2025年4月22~23日、カリフォルニア州レッドウッドショアーズにあるオラクル・カンファレンス・センターは、MySQL and HeatWave Summit 2025の開幕を告げる熱気に包まれた。MySQL and HeatWave Summitは、MySQLのユーザー、開発者、製品エキスパートが一堂に会する世界最大のイベントです。今回も開発者、DBA、エキスパート、ユーザが一堂に会し、学びやネットワーキング、MySQLの最新情報を盛り込んだ2日間のイベントが開催されました。このイベントには、2日間にわたって40のセッション、28人の講演者、6大陸からの参加者が参加し、充実したセッションが提供されました。
MySQLコミュニティは、このイベントで重要な役割を果たしました。Uber、Yelp、Readyset、PingCAP、ProxySQL、PlanetScale などのエキスパートによるセッションには、多くの参加者が集まりました。1日目の最後には、MySQL30周年記念レセプションが開催され、30年にわたるイノベーションとコミュニティの成長を称えるケーキカットが行われ、大いに盛り上がりました。
今年のサミットでは、ウォークイン・ハンズオン・ラボ・ゾーンが設けられ、参加者はMySQLの観測可能性と監視ツールに直接、実際に触れることができました。セッションでは、OpenTelemetry、Oracle Cloud Observability and Management、Oracle Enterprise Managerを使用してMySQLワークロードをより効果的に監視することに重点が置かれました。
ドルフィン・ポッドでは、興味深い製品デモと技術的なディスカッションが行われました。また、4つのパートナー・ポッドでは、それぞれの提案が紹介されました。
開発者、DBA、アーキテクト、お客様、パートナーの皆様が、MySQLの未来を考え、共有し、構築するために一堂に会し、素晴らしい熱意を見せてくださったことを喜ばしく思います。
基調講演のハイライト: 30年の振返りと展望
基調講演の冒頭では、オラクルのMughees Minhas(MySQLおよびObservability製品担当SVP)が、MySQLの30年を振り返りながら、データ駆動型アプリケーションの構築とスケーリングについて語りました。続いて、MySQLの進化、革新のマイルストーン、グローバルなコミュニティを称えるビデオが上映されました。
基調講演「State of the Dolphin」は、Oracle のソフトウェア開発担当 EVP である Wim Coekaerts より行いました。この基調講演では、前回のサミット以降のMySQLの主な進歩について、4つの主要な柱に沿って説明しました:
開発者の生産性
MySQL多言語エンジン(MLE)によるJavaScriptの機能強化
Kubernetes向けMySQL Operatorによるバックアップ、ポイント・イン・タイム・リカバリ(PITR)、クラスタ間の災害対策サポート
MySQLのRESTサービスの紹介(GenAIを搭載したHeatWave MySQLとRESTを統合するライブデモを含む)
性能と可用性
クエリ実行性能を改善するハイパーグラフ・オプティマイザ
よりスマートでインテリジェントなフェイルオーバーと強化されたレプリケーション管理
自動インデックス追加、アトミックI/O、ダブルライトバッファの無効化機能
OLTPとOLAPワークロードを統合するHeatWave Lakehouseの継続的な機能強化
可観測性と管理
OpenTelemetryのネイティブ・サポートによるトレースとメトリクス
Oracle Cloud ObservabilityサービスまたはOracle Enterprise Managerを使用してMySQLを監視する柔軟性
HeatWaveにおける生成AIとの統合
HeatWaveにおける生成AI機能の進化により、リアルタイムデータとRESTサービスを活用して、スマートでコンテキストに基づくアプリケーションを実現
ディープダイブセッションとエキスパートによる考察:
基調講演の後は、業界をリードするユーザーやMySQLコミュニティのエキスパート、MySQL開発者によるデープダイブ・セッションに多くの参加者が出席しました。
Nipun Agarwal氏 – MySQL & HeatWave開発担当SVPのNipun Agarwalは、生成AI、機械学習、ベクトル処理、レイクハウス、トランザクション処理、マルチクラウド機能など、MySQLとHeatWaveの最新の進歩に関する洞察を提供し、Community EditionとEnterprise Editionにも新機能を充実させながら、最先端のデータベース・ソリューションでビジネスを支援するというオラクルのコミットメントを強調しました。
Daniel Nichter氏 – ベストセラー「Efficient MySQL Performance」の著者であり、MySQL Community Awardの受賞者、カンファレンス・スピーカー、幅広いオープンソースへの貢献など、彼はまさにMySQLのロックスターです!Daniel Nichter氏は、「アプリケーション開発者のためのMySQLパフォーマンス」セッションで、クラウドパフォーマンスとクエリレスポンス関連の改善に関する実践的な考察について講演しました。
Frederic Descamps氏とNorvald Ryeng氏 – MySQL の効果的なインデックス、ヒストグラム、およびクエリオプティマイザの進化について、満席の参加者に向けてご紹介しました。また、Frederic氏は、データベースのワークロード管理を改善する方法と、InnoDBバックアップとデータリカバリに関するベストプラクティスをご紹介しました。
Luís Soares氏 -「Effortless Business Continuity」セッションにて、InnoDB Cluster、InnoDB ClusterSet、Group Replicationの革新的な機能、MySQLおよびHeatWave MySQLのバックアップおよびディザスタリカバリ戦略、その他の高可用性機能を紹介しました。
Scott Stroz氏 – MySQL デベロッパーアドボケイトであるScott氏から、2つの洞察に満ちたセッションをお届けしました。「MySQL Architectures for the Newly Initiated」のセッションでは、リードレプリカ、クラスタリング、レプリケーションなどの中核となるアーキテクチャの概念を簡素化し、MySQLを効果的に拡張するタイミングと方法について、開発者や新しいDBAの理解が進むような講演をしました。もう一つの「Hidden Gems in MySQL Shell」セッションでは、サンドボックス・インスタンスの作成からレプリケーションの管理、クラウドベースのデータ・ダンプまで、あまり知られていないが有用な機能を紹介し、MySQL Shell がいかに多機能であるかを証明しました。
また、専門知識を共有し、優れた考察でサミットを充実したものにしていただいた、すべての講演者にも心から感謝したいと思います。Marcelo Altman氏(Readyset)、Ronald Bradford氏(Kanangra I/O)、René Cannaò氏(ProxySQL)、Daniël Van Eeden氏(PingCAP)、 Raja Sriram Ganesan氏(Uber)、Alexander Martinez氏(Yelp)、Krishna Mamillapalli氏(Datavail)、Deepthi Sigireddi氏(PlanetScale)、Giovanni Morelli氏(Mazzing Inc.) 彼らの講演は、パフォーマンス・チューニングやスケーラビリティから運用のベスト・プラクティスまで、さまざまな重要なトピックに及び、このイベントの成功に貢献していただきました。
コミュニティ、顧客、パートナーのショーケース
今回のサミットでは、パートナー各社が重要な役割を果たし、MySQLとHeatWaveをさまざまなユースケースに適用するためのナレッジを披露しました。このイベントは、パートナー各社が見識を共有し、それぞれのソリューションを紹介するなど、MySQL コミュニティと交流する場となりました。
このイベントでは、パートナー各社がMySQLのテクノロジを活用して、現実の課題にどのように取り組んでいるかを紹介しました。例えば、主要パートナーであるViscosity社は、「Building GenAI powered MySQL On-Premise Database Applications」と題して、生成AIを活用したMySQLオンプレミス・データベース・アプリケーションの構築に関する魅力的なセッションを行いました。
ReadySet社は、MySQL Query CacheとReadySetキャッシングデータレイヤーを使用したクエリキャッシングの実力を紹介しました。このプレゼンテーションでは、同社のソリューションによってページのロード時間が改善された実例が紹介されました。
DataVail 社は、MySQL Enterprise Monitor (MEM) から Oracle Enterprise Manager for MySQL (OEM) への切り替えに関するノウハウを発表しました。
パートナーはまた、インタラクティブなブースやネットワーキングの機会を通じて参加者と交流し、クラウド移行、パフォーマンス・チューニング、機械学習の統合に関するディスカッションを行いました。パートナー各社の貢献により、MySQLの成功の原動力となっているエコシステムが明らかになり、eコマースや通信など様々な業界に拡張性のある高可用性ソリューションを提供していることを示していただきました。
Uber社より、フェイルオーバー時のプライマリ昇格の処理方法について発表があり、参加者は、Uber のように複雑なインフラストラクチャを構築し、スケーリングする方法について学ぶことができました。
Yelp社からは、MySQLのバージョン8.0にアップグレードするまでの道のりについて洞察に満ちたセッションがありました。サードパーティのソフトウェアに起因するいくつかの問題点も含め、対処のベストプラクティスとその過程で直面した課題について説明がありました。
PingCAP社は、go-mysqlライブラリの技術的なウォークスルーを行い、レプリケーションに関するトピックをカバーし、MySQLワイヤプロトコルに関する重要な洞察を共有していただきました。
The Dolphin Pod: MySQLコミュニティのハブ
Oracle の MySQL コミュニティリーダーが主催した Dolphin Pod は、MySQL学習とメンバ交流のための場を提供しました。ここでは、オープンな会話や、Q&A、コミュニティ交流、デモなどが行われました。初めて MySQL を使用するユーザーも、長年 MySQL に貢献してきたユーザーも、この場では本物のエネルギーとコラボレーションがありました。
まとめ:
MySQLは、世界で最も普及しているオープンソースデータベースとして、可用性、パフォーマンス、操作性、開発者の生産性など、あらゆるビジネスニーズに対応するイノベーションを提供し続けています。
MySQL and HeatWave Summit 2025を大成功に導いてくれた講演者、パートナー、コミュニティの開発者、参加者の皆さんに感謝します。MySQLに対する皆さんの情熱と、データベース技術の限界を押し広げようとする献身的な姿勢により、このイベントは本当に特別なものとなりました。来年のサミットに関する情報も今後お届けしますので、引き続きMySQLの最新イノベーションをお試しください!
現地で参加できなかった方々のために、基調講演を含むすべてのセッションを近日中に mysql.com で公開する予定です。
いつもMySQLをお使いいただきありがとうございます!



