ゲーム開発をきっかけにOCIのエキスパートへ
~フルリモート環境下でプロジェクトを成功へ導く~
こんにちは、OPN事務局です。今回は、CLINKS株式会社(以下、CLINKS)様から、ゲーム開発をきっかけに、OCI(Oracle Cloud Infrastructure) に取り組むエキスパートエンジニア、舞弓 勇斗様にスポットライトを当てご紹介します。
データベースのご経験を活かし、フルリモート環境下でもOCIにスムーズにキャッチアップされている工夫や取り組みについて、さまざまなお話を伺いました。

CLINKS株式会社
クラウド推進事業本部
Development&Construction事業部
舞弓 勇斗 様
▼現在の仕事内容についてお聞かせください。
「MinutesGames」という、ユーザーが自作ゲームを投稿・共有し、他のユーザーがプレイできるWebサービスのバックエンド開発を約1年ほど担当しています。
Webサービスやスマートフォンアプリから利用される各種APIの設計・実装を中心に、ユーザー認証やセッション管理、ゲームのアップロードや配信管理、アクセス制御、ユーザー行動ログの収集などを手がけています。
また、行動ログをもとにレコメンド機能向けの学習データを生成する仕組みの開発にも関わっており、ユーザーの行動データを活用し、より利用しやすいサービスとなるよう機能面の改善を行っています。
▼OCIにはどれくらいの期間携わられていますか。
OCIには約1年前から携わっています。
現在担当しているサービスのバックエンドはOCI上に構築されており、主にその環境でのAPI開発やデータ連携、機械学習用データの整備などを行っています。
これまで Oracle Database、Javaや他社データベース製品に触れてきました。
▼これまで手掛けてこられた仕事内容や主なプロジェクトについてお聞かせください。
これまで主に業務系の社内システムの開発に携わってきました。
エンドユーザー向けのサービスに関わるのは、現在担当している「MinutesGames」が初めてです。
▼ご担当のプロジェクトについてくわしくお伺いします。
●プロジェクトの概要をお聞かせください。
「MinutesGames」は、ユーザーが自作ゲームを投稿し、それを他のユーザーがプレイ・閲覧・コメントできるサービスで、現在手掛けている開発プロジェクトです。
某SNSのようにタイムライン上にゲームが流れ、多種多様なゲームをユーザーは遊ぶことができます。
●プロジェクトにどのような形で参加されましたか。
担当エンジニアとして、主にバックエンド機能の設計、実装を行いました。
バックエンドの代表としてフロント側(スマートフォンアプリ)の担当者や企画チームとも頻繁なコミュニケーションを行いAPIの設計やOCI上のサービスでどのように実現できるも提案しつつプロジェクトに参加しておりました。
チーム編成としては、全体で10人ほど、私を含む基盤については4名で、うちOCI経験者は2名という体制でした。OCIをキャッチアップするために、チームとしてまず触れて試してみてわかったことを共有し、トライ&エラーを重ねました。サポートに問い合わせたり、外部サービスと連携させたりしながら知識を蓄えていきました。
OCIの資格取得も並行していたので、資格学習を通してキャッチアップしていた面もあります。
●プロジェクトに取り組むにあたり、個人としてどのようなスキル等の準備をしていますか。
事前にOCIの使い方を把握しておくために、無償アカウントで構成を試して、Self-Paced Labsで基本的な操作を学びました。総じてわかりやすいドキュメントだったかと思います。
公式のOCIドキュメントの中から特に必要となりそうなサービス(OCI FunctionsやMedia Serviceなど)の読み込みを行なっておりました。
●プロジェクトの中で、特に工夫された点/苦労された点を教えてください。
Oracle NoSQL Databaseを使うのは初めてだったこともあり、当初はリレーショナルデータベース(RDB)的な発想で設計を進めてしまいました。
主キー以外の項目ではテーブル同士を結合できないことや、クエリの制約に戸惑う場面が多く、設計の考え方を切り替えるのに苦労しました。
正規化よりも、あえて冗長にデータを持たせる必要があるなど、これまでの経験とは異なる判断が求められる部分も多くあります。
現在も最適な構成とは言い切れませんが、試行錯誤を重ねながら改善を続けています。一人でまとめていくのは簡単なことではありませんでしたが、お客様にご納得いただける地固めとして大切なプロセスだったと思います。
●他社クラウドからの移行にあたって、比較してOCIの優位性を感じた面についてお聞かせください。
OCIで感じたのは強力なコストメリットと拡張性です。
以前使用していた他社クラウドと比較して、全体で約40%のコスト削減を実現しました。
また、OCI Media Service のストレージ使用量ベースの課金と安価なデータ転送費用により、当該部分は約80%のコスト削減となりました。
API Gateway と Object Storage で、静的Webサイト・ホスティング機能を実装し、また動画ファイル処理実行には OCI Functions、DBとしてはOracle NoSQL Database を活用し、拡張性を意識したサーバレス構成を実現できました。
※参考資料:
【Oracle Cloud ウェビナー】画期的なサーバレス・アーキテクチャでコスト40%削減!AI活用の革新的なデジタルプラットフォーム ミニッツゲーム – Speaker Deck
▼リモートワークについてお伺いします。
●福岡在住でフルリモート勤務されているとのことですが、リモートワークするにあたって工夫されていることをお聞かせください。
通話では表情や空気感が伝わりにくいため、なるべく話しやすい雰囲気づくりを心がけています。
相手の話を遮らないようにしたり、リアクションをしっかり返したりするなど、リモートでも温かいやりとりができるよう意識しています。
社内で提供されている各種ツールを活用することによって、距離を感じないやり取りを実現しています。
●リモートワークで感じるメリットを教えてください。
通勤がないことで時間にゆとりが生まれ、落ち着いて作業に集中できるところがメリットだと感じています。
また、自分のペースで取り組める環境なので、タスクにじっくり向き合える点も良いと感じています。
全社イベントがある際に参加するなど、節目に必要に応じて出社と組み合わせて活用できていると思います。
▼ご自身がこれまでに取得した、もしくは今後取得予定のOracle認定資格を教えてください。
・Oracle Certified Java Programmer, Silver SE 11
・Oracle Cloud Infrastructure 2023 AI Foundations Associate
・Oracle Cloud Infrastructure 2023 Foundations Associate
・Oracle Cloud Infrastructure 2023 Architect Associate
・Oracle Cloud Infrastructure 2023 Developer Professional
資格取得済みの各試験の最新バージョンも取得を目指していきたいと思っています。
▼社内でOCIの技術情報のナレッジの共有などを積極的に行われていますか。
はい、OCIに関する技術情報の共有は積極的に行っています。
具体的には、プロジェクト内やチーム内で得られた知見をドキュメント化し公開しています。
このようなナレッジの蓄積と共有を通じて、チーム全体のOCIに関する対応力を高めるよう心がけています。
また、Quiitaを通じて、社外へのOCIの情報発信も行っています。
▼今後のキャリアプランをお教えください。
現時点では、明確に「これになる」という形よりも、実務を通じて経験を積みながら、自分の得意な領域や本当に興味があることを深めていきたいと考えています。
特にOCIをはじめとするクラウド関連の技術や、API設計・バックエンドの最適化など、仕組みづくりや技術の裏側に関わる仕事にはやりがいを感じているので、しばらくはその領域を軸にしていきたいです。
▼同じエンジニアの皆さまへメッセージをお願いいたします。
技術も環境も日々変わっていく中で、分からないことだらけですが、自分も手探りでやっています。
うまくいかない時もありますが、試行錯誤を繰り返しながら、少しずつでも前に進めたらいいなと思っています。
同じように悩んだり、迷ったりしながら頑張っている方がたくさんいると思うと、ちょっと心強いです。
これからも無理せず、一緒にやっていきましょう。
▼上司の方にお伺いします。
●CLINKS様が会社として行っているエンジニア育成についてお聞かせください。
教育専門部署により、OCI Architect Associateの範囲を学ぶ研修カリキュラムがございます。
eラーニングシステムがあり、社員がいつでも好きな時に、無償で利用できる環境となっております。
資格取得者へはお祝い金が支給される制度があります。また、全社で取り組んでいるOCIエンジニア育成のため、OCI資格取得者がインセンティブを得られる資格取得キャンペーンを開催し、オラクル社主催のキャンペーンと重ねて取り組んでおります。その結果、OCI関連資格取得者が260名以上となりました。今後も積極的に取り組んでいきたいと思っています。
●CLINKS様の今後のOCIビジネスの取り組みについてお聞かせください。
OCIの良さを広く知っていただき、活用いただけるようにOCI人材育成と「MimuteGames」をはじめとした、案件対応による実績蓄積を継続して、受託体制の強化に取り組んでおります。
■体制強化としての採用、教育、育成
・積極採用・育成を推進し、年度内に6名の新規採用を計画(現在4名が合流済み)
・組織増強(インフラ系部署からモチベーションの高い10名がOCI主幹部署へ合流)
・全国OCI資格保有者No1を目指し、資格取得支援を強化(25年度はProfessional系資格取得を計10名目標)
・OCI再販に対応できる、OCIプリセールス人材を育成(1名採用し育成中)
・リモートワーク専門エンジニアの採用を経験者中心に実施
・社外へ向けてOCI情報の共有発信を強化
【OPN編集後記】
今回は、CLINKS株式会社様から、ゲーム開発をきっかけに、OCI に取り組むエキスパートエンジニア、舞弓 勇斗様にお話を伺いました。
フルリモート環境を活かし、円滑に業務を進めるポイントや、チームや個人としてのOCIの学習方法など、さまざまなお話をお伺いする中で、エキスパートとしての仕事の進め方に触れることができました。また、会社としてOCIに精力的に取り組まれているお話をお聞きし、あらためてCLINKS様の強みの源を実感する機会となりました。
舞弓様の今後ますますのご活躍を心よりお祈りしております!