※ 本記事は、Michael Hichwaによる”Oracle APEX AI Application Generator: Bringing AI to Enterprise App Development“を翻訳したものです。
2026年10月13日
ご存じのとおり、AIはアプリケーションの構築方法を変えつつあります。開発者、ビジネス・アナリスト、および事業部門チームは、IT部門の関与の有無にかかわらず、アプリケーション開発を加速するためにAIを活用していることは明らかです。
しかし、企業にとって、スピードは考慮すべき要素の一部にすぎません。また、業務を支えるアプリケーションは、セキュアで、ガバナンスが適用され、監査可能で、保守可能であり、既存のデータ、開発、デプロイメント・プロセスと統合されている必要もあります。
これにより、重要な疑問が生じます:
セキュリティ、データへのアクセス制御、運用ガバナンスを維持しながら、ビジネス・ユーザーと開発者がAI生成アプリケーションを構築できるようにするには、どうすればよいでしょうか。
Oracleでは、その答えは単にコードをさらに生成することではないと考えています。そもそもAIに何を生成させるべきかを見直す必要があります。
本日、Oracle APEX 26.1の一部として、Oracle APEX AI Application GeneratorがOCI上のAutonomous AI Database Serverlessで利用可能になったことを発表できることをうれしく思います。これは、AIを使用してエンタープライズ・アプリケーションを設計、構築および保守するための新しいアプローチです。
その中核となるのがAPEXlangです。APEXlangは、AIエージェントが完全なデータ中心型のアプリケーションを生成できるようにする新しいアプリケーション定義言語 (ADL)です。アプリケーションは数千行のソース・コードではなく、構造化されたアプリケーション定義として抽象化されます。その後、Oracle APEXは、管理された実行環境でこれらの定義をコンパイル、実行します。
Oracle APEXは、20年以上にわたり、数百万ものセキュアでデータ中心のエンタープライズ・アプリケーションをOracle AI Database上に構築することを支援してきました。Oracle APEX 26.1では、企業が依存するガバナンス、セキュリティ、信頼性、メンテナンス性を維持しながら、その基盤をAI時代に拡張しています。
APEXlangの概要
APEXlangは、Oracle APEXアプリケーションの完全な定義を表します。ページ、ナビゲーション、フォーム、レポート、ダッシュボード、ビジネスロジックを、人が読める構造化された宣言的な形式で記述します。この定義は、企業のほかの開発成果物と同じように、生成、レビュー、バージョン管理ができます。これは、AIがアプリケーションの意図と構造を生成することを意味します。企業が独自に保護および保守しなければならない何千行もの実装コードを生成するのではありません。

図1: APEXlangとアプリケーションの例
SQLにたとえるとわかりやすいでしょう。開発者はSQLを使用してデータに対して何を行いたいかを記述し、Oracle AI Databaseがそれらの操作をどのように実行するかを決定します。
APEXlangは、アプリケーションに同じ考え方を適用します。AIエージェントは、実装コードを生成するかわりに、アプリケーション定義を生成します。Oracle APEXは管理された実行環境でその実行を処理するため、プラットフォームは一貫性と運用のベスト・プラクティスを引き続き適用できます。アプリケーションは、Oracle AI Databaseが提供する基礎的なデータレイヤーのセキュリティも継承し、Deep Data Securityなどの機能を簡単に活用できます。
AIを活用したアプリケーション開発のための別のモデル
ほとんどのAI支援開発は、使い慣れたパターンに従います。開発者はプロンプトを記述し、AIはソース・コードを生成し、開発者はそのコードのレビュー、保護、テスト、デプロイおよび保守を担当します。
Oracle APEXは、別のアプローチをとります。AIは実装コードを生成せず、管理された実行環境で実行される抽象化されたアプリケーション定義を生成します。
このようにして、AIはアプリケーション定義の生成を担当しますが、アプリケーション・ランタイムの実行は担当しません。企業はAIによる生産性向上を享受しながら、大規模な運用で実績のあるOracle APEXとOracle AI Databaseを引き続き利用できます。どちらも、世界中の企業でミッションクリティカルな業務を支えてきたプラットフォームです。
APEXlangは宣言的で、定義された文法によって制約されるため、AIが生成する低レベルの実装詳細を減らすことができます。これは攻撃の対象になり得る箇所を減らすことにつながり、プラットフォーム側で一貫してガードレールを強制しやすくなります。
また、APEXlangは、公開された文法を含む文書化されたドメイン固有の言語であり、AIエージェントは無制限の実装コードを生成するのではなく、明確に定義された境界内で動作します。定義は抽象化されていて、人が読みやすく、ソース管理やコード・レビュー、環境間の転送、ロールバックおよび標準の開発成果物ベースのライフサイクル・ソース制御に適しています。
AIワークフロー向けに設計されたアプリケーションの複数の構築方法
APEXlangは、公開ドキュメントに加え、文法、サンプル、公開スキルが用意されており、主要なAIモデルがAPEXlangの生成を直接学習できるようになっています。
1つのアプリケーション定義。複数の開発経験。
Oracle APEXを使用してアプリケーションを開発するには、次の3つの方法があります:
- ローコード、AIを活用したアプリケーション・ビルダー
ドラッグ&ドロップやクリック操作、ウィザード、AIアシスタントを利用し、アプリケーションの構成要素を画面で確認しながら、AI対応のアプリケーション・ビルダーで開発します。
- ネイティブAIエージェントの使用
Codexなど、業界最高かつ最も能力の高いAIコーディング・エージェントを活用して、仕様からアプリケーションを生成したり、対話を重ねながら少しずつ形にする「バイブコーディング」のような開発を進めたりできます。これは、組織が新しいAIエージェントをすぐに活用できるようにするため、特に重要です。
- 拡張機能を使用したVS Codeの使用
Oracle SQL Developer for VS Code Extensionを活用して、AIによる生成を活用した開発に加え、コードレビュー、差分の確認、マージを行います。AIが何を変更したのかを確認するうえで、最も適した方法です。生成されるアプリケーション定義は、人が読めるテキスト形式なので、開発者はAIによる変更内容と差分をデプロイ前に確認し、レビューして承認できます。
さまざまなオプションの比較をご覧ください:

図2: Oracle APEXアプリケーション開発パス
どの開発方法やAIモデルを使っても、基になるアプリケーション定義は共通です。
会話によるアプリケーションの構築
直接の高制御実装ではなく、自然言語からの抽象化レイヤー(APEXlang)へのアプリケーションの生成により、組織はより一貫性のある宣言的なアプリケーション成果物を生成できます:
「優先度別の割り当て状況を示すグラフを追加して」
「アプリケーションをスペイン語に翻訳して」
「顧客の注文に関する質問に答えるAIエージェントを追加して」
「すべての『変更の適用』ボタンを『保存』に変更して」
AIコーディング・エージェントは、こうした依頼を解釈して、APEXlangベースのアプリケーション定義を追加または更新します。
開発者は、APEXlang構文を習得する必要がありません。対話型で作業できるため、実装の詳細ではなく、ビジネス上の意図に重点を置くことができます。
Oracle APEX 26.1の追加AI機能
また、Oracle APEX 26.1では、アプリケーションにAI機能を直接追加する新しい方法も導入されています。開発者は、アプリケーション開発者が定義したツールと機能に基づいて、対話形式でAIエージェントを構築できます。これにより、エージェントは、アプリケーションが提供する業務機能を使い、目的に沿って、管理された範囲内で企業データを操作できます。
また、AI対話モードレポートも紹介しています。ユーザーは、「売上を地域別にピボット集計して」「北欧のデータを表示して」「顧客数で並べ替えて」といった自然言語でレポートを操作できます。
Oracle APEXが依頼をレポートの操作に変換するため、ユーザーが画面上の設定を手動で変更する必要はありません。
エンタープライズ・アプリケーション開発における意味
AIがアプリケーション開発を支援できることは、すでに明らかです。今、問われているのは、企業の要件を満たすアプリケーションの開発に、AIをどう役立てるかです。
Oracle APEX AI Application Generatorを使用すると、AIエージェントの機能を最大限に活用して、企業利用に求められる品質を備えた、データを中心とするアプリケーションを生成できます。
何よりも、企業は、すでに使用しているAIコーディング・エージェント(Codexなど)をそのまま活用でき、生成された成果物も、企業の既存のソース管理基準に従って管理できます。成果物を、ソース管理とレビューから、テスト、本番環境へのデプロイ、ロールバック、復旧まで、既存の開発ライフサイクルを通じて扱えます。つまり、企業は、データガバナンス、セキュリティ、信頼性、および運用の一貫性を維持しながら、より迅速にイノベーションを行うことができます。
実装コードのかわりに抽象化されたアプリケーション定義(APEXlang)を生成すると、企業は技術的負債を削減しながら、最新のAIコーディング・エージェントを活用できます。
アプリケーションは管理されたAPEXの実行エンジン上で動作するため、何年も前に構築したアプリケーションでも、最新のパッチや更新が適用されたプラットフォーム上で動かせます。その結果、生成されたアプリケーションは、書き換えや再生成を必要とせずに、最新の機能やセキュリティ更新、プラットフォームの改善を継続して利用できます。企業が維持するのは、AIが生成した大量の実装コードではなく、アプリケーションで何を実現するかという意図です。
リソース:
- 詳細はこちら: https://www.oracle.com/apex/
- 文書化されている言語および文法: https://docs.oracle.com/en/database/oracle/apex/26.1/apxln
- パブリック・スキル: https://github.com/oracle/skills
- 例: https://github.com/oracle/apex/tree/26.1
