Oracle Cloud World 2022 Oracle Fusion Cloud CX セッションにおいて、Fusion Cloud Customer Experience (CX)のエグゼクティブ・バイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャーのロブ・ターコフより「セールスとサービスを連携した新しい顧客エンゲージメント」の説明がありました。
セッションの冒頭では、CXの課題について整理しています。特に、簡単そうに見えて実は非常に大変なCXを支えるプラットフォームの部分について改めて説明がありました。
顧客を理解し、個人に合わせた対応が必要なのは皆様ももちろんご承知のとおりだと思います。そして、そのために、さまざまな顧客接点のデータを集約し、顧客を理解し、プロアクティブなオファリングをするということで、多くの企業が過去何年もお取組みです。しかし、このことがなぜ今も難しいままなのでしょうか?実は、いろいろ神話のように信じていたことが実際は違っているということがありますということで、セッションでは、4つの大きな課題を整理しています。

1つ目は、「顧客のデータを接続するのは簡単だ」と主張する最初の神話です。これは、非常に難しいテーマです。ファースト パーティ データをマスターし、データをすぐに利用できるようにして、販売とサービスのエクスペリエンスを向上させるというのは、言葉では簡単なようですがマーケティング、販売、サービス全体の多くのデータソースを1つのプロファイルに結合するには、実際はさまざまなデータソースからAPIでつないで、抽出して、変換して、演算したり、評価指標に合わせて、データモデルに取り込んで、活用していくという道のりがあるので、大変難しいことです。
2つ目は、「CXはマーケティング、セールス、サービスアプリケーションの統合がすべてである」という神話です。顧客への認知、検討、獲得からサポートといった、360度のビューで、組織を横断して顧客接点を管理するアプリ統合をしていくということは、一見全てを網羅しているように思えますが、CXの観点から考えるといろいろ不足しています。ビジネスが、サブスクリプションビジネスモデルに移行するにつれて、顧客対応プロセスもバックオフィス、財務プロセスとも繋げていく必要がでてきています。今いくら何をつかっていて、何を追加で購入して、何をまったく使っていないといったお客様のサービス利用情報も含めてお客様理解していく必要がありますし、トラブルの時にはサプライチェーンの情報もリアルタイムに把握しながら少しでも早く適切にお客様対応を進める必要があります。さらに今後は、サービスを今どこで使っているといったIoT情報や音声や画像等さまざまなでデータを繋いでお客様とエンゲージし続けていく必要があります。
3つ目の神話は、「CXはアプリケーション中心のイニシアチブである」という神話です。変化する顧客のニーズや行動に応じてアプリケーションを追加開発していけばいいという発想です。しかし、それぞれの顧客接点ごとのアプリケーションで最適化しても、部署ごとの生産性は高まるが、カスタマーエクスペリエンスが分断されて、結局売上につながらないということがあります。この神話に対してロブ・ターコフは、これからの時代は、CXはデータ主導のイニシアチブである必要があると述べています。全ての顧客に関連するアプリケーションを横断して、データを繋げて一元的に理解することで、お客様に次の最適なオファーができます。データを大規模に集約して、学習して、顧客の理解を深めて、お客様の行動を促進することができますので、やはり、従来の延長線上で、継ぎ接ぎのCXアプリケーションにするのではなく、データを中心としたCX全体のアーキテクチャーの構想を持つことが求められてきているのではないでしょうか。
そして最後に、皆様がよくお聞きになっているかもしれない4番目の神話は、「ベストオブブリードポイントソリューション」です。日々新しいチャネルが生まれ、顧客接点が細分化され、それに最適化なアプリケーションを提供する企業数多く生まれています。それぞれ小さい企業は多いですが、非常に専門的な価値を提供していて、この数年間でその速度はさらに加速しています。
その結果、現在のCXのソリューション市場は、様々なカスタマージャーニーに向き合うために、選択肢が非常に多くなっていますが、一方でこれら使いながら、一貫性をもって、顧客軸で価値提供することがますます難しくなってきています。当社では、「ベストオブブリードシステムとスイートの融合で構成するべき」と考えています。
これからの時代のカスタマーエクスペリエンスは、エンドツーエンドのプロセスを活用した企業全体の戦略に変わってきています。また、その効果はエンドツーエンドのカスタマージャーニーをどれだけうまくサポートするか、お客様が満足するか、ロイヤリティを高めてもらえるか等のさまざまな指標で測定されるようになってきています。オラクルでは、パートナー企業の様々なソリューションとも繋がりながら、新しいチャネルやサービスに特化した機能にも対応していきます。そして、ビジネスの変化に応じて拡張していくことが可能なスイートなシステムとして、アプリケーションプラットフォームを提供していくと述べています。
オラクルでは、買収ソリューションが提供していた価値をFusion Platformに統合しました。CXに関連する複数のソリューションを共通のプラットフォームに統合し、シームレスな顧客体験をサポートしつつ、さらにこれが、 最新のOCI上で稼働します。非常に高速のパフォーマンス、高いセキュリティーを提供する最新プラットフォームにのっていきます。今後の増え続ける顧客接点データを集約し、理解し、エンゲージしていく領域をスケーラブルにサポートしていくことができます。また、Fusionは、オラクル全てのSaaSアプリケーションの基盤ですので、フロントオフィスとバックオフィスを繋げた価値を提供していきますし、その中で業界特有のプロセスもE2Eでサポートできるようにしています。

このように、キーノートでは、CXの現在の課題に対しての、オラクルCXのソリューション価値の説明がありました。CXをより戦略的な仕組みとすることで、販売の成功率が向上し、顧客サービスレベルを超え、ビジネスが変革して次のレベルに成長し、顧客の満足度が向上します。当セッションでは、セールスとサービスの融合についてのデモも実施されました。もし詳しくご覧になりたい方は是非こちらをご覧ください。