豊富な経験と知識で海外拠点展開プロジェクトを牽引
~多様な国・文化・言語の壁を乗り越えるコミュニケーション力~

 

こんにちは、OPN事務局です。今回は、株式会社中本・アンド・アソシエイツ様から、Oracle Cloud SCM/FINの海外拠点展開・導入で豊富な経験を持つコンサルタントのペリー・プブリコ様、ダニエラ・ロミーナ・ヴァレンテ様にスポットライトを当てご紹介します。
海外拠点展開プロジェクトにおける仕事の進め方や、多国籍メンバーで構成されたチームでの働き方など、さまざまなお話を伺いました。

 

OPNEng21s

 

株式会社中本・アンド・アソシエイツ

エンタープライズシステム事業部
シニアプリンシパルコンサルタント
ペリー・プブリコ(Perry Publico)様

エンタープライズシステム事業部
プリンシパルコンサルタント
ダニエラ・ロミーナ・ヴァレンテ(Daniela Romina Valente)様

 

▼これまで手掛けてこられた仕事内容や主なプロジェクトについてお聞かせください。
ペリー様:

コンサルタントとしてのキャリアは7年ほどになります。以前は保守開発を担当していました。
SCMおよびFINを含むOracle Cloud Fusionの海外拠点展開を、プロジェクトマネージャーとして6年ほど担当しています。要件定義の段階から各拠点のメンバーと協働し、現地業務の違いや法規制をヒアリングのうえ、グローバルテンプレートを構築して他拠点へ横展開するアプローチを採用しています。
グローバルテンプレートを構築/横展開する際には必ずネゴシエーションスキルが必要になります。まず日本の本社側の要件に合わせ、最初に各拠点のどこかをベースにプロトタイプとして事例を作っていくと横展開しやすいと思います。やはりまず最初に導入する拠点での構築が一番難しくなってくると感じます。

また、現地要件を尊重しつつ、グローバル標準との整合性を保つことに注力し、多言語・多文化環境でのコミュニケーションや日英バイリンガル対応を活かしてプロジェクトを推進してきました。

ダニエラ様:
2014年にアルゼンチンでOracle E-Business Suiteコンサルタントとしてキャリアをスタートし、ユーザーサポート、オンプレミス導入・移行プロジェクトに携わってきました。現在は日本を拠点とし、グローバル企業の海外現地法人向けOracle Cloud SCMモジュールの導入に注力しています。
コンサルタントとしては10年目になり、過去~現在で12件ほどのプロジェクトに携わっております。

上長の方より:
※秋月真理子様にお伺いしました。

海外拠点の展開プロジェクトは、これまでにかなりの数を手掛けており、弊社内では特別なプロジェクトというわけではありません。国内でも海外でも、現地に行ってやり取りをして関係を築きながら導入を進めていく、という点では同じだと捉えています。
一方で、現地独特な国民性などをしっかり把握して進めていかなければいけない点は海外拠点ならではの難しさです。例えば、特定の仕組みが実際は法律上存在しなくても、存在すると説明を受けてしまう場合があります。したがって、実際の現場に行って、お客様とどこまで密にやっていけるかが特に大切なポイントです。導入するだけではなくお客様の課題解決を一緒に解決していくことが重要と考えていますので、海外拠点にも最初の顔合わせから必ず赴いています。
まずは一度相手と確かな関係性を築いてから取り組む、というアプローチは国内外同じかと思います。
さらに、日本からのリモート導入だけでは不十分な部分を補うために、現地のパートナー企業と協業しています。要件定義工程では、言語の壁を減らすことや顧客との対面の時間を増やすこと、文化/風習/商慣習/税法などの現地特有の要件を理解することなどを、目的としています。 Add-on開発工程では、コスト低減を目的としたオフショア人材の活用や、エンドユーザーの現地語でのサポートを実現するために、保守サポートの一次窓口を担って貰うなど、現地のパートナー企業との連携で海外拠点展開を進めています。


▼現在の仕事内容についてお聞かせください。
●社内でのお二人の役割、ご担当についてお聞かせください。
ペリー様:

社内では、外国籍メンバーやバイリンガルの日本人を含むFunctionalおよびTechnicalメンバーのマネジメントを担当しています。具体的には、要件定義から設計・開発・テスト・移行に至るまでの各フェーズで役割分担を明確化し、進捗管理や課題解決を行っています。また、海外案件やグローバルロールアウトにおいては、日本側の顧客や社内上層部とのブリッジ役としてコミュニケーションを担い、日英バイリンガル対応でプロジェクトをスムーズに進めています。

ダニエラ様:
私の主な役割は、SCMモジュールと会計モジュールの導入です。また、プロジェクトの初期段階から携わり、情報収集、ドキュメント作成、環境構築、ユーザートレーニング、PaaS拡張機能とBIPレポートの設計とテスト、そして継続的なユーザーサポートの提供などにも携わってきました。

●プロジェクトにどのような形で参加されていますか。
ペリー様:

プロジェクトにおいては、英語を主体としたグローバル案件ではプロジェクトマネージャーとして進行管理を担当することがほとんどです。要件定義からテスト・移行・カットオーバーまで一貫してリードし、海外拠点のメンバーと日本側のステークホルダーとの調整を行っています。
また、案件によってはブリッジエンジニアとして、FunctionalチームとTechnicalチームの間をつなぎ、課題解決や仕様の明確化をサポートする役割も行っております。

ダニエラ様:
私はファンクションコンサルタント チーム メンバーとしてプロジェクトに参加し、現在進行中のプロジェクトにおいても米国現地法人のサポート実施しています。
業務上、時差(タイムゾーンの違い)への対応もありますが、問題なく合わせられているので特に負担になることはありません。

●グローバル企業の海外現地法人向けならではのリクエストはありますか?
日本では資料などを事前に比較的きちんと用意しますが、海外では決めたスケジュールをフレキシブルに運用する印象です。導入工程は変わらりませんが、海外ではまずスタートさせてから調整する形(アジャイル型)も多いと思います。スタッフだけでなく、お客様からも新しいことにチャレンジしたいという要望が多い点は、海外のお客様ならではのマインドだと感じます。

●お二人が日本で仕事をするきっかけについてお聞かせください。
ペリー様:

子供の頃に親の事情で日本に住んだ経験があり、その時から将来的には再び日本で暮らすことを目標にしてきました。大学卒業後はフィリピンで上流コンサルファームに勤務し、約2年間PeopleSoftエンジニアとしてTechnical側の開発と保守を行いました。その後、日本に移り住み、中本・アンド・アソシエイツと出会い、現在はOracle Cloud ERPの海外プロジェクトに関わっています。

海外チームのメンバーは日本に来るために技術スキルも学ぶスキルも備えている人が採用されていますが、日本に単身で生活することも多いので、生活面でのサポートをすることがあります。
スキルアップに関してはメンバー各自が自主的に取り組んでいます。直近10年強くらいで外国人採用が進んでおり、現在は社内全体で2割強が外国人メンバーで、出身国は5~6ヵ国ほどになります。
いろんな国のメンバーと仕事する上で各国それぞれ働き方に特長がありますし、また日本の環境で実際に働いていることも併せてお互いによい経験になっています。

ダニエラ様:
私はずっと日本とその文化に興味を持っていました。日本に移住した後、オラクルコンサルタントとしてさらなる経験を積むことができる仕事を探し、中本・アンド・アソシエイツでキャリアを発展させています。
元々オラクルのアルゼンチンで働いており、その後来日してワーキングホリデーで滞在している際に元同僚から紹介されたという縁があります。

●これまでのSCMプロジェクトにおけるお二人の経験や事例など、SCM のプロジェクトや、海外ロールアウトについて詳しくお聞かせください。
ペリー様:

FINを含むSCM(OM、INV、PO、MFG)の海外導入を経験しており、対象国はアメリカ、シンガポール、タイです。
シンガポール案件では、要件定義から本番稼働まで約1年3か月を要しました。DemoやCRPは現地で実施しましたが、その後は新型コロナの影響で海外渡航が難しくなり、UAT、データ移行、本番稼働はすべてリモートで対応しました。
シンガポールは日本との時差がさほどないため、スケジュール変更を行うことなく計画通りに本番稼働を達成できました。

ダニエラ様:
複数国に拠点を持つアミノ酸メーカー様のプロジェクトでは、要件定義やシステム構築など、プロジェクトの初期段階から積極的に参加し、現在はユーザーサポートを継続しています。


▼SCMプロジェクトについて、特に印象に残ったものについてお聞かせください。
●プロジェクトの概要についてお聞かせください。
ペリー様:

同じグループ会社で同じ製品を扱っていても、国ごとに運用やERPの要件に大きな違いがある点が非常に印象的でした。特に最近経験した案件では、関税対応が大きな課題でした。同一の品目であっても製造元によって関税レートが異なり、さらに各国のルールやレートが頻繁に変更されるため、システム上で固定的に設定することが難しく、マスタ管理が複雑化しました。こうした国ごとの特殊性に対応することが導入における最大のチャレンジであり、同時にやりがいを感じる部分でもありました。
プロジェクトの規模としては期間が1年ほど、コンサルタント2名+開発チームの体制でした。

ダニエラ様:
アミノ酸メーカー様とのプロジェクトでは、SCMおよび会計モジュールの導入に加え、SaaSと外部アプリケーションとを連携したPaaSの開発を行いました。アミノ酸メーカー様がクラウド案件を何件か手掛けたあとにスタートし、海外Big Bang3拠点において異なるシステムを統一のクラウドに移行し、プロセスの標準化、データ精度の向上、手作業の削減を目指しました。
プロジェクトは成功裏に導入され、ユーザーへの導入も順調に進みました。期間が2年ほどでコンサルタント3名+開発チームという規模でした。

●SCMおよびFINの海外導入案件で、国ごとの業務・カスタマイズの違いが印象的だったエピソードがあれば教えてください。
ペリー様:

追加開発のリクエストが多い国とのプロジェクトはよく覚えています。何でも無制限に追加できると思われてしまうケースですが、特に東南アジアはアドオンリクエストが多めだった印象です。

アドオンのリクエストが多いユーザーには、予算とのバランスを踏まえつつ、必要性の優先順位を整理し、最も効果的な形で収められるようにアドバイスしていました。

ダニエラ様:
アメリカのお客様で、FINのレポートや製造やQCなどのカスタム要件が多かったケースがありました。
州ごとに法律が異なるので、お客様がある程度自分でカスタムできるような仕様にすることで要望にお応えしました。

●プロジェクトに取り組むにあたり、個人としてどのようなスキル等の準備をしていますか。
ペリー様:

プロジェクトに取り組む際は、柔軟性を持ち、現地文化やチームに合わせたコミュニケーションを心掛けています。さらに、四半期ごとのOracle ERP最新リリース内容を常にキャッチアップし、とくにローカライゼーション関連の新機能を活用して、より効率的な導入方法を検討するようにしています。

ダニエラ様:
プロジェクトに取り組む際は、まずオラクル社から提供されている最新のマニュアルやドキュメントを読んで関連モジュールの機能を研究し、クライアントのビジネスプロセスを確認します。また、要件を満たす機能を調査し、ガイダンスやベストプラクティスを得るために社内の他のプロジェクト事例を参照して準備しています。

●プロジェクトに取り組むにあたり、特に苦労された点/工夫された点を教えてください。
ペリー様:

最も苦労したのは、コミュニケーションの認識のずれです。日本本社と海外拠点、または私のチームとお客様の海外拠点との間で、英語が共通言語ではあるものの、必ずしも全員の第一言語ではないため、誤解が生じやすい場面がありました。そこで、理解を共有するために、シンプルで重要なポイントを押さえた資料や図を準備し、双方が納得できる形で合意を取る工夫をしました。

ダニエラ様:
私たちが直面した主な課題の一つは、新型コロナの流行下でのプロジェクト実施でした。さらに、複雑なビジネス要件への対応とPaaS拡張機能とSaaSモジュールの統合には、綿密な計画とテストが必要でした。しかし、緊密な協力と効果的なコミュニケーションを通じて、これらの課題を克服することができました。

例えば、当時はユーザー様もリモートになっていたので、通常と比べてリモート会議をほぼ毎日するなど、頻度を多くして対応していました。加えてUATも週4回行うなど頻度を増やすことで円滑な本番稼働を実現しました。

●言語や文化の違いから生じるコミュニケーションギャップを解消するためのコツや、合意形成のヒントがあれば共有ください。
ペリー様:

先ほども少し触れましたが、資料では、文字よりも「見てわかる形」にすることを大切にしています。特にフローチャートや図は、言語の壁を越えて直感的に伝わるため、誤解を最小限に抑えられます。そのため、文字を詰め込みすぎず、できるだけ視覚的に理解できる工夫を心がけています。

ダニエラ様:
資料を作成した後でもそれで終わりにせず、何かわからないことがあれば都度確認し、随時補足してアップデートしていくようにしています。


▼ご自身がこれまでに取得した、もしくは今後取得予定のOracle認定資格を教えてください。
ペリー様:
取得済み:

・Oracle Inventory Cloud 2023 Implementation Professional    
・Oracle Financials Cloud: General Ledger 2024 Implementation Professional
・Oracle Financials Cloud: Receivables 2024 Implementation Professional    
・Oracle Project Management Cloud 2024 Implementation Professional

取得予定:
・Oracle Cloud Infrastructure AI Foundations Associate
・Oracle Fusion AI Agent Studio Foundations Associate

ダニエラ様:
取得済み:

・Oracle Fusion Cloud Procurement 2024 Certified Implementation Professional
・Oracle Cost Management Cloud 2024 Certified Implementation Professional
・Oracle Manufacturing Cloud 2024 Certified Implementation Professional
・Oracle Maintenance Cloud 2025 Certified Implementation Professional
。Oracle Inventory Cloud 2025 Certified Implementation Professional

取得予定:
・Oracle Order Management Cloud Order to Cash 2025 Implementation Professional


▼今後のキャリアプランをお聞かせください。
ペリー様:

今後は、Oracle ERPの最新機能、特にAI Agentなどの新技術を積極的に習得し、導入だけでなく業務改善や効率化につながる提案をお客様に届けていきたいと考えています。さらに、会計とSCMの両方に精通したコンサルタントとして、グローバル展開を含む大規模プロジェクトをリードできるようキャリアを発展させていきたいです。

ダニエラ様:
今後は、新しい SCM と会計モジュールに関する専門知識を広げ、Oracle Cloud 内の AI テクノロジーに関する知識を深めて、プロジェクトにさらに効果的に貢献したいと考えています。


▼同じコンサルタントの皆さまへメッセージをお願いいたします。
ペリー様:

Oracle ERPは進化が早いので、常に最新リリースを学び合い、一緒にプロジェクトへ活かしていきましょう。

ダニエラ様:
コンサルタントの皆さま、これからも継続的な学習を受け入れ、新しいテクノロジーに対する好奇心を持ち続け、チームメンバーと積極的に協力していきましょう。


▼上司の方にお伺いします。
※秋月真理子様にお伺いしました。
●中本・アンド・アソシエイツ様が会社としてコンサルタントを育成するにあたって心がけておられることをお聞かせください。

弊社のコンサルタントは、お客様の要件をそのまま受け取るのではなく、重要度や背景も確認して整理しパッケージ機能を活かし、安易に開発を検討することは避ける提案をするという観点を持っています。
E-Business Suite時代の一番最初から変わらない弊社の理念/社風として、なるべく作るものは少なく、機能をそのまま、より活かして使う、というものがあります。
社員が増えていく中でこの理念を浸透させるために、一つ一つの案件で現場でやりとりをしていく中で、「なぜこういうことをするのか」を、地道に例を交えて語り聞かせています。
また、日々進化するERPの機能の勉強も、社員たちは各自で積み重ね、検証も日々行っていることが、各提案にも活かされていると感じています。SCMのAIエージェントについても同様に取り組んでおります。

●中本・アンド・アソシエイツ様の今後のSaaSビジネスの取り組みについてお聞かせください。
中本・アンド・アソシエイツは、生産から会計までBig Bangで導入できるベンダーで、いまも多くのBig Bang案件を担当しています。この強みを生かしつつ、さらにAIを活用したSaaSビジネスを展開していく予定です。


 


【OPN編集後記】

今回は、株式会社中本・アンド・アソシエイツ様から、ペリー・プブリコ様、ダニエラ・ロミーナ・ヴァレンテ様に海外拠点展開プロジェクトにおける仕事の進め方や、多国籍メンバーで構成されたチームでの働き方など、さまざまなお話を伺いました。

継続的学習に基づいた確かな専門知識と、多様な国・文化・言語の壁を乗り越えるコミュニケーション力で、高品質な海外拠点での導入支援を実現されています。各国のニーズや国事情に合わせて柔軟に対応しながら着実に日々成果をあげていらっしゃることがよく理解できました。

ペリー様とダニエラ様が今後ますますグローバルにご活躍されますよう、心よりお祈りしております!