※ 本記事は、Fusion Developmentチームによるブログ投稿”Global trade headaches? Fusion Apps can help.“を翻訳/意訳したものです。
主なポイント
- 関税の不確実性は、グローバル・サプライチェーンに財務リスクと業務リスクをもたらし、利益率と競争力に影響を与えます。
- Oracle Fusion Cloud Applicationsは、企業がこれらのリスクを効果的に管理するのに役立つ総合的な製品を提供します。
- この製品は、予想される関税シナリオのモデル化からソーシング戦略の最適化、貿易コンプライアンスの確保、実際の荷揚原価の計算まで、グローバルな貿易の変化による財務的および業務上の影響を予測、適合、管理するのに役立ちます。
グローバル貿易(特に低コスト国での調達と契約製造)の台頭により、企業には新たな供給源を活用し、市場投入までの期間を短縮し、利益率を向上させる機会が生まれました。しかし、関税を含む規制の変更にさらされるリスクも高まっています。企業の収益に大きく影響する可能性があり、競争はより厳しくなり、管理上の負担の増大やリスクをもたらします。
しかし、これらの課題は根本的に新しいものではありません。このところ顕著になってきていますが、サプライチェーンと企業業績管理の専門家は何十年もの間、これらの問題に対処してきました。また、Fusion Appsの製品開発チームは、お客様と協力してソリューションを見つけています。このブログ投稿は、グローバル貿易の不確実性を乗り越えるのに役立つ、サプライチェーンの製品を理解するのに役立ちます。具体的には:
- Enterprise Performance Management (EPM)のOracle Scenario Modeling: 予想される規制変更の財務的影響を理解し、中長期的な計画プロセスの一環として、不測の事態に備えた計画を策定します。
- Oracle Supplier Lifecycle ManagementとOracle Strategic Sourcing: 中長期契約を交渉し、コスト、品質、リスク、イノベーションの最適な組合せを提供する仕入先の構成を見つけます。
- Oracle Global Trade Management (GTM): 輸入および輸出規制に準拠し、個々の出荷の荷揚原価を見積り、関税義務をナビゲートします。
- Oracle Inventory Managementの荷揚原価管理(LCM)機能: 運送費、関税、保険など、購入価格以外のすべての費用を含む、商品を取得するための総コストを算出します。
注記:簡潔にするために、この記事では、Oracle Demand Management、Oracle Product Lifecycle Management、Oracle Fusion Data Intelligenceなど、適用可能な他のソリューションについては取り上げません。
1.EPMのシナリオ・モデリングでリスクを理解
Oracle Cloud EPMを使用すると、チームは「what if」シナリオをモデル化して、予想される関税変更の影響と、その影響を軽減する対策を理解できます。たとえば、昨今の混乱がビジネスに与える影響があるのかどうか、そしてその範囲を判断するのに役立ちます。
- 新規取引ルートを探す
- 原材料、コンポーネントおよび完成品の新しい原産国を探す
- サプライヤを変更する
Oracle EPM Scenario Planningをまだ使用していない場合は、ERP、サプライ・チェーンまたは分析アプリケーションの任意の組合せで動作するように設計されていることに留意が必要です。投資回収期間は様々ですが、モデリングによってソーシングやオペレーションに迅速でインパクトのあるアクションが起こせた場合、比較的短くなる可能性があります。詳細は、Oracle Cloud EPMのシナリオ・モデリングをご確認ください。
2.Oracle Lifecycle Supplier ManagementとOracle Strategic Sourcingを使用した適切なサプライヤとの連携
関税やその他の市場の変化によって、貿易の収益がリスクにさらされるときは、新しいサプライヤを見つけるには好都合かもしれません。Supplier Lifecycle ManagementとStrategic Sourcingの2つのOracle製品が役立ちます。
Oracle Supplier Lifecycle Managementは、サプライヤと見込みサプライヤに関する情報を統合し管理します。これには、ロケーション、コンプライアンス・ステータス、商品およびサービス・カテゴリに関する情報が含まれます。この情報により代替可能なサプライヤが可視化できます。また、Oracle Strategic Sourcingは、チームが交渉を改善し、コスト、品質、リスクおよびイノベーションが最適な構成のサプライヤを選択するのに役立ちます。実装時間が比較的短い(つまり、数か月の)場合、効率性と有効性に即時に効果がでる可能性があるため、Sourcingの迅速なROIが実現できます。
Oracle Lifecycle Supplier ManagementのOracle Strategic Sourcingの詳細を参照してください。
3.Global Trade Managementによる関税義務の延期、軽減、撤廃
GTMの主な焦点はコンプライアンスであり、国際的な取引を自動化、監視、文書化するための一元化された製品を提供します。デュアル・ユース技術の取引の制限、制限された当事者のスクリーニング、すべての関税義務の履行など、さまざまな規制上の問題に対処します。(これは、たとえばドイツの事業所から米国に在庫を転送する社内のトランザクションにも適用できます。) GTMでコンプライアンスを一元化することで、関税義務を延期、軽減、さらには削除(撤廃)する方法で、国際的な取引を調整する機会を得ることができます。複雑なシナリオ(たとえば、製品部品構成表の部分組立品間、複数の原産国からの部分組立品間、サプライチェーンの複数のレイヤーにわたる部分組立品間など)でも、いつどの商品やサービスが関税をトリガーするかを追跡できます。
具体的には、GTMは次のことを支援します。
- 商品の分類
- 原産国を可視化
- 原産地規則に対する商品の認定および原産地証明書の生成
- サプライヤ・キャンペーンの管理(原産地証明書の収集など)
- 取引プログラムの適格性を決定するための取引のスクリーニング
- 荷揚原価の管理を支援
- 保税倉庫による商品の移動の管理
- コンプライアンスの向上と罰金の回避
- 遅延の最小化
GTMは非常に多くの取引関連データを処理するため、適用可能な関税ルール、そのルールにより発生する関税義務、(関税義務の)削減と免除の可能性を理解するのに役立つ重要な製品となります。
Oracle Global Trade Managementの詳細を参照してください。
4. Landed Cost Management(LCM)機能で会計処理を適切に実施
Oracle Inventory ManagementのLCM機能は、主に、購入価格(運送費、関税、保険など)以外のすべての費用を含め、商品を取得するための総コストの計算に関係しています。この詳細な内訳は、正確な会計、価格設定および収益性分析に不可欠な、在庫のアイテムの実際の原価を確認するのに役立ちます。
Oracle Inventory Managementの詳細、またはLanded Cost Managementの概要を参照してください。
比較方法
これらのソリューションが提供する機能は明らかに相互に関連していますが、それぞれが根本的に異なるビジネス機会に対処することを目的としています。たとえば、GTMは、LCMの総コスト計算に不可欠な入力項目である関税に関するデータを提供します。また、SourcingとLCMは、LCMの出力(正確な原価情報)がソーシングの決定に大きく影響する可能性があるという点で関連しています。詳細は、次の表を参照してください。
|
|
シナリオ・モデリング(EPM) |
サプライヤ・ライフサイクル管理 |
Strategic Sourcing |
Global Trade Management |
Landed Cost Management |
| 主な焦点 |
長期的な財務シナリオの計画と予測 |
サプライヤ情報とパフォーマンス管理 |
契約ネゴシエーション |
規制コンプライアンス |
在庫評価と会計 |
| 主な機能 |
What-if分析、モデリング、財務予測、分析 |
サプライヤのコラボレーション、コンプライアンス、審査 |
要件定義、価格発見、契約落札 |
国際的な計画、文書化、検証、リスク回避 |
在庫費用および財務の更新 |
| 範囲 |
シミュレートされたコストおよび収益予測 |
サプライヤの場所、認定、製品およびサービスのカテゴリ |
中長期的な要件、提案された価格設定 |
取引固有の見積/シミュレート荷揚原価 |
出荷後、価格および非価格ファクタの品目固有の会計 |
| 原価コンポーネント |
主要なコスト/収益要因、財務上の仮定 |
リスク評価、監査結果 |
交渉済みの価格設定、付加価値サービス、非価格要素 |
関税、コンプライアンス、仲介手数料 |
価格、貨物、保険、関税、取扱いなど |
| データ・ソース |
GL、ERP、Planningモジュール |
発注、契約、リスク管理、品質、サプライヤ・ポータル |
履歴原価、TCOデータ、サプライヤ入札 |
輸送、税関、規制、サードパーティ |
購買、受入、買掛管理、原価計算、GTM |
| 利害関係者 |
FP&A、財務責任者、戦略チーム、サプライチェーン・チーム |
調達、リスク、サプライヤのマネージャ |
ソーシング・マネージャ、カテゴリ・マネージャ、サプライヤ・マネージャ、ビジネス利害関係者、サプライヤ |
取引コンプライアンス、サプライチェーン・プランナ、サプライヤ、サードパーティのロジスティクス・プロバイダ、規制当局 |
財務、在庫、アナリスト |
まとめ
関税を含む世界貿易の混乱は話題になっているかもしれませんが、Fusion Appsにとっては新しいものではありません。お客様は、急速に変化する複雑な環境を乗り越え、収益を向上させるのに役立つ製品のポートフォリオに簡単にアクセスできます。
次のステップ
- 2025年7月24日・25日に開催される東洋経済主催オンラインイベント「Transform Summit 2025」にオラクルが協賛・登壇いたします。
- 7月24日(木) 13:45 14:15 「AIネイティブSaaSが変える経営革新~経営・業務のフロンティアとしてAIドリブン経営と業務自動化を実現~“予測不能“が日常になった時代の経営管理」と題したオラクルのセッションを予定しております。
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Fusion Development
Fusion Developmentチームは、Oracle ERP、EPM、SCM、HCM、CXを含むOracle Fusion Cloud Applications Suiteの構築、維持、推進を担当しています。本部は米国、 インド、メキシコ、フィリピン、ルーマニアにあり、メンバーは世界中に拠点を持っています。
