皆さま、こんにちは。
日本オラクル株式会社 クラウド・アプリケーション事業統括の三谷です。

このたび、オラクルの新年度スタートに合わせて、Oracle Fusion Cloud ApplicationsにおけるAI関連の最新情報や活用事例、製品アップデートなどをお届けするブログをスタートすることになりました。

AI機能は日々進化しており、Fusion Applicationsにも新しい機能や改善が継続的に追加されています。一方で、「どのような機能が追加されたのか」「業務でどのように活用できるのか」を把握することは、決して容易ではありません。

そこで本ブログでは、皆さまのお役に立てる情報を定期的に発信していきたいと考えています。新機能の紹介だけでなく、Fusion Applicationsが企業や組織の課題解決にどのような価値を提供できるのか、またAIを活用することでどのような業務変革が実現できるのかを、分かりやすくお伝えしていく予定です。

それでは、記念すべき第1回をお届けします。

今回は、パートナーの皆さま向けにAI エージェントのハンズオンを実施している國見より、最新の取り組みについてご紹介いたします。

みなさま、こんにちは。日本オラクルの國見です。

本投稿では、AIエージェント活用を業務ユースケースに近づけるために重要だと感じたポイントと、AI Agent Studioを学ぶために実施してきたハンズオン活動について、私なりにまとめさせていただきました。

1. AIエージェント活用をめぐる変化
冒頭で少し、AIエージェント活用を取り巻く変化に触れておきます。

生成AIやAIエージェントの活用は、以前は一部の専門家やIT部門が中心に検討するテーマでした。いまでは、実際に業務を担当されている方との会話の中でも「この業務にAIを使えないか」「この領域では、すでに試し始めている」といった声を聞くようになっています。

たとえば、マーケティング業務での文面作成、社内ナレッジの検索・整理、請求書処理や資料作成など、具体的な業務の中でAIを活用し始めているという声も聞いています。さらに、私たち自身にとっても、生成AIは日々の業務で使う身近なツールになっています。
こうした声を聞いていると、AI活用は一部の専門家やIT部門だけで検討するものではなく、実際に業務を担当されている方自身が、自分たちの業務でどう使えるかを考え、使い始める段階に入ってきていると感じます。

こうした流れの中で、弊社やパートナー企業といった支援する側には、AIそのものを説明するだけでなく、現場から出てくる具体的なアイデアを受け止め、業務で使える形に近づけていくことが、より重要になってきていると感じています。

2. お客様のアイデアを、業務で使える形に近づけるには
お客様自身がAI活用のアイデアを持ち、実際に試し始めていることは、とても前向きな変化です。一方で、そのアイデアを業務で使える仕組みにしていくには、もう一段の具体化が必要になります。

AIに文章を作らせることと、業務プロセスの中でAIエージェントを安全に動かすことは少し違います。どのデータを参照するのか、誰の権限で動くのか、どこまでをAIに任せ、どこで人が確認するのか。既存システムや運用とのつなぎ方も含めて整理する必要があります。

たとえば、サプライチェーン領域で商品の原価を算出する業務では、AIに聞けばすぐに答えが出るわけではありません。参照すべきデータや条件は複数あり、実装に近づくほど、権限管理、例外処理、パフォーマンス、責任分界など、確認すべき点も増えていきます。

だからこそ、現場から出てきたAI活用のアイデアを、業務プロセス、データ、権限、既存システム、運用の観点から具体化できる力が、これまで以上に求められていると感じています。AIエージェント活用を支援するうえで、こうした実装に近い視点の重要性は、今後さらに高まっていくのではないでしょうか。


3-1. AI Agent Studioハンズオンで、具体的に試してみる
図2:ハンズオンの進め方:概念理解から実践知へ

こうした背景を踏まえ、Oracle Fusion Applicationsの提案・導入・拡張に関わる皆さま向けに、AI Agent Studioのハンズオンを進めてきました。これまでに10社以上、10回を超えるハンズオンを実施し、各社の関心やテーマに応じて、少人数から数十名規模までさまざまな形で開催しています。日本国内でもAI Agent Studioに関わるOracleの認定資格取得者は500名を超えており、この領域への関心の高まりを感じています。

ハンズオンでは、事前定義済みエージェントの確認から、テンプレートを使った開発、カスタムエージェントの作成、ツールの設定、デバッグ・動作確認までを扱っています。単なる機能紹介ではなく、実際に手を動かしながら、AIエージェントを業務で使える形に近づける流れを体感いただける構成にしています。
AI Agent Studioは機能の幅が広いため、まずは全体像と幹となる考え方を押さえ、そのうえで各社の業務や提案テーマに合わせて理解を広げていけるよう構成しています。また、私自身の業務アプリケーション開発に関わってきた経験を踏まえ、開発時につまずきやすい点や、お客様に提案する際に押さえるべき観点もお伝えしています。

目指しているのは、機能を知っていただくだけではありません。「なんとなく理解した」で終わらせず、「これはお客様の業務で使えそうだ」と具体的にイメージいただくことです。そのため最後には、業務ユースケースに立ち返り、どの業務に適用できるのか、弊社社内で実施したAI エージェントハッカソンで作成したAIエージェントも例としてご紹介しています。


3-2. 参加者の声から見えてきたこと

実際のハンズオンでは、「実際の環境に設定されたAIエージェントを見ながら理解できた」「今後のお客様向けのビジネス展開に役立つものが得られた」といった声をいただいています。また、「業務部門の方にも使っていただくイメージが湧いた」というコメントもあり、AI Agent Studioが技術者だけでなく、現場の業務課題を起点にした利用につながる可能性を感じています。

さらに、AIエージェントをユーザー部門に紹介した際に「すぐにでも使い始めたい」という反応があった、という声もありました。お客様側のAI活用への期待が、すでに高まっていることを実感する場面でした。
印象的だったのは、「チャット型のインターフェースだけではなく、バックグラウンドで動くAIエージェントも考えられるのか」という質問です。AIエージェントは、チャット画面で質問に答えるだけの存在ではありません。業務プロセスの中で、必要なタイミングで情報を参照し、判断を支援し、次のアクションにつなげる存在として考えることもできます。

ユースケースの議論では、請求書データのトランザクション化、提案資料作成、リスク商談の特定、顧客・取引先の分析支援など、具体的なテーマが挙がりました。こうした議論を通じて、AI Agent Studioをめぐる議論の焦点が、AIエージェント開発基盤としての理解にとどまらず、業務でどう使い、どう提案や実装につなげるかという実践的な視点へ移ってきていることを感じました。

4. AI Agent Studioを、実装に向けた入口に

AIエージェントの活用を業務で進めるには、「こう使えそうだ」というアイデアを、実際の業務データやアプリケーションと照らし合わせながら具体化していくことが欠かせません。業務、ユースケースを整理できても、検証に時間がかかったり、データやアプリケーションとつながらなかったりすると、アイデアは構想のままで終わってしまいます。業務で使うには、すばやく試せることと、安全に扱えることの両立が重要になります。

その意味で、AI Agent Studioは、現場のアイデアを実装に近づける入口になり得ると感じています。Fusion Applicationsの業務文脈に近い場所でAIエージェント活用を検討でき、権限設定やデータオブジェクトを活かしながら進められるため、ゼロから設計するよりも、業務ユースケースの具体化に集中しやすくなります

また、PDFなどの非構造化データを扱えることも、業務適用の幅を広げるポイントです。業務文書、ナレッジ、規程、FAQ、提案資料など、企業内にあるさまざまな情報をAIエージェント活用の文脈で扱えることは、現場のアイデアを具体化するうえでも役立ちます。
さらに、Fusion Applicationsは複数の業務領域をカバーしているため、領域をまたいだAIエージェント活用も検討しやすくなります。たとえば、営業担当者が在庫情報を確認したい場合でも、関連データが同じ基盤上にあれば、部門をまたぐユースケースを考えやすくなります。もちろん、すべてのデータがFusion内にあるわけではないため、外部システムとの接続設計も重要な論点です。
AIエージェントの領域は、今後も速いスピードで進化していきます。だからこそ、一度学んで終わりではなく、継続的に情報を共有しながら、現場で使える知見を積み上げていくことが大切だと考えています。AI Agent Studioでの実践が、日々の提案やお客様との会話の中で、AIエージェント活用をより具体的に考えるきっかけになれば嬉しく思います

▼関連リンク
【無料で学べる】 AI Agent Studio トレーニングコンテンツ
https://mylearn.oracle.com/ou/learning-path/oracle-ai-agent-studio-for-fusion-applications-foundations-associate-training-and-certification/151552

三谷 英介
國見 竜平