサポートし、データ・ロックインのないデータ・プラットフォームという組織のニーズに応えます。さらに、採用するクラウド・プラットフォームの選択においてもオープンです。組織が現在利用しているクラウドが AWS、Azure、Google Cloud、OCIのいずれであっても、Autonomous AI Lakehouseを利用し、Databricks、Snowflake、その他あらゆるプラットフォーム上のIcebergテーブルに接続できます。
  • 妥協のないレイクハウス: Autonomous AI Lakehouseは Icebergのオープン性を採用しつつ、Oracle AI Databaseのパフォーマンス、信頼性、信頼を組み合わせています。さらに、オンプレミスのデータ・ウェアハウスをレイクハウスへと進化させ、Icebergを採用するための理想的なプラットフォームを提供し、各組織のペースで段階的に移行できます。
  • AIによる運用: Autonomous AI Databaseは、オンプレミスでもクラウドでも、運用系・分析系を問わず、すべてのOracle DatabaseからIcebergテーブルにアクセスできます。これにより、組織はIcebergデータセットに潜むインサイトを引き出し、組み込みのAIとアナリティクスを用いて基幹の運用システムへ統合できます。コア業務プロセス内で、Icebergとトランザクション処理システムをここまで直接的に統合できるベンダーは他にありません。
Autonomous AI Lakehouse benefits
図2: Oracle Autonomous AI Lakehouseの利点

次世代のデータ管理を体験する準備はできていますか?

Autonomous AI Lakehouseのページ(oracle.com/ai-lakehouse)を訪れ、技術ブログを参照するか、Oracle Autonomous AI Lakehouseを無料でお試しください。エンタープライズ・データから新たな価値を今すぐ引き出す方法をご確認いただけます。

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