リーダーとして社内コンサルタント育成を推進するアイディアとは
~コンサルタントが楽しみながら協力して取り組める新たなスキルアップ手法~
こんにちは、OPN事務局です。
今回は、マネージング・コンサルタントとしてOracle Cloud ERPを中心にプロジェクトを主導しつつ、社内のリーダーとしてコンサルタントの育成にも取り組んでおられる、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下IBM)のコンサルタント、藤重 卓洋様にスポットライトを当てご紹介します。
インタビュー前半では、藤重様のコンサルタント個人としての取り組みをお伺いしました。
また後半では、オラクル・プラクティス部門での社内リーダーとしての育成の取り組みについてお聞きし、クラウドプロジェクトを成功裏に導くためのヒントを多く伺うことができました。

日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
オラクル・プラクティス テクノロジー&アーキテクチャーチーム
マネージング・コンサルタント
藤重 卓洋様
コンサルタント個人としての取り組みについてお伺いします
▼今までおよび現在の仕事内容についてお聞かせください。
Oracle EBSを中心にした、大規模基幹システムのコンサルティングやシステム設計等に従事してきました。システム基盤やミドルウェアのコンサルティング・設計を専門分野にしています。
所属部門のオラクル・プラクティスとはOracle ERPパッケージを元に、お客様の基幹システムのコンサルティングやシステム設計を行う部門で、Technology & Architecture(T/A)とは、特に技術に特化したメンバーが集まっている部署です。
また、2023年後半から、Oracle Learning & Knowledge(Oracle L&K)チームのリーダーをしています。
▼これまでご担当された案件についてお聞かせください。
Oracle Cloud ERPを中心に、基幹システムを再構築するプロジェクトをパッケージ・コンサルタントとして数多くリードしました。業界は金融機関・製造・小売など多岐に渡ります。
昨今のプロジェクトは、Oracle Cloud ERPのみならず、その周りの周辺システムも組み合わせたシステム構成が多くなっています。そのため、システム全体の最適設計をお客様・オラクル社様・パートナー各社様と共に、議論を深めながら設計・構築していくような案件を担当させていただくケースが多いです。
▼主なプロジェクトについて、案件のキーポイントをお聞かせください。
システムがどんどん複雑化している中で、各システム間の整合性を取ることが非常に重要になってきていると感じています。
そのため、お客様側にてハードウェアやミドルウェア、アプリケーションの組み合わせを設計する方式から、それらの機能を一括で提供するSaaS方式へプロジェクトの方向はシフトし、SaaSの重要性がますます高まってくると思います。
Oracle Cloud ERPは、四半期毎に新たな機能が続々と増えており、生成AI組込など最先端分野としての将来性が上がる一方で、既存システムへの無影響確認など、大規模プロジェクトであるほど、注意してお客様とコミュニケーションをとらねばならず、難易度は高いです。しかしながら、最先端であるからこそ面白く、しっかり取り組む価値がある製品だと感じています。
▼プロジェクトに関わる中で、特に苦労された点をお聞かせください。
システムの規模が大きく、相互に複雑に絡みあうプロジェクトが多いため、影響やフィジビリティをアセスするのがとても大変と感じています。この数年で、若いコンサルタントが新入社員やキャリア採用でチームに沢山入ってくれましたので、育成のためにも皆で手分けをして情報収集を行う様にしています。また、製品関連で想定外に大きな困難に直面する事も多く、プロジェクトを超えての協力要請や情報収集を行う為には、SR情報をお客様やプロジェクトの垣根を超えて、もっと迅速に活用する事が求められると思います。オラクル社様やパートナー様とご一緒に、エコシステムとしてこの課題を解いていければと思います。
▼プロジェクトに取り組むにあたり、個人としてどのようなスキル等の準備をしていますか。
数年前から、様々なお客様のCloud環境に関わることが急激に増えたため、Cloudの最新知識や様々な製品・システムを網羅的に理解しなければならず、常に市場の最新情報にアンテナを貼って、自分の知識をアップデートすることを心がけています。オラクル社様発信のブログやパートナー様のSNSポストも、大変参考になります。
オラクル・プラクティス部門の社内コンサルタント育成リーダーとしての取り組みについてお伺いします
▼オラクル・プラクティスという部門としてはどのようなスキルや知識取得の取り組みをされていますか。
弊社オラクル・プラクティス部門には、スキル施策に関してL&KとPM&Tの2チームがあり、このチーム編成は専任ではなくお客様を担当するコンサルタントが掛け持つ仕組みになっています。私はOracle L&K(Learning & Knowledge)チームのリーダーを担当しています。
Oracle L&Kチームは、Oracle関連組織全体の知識の底上げを推進します。個人のレベルアップや学び、資格取得等をサポートし、エンジニア個人が知見を積み、経験を次に活かすための支援をしています。
もう一つのOracle PM&T(Process, Method & Tools)チームは、プロジェクト品質の改善や開発標準化・効率化を推進します。プロジェクトで使える即戦力的な知識やノウハウを共有する仕組み作りにより、人為ミスや重複作業の排除にとどまらず、新しい手法やツールなどの部門内浸透も担っています。
この2チームが活発に活動する事で、学びの文化が常に醸成されています。一例を挙げると、各チームから隔週のおすすめ研修案内が出ますし、部門のリーダーからも毎週学びのメッセージが届きます。また、新しい情報だけでなく、振り返りや改善も大切にしています。プロジェクトが稼働してひと段落したタイミングでは必ずナレッジシェアの勉強会を開催しますし、Oracle PM&Tチームでは自動化ツールだけでなくドキュメンテーションの雛形整備や、情報を格納するディレクトリ構造まで最適化に挑戦しています。個人としてもチームとしても、スキルアップが図れる環境はとてもありがたいです。
▼IBM社内で進めているOracle資格取得推進プログラムについてお聞かせください。
マネージャー単位のチーム対抗戦での資格取得などにより、ポイントの獲得を競う競技イベントを開催し、組織全体で資格取得ターゲットに到達するスキームをOracle L&Kチームで作りました。
このスキームは、組織の垣根を越えて自分たちから名乗りを上げてくれた積極的な若手コンサルタントと共に運営しており、良いサイクルが生まれています。
さまざまな項目でポイントを加算できるよう設定しており、難易度の高い試験には高ポイントを付与するなどして、競争性を高める工夫をしています。
このイベントを通して、組織全体で非常に多くの資格を取得する結果を作ることが出来ました。資格取得数はSaaSとOCIを合わせて、年間300超へ大幅アップが実現できました。
イベント名は、昨年は”夏フェス”、今年は”テニス四大大会”を模したキャッチーな名称にしました。期間限定や四半期単位での競争を取り込む事でゲーム性を高め、組織全体で楽しく資格取得に励みつつ、全体の底上げができる環境を整備できたと自負しています。
▼資格取得に向けた学習方法がどのようなものだったか教えてください。
無制限でOracle University Learningコンテンツが受講できるOracle Catalystプログラムを会社から提供していただけたため、そのプログラムを活用し、オンライン研修で知識を獲得するとともに、実際にCloud環境を操作して学んだ内容を定着させるように心がけました。私の場合は、過去にCloudのプロジェクトを複数経験していたことも、非常に理解促進に役に立ったと思います。
また、若手にアドバイスしたり、されたりと、意識して刺激し合いました。加えて、5月や8月など月を決めて資格取得の追い込み月間を設定し、チーム単位での勉強会やグループ受験も推奨しました。最初は、忙しい中での資格取得に不安の声もありましたが、スポーツやゲームと同じで、やる程にラクに楽しく取り組める様になりました。
▼社内プロジェクト推進リーダーとして、特に工夫された点をお聞かせください。
組織全体の知識の定着や獲得を楽しく経験できるように、若手も巻き込んでチームで資格取得促進のプロジェクトを推進しました。
個人賞の創設や、チーム対抗レース速報の提供などを隔週で提示し、個人・チーム両方での対抗戦を活性化させ、組織全体で資格獲得機運の盛上げを維持していく点を特に工夫できたかなと思います。
チームに参加してくれた若手は本当にクリエイティブで、その発想には大いに驚かされましたし、助けられました。今後も若手の力も取り込んで部門の発展に貢献していきたいと思います。
▼社内の資格取得状況についてお聞かせください。
去年、Oracleの資格だけで300を超える新規資格取得を達成し、かなりの組織全体の底上げができたと考えています。SaaSの資格を持っている人はOCIを、OCIを持っている人はSaaSをと、襷掛け資格取得促進も順調に進みました。今年もこの調子を維持していきたいと思います。
▼ご自身がお持ちのOracle認定資格を教えてください。
2023年に取得したCloud関連資格は下記の通りです。
Oracle Cloud Data Management 2023 Foundations Associate
Oracle Cloud Infrastructure 2023 Foundations Associate
Oracle Procurement Cloud 2022 Certified Implementation Professional
Oracle Cloud Data Management 2022 Foundations Certified Associate
Oracle Financials Cloud: General Ledger 2022 Implementation Professional
Oracle Financials Cloud: AP 2022 Implementation Professional
Oracle Cloud Infrastructure 2022 Architect Associate
Oracle Cloud Infrastructure 2022 Certified Foundations Associate
▼今後のキャリアプランをお教えください。
Oracle Cloud ERPの知識とHybrid Cloudの知識をより深め、最新機能のAIなどを活かした新しい価値を生み出していくことを目指したいと思います。また、機会を作ってグローバル・プロジェクトにも挑戦してみたいです。IBMは国内では地域DX、海外にデリバリー・センターが沢山ありますので、お客様やパートナー様と共に、まだまだOracleを広めるチャンスがあると感じています。
▼これからクラウドビジネスを手掛けていく皆さまへメッセージをお願いいたします。
Cloudの資格は以前からいくつか持っていたため、正直当初は資格を取り直すという意識はそれほど強くなかったです。しかし昨年、組織のスキルアップを目的としたOracle L&Kリーダーという立場に就任したことをきっかけとして、改めて最新のCloud資格の取り直しを行ないました。
Cloudの機能進化は凄まじく、以前出来なかったこと、想像していなかった新機能も提供されている事実が、今回資格を取り直してみて良く判りました。
最先端の製品・機能をお客様に提供するためには、定期的に最新の知識獲得が非常に大事という、ごく当たり前の事を、身を以て体験することが出来たと思います。
これからアプリケーションビジネスを手掛けていく皆様も、資格の取得や最新の情報を獲得することでお客様に更に高い価値を提案・提供できるものと思います。
また、実際に手を動かして環境を触り、プロジェクトに入って試行錯誤する事が、何よりのスキルアップとなります。
人財リソースは常に不足していますので、個人としてもスキルアップし、会社を超えたパートナー・エコシステムを形成し、情報共有をしながら、一緒にお客様の成功の為に更に前進できればと考えます。オラクル様のイベントや交流会等で、お目にかかった際には、ぜひお気軽にお声がけください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
【OPN編集後記】
今回は日本アイ・ビー・エム株式会社の藤重様から、手掛けてこられたプロジェクトやIBM様のコンサルタント育成活動についてお話を伺いました。
藤重様が社内チームを編成して取り組まれているコンサルタント育成による、めざましい資格取得者の増加と組織のコンサルタント全体の知識の底上げについてお伺いし、多くのプロジェクトを成功裏に導いているIBM様の取り組みを理解することができました。
藤重様の今後のますますのご活躍をお祈りしております!
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