※ 本記事は、Jon Mittelhauser による”Supercharging Oracle Fusion Apps with OCI cloud native services“を翻訳したものです。
大規模なエンタープライズ・ソフトウェア企業にとって最大の課題の1つは、イノベーションを継続しながら、いかにして大規模なアーキテクチャの改善を行うかということです。お客様が期待する高品質の製品・サービスを維持し続けながらアーキテクチャの改善を実施する必要があります。先日のOracle CloudWorldで、オラクルではこの課題に取組むための社内プロジェクトを発表しました。
Project Spectraは、Oracle Fusion Cloud Applications SuiteをOCI(Oracle Cloud Infrastructure)ベースのクラウドネイティブアーキテクチャに進化させるための大きな取り組みです。このプロジェクトのキーワードは「進化」です。これは、お客様が直接意識することなく、”舞台裏 (ビハンド・ザ・シーン)”で行われている段階的なアーキテクチャの変更です。このプロセスを進めることで、お客様はその効果を実感することができるようになります。
このプロジェクトの詳細をご説明する前に、そもそもクラウドネイティブ(Cloud Native)とはどういう意味なのかをご説明したいと思います。
- クラウドネイティブアプリは、クラウドが提供するスケール、弾力性、回復力、柔軟性を活用するように設計、構築
- クラウドネイティブサービスは、Kubernetes、Docker、サーバーレス機能、API、Kafkaなどの技術を使用して、最新のアプリケーション開発を支援
- 上記機能により、弾力性、管理性、観測性に優れた疎結合のシステムを実現
Oracleは、Cloud Native Computing Foundationのプラチナ・メンバーであり、Oracle Fusion Applicationサービスを最適な環境で構築するために、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)を新しく改良しています。
OCIとは?
- アプリケーションをより速く、より安全に実行するために設計された、エンタープライズグレードの次世代クラウドインフラストラクチャ
- 世界で40以上のクラウドのリージョンが利用可能で、さらに複数の地域が計画されている、最も急成長しているグローバルデータセンターのネットワーク
- 100以上のクラウドインフラストラクチャーとプラットフォームサービスが利用できる
OCIがどのように既存のFusion Applicationsのアーキテクチャを強化するかについてもっと知りたい方は、今月初めに書かれたこのブログを読んでください。(Better together: Oracle Cloud InfrastructureがFusion Applicationsを強化する方法)o.comのページ Oracle Fusion Cloud ApplicationsとOracle Cloud Infrastructureの連携が優れている理由もご覧ください。
Fusion Applicationsの進化、Fusion Applications Cloud Nativeサービスはどのようなものなのか?
Fusion Applicationsは、新しい機能を作成し、既存の機能を徐々に独立したクラウド・ネイティブ(Spectra)サービスに移行していく予定です。これらのサービスは、OCIのマネージドKubernetesサービス(OKE)上で動作するDockerコンテナを使用して、コンテナ化された方法で構築されます。これらの独立したサービスは、OCIのストリーミングサービス(OSS)を利用して、そのサービスと既存のFusionアプリケーション(既存のWebLogicベースの技術スタック上に構築)間で信頼性の高い方法で情報を伝達することができます。
Oracleの開発の大部分はJavaで行われているため、Project Spectraは新しいアーキテクチャの基礎となる部分としてHelidonを選択しました。Helidonは、高速なWebコア上で動作するマイクロサービスを記述するための、クラウドネイティブのJavaライブラリ群です。もしあなたがHelidonをよくご存知なければ、是非こちらのサイトでご確認ください。
Project Spectraの設計における重要な側面の1つは、各サービスが既存のFusionアプリケーションと直接統合するように設計されているということです。Spectra Servicesは、既存のスタックと全く同じエッジ・セキュリティ、アイデンティティ、データベースを使用します。
また、Spectra Servicesは完全にステートレスです。すべての顧客情報は、既存のスタックと同じデータベースに保存されます。これにより、Oracle Databaseの素晴らしいパワーを活用し、新しいアーキテクチャへのスムーズな移行を実現します。データはすべて同じ場所に保存されるため、本番環境からテスト環境への容易なデータ移動など、Fusionアプリケーションの強力な機能を維持することができます。

スペクトラ(Spectra)というこのプロジェクトのコードネームはどこから来ているのでしょうか?
それは、私たちの基本理念です!
Security(セキュリティ)
Performance(パフォーマンス)
Elasticity(弾力性)
Customizations(カスタマイズ力)
Telemetry(テレメトリー)
Resiliency(回復力)
Agility(アジリティ)
このブログは、早く概要を理解いただくことを意図していますので、私たちがどのようにこれらの基本原則を実現しているかの詳細については、(あるいはこのエキサイティングなプロジェクトについてもっと聞きたいという方は)CloudWorldセッションのリプレイをご覧ください