官公庁のミッションクリティカルシステムへOCIを導入
~富士通のクラウド精鋭部隊が語るクラウド選定への道のり~
こんにちは、OPN事務局です。今回は、富士通株式会社(以下、富士通)様から、社内から選ばれた少数精鋭メンバーとして、官公庁の案件に携わる4名のOCIエンジニア、金井様、大田様、杉戸様、小島様にスポットライトを当てご紹介します。

富士通株式会社
ジャパン・グローバルゲートウェイ
Public & Social ITS Division
シニアマネージャー
金井 和也 様
ジャパン・グローバルゲートウェイ
インフラギルドDivision
シニアマネージャー
大田 啓生様
ジャパン・グローバルゲートウェイ
Public & Social ITS Division
マネージャー
杉戸 洋介 様
ジャパン・グローバルゲートウェイ
インフラギルドDivision
マネージャー
小島 慎平 様
▼これまで手掛けてこられた仕事内容や主なプロジェクトについてお聞かせください。
金井様:
日本全国で導入したオンプレミスをOCI(Oracle Cloud Infrastructure)へクラウドリフトするプロジェクトに携わってきました。
今年で入社23年目になります。
大田様:
官公庁、金融系、キャリア、メディア等、大規模社会基盤システムにおけるプロジェクトでのデータベース導入を担当してきました。
杉戸様:
入社17年目になります。長らく官公庁領域のインフラ領域を担当しており、インターネットに公開しているミッションクリティカルシステムの上流工程から運用保守工程までを複数対応してきました。クラウドについても自社クラウドを始め、他社クラウドについても経験しています。
小島様:
官公庁のインフラ基盤において、要件定義から運用保守までを一貫して担当してきました。
▼現在のお仕事内容についてお聞かせください。
金井様:
アプリ開発/基盤設計・構築/運用保守を経験し、現在はクラウド上で稼働するシステム開発を担当しております。
大田様:
Exadata/Exadata Cloud@Customer/Exadata Database Service on Dedicated Infrastructure 導入プロジェクトのプレ・アフタ対応を担当しております。
杉戸様:
これまで担当してきた領域のシステムが次期へのリプレースを控えています。現在は次期システムへのリプレースに伴うOCIへの移行に向けたプロジェクトマネージャーを担当しています。
小島様:
政府のクラウド・バイ・デフォルト原則に基づき、オンプレミスシステムの他社クラウドおよびOCIへのクラウド移行を進めています。
▼富士通 パブリック事業本部 CCoE についてミッションを教えてください。
金井様:
CCoEの正式名称は、Gov(government)-CCoE(Cloud Center of Excellence)で、組織のミッションは、クラウド関連商談に対応できるケイパビリティ確保(人材、経験、プロセス、リファレンス等)を目指すことです。
パブリック事業本部所属の技術者は約700人です。そこから選りすぐられた約60名で編成されているのがCCoEとなります。こちらはバーチャル組織で、精鋭のアーキテクト集団として、公共系のクラウド関連商談への各種支援、技術情報の蓄積と情報発信を行い、クラウド人材育成を目指しています。
OCIのラインが今年度から追加され、我々四人はそこに所属しています。
▼CCoEとしてこれまで取り組まれたOCIのプロジェクト概要をお聞かせください。
金井様:
日本全国規模で導入されているサーバ1000台以上/Exadata 約50台のオンプレミスをOCIへクラウドリフトし、開発期間は約2年、数百テラバイトのデータ移行(Exadataからdatapumpで出力、ネットワーク移送)を行い、OCI上に構築した Dedicated Virtual Machine Hosts (DVH)/Exadata Cloud Service (ExaCS) で稼働するシステムの開発プロジェクトを、アプリケーション/基盤/移行の3チームで推進しました。
▼プロジェクトにおけるチームの体制、ミッションの概要をお聞かせください。
金井様:
基盤チームは、NW/DVH/MW系とExaCS系の2つです。
私が全体(アプリ/基盤/移行)のプロジェクトマネージャーとして参加しました。
現行システムと同等性能を担保するスペック選定および基盤設計、データベースが Exadata(バージョン12)から ExaCS(バージョン19c、CDB/PDB構成)への変更に伴うデータベース設計がチームのミッションです。
▼プロジェクトに取り組むにあたり、個人やチームとしてどのようなスキル等の準備をされましたか?
金井様:
OCIについては、4年前にプロジェクトのPoC検証がきっかけで勉強を始めて今に至ります。それ以前はオンプレミスや他社クラウドを経験してきました。OCIに取り組むにあたり、まずは参考書等の机上の知識を蓄積して、オンラインでの勉強会やPoc環境での実機操作を行い、スキル習得の準備をしました。
杉戸様:
今手掛けている官公庁システムの、オンプレミスからOCIへのリプレースからOCIに携わるようになり、もともと他社クラウドでの経験がありました。
私の担当領域ではOCIを活用した事例がまだなく、手探りの状況からプロジェクトに取り組み始めました。社内でOCIの導入事例がある担当にヒアリングをかけたり、ビジネスパートナーへOCI経験者を募集したりしました。
最も効果があったのは、Oracle Cloud Lift Services (OCLS) を通じてオラクル社の方とフィジビリティ検証をし、OCIで実現できることを学習しながら取り組めたことです。その中でも不透明な部分は簡易的なOCI環境を構築して、可能な限り実機検証をしていく中で、徐々にスキルも備わっていったと感じています。
小島様:
私も金井と同じく、4年前からPoC検証からOCIに携わるようになりました。
当初、社内にはOCI経験者がほとんどいなかったため、自己学習、Oracle担当営業との連携、Oracle社への技術問い合わせなどを経て、実機検証環境を構築し、OCI技術習得を図りました。具体的には、参考書やインターネットを活用した自己学習、Oracle担当営業との調整による実機検証環境の準備、およびOracle社への技術的な問い合わせ対応を行いました。
▼プロジェクト開発にあたって、特に工夫された点があれば教えてください。
金井様:
工夫した点は、早期にPoC環境を準備して、机上だけではなく実機を用いた事前検証を行い、想定外にならないように計画したところです。
4年前は当時の弊社のグループ会社がOCIについては先行して触っているような状況でした。弊社でも始めたばかりで、まずはOCIの画面周りや稼働の確認が必要となり、自分たちで実際に使ってみて、今後OCIを採用していくことを前提に、その状況をOracle社にフィードバックをしていくところから手を付けていきました。
▼今回ご採用いただいたオラクルの最新ソリューション Oracle Cloud Infrastructure (OCI) に取り組むにあたって、特に工夫された点/苦労された点をお聞かせください。
金井様:
当初は、ハードウェア/ソフトウェア/ネットワークの専門知識を有したメンバーとプロジェクトに長年従事しており、オンプレミス環境の導入実績のみで、OCIの利用経験がまだない状況でした。
まずは、OCIを理解するために、各自で机上(参考書など)での学習を行い、用語や設計の考え方など前提知識を蓄積することに専念しました。その結果、共通認識を持った上で、メンバー全員とのコミュニケーションや検討会を円滑に進めることができました。
理解を深めるためにOCIに触れている中で、Oracle営業の方のご支援もあり、短期間でOCI利用が開始でき、実機検証が円滑に進められたと思います。
杉戸様:
弊社でOCIの検討を開始した際にOracle 社からOCLSもご提案いただき、学習しつつフィジビリティ検証などをしながら、できること/できないことについてしっかり明らかにしてからOCIを検証することができたので効率がよかったという点があります。我々にとって目玉だった Exadata の性能については、お客様にとっても気になるところではありましたが、システムの特性が強く出るのでまずはやってみようということで、PoC検証に取り組みました。
その際手掛けていたのは、現行はオンプレミスのRAC からの ExaCSへのリプレース案件でした。
小島様:
採用にあたり、他社クラウドとOCIの性能比較検証をしましたが、特にサポート面は他社クラウドと比較してOracle社が大変手厚く対応してくれていると感じました。Oracle社には困ったところに入り込んでサポートしたり一緒にやってもらえたりしたところが、他社との大きな違いでした。
▼富士通様の今後のクラウドの取り組みについてお聞かせください。
金井様:
富士通は自社クラウドの他、各ハイパーバイザー様との協業によりお客様の課題にとって最適なクラウドサービスをご提供しております。
その中で、
富士通とオラクル・コーポレーションは、日本の企業・団体のデータ主権要件に対応するソブリンクラウドの提供に向け、戦略的な協業を2024年4月18日に発表しました。
富士通は、「Oracle Alloy」を導入し、国内のデータセンターの透明性を確保した安心・安全なデータ管理を支援する「Fujitsu Uvance」の「Hybrid IT」のクラウドサービスとして、日本国内のお客様向けに2025年度から提供開始する予定です。
ハイパースケーラーと同等の機能性とデータ主権を可能とするソブリンクラウドを実現し、お客様に安心してご利用いただける新たなクラウドサービスを提供し、最先端クラウドテクノロジーの活用を推進、お客様のさらなるデジタルトランスフォーメーション(DX)やビジネス成長を支援していきます。
▼ご自身がこれまで取得されている、もしくは今後取得予定のOracle認定資格を教えてください。
金井様:
【取得済】
・Oracle Cloud Infrastructure 2023 Certified Foundations Associate
【取得予定】
・Oracle Cloud Infrastructure 2024 Certified Architect Professional
大田様:
【取得済】
・Oracle MASTER Platinum Oracle Database 11g
【取得予定】
・Oracle Cloud Infrastructure 2024 Foundations Associate
杉戸様:
【取得済】
・Oracle Cloud Infrastructure 2023 Foundations Associate
【取得予定】
・Oracle Cloud Infrastructure 2024 Architect Associate
・Oracle Cloud Infrastructure 2024 Architect Professional
小島様:
【取得済】
・Oracle Cloud Infrastructure 2023 Foundations Associate
【取得予定】
・Oracle Cloud Infrastructure 2024 Architect Associate
・Oracle Cloud Infrastructure 2024 Architect Professional
▼富士通様が会社として行っているエンジニア育成についてお聞かせください。
金井様:
一人ひとりのスキルアップ・キャリア形成に貢献するために、ビジネス/テクニカル/マネジメント/マインドのスキルアップのサポート(教育や研修等)や資格取得の推進および支援をしています。
OCIについては、OCI技術者育成のためのコミュニティを立ち上げ、資格取得に向けたラーニングパスや学習コンテンツ等を紹介、OCI関連の教育やイベントや資格合格体験記などの情報を発信しています。
また、クラウドの技術に関する投稿や質問ができる社内ツールを活用しています。気軽に質問や解答などの書き込みができることで、部門を超えた水平的なコミュニケーションを実現しています。
▼今後のキャリアプランをお教えください。
金井様:
OCIを採用するシステムが増えています。ITコーディネーターとして、顧客課題の解決に寄与できるアーキテクティング能力及びコンサルティング能力を伸ばし、OCIの知見や経験を活かして、構想からシステム導入・保守、改善など、一貫して推進・支援できるエンジニアを目指します。
大田様:
富士通の大規模プロジェクトへのデータ基盤デリバリを通して、高信頼・高品質・高性能なシステムをお客様に提供することで社会に貢献できるエンジニアを目指します。
杉戸様:
官公庁領域を担当している中で、ガバメントクラウドに採用されているOCIを選ばれるお客様やプロジェクトは一層増えていくと考えています。CCoEの活動や自身のプロジェクト業務で得たOCIの経験や知識を活かして、社内外への情報発信や人材の育成、プロジェクトの支援をし、信頼と実績を積み上げてOCI導入プロジェクトにおけるキーマンとなれることを目指します。
小島様:
顧客ニーズの高まるクラウドネイティブ化に対応するため、CCoEやプロジェクトでの経験を活かし、担当プロジェクトだけでなくデリバリー部門全体、ひいては富士通全体のクラウドビジネス対応力の強化を目指します。
▼同じエンジニアの皆さまへメッセージをお願いいたします。
金井様:
クラウドを使うことが当たり前になり、クラウドサービスを利用してシステム設計から導入、運用を行う時代です。OCIでは、生成AIなどを活用した新しいサービスが随時提供されてます。エンジニアとして、新しい技術を積極的に学び、検討、取り入れていかなければなりません。技術の発展とサイクルが早いですが、立ち止まらずに頑張りましょう。
大田様:
クラウドの進化の波に乗り遅れることなく、最先端の技術でお客様に価値のあるシステム提供を行っていきましょう。
杉戸様:
OCIに限らず、クラウドサービスはこれからもサービスのエンハンスや変化を伴い、追従するだけでも大変だと思います。しかし、これらの有益なエンハンスを使いこなし、社会に対して最適な解決策を提供し続けることが我々エンジニアに求められるミッションだと捉えています。一緒に頑張っていきましょう。
小島様:
日々進化するクラウド技術への対応は容易ではありませんが、学習環境やツールの充実により、対応力は着実に強化されています。焦らず、まずは実践しながら共に成長していきましょう。
【OPN編集後記】
今回は、富士通株式会社様から、官公庁のミッションクリティカルシステムに携わる4名のOCIエンジニア、金井様、大田様、杉戸様、小島様にスポットライトを当てお伺いしました。
他社クラウドの経験もお持ちの中で、比較検討し OCI を選んだ理由についてもお聞かせいただくことができました。
皆様の今後ますますのご活躍を心よりお祈りしております!