※ 本記事は、Jeff Wilsonによる”Talent Management, Employee Experience, and Multi-Channel HCM are Essential to Retaining Frontline Workers“を翻訳したものです。

 

2020年以前「フロントライン・ワーカー」という言葉は、聞き慣れた言葉ではありませんでした。病院職員、工場で働く労働者、店の店員などの労働が当たり前と思われていたのかもしれません。COVID-19によって世界が一気に閉ざされたときでも、そういった従業員の方が働いている場所の明かりは消えることはありませんでした。他の人は家にいて外部との接触を遠ざけていましたが、病院、スーパーマーケットの従業員の方はマスクを着けて出勤していました。

フロントライン・ワーカーとは何ですか?

答えは明らかに見えるかもしれませんが、エッセンシャル・ワーカーとフロントライン・ワーカーの2つのグループには違いがあります。

アメリカ合衆国国土安全保障省の定義によると、エッセンシャル・ワーカーとは、「重要なインフラの存続を継続するために不可欠な様々な運用とサービスを行う労働者」のことです。これには、医療、通信、農業、IT、防衛などが含まれます。これは米国の労働者全体の82%を占めています[1]。

一方で、フロントライン・ワーカーは、米国のエッセンシャル・ワーカーのうちの64%[2]を占めており、世界全体では労働力の80%を占めています。[3]そして、このフロントライン・ワーカーの大多数は、在宅勤務不可の職業グループです。フロントライン・ワーカーには、医療従事者、警察、製造業、食品加工労働者、トラック運転手など多くの職務が含まれます。平均すると、フロントライン・ワーカーは賃金が低く、社会経済的に不利なグループの出身である可能性が高いです[4]。

何が問題でしょうか?

一言で言うと、フロントライン・ワーカーは燃え尽きてしまいそうな状況にあります。医療従事者を例として見ると、パンデミックの前であっても、看護師と医師の35%~54%、医学生と研修医の45%~60%が燃え尽き症候群の症状を報告しました。これは、高度の感情的疲労、感情解離性障害、職場での個人の達成感が低いことが特徴です。パンデミック時の調査では、医療従事者の93%がストレスを感じ、86%が不安を抱え、76%が疲労と燃え尽き症候群を報告しました。このストレスの原因は、非現実的な期待をかけられた状況、リーダーシップ・サポートの欠如、自律性および発言力の制限、過度の作業負荷、そして彼らの幸福に焦点が当てられないことなど、多くの原因があります。業界全体で、フロントライン・ワーカーは仕事に対する満足度が低いと考える傾向が強くなっています。たとえば、昇進の機会を損なうことなくワークライフ・ポリシーを活用できると考えているのは時間給の従業員の45%のみです。フロントライン・ワーカーは、所属する企業の多様性、公平性、インクルージョン・プログラムの効果への期待は、他の職種よりも20%低くなっています。デスクレス・ワーカー(現場で働く労働者)の3分の1は、今後6か月の間に仕事を辞める計画を立てています[7]。しかし、従業員が自分の経験をポジティブに捉えた場合、60%が留まる可能性が高く、69%が高いパフォーマンスを発揮する従業員になる可能性が高いと回答しています。[8]

フロントライン・ワーカーをサポートし、維持するために何ができますか?

フロントライン・ワーカーは、適応し、つながり、理解し、発展する必要があります。病院で働く人、トラックを運転する人、組立ラインで働く人などは、HR関連のタスクを完了するためにコンピュータへ常時アクセスできるわけではありません。多くの場合、従業員はモバイル・デバイス等のチャネルを使わなければなりません。つまり、会社の人事管理システムは、PC以外でも同じ機能を使用できるように適応する必要があります。それにより、フロントライン・ワーカーはストレスを感じることなく、いつでもどこでも必要な仕事をこなすことができるようになります。

フロントライン・ワーカーの地位向上に対する理想と現実の間には、大きなギャップがあります。70%以上のフロントライン・ワーカーが、社内での昇進を希望しているにもかかわらず、わずか4%しか昇進できていません。新しいゲートウェイ・ジョブ(スキルと経験培う機会)を得るためのスキルを獲得する機会が不足しています。企業は、従業員の現在のスキルセットをよりよく理解し、より優れたエンゲージメントと進歩につながる効果的なタレント・マネジメントが必要です。タレント・マネジメントの戦略に従って、従業員のスキルを育成していく必要があります。[10]

多くのフロントライン・ワーカーが孤立していると感じている中、コミュニケーションとネットワーキングは、人間関係の構築、メンターシップの推進、情報共有の観点からも重要な項目となります。従業員が上司や同僚と常につながっていれば、帰属意識が高まり、医療のプロトコルなどの新しく重要な情報をすぐに理解することができます[11]。また、従業員は発言し理解される必要があります。従業員のニーズを効果的に理解して、モラルを向上させ、企業ロイヤルティを向上させるためのエクスペリエンスを設計する必要があり、また、従業員の成長の機会を提供できるような仕組みにする必要があります。

Oracle Fusion Cloud HCMはフロントライン・ワーカーをどのように支援できますか?

Oracle Fusion Cloud HCMは、企業内のすべての人事プロセスとフロントライン・ワーカーを含む個人を結び付ける包括的なクラウド・ソリューションです。このソリューションは、働く人々が大切にされていると感じ、彼らに耳を傾けるコミュニティを作るのに役立ちます。

Oracle Cloud HCMの最も重要な機能の1つは、どのデバイスからも一貫性があることです。フロントライン・ワーカーは、携帯電話から人事に関連するタスクを完了できますので、現在の働いている場所で対応できます。さらに、Oracle Talent Managementは、下記のようなフロントライン・ワーカーのキャリア育成支援に役立ちます。

  • スキルにフォーカスしたパーソナライズされた学習方法により、各自が興味のあるキャリアを獲得を支援できます。特に、レコメンデーションの機能やカスタマイズされたラーニング・キャンペーンの機能で従業員のスキルを向上します
  • 組織内のキャリア調査、キャリア開発の仕組みと、関心のある役割に関連付けられた目標とタスクを含む育成プランを提供します
  • オポチュニティ・マーケットプレイスでは、求人情報、ボランティア、社内業務をすべて1箇所にまとめて、一人一人の成長を支援します
  • チーム・スキル・センター、AI主導のスキル分析、パーソナライズされたポータルを備えたスキル・データベースによって、従業員とマネージャがスキルを管理し、個人および組織の成長のためのアクションを促進します

Oracle Cloud HCMの一部であるOracle MEでは、従業員エクスペリエンスの向上のために、社員同士のつながりや成長を支援するさまざまな機能があります。すべての従業員のニーズや希望も含めて「個人」を完全に理解することで、すべての従業員に最高のエクスペリエンスを提供できるように設計されています。Oracle MEのプラットフォームは次のもので構成されます。

  • Oracle Journeys: オンボーディング、キャリア機会の調査、新しい役割への転属、結婚など、ワークフローを通じて従業員をサポートするためのパーソナライズされたガイダンスを提供します
  • Oracle Touchpoints: 従業員とマネージャとの間の継続的なエンゲージメントを促進するためのアクション・チャネルを提供します
  • Oracle HCM Communicate: 組織にとっての重要な行動を共有、推進するためのコミュニケーションを促進します
  • Oracle Connections: 同僚、エキスパート、メンターを見つけ、関心事やフィードバックを共有することで、職場における人間関係を充実させます。
  • Oracle HR Help Desk: スケーラブルで統一されたサービス・リクエスト管理の機能によって、すべての従業員に迅速で一貫性のあるインテリジェントなHRサービスを提供します
  • HCM向けデジタル・アシスタント: HRチャットボットを介した会話型AIサポートによって、すべての従業員の質問にシームレスなコミュニケーションとガイダンスを提供します。またこの機能は、Web、モバイル、SMS、スマート・スピーカー、Slack、Microsoft Teamsなどの多くのチャネルを介してサポートされます。

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Workdayでは最近、フロントライン・ワーカーを抱える企業にアピールするために設計された新しいワークフォース管理モバイル機能を発表しました。[12]しかし、モバイル機能は強化していますが、Workdayについては未だモバイル・アプリを介してフルスイートを提供できていません[13]。Workday Assistant(デジタル・チャットボット)は、現在、デスクトップ・バージョンおよびモバイル・アプリ以外の追加チャネルとしてSlackおよびMicrosoft Teamsとのみ連携しています。[14] Workdayは、フロントライン・ワーカーがサード・パーティ・アプリケーションであるMicrosoft Viva Connectionsを使用してシフト時間の入力を行うことを提案しています。[15]クラウド向けにネイティブに構築されたOracle Touchpointsとは対照的に、Workdayのリスニング・プラットフォームは、同じプラットフォーム上で機能しないため統合が必要になります。[16]また、WorkdayとOracleはどちらもスキルや対象業務に興味を持つ組織のタレント・プロファイルを検索可能ですが、[17] Oracle Connections では、さらに進んで、コンシューマー向けのソーシャル・メディア・リンクやタグ付け検索機能も持ち、職場関係の充実につなげています。

フロントラインの従業員のために、Oracle Fusion Cloud HCMの価値を認識した多くの組織の1つにNemours Children’s Healthがあります。8000人の従業員が年間48万人以上の子供たちにケアを行っています。同社は老朽化したオンプレミス・アプリケーションからOracle Cloud HCMとERPに移行しました。2022年4月、NemoursがOracle Fusion Cloud HCMで稼働しました。その結果、フロントライン・ワーカーはどこからでも給与明細に安全にアクセスでき、パフォーマンス管理もより迅速かつ簡単になることで、リモートワーカーの管理が向上しました。

Oracle Cloud HCMを使用すると、デスクレス・ワーカーのニーズに優先順位を付けることができますか?

従業員は、組織が彼らをサポートし、評価し、社会的責任を果たすことを期待しています。デスクレスワーカーを維持するために、雇用主は従業員エクスペリエンスを再設計する必要があります。詳細は、Oracle Cloud HCMを参照してください。

免責事項: 前述の事項は、オラクルの一般的な製品の方向性の概要を説明するものです。情報提供のみを目的としており、いかなる契約にも組み込むことはできません。マテリアルやコード、機能の提供をお約束するものではなく、購入決定を行う際の判断材料とすべきではありません。Oracleの製品について記載されている機能の開発、リリース、タイミング、および価格は、Oracle Corporationの単独の裁量で変更および維持されます。

 

[1] Blau, Francine et al., “Essential and Frontline Workers in the COVID-19 Crisis (Updated)”, The EconoFact Network, 22 March 2022, https://econofact.org/essential-and-frontline-workers-in-the-covid-19-crisis

[2] Ibid.

[3] Zhang, Jacqueline, “Adopting HR Technology to Win the War for Deskless Workforce: Stability in Turbulent Times”, Baker Tilly, 15 August 2022, https://www.bakertilly.com/insights/adopting-hr-technology-to-win-the-war-for-deskless

[4] Blau et al., The EconoFact Network

[5] “Addressing Health Worker Burnout”, US Department of Health and Human Services, 2022, https://www.hhs.gov/sites/default/files/health-worker-wellbeing-advisory.pdf

[6] Copeland, Chris et al., “Race in the Workplace: The Frontline Experience”, McKinsey & Company, 30 July 2022, https://www.mckinsey.com/featured-insights/diversity-and-inclusion/race-in-the-workplace-the-frontline-experience

[7] Zhang, Baker Tilly

[8] “What Is Employee Experience?”, Oracle Cloud HCM, Accessed 26 October 2022, https://www.oracle.com/human-capital-management/employee-experience/what-is-employee-experience/

[9] Copeland, McKinsey & Company

[10] Zhang, Baker Tilly

[11] Ibid.

[12] Miller, Ron, “Workday Turns More Modern and Personalized with New Interface Makover”, TechCrunch, 13 September 2022, https://techcrunch.com/2022/09/13/workday-turns-more-modern-and-personalized-with-new-interface-makeover/

[13] “Workday for Android”, Workday, Accessed 22 September 2022, https://android.workday.com/#description

[14] “Workday Assistant-Chatbot is Here!”, TeamUpHR, Accessed 14 October 2022, https://www.teamuphr.com/single-post/workday-assistant-chatbot-is-here

[15] Workday Staff Writers, “Workday and Microsoft: Connecting the Employee Experience”, Workday Blog, 14 July 2021, https://blog.workday.com/en-us/2021/workday-microsoft-viva-integration.html

[16] Kristiana, “Set Up Peakon’s Workday Integration”, Peakon Support, 4 May 2022, https://support.peakon.com/hc/en-us/articles/4405995533714-Set-up-Peakon-s-Workday-integration

[17] “Workday Talent Optimization”, Workday, Accessed 22 September 2022, https://www.workday.com/content/dam/web/en-us/documents/datasheets/datasheet-workday-talent-management.pdf