お客様に真摯に寄り添う業務コンサルタント
~豊富な実務経験でクラウドシフトを成功に導く~
こんにちは、OPN事務局です。今回は、イー・ビー・ソリューションズ株式会社(以下、EBSS)様から、アプリケーション分野で幅広い実務経験をお持ちの業務コンサルタント、塙 裕貴様にスポットライトを当てご紹介します。
これまで塙様が携わってこられたプロジェクトの中で、日々大切にされていることや、特に印象に残っているエピソードなど、さまざまなお話を伺いました。

イー・ビー・ソリューションズ株式会社
コンサルティング第一部
マネージングコンサルタント
塙 裕貴 様
▼これまでおよび現在のお仕事内容についてお聞かせください。
私は、Oracle Cloud Applicationsの、主にSCM/MFG領域の導入支援をしています。
現在のお客様は製造業で、本社と製造子会社を対象とし、FIN/SCM/MFG領域に Oracle Cloud Applicationsを導入しようとしております。私はその中で生産チームのリーダーをしており、4名のチームメンバーとともに、設計開発部門と生産部門のユーザー様との要件定義に取り組んでおります。
現在入社22年目になります。前職はプログラマーとして、Oracle E-Business Suite (以下、EBS) のアドオン開発を担当しておりました。
▼これまで手掛けてこられた仕事内容についてお聞かせください。
Oracle EBSの頃は、製造業のお客様に対して、主にMFG領域のシステム導入支援をしてきました。要件定義、設計・構築、テスト、移行、本番稼働と一連のフェーズを経験してきました。オフショア開発や海外展開といったグローバルなプロジェクトに携わったこともあります。
Oracle Cloud Applications を担当するようになってからは、製造業だけでなく、商社や小売業などお客様の業種が広がりました。私自身の担当領域もMFGだけでなくSCMの領域まで広がりました。
▼SCM/MFG領域の業務に精通されていると伺っておりますが、
●業務コンサルタントとしてプロジェクトに取り組むにあたり、個人としてどのようなスキル等の準備をしていますか。
まずは、SCM/MFGの業務知識が必要と考えています。体系的な知識を得るために、読書や動画教材の視聴などをしています。プロジェクト事例も非常に有用です。同僚との情報交換も積極的にしています。
また、プロジェクトを遂行するためには、プロジェクト管理やシステム導入の知識も必要です。体系的な知識を得るためにIPAの情報処理技術者試験を多岐にわたって受験してきました。
そして、Oracle ERP Cloudの知識も必要です。これについては、四半期アップデートで目まぐるしく新機能がリリースされるのに追いつくため、Release Readiness や Customer Connect の情報をウォッチし続けています。
業務知識・エンジニアとしての知識・オラクル製品の知識、この3つの知識をバランスよく併せ持っていることが大事だと考えています。
学習する教材としては、会社内で推奨されている解説動画や、資格試験の教本などを活用しています。
また、社内の勉強会や情報交換会、プロジェクトの報告会をはじめ、部署内で毎週定例会も行われておりますので、それらで課題を共有し合うなどもしています。
Oracle様からリリースされるSaaS四半期アップデートの情報は、毎回チェックしています。変更内容を把握したうえで社内環境で検証するなどして活用しています。
また、プロジェクトによってリモート環境で業務したり、お客様の要望として出勤したり中心など多様な形態で勤務していますが、会社としては毎週1日は出勤することになっています。
定例会はリモートでやることが多いですし、リモートと出勤、それぞれのメリットを享受しています。
●業務コンサルタントとして身に付けてきたスキルが、実際にお客様の案件で活きたと思える場面がありましたらお聞かせください。
CRP(Conference Room Pilot)を実施する際、ただ Oracle ERP Cloudの標準機能を見ていただいてもなかなかイメージがわかないというケースがあります。そういう時に、ある業務プロセスに対し、お客様の現状とOracleの仕組みと他社事例をセットで説明することで納得が得られることがあります。CRP遂行のためのOracle ERP Cloud やシステム導入の知識はもちろん、業務知識や過去プロジェクトの経験も活きてきます。
例えば、本社からの購買依頼を工場で受けて発注し、サプライヤからの受入は本社で行う、という業務プロセスがあります。お客様の現行業務だと一度工場の仮想倉庫で受入してから出荷しているようですが、Oracle Cloud Applicationsではそれは不要になります、他社でも類似の仕組みを適用したことがあります、など丁寧に説明します。当たり前のようですが、それでお客様のご理解が進んでCRPが進捗したときに、自分のスキルが活きたと感じます。
▼Oracle EBSからOracle Cloud Applicationsまで幅広いプロジェクト経験がおありだと伺っていますが、
●Oracle Cloud Applicationsにシフトする際に、特に苦労された点/工夫された点を教えてください。
Oracle EBSからOracle Cloud Applicationsにシフトしてから、アドオン開発手法も変わりました。そのため、従来のような感覚でのアドオン開発に頼ったソリューションを提示するのが難しくなりました。Oracle Cloud Applicationsの導入時は従来よりもFit to Standardを意識した要件定義を行い、困難ではありますが、アドオン開発を最小限にするよう心がけています。
Fit to Standardを意識した要件定義を実現するためのポイントは、お客様からAs-Isを聞きすぎないことだと考えています。全部実現しようとするとアドオンだらけになってしまいます。まずは、お客様がOracleを使って何を実現したいのかを中心にお伺いするよう意識しています。
もちろん知識のバランスも大切になります。Oracle Cloud Applicationsの機能だけを先に見せてしまうとお客様が理解しづらいので、お客様の今やっている業務のどれがこれにあたる、という風な解説しています。お客様のためにお客様のやりたいことを把握し、それに沿っていくことが大事だと思います。
会社の中においてはお客様が一番の業務のプロフェッショナルですので、常にリスペクトを忘れずに向き合っています。お客様との会話の中で今やっている業務を理解した上で、置き換えて解説するよう工夫しています。同じ部分と違う部分を、お客様に共感し適切に寄り添いながら説明することを心がけています。
●数多くのプロジェクトを手掛けられていますが、特に記憶に残るプロジェクトについてお聞かせください。
大規模プロジェクトだけでなく小規模の企業さんからの案件にも携わってきましたが、特に記憶に残っているのは、弊社案件で初のOracleのSCM/MFG クラウド導入プロジェクトです。小規模な体制のプロジェクトで、私はSCM領域を一人で担当しました。受注・出荷などのSCM領域の業務について、一人で本社と工場を行き来して要件定義からの一連のシステム導入作業を対応しなければならず、大変でした。また、プロジェクト期間がコロナ禍と重なり本番稼働が延期になるなど、プロジェクト推進が困難な時期もありました。しかし、最終的には無事本番稼働を迎えることができました。本番稼働初日から商品の出荷が無事遂行できたことをお客様から感謝されたのは良い思い出です。
例えば、お客様の現在の業務の中で標準で入れるところとアドオン開発にするところに切り分ける際に、まずは現場でひとつひとつ聞き取りをしながら、一人でいろいろなことをおさえていく必要がありました。
メインのBtoBビジネスのほか、BtoCの直営店運営もあり、何度も足を運んで各営業さんからすべて聞いて回りながら、こまごま出てくる要件の把握に努めたことをよく覚えています。
一人でまとめていくのは簡単なことではありませんでしたが、お客様にご納得いただける地固めとして大切なプロセスだったと思います。
▼EBSS様が会社として業務コンサルタントを育成するにあたって心がけておられることをお聞かせください。
※上長の邱 天龍様にお伺いしました。
弊社は製造業へのERP導入を得意としており、特にSCM領域では、個別受注・受注組立・計画生産などの多様なビジネス形態に沿って自社が作り上げたシステムモデルテンプレートがあります。弊社のコンサルタントへは、そのテンプレートを基に、お客様の業種やビジネスへの理解を深めることを意識しています。
また、アプリケーションを習得する際には、モジュールの個々の機能知見だけでなく、Sales to Cash(受注から入金)、Procure to Pay(調達から支払)、Plan to Produce(計画から生産)など、上流から下流までの一連のプロセスと、最終的に原価と会計仕訳連携まで意識するようにしています。
次に、弊社内で品質管理(QA)の仕組みを作り、コンサルタントが定義するソリューションやシステムセットアップに対し、プロジェクトフェーズに応じたレビューを実施し、コンサルタントにフィードバックすることで、提案するソリューションの品質向上に努めています。
▼EBSS様の今後のSaaSビジネスの取り組みについてお聞かせください。
※上長の邱 天龍様にお伺いしました。
弊社には、日本初のSCM Cloud導入案件に携わったという実績があります。
SaaSビジネスは、On PremiseのOracle EBSシステム導入とは違って、”Fit to Standard”を常に意識する必要があります。そのため、Oracle EBS導入を多く携わったコンサルタントの意識改革に時間をかけていきます。
また、1つ前の回答に述べているように、弊社はERP, SCM領域を得意としていますが、コンサルティングサービスの領域を広げる取り組みとして、EPM領域やCPQモジュールの案件も積極的参画できる体制を作っていきます。
また、日本の製造業では、業種別モノづくりに独自性があります。弊社内でCenter of Excellenceを立ち上げ、蓄積してきた製造業企業に対するシステム・ソリューションと、Oracle Fusionの新しい機能とテクニカル情報を、CoEに集約させております。そうすることで、プロジェクト横断的に課題解決し、お客様のビジネスニーズにハイ・バリューなソリューションが提供できるよう今後とも取り組んでまいります。
さらに、社内の意識改革の取り組みとしては、これまでオーソドックスなやり方が多かったので、会社として以前の時代とのギャップを埋めていく、ということを行っています。部署内の定例会でソリューションとして困っていることを相談し合ったり、他ではどうやっているか情報交換をしながら組み立てるなどの取り組みで、標準で運用が回るようにお互い心がけています。EBSSが持っている支援してきたモノづくり(製造業)の蓄積の中身を充実させていくこと、Fit to Standardに持っていくことを目指して、キャリアがあるメンバー中心にこれからも意識改革を行っていきたいと思います。
▼ご自身がこれまで取得されているOracle認定資格を教えてください。
・Oracle Order Management Cloud 2018 Implementation Essentials
その他:
・IPAプロジェクトマネージャ、ITストラテジスト、アプリケーションエンジニア、テクニカルエンジニア(データベース)、ITサービスマネージャー
▼業務コンサルタントとして、将来的にどういう存在になっていきたいと思いますか。今後のキャリアプランをお教えください。
私たちの仕事には常に困難が付きまといます。特にOracle Cloudの導入という観点では、SCM/MFG領域の事例がまだ少ないと認識しており、対応できる人材も限られているのが現状だと思います。そんな中でも、お客様をはじめ、一緒に仕事をする方たちから、あの人がいれば大丈夫だ、と思っていただけるような存在感のあるコンサルタントを目指して、日々邁進していきたいと思います。
▼同じコンサルタントの皆さまへメッセージをお願いいたします。
皆さま、日々の業務お疲れ様です。私たちコンサルタントは、お客様の課題解決やビジネスの成長を支援する重要な役割を担っています。そのためには、常に学び続け、自己成長を追求する姿勢が求められます。Oracle Cloudの進化は速く、私たちを待ってはくれません。なかなかうまくいかないことも多いと思いますが、それでもお客様に喜んでいただくため、共に頑張っていきましょう。
【OPN編集後記】
今回は、イー・ビー・ソリューションズ株式会社から、業務コンサルタント、塙 裕貴様にスポットライトを当てお伺いしました。
様々な実務経験をお持ちの業務コンサルタントである塙様が、業務知識・エンジニアとしての知識・オラクル製品の知識という3つの知識をバランスよく積み重ねていくことで、お客様のクラウドシフトに真摯に取り組み、各プロジェクトを円滑に導いていらっしゃるお姿が印象に残りました。
塙様の今後ますますのご活躍を心よりお祈りしております!