※ 本記事は、Steffy Jenson(シニア製品マーケティング・アナリスト)による”Introducing Project Analytics in Oracle Fusion ERP Analytics”を翻訳したものです。
大規模な企業プロジェクトであろうと組織内の小規模なプロジェクトであろうと、変化するビジネス環境に合わせた俊敏な対応が必要です。リスクを軽減しながら目標を達成するためには、プロジェクトのライフサイクルのあらゆる段階において、データを活用した影響分析や相関関係分析が必要です。コスト、予算、予測、支出を包括的に把握するだけでなく、マージンの最適化や、隠れたインサイトを見つけるための詳細分析を行うことも必要です。
Oracle Fusion ERP Analyticsの一部としてProject Analyticsが導入されました。事前構築済の統合分析アプローチを使用することで、プロジェクト・メンバーは、コスト最適化の機会を特定し、収益と請求の傾向を理解します。また、部門全体のすべてのデータを統合して現在の予算と予測の差異を把握することで、より精度の高い意思決定が可能になり、プロジェクトを成功に導くことができます。
事前構築済みのベスト・プラクティスのKPIを使用して、プロジェクト・ポートフォリオの健全性を評価
プロジェクト管理の最大の課題の一つは、進捗状況に応じた予算割当てと、計画的なプロジェクト支出の管理です。予算と今後の予測をモニタリングしながら、計画されたベースライン・コストとの差異を分析する必要があります。しかし、情報が複数のシステムに分散していると、プロジェクト・メンバーは手作業によるデータ抽出と操作に多くの時間を費やしてしまいます。
予算および予測分析:
Project Analyticsでは、予算および予測分析プロセスがスムーズになります。あらかじめ作成されたKPIを使用することで、予算と予測の差異、ベースライン・コストの変化を把握することで、リスクのあるプロジェクトを特定し、財務の健全性をチェックできます。埋込み分析では、パフォーマンスの履歴から、トレンドを理解し、予算超過の可能性を予測することができますし、また、プロジェクト目標を達成するための最適なコスト、経費、リソースを理解することもできます。
プロジェクト・アナリティクスがユーザーの迅速な回答に役立つ3つの主要な項目
- 管理しているプロジェクトの全体的な財務の健全性について
- 予算を超過しているコスト・カテゴリについて
- 予算に対する現在の予測と、現状を踏まえて更新された予測について

財務パフォーマンスの概要
収益および請求に関するインサイトをタイムリーにビジュアル化
正確でタイムリーなプロジェクト・パフォーマンス情報を取得することが困難な場合があります。サイロ化されたシステムでは、複雑なプロジェクト・データと、複数のスプレッドシートへ依存状態になってしまいます。そのような状態では、最新の収益トレンドとは何か、上位の顧客はどこか、期日どおりに支払っていない顧客を誰か等を理解することが困難になってきます。
収益および請求分析: インタラクティブ・ダッシュボードとセルフサービス・ビジュアライゼーションにより、日々のプロジェクトの実行状況を、請求マイルストーン全体の中で理解しながら、トレンドと差異を把握することができるようになりました。プロジェクト・チームは、収益、請求、顧客、契約、資金割当全体のトレンドを完全に可視化することで、IT部門に頼らずに結果を報告できます。
- 上位顧客10社、最も収益性の高い顧客のリスト
- 収益を上げている上位プロジェクト
- 現在の請求額、前四半期の請求額との比較
- 見越収益、現在の請求額との比較
- 当初の資金調達契約に対するパフォーマンス結果
- 順調なプロジェクトと順調ではないプロジェクトの比較
タイムリーな情報をもとに、シームレスで迅速なコミュニケーションを行うことが、プロジェクト全体において必要です。自然言語処理(NLP)機能が組み込まれている音声駆動型のビジュアライゼーションの機能もあります。この機能はさまざまなデバイスに対応しているため、いつでも収益と請求に関するインサイトを取得することができます。「今月の収益の傾向はどうですか?」、「今月未払いの顧客は?」などの質問をすると、ビジュアルでインサイトを取得し、結果をステークホルダーと共有することができます。

音声付き携帯電話
プロジェクトのコストと経費の管理方法を改善
PMOは、プロジェクト・コストのステータスを常に監視し、予算を管理する必要があります。実際の経費と当初の見積りとの差異や、利益率、コミットメント等、プロジェクト・メンバーは、原価計算レポートを分析する必要があります。プロジェクトのデータと関連するコストのデータが異なる場所に保存されていたり、異なる担当者によって個別に管理されていると、データを理解するためのプロセスに時間がかかります。その結果、プロジェクト・コストと全体的な支出に対するチームの可視性が低下します。
プロジェクト・コスト分析: Project Analyticsは、事前構築された分析機能によって、セルフサービス型のビジュアライゼーションを提供します。これによって、タイムリーな意思決定を可能にし、プロジェクト・コストがマージンや予算に与える影響を迅速に評価します。また、プロジェクト・コストを深く掘り下げた分析を行うことで、原価コミットメントや経費増加の要因に関する詳細なインサイトを取得でき、適切にコストを調整しながらプロジェクト管理を改善できます。プロジェクト・タイプ、組織、カテゴリ別に、データをいつでも複数の方法で詳細に分析することができます。組込分析、様々なメトリックを使用することで、プロジェクトまたは総勘定元帳の勘定科目および会計期間別に分析することができます。また、アカウント・レベルの詳細の収益および原価配分を分析することもできます。事前構築されたコスト分析機能によって次のような項目を評価できます。
- 支出超過を予測する場所と、制御方法
- 収益性を最大化し、コストを最小化するために使用できるリソース
- 前四半期の収益差異
- 過去6ヶ月間のプロジェクト別、カテゴリ別のコスト・トレンド

プロジェクト原価分析
財務、HR、サプライ・チェーンの各業務において、プロジェクト状況全体を統合ビューで把握
プロジェクト・メンバーは、他の部門のプロジェクト情報を限定的にしか把握することができないことがあります。しかし、このことは、マイルストーンにプラスまたはマイナスの影響を及ぼす可能性があります。Fusion SCM (Supply Chain Management) Analyticsと組み合せてプロジェクト分析を行うことで、販売オーダー、調達購買依頼とオーダー、プロジェクト属性別の在庫トランザクションなど、サプライ・チェーン・データを多次元でさまざまな角度から分析できます。
部門横断、プロジェクト主導型のサプライ・チェーン: 視覚化されたインサイトにより、組織全体で統合されたビューを持つことができます。これによって、リソースの有効な活用方法を理解するだけでなく、プロジェクトを期限内に遂行させるためのインサイトを得ることができます。単一の分析データ・モデルや拡張可能なデータ・モデルによって、統合して可視化されたダッシュボードで理解することができます。財務、人事、サプライ・チェーンの各業務におけるプロジェクト・データの相関関係を迅速に提示します。これによって、メンバーはプロジェクトにおけるサプライ・チェーンの各要素の相関関係を見つけることができ、リスク管理しながら、コスト削減ができます。それによって、次回の予算配分方法を適切に行い、予算達成に必要な追加作業量を確認することができます。また、サプライ・チェーン業務のボトルネックを先取りして把握することもできるようになります。さらに、プロジェクト・メンバーは、拡張機能を使うことで異なる様々なソースから簡単にデータを収集し、より確実な分析を行うことができます。
- プロジェクト別の未処理の注文書
- 現在出荷されているオーダーと顧客
- サプライヤおよびプロジェクト別の現在未処理の購買オーダー
- プロジェクトで未処理の労務時間数

プロジェクト主導のサプライ・チェーン分析
まとめ
Oracle Fusion ERP Analyticsの新しい事前構築済みプロジェクト分析機能により、統合されたインサイトでプロジェクトを理解・予測し、戦略的な意思決定を行うことができます。この強力な新しい分析機能により、プロジェクト・マネージャーは組織全体およびすべての場所において、いつでもどこでもコスト、予算、予測、支出、利益を分析できるようになります。主な機能は次のとおりです。
- 組込みの機械学習(ML)機能により、元の予算との差異を予測できます
- 標準で提供されている80以上のプロジェクトベースのベスト・プラクティスのKPI、メトリック、ダッシュボードにより、異常値を迅速に認識できます
- 使い勝手の良いセルフサービス・データ・ビジュアライゼーションにより、コスト、収益および経費の不規則なトレンドや配分を明確にできます
- 事前に単一で拡張可能な部門横断の分析データ・モデルをあらかじめ構築できます
- 自然言語処理機能により、プロジェクトに関連するクエリを即時に検索できます
事前構築済のプロジェクト分析の価値を理解するには、無料のインタラクティブ製品ツアーをご覧ください。
