「資格王者」の裏にある、幅広い知見と大規模案件を支えるエンジニア魂
~Oracle Certification Award 5年連続受賞!“教え合い”が生む組織力と現場力~

 

こんにちは、OPN事務局です。今回は、Oracle Certification Awardを5年連続で受賞され、Oracle認定資格者数トップを誇るエンジニア集団である株式会社NTTデータ先端技術(以下、先端技術)様の中から、吉本 貴幸様、長瀬 彬様にスポットライトを当てご紹介します。
大規模案件を支える幅広い知見や“教え合い”の文化、現場で培われる組織力とエンジニア魂など、さまざまなお話をお届けします。

 

 

OPNEng22s

株式会社NTTデータ先端技術

基盤ソリューション事業本部
チーフ
吉本 貴幸様

基盤ソリューション事業本部
チーフ
長瀬 彬

 

▼現在の仕事内容についてお聞かせください。
吉本様:

お客様のビジネスが大きく成長できるよう、技術でしっかり支えることを目指して、親会社であるNTTデータと一緒に日々活動しています。担当しているのは、オラクル製品のプリセールス業務です。具体的には「現行システム基盤の分析」「次期基盤のアーキテクチャ案策定」「製品選定・PoC」「開発スケジュールや概算の検討」などを行っています。ご支援の際は、製品の販売だけでなく、役務やマネージドサービス、保守、さらにはデータセンター工事まで、部署の垣根を越えて幅広くご提案しています。

また、組織全体の技術力を高めるために、社外イベントへの参加や案件対応で得た知見を、勉強会やアセット作成を通じて担当内に還元する活動もしています。社内勉強会では、メンバーが順番に発表を担当し、提案や構築の現場で役立つ情報を共有しています。案件で得た知見やトラブル対応の事例、社外イベントでのフィードバックなどを持ち寄り、組織全体の技術力アップを目指しています。
新卒入社時から「教え合う文化」が根付いていて、こうした勉強会はずっと続いています。気づきを共有することで、知らなかったことによる手戻りを防げるのも大きなメリットです。

長瀬様:
お客様環境の Private Cloud Appliance の維持運用業務と、Oracle Database / Oracle Cloud Infrastructure (OCI) 関連のサービス開発・提供を行っています。また、社外イベントへの参加や業務の中で得られた情報や知見を、社内勉強会やアセット作成を通じて担当内外に還元する活動、及び登壇等の外部発信も行っています。
以前からお互いフィードバックをし合ってはいましたが、勉強会という形になったことで、聞いたことがある内容でトラブルや被害拡大をより防げるようになってきました。各自が得たものをフィードバックすることで、リレーの関係ができてきたと思います。

▼これまで手掛けてこられた仕事内容についてお聞かせください。
吉本様:

2013年にインフラエンジニアとして新卒入社して以来、ご縁をいただき、オラクル製品に関する業務を担当しています。現在、入社13年目になります。
これまで7年間はデータベースの専門組織に所属し、オラクル製品のサポートやサーバ導入に携わってきました。特に、Exadataをはじめとするデータベースアプライアンスの導入(設計・構築・試験)を経験しました。
その後は営業の役割にシフトし、オラクル製品の販売促進企画や販促物の作成、NTTデータグループ内でのOCI認知度向上に向けた施策、自社の認知度向上を目的としたウェビナーの企画・登壇など、幅広い業務にチャレンジしています。

長瀬様:
2008年に新卒入社(2010年に転籍)以降数年間は、Oracle Database を中心とした Oracle 製品のサポートを行っていました。今の会社では16年目になります。
サポート業務を実施する中で、お客様への付加価値の提供を目的として Oracle Database に関わるサービスの開発・提供や構築等の活動を行っていました (Oracle Database の定期的な性能診断/Oracle Database のセキュリティ診断/リモート監視/Oracle Database・OCIの環境構築・移行等) 。

もともとOracle Databaseの性能診断やセキュリティ診断、リモート監視に携わっており、その中でOCI/Base Database Serviceの絡みから、有識者としてOCI関連のサービスにも関わるようになりました。現在は、Oracle Databaseを使っているプロジェクトがどこに移行すべきなのかという点において、サービスの開発や提供を実施しています。

OCIはまずネットワークを作ってそこに載せていくので、ネットワークの知識を身に付けていかなければならないと考えています。幅広く周辺の技術も身に付けて、トータルのサポートができるエンジニアになっていきたいと思います。

▼生命保険会社様向けOCI提案・構築での取り組みについてお聞かせください。
●生命保険会社様向けOCI提案・構築での取り組みについて、プロジェクトの概要をお聞かせください。

生命保険会社様向けの基幹系システムの保守切れをきっかけに、データベース基盤としてExaDB-C@Cを採用しました。契約者向けの保険金支払い業務など、重要な業務を継続して提供できることに加え、最新のアーキテクチャを活用したスケーラブルなサーバ基盤をご希望されていました。

ITコストの中でも無視できないデータベースライセンス費用の最適化を目的に、パブリッククラウドに関心をお持ちでしたが、金融業界の特性上、データの保管先に制約がありクラウド化に踏み切れない状況でした。そこで、OCIでしか実現できないオンプレミスにハードウェア筐体を貸し出し、データベースライセンスの最適化を可能にするExaDB-C@Cをご提案し、最適解として導き出しました。

データベースに関する困りごとを伺ったことをきっかけに、関連するネットワーク基盤や仮想化基盤、保守にかかるマネージドサービス、データセンター工事まで、弊社が一括で受注することができ、大規模プロジェクトへと成長しました。プロジェクトには40~50人ほどのメンバーが関わり、関係部署も多岐にわたるため、調整が難しい場面もありましたが、密にコミュニケーションを取りながら進めることで、事業部横断型プロジェクトを成功させることができました。
お使いになっていたシステムの保守切れをきっかけに、提案フェーズが約2年、その後構築フェーズにバトンタッチして半年という期間で、NTTデータと分担しながら導入を進めました。


●プロジェクトにどのような形で参加されましたか。
吉本様:

データベース基盤のプリセールスとして案件に参画しました。お客様への提案活動やベンダーコントロールに加えて、顧客営業や他領域の担当者(ネットワーク、仮想化、データセンター工事、保守)とのコミュニケーションが円滑に進むよう、ハブとなる役割も担っていました。

長瀬様:
OCI のネットワーク、Identity、ExaDB-C@C部分を中心とした設計・技術支援の担当として参画しました。設計を進めつつ、メンバーへのOracle Cloud の技術面のフォローも行い、品質向上に貢献しました。

●プロジェクトに取り組むにあたり、個人としてどのようなスキル等の準備をしていますか。
吉本様:

提案する製品やソリューションのコンセプトを、フレームワークを活用して分析・把握し、訴求ポイントを定めて効果的な売り方を検討しています。
今回ご提案したExaDB-C@Cでは、コスト削減に課題を感じているお客様への解決策として考えていました。そのため、保有されているライセンス種別や数量を仮定したシナリオを作成し、システムのライフサイクルを考慮した長期的なコストシミュレーションを実施しました。検証したコスト優位性をグラフで可視化し、お客様の社内で回覧できる形に資料を整理することで、検討活動の本格化を後押しできるよう準備しています。
また、最新技術の知識を収集するため、社内外のイベントへの参加やパブリッククラウド関連のマニュアル情報を日々確認しています。特にOCIでは、マニュアルに反映される前の製品仕様に関する情報がOracle Cloud Infrastructure Blogに公開されることもあり、参考にしています。

長瀬様:
お客様システムを実現・構築・運用していくための課題を明確化し、プロジェクト関係者との調整を行いつつ主に技術的な側面から課題解決を行っています。また、最新技術知識の収集のために、社内外イベントへの参加やOracle Cloudのマニュアルや技術情報を日々確認しております。Qiitaやオラクル社提供のSpeakerDeck、Oracle Cloud Infrastructure Blog等で公開されている情報等も技術・仕様を多方面から確認し理解を深めるために有用です。


●プロジェクトに取り組むにあたり、特に苦労された点/工夫された点を教えてください。
吉本様:

弊社でExaDB-C@Cを導入した案件はいくつかありましたが、管理サーバ(CPS)とOCI間を専用線で接続する事例はなく、どのような準備や事前作業が必要なのかを正確に把握するのに苦労しました(当時の国内では珍しいケースだったと考えています)。

事前作業の中で特に考慮が必要だったのは、CPSが利用するDNSやOracle Service Network(OSN)へのアクセス経路の確保です。最終的にはOCI上に空のVCNを用意し、その中にプライベートDNSを作成。オンプレミス側のCPSからプライベートDNSを参照させることに加え、OSNへのアクセス経路をルーティングして確保する設計に落ち着きました(トランジットルーティング)。

検討にあたってOCIの社内事例はありませんでしたが、他社クラウドで類似のネットワーク構成が可能ではないかと考え、有識者に相談しました。さらに、OCIの仕様に関する情報を調査し、図に整理したうえでオラクル社にアドバイスをいただき、構成の精度を高める工夫をしました。

ExaDB-C@Cでは、一般的な「発注後にサーバ製造開始」というプロセスとは異なるため、独自の注意点があります。配置先のデータセンターやネットワーク構成の準備が整っていることを客観的証跡で示し、オラクル社の立ち会いヒアリングで証明できなければ製造を開始できません。不備があると製造が遅れ、プロジェクトに影響するため、事前準備の精度を高めることに努めています

また、弊社ではフェーズが異なる部門間で情報共有を密に行う仕組みがあります。顧客営業、構築役務、プリセールスの3者が定期的に集まり、お客様への提案状況などを常に情報連携しています。
受注確度が高いお客様の構成検討では、プリセールス対応の早い段階から構築役務メンバーにも情報共有し、現場目線の声を取り入れることで、精度の高い構成を目指すことができています。

長瀬様:
管理サーバ(CPS)-OCI間を専用線接続する構成となりましたが、このケースにおける詳細な公開情報が少なかったため、詳細設計・パラメータ設計と進めるにあたり正確な情報を得るために苦労しました。複数の公開情報やオラクル社への問い合わせを経て情報を収集し、詳細な設計を固めることができました。どの情報とどの情報を合わせると今回のケースに使えるのか、どれが確かな情報かをオラクル社に問い合わせして確認することで、実際の構築に繋げていきました。

設計が始まってからでもお客様の過去の発言を確認するなど、密にコミュニケーションを取りやすい関係づくりに注力しています。お客様の本音を聞き出す、お客様と話し合ったりする必要があるときの対応について、部署間のシームレスな連携でお客様に安心してお任せいただけたのではないかと感じております。

●関連リンク
・AIのためのデータ活用プラットフォーム「Oracle Database 23ai」 移行支援サービスの提供を開始

https://www.intellilink.co.jp/topics/news_release/2024/110500.aspx

・INTELLILINK クラウドリフトコンサルティングサービス for OCI
https://www.intellilink.co.jp/business/platform/cloud-lift-consulting.aspx


▼ご自身がこれまでに取得したOracle認定資格を教えてください。
吉本様:
取得済み:

・ORACLE MASTER Gold Oracle Database 12c
・Oracle Certified Expert, Oracle Database 12c: RAC and Grid Infrastructure Administrator
・Oracle Certified Expert, Oracle Exadata X3 and X4 Administrator
・Oracle Cloud Infrastructure 2024 Certified Architect Associate
・MySQL HeatWave Implementation Certified Associate Rel 1

長瀬様:
取得済み:

・ORACLE MASTER Gold Oracle Database 12c
・Oracle Cloud Infrastructure 2024 Certified Architect Professional

▼今後のキャリアプランをお聞かせください。
吉本様:

OCI領域の有識者としてプレゼンスを高め、特にご支援させていただく機会が多いNTTデータグループ内で、自身の認知度を向上させたいと考えています。
オンプレミスが主流だった時代は、データベース領域に閉じた対応が多かったのですが、OCIではネットワークやセキュリティなど幅広い知見が求められるようになり、まさに総合格闘技のようだと感じています。
精度の高いアーキテクチャ案を策定できるよう、今後も技術領域の幅を広げる取り組みを継続していきます。

長瀬様:
Oracle Database、Oracle Cloud Infrastructure に限らず周辺技術も身に付け、幅広い対応ができる技術者になっていきたいと考えています。

▼同じエンジニアの皆さまへメッセージをお願いいたします。
吉本様:

外部環境の変化が激しく、現状維持したくなる気持ちが生まれることもありますが、コンフォートゾーンから一歩外に出ることで、仕事の幅や質に少しずつ変化が出てくると思います。
はじめは小さな変化かもしれませんが、一年後に振り返ると、大きな成長につながっていることは間違いありません。試行錯誤を繰り返しながら、一緒に頑張っていきましょう。

長瀬様:
Oracle に限らず Cloud や関連技術については変化が激しく、常に情報を収集していないとすぐに取り残される感覚があるかもしれません。しかし最新の情報を収集する必要があるということ自体は変化の激しさに限らない技術者の宿命でもあると思います。情報の収集や発信について、共に頑張っていきましょう。


▼お二人の上司の方々にお伺いします。
※荒井智也様・山本武史様にお伺いしました。
●株式会社NTTデータ先端技術が、会社/部門としてコンサルタント/エンジニアを育成するにあたって心がけておられることをお聞かせください。
荒井様:

以下、コンサルタント育成目線での回答になります。
お客様がどの様な業界、業務に従事されているか、どのようなシステムをご利用いただいているのか、その上でどのような課題をお持ちかという部分を理解する事が最も大事だと思います。まずそこが最初のスタートとなり、お客様に伴走しながら、お客様の企業理念や、経営計画も確認し、最適なご提案が出来るよう、自分ごととして、当事者意識を持って対応をすることが大事だと考えます。お金をいただいている立場ですが、お客様を知り、課題解決のために提案に落とし込み、お客様の社員の気持ちで取り組むよう心掛けています。
本人も話していたように、精度の高いアーキテクチャ案を策定できるよう、今後も吉本さんには情報の裏取りを重視し、構成が絵に描いた餅にならないよう努めてほしいと思います。


山本様:
以下、エンジニア育成目線での回答になります。
当社では、エンジニアの育成において「学ぶ・実践する・発信する」の3つを大切にしています。
学ぶ環境として毎年OCI資格取得に挑戦できる仕組みを整え、OCI/PaaS分野では5年連続で国内第一位の資格保有数を達成しています。資格取得は技術基盤を固める大切な一歩だと考えています。
 
一方で、資格だけでは不十分と考え、実際の開発プロジェクトへの参画を通じて「現場力」を磨くことを重視しています。お客様と向き合う中で培われる判断力や問題解決力こそが真の成長につながります。

さらに、現場経験や社内検証を通じて得た知見はイベント登壇やQiita等を通じて社内外へ積極的に発信するよう促しています。この「知識習得・実践経験・情報発信」のサイクルにより、エンジニア一人ひとりが持続的に成長できる環境づくりを心がけています。
技術共有は毎月開催の社内技術定例で行っています。コンサルタントとエンジニアも集まっており、資格のテーマで勉強会をすることもあります。勉強方法などを教え合って底上げする文化が育っていると思います。

長瀬さんには、引き続きOCI大規模案件に果敢に挑戦し、さらなる成長を期待しています。

●NTTデータ先端技術様の今後のOCIビジネスの取り組みについてお聞かせください。
弊社の強みは、コンサルから始まってデリバリー、保守に至るまで一気通貫でお客様をサポートできること、そして大規模案件の実績と対応力だと考えています。

クラウド、OCIへのリフトにともなうシステムコンサルティングやPoC支援、その後続のシステム構築や運用のみならず、データベースだけではなく、コンテナ技術やローコード、ノーコード開発基盤への理解を深め、お客様のビジネスに貢献できるようにしていきたいです。

 


【OPN編集後記】

今回は、株式会社NTTデータ先端技術様から、吉本 貴幸様、長瀬 彬様のお二人のエンジニアに、お話を伺いました。立場の違うお二人のお話の中から、大規模システムの開発・運用実績に裏打ちされた高い信頼性、ハードウェアに依存しない柔軟性、コンサルティングからシステム運用まで一貫して提供できる総合力、そして先進技術を活用した革新性など、Oracle認定資格者数トップを誇るNTTデータ先端技術様の強みの源を垣間見させていただきました。

お二人が今後ますますご活躍されますよう心よりお祈りしております!