この記事は、MySQL cloud services cost comparison: who provides the best value? の翻訳版です。
Flexera 2023 State of the Cloud Reportによると、回答者の82%がクラウドの最大の課題は、何年間もずっと1位であったセキュリティの懸念を上回り、クラウドにかかる費用の管理と答えました。
レポートは更に「扱いにくいまでに高いクラウドコストを管理するために、多くの組織はクラウド活用推進組織 (CCOE: Cloud Center of Excellence)を持つことや、また成熟したクラウド財務管理(FinOps)を作ることを計画したり、既に実施している」と記述しています。
MySQLは世界で最も知られたオープンソースデータベースです。MySQLによって、Facebookやbooking.comなどと言った世界で最も使われているアプリケーションが、高い費用対効果で膨大な数のユーザーとトランザクションを拡張することが可能です。クラウド環境でMySQL利用を検討する際、お客様はMySQLクラウドサービスを提供するたくさんの主要クラウドベンダーから一つに絞ることを迫られます。その過程で、最も価値のあるのはどのベンダーか? という疑問が頭に浮かんでくるはずです。
MySQLクラウドサービスの比較
この疑問に答えるために、下記のサービスにかかる費用を比較します。
- Amazon RDS for MySQL
- Amazon Aurora MySQL-Compatible Edition
- Google Cloud SQL for MySQL
- Azure Database for MySQL
- MySQL HeatWave for OLTP (別称: MySQL Database Service) on Oracle Cloud Infrastructure (OCI)
比較条件
- 1TBのデータを1日24時間を30日間、つまり720時間実行するOLTPアプリケーションのシナリオを想定しています。
- 全てのコスト計算には、2023年3月30日現在公開されている価格を使用し、全てのベンダーに対しオンデマンド/従量課金制の定価を想定しています。
- 一般にクラウド業界の慣例では、インスタンスに含まれている仮想CPU(vCPU)の数に基づいて、コンピュートインスタンスを定義します。各vCPUは1つの実行スレッドに相当する容量を提供します。vCPUは物理コンピュートコアそのものを提供するのではなく、コアの一部です。一方、オラクルのx86コンピュートシェイプは物理コアに相当する物理コアを使っており、各OCPUは2スレッド提供します。従って、Amazon Web Services (AWS), Azure, Google Cloud Platform (GCP)における2vCPUが、OCIにおける1OCPUに当たります。
- コストの計算では、可能な限り同一条件での比較にしています。また、全てのサービスのアベイアビリティゾーン/ドメインへの利用における、コンピュートシェイプ、CPU、メモリ、ストレージ、バックアップストレージを考慮しています。
- IO が個別に課金されるAmazon Auroraに関しては、1か月あたり8億の読み取りと8000万の書き込みをするIOを想定しています。
- バックアップストレージに関しては、データベースストレージと全く同じ容量としています。
コスト比較
概要:
| Amazon RDS for MySQL |
Amazon Aurora – MySQL Compatible |
Google Cloud for MySQL |
Azure Database for MySQL |
MySQL HeatWave for OLTP on OCI |
| $2589.64 |
$3266.16 |
$2668.77 |
$2833.72 |
$883.26 |
| 2.93倍 対 MySQL HeatWave |
3.7倍 対 MySQL HeatWave |
3倍 対 MySQL HeatWave |
3.21倍 対 MySQL HeatWave |
主要競合他社と 最低価格 |
32vCPU、256GB、1TBストレージ相当の各種MySQLクラウドサービスにおいてOLTPアプリケーションの運用を想定した月額料金の比較を、下に棒グラフで表しました。MySQL HeatWave for OLTPは、Amazon Aurora に対し最大で3.7倍の費用対効果を発揮します。

詳細:
1. Amazon RDS for MySQL
メトリックス
シェイプ: db.r6g.8xlarge – $3.437/時
CPUs: 32 vCPUs
メモリ: 256 GB
ストレージ: $0.115/GB/月
バックアップストレージ: データベースストレージと同量までなら追加料金無し (追加のバックアップストレージ: $0.095/GB/月)
コスト
| インスタンス (CPUs + メモリ) |
3.437*720=$2474.64 |
| ストレージ |
0.115*1000=$115 |
| バックアップストレージ |
$0 |
| 合計 |
$2589.64 |
2. Amazon Aurora
メトリックス
シェイプ: db.r6g.8xlarge – $4.153/時
CPUs: 32 vCPUs
メモリ: 256 GB
ストレージ: $0.10/GB/月
I/Oレート (別途課金): $0.20 /100万リクエスト
バックアップストレージ: データベースストレージと同量までなら追加料金無し (追加のバックアップストレージ: $0.021/GB/月)
コスト
| インスタンス (CPUs + メモリ) |
4.153*720=$2990.16 |
| ストレージ |
0.10*1000=$100 |
| I/Oレート |
0.2*880=$176 |
| バックアップストレージ |
$0 |
| 合計 |
$3266.16 |
3. Google Cloud SQL for MySQL
メトリックス
CPU: $0.0442/vCPU/時
メモリ: $0.0075/GB/時
ストレージ: $0.182 per GB/月
バックアップストレージ: データベースストレージと同量までなら追加料金無し (追加のバックアップストレージ: $0.086/GB/月)
コスト
| CPUs |
0.0442*32*720=$1018.37 |
| メモリ |
0.0075*256*720=$1382.40 |
| ストレージ |
0.182*1000=$182 |
| バックアップストレージ |
0.086*1000=$86 |
| 合計 |
$2668.77 |
4. Azure Database for MySQL
メトリックス
シェイプ: E32ds v4- $3.776/hour
CPUs: 32 vCPUs
メモリ: 256 GB
ストレージ: $0.115/GB/month
バックアップストレージ: データベースストレージと同量までなら追加料金無し (追加のバックアップストレージ: $0.095/GB/月)
コスト
| インスタンス (CPUs + メモリ) |
3.776*720=$2718.72 |
| ストレージ |
0.115*1000=$115 |
| バックアップストレージ |
$0 |
| 合計 |
$2833.72 |
5. MySQL HeatWave for OLTP on OCI:
メトリックス
シェイプ: MySQL.VM.Standard.E4.16.256GB – $1.1712/時: [16*0.038+(0.0022*256)]
CPUs: 16 OCPUs (32 vCPUs)
メモリ: 256 GB
ストレージ: $0.04/GB/月
バックアップストレージ: データベースストレージと同量までなら追加料金無し (追加のバックアップストレージ: $0.04/GB/月)
コスト
| インスタンス (CPUs + メモリ) |
1.1712*720=$843.26 |
| ストレージ |
0.04*1000=$40 |
| バックアップストレージ |
$0 |
| 合計 |
$883.26 |
上記の比較から明らかなように、AWSやGCP、Azureが提供する他のMySQLクラウドサービスに比べ、MySQL HeatWaveは格段に低コストで提供しています。さらに、選択するリージョンによってはこの差が大きくなる可能性があります。
ご注意ください: AWS, Azure, Google Cloudの価格はリージョンによって変わります
OCIはすべてのサービスを一定の価格で、世界のあらゆるリージョンでご利用いただけます。つまり、クラウドサービスを利用する場所によらず、急な地理的拡張に対して計画や予算を立てやすいため、OCIが提供するサービスは予測可能性に優れると言えます。一方、AWSやGCP、Azureはリージョンによって価格が変わります。
上記の比較においては、AWSとAzureについてはバージニア北部のアメリカ東部リージョンを考慮しました。同様に、GCPについてはバージニア北部のアメリカ東部の四リージョンを考慮しました。アメリカ東部リージョンと比べ、価格はサービスによって、またリージョンによって大きく異なります:
| リージョン |
ロンドン |
フランクフルト |
シンガポール |
サンパウロ |
東京 |
| RDS for MySQL db.r6g.8xlarge |
+ 17% |
+21% |
+19% |
+107% |
+17% |
| Aurora MySQL-Compatible db.r6g.8xlarge |
+17% |
+21% |
+21% |
+107% |
+18% |
| Google Cloud for MySQL vCPUs & memory |
+12% |
+12% |
+31% |
+40% |
+21% |
| リージョン |
イギリス南部 |
ドイツ中西部 |
東南アジア |
ブラジル南部 |
東日本 |
| Azure Database for MySQL E32ds v4 |
+10% |
+21% |
+20% |
+110% |
+20% |
本記事でご紹介の通り、MySQL HeatWave on OCIはAWSやAzure、GCPと比べてより大きな価値をお客様に提供します。MySQL HeatWave移行プログラムによってエキスパートによる無料ガイダンス、無料の段階的な移行ガイド、無料トレーニングが利用できるので、MySQL HeatWave on OCIへの移行は非常に簡単です。
