※本記事は、Rod Johnsonによる” Your C-Suite doesn’t care about composability… yet “を翻訳したものです。
コンポーザビリティとアプリケーション戦略に関する連載を始めたとき、私は、このような技術的な話題になると、話をするリーダーのほとんどが敬遠するのではないかと考えました。組織のアプリケーション・アーキテクチャについては、IT部門の上級管理職が担当していることも多くあります。そのため、それ以外の経営層は正直なところ、ほとんどこのテーマを気にしていないこともあります。
しかし、私がコンポーザビリティについて話したことのあるビジネスリーダーは、このアイデアにとても興味を示してくれました。私が会話しているほとんどの上級管理職は、それが競争優位性を確立するテーマであれ、複雑な経営課題を解決することであれ、長期的な価値を創造することであれ、テクノロジーの影響に深く関心を寄せています。実際、CEOの70%は、デジタルビジネスへの投資を迅速に行う必要があると考えており、また、デジタル面で遅れてしまっている分野を売却しようとしています。
そういった背景の中で、コンポーザビリティと適切なアプリケーション戦略が、一部の先進的な経営層の興味を引き始めています。コンポーザビリティは、イノベーションを加速し、デジタルの陳腐化を食い止めるためにどのように役立つのでしょうか?ここでは、正しいコンポーザビリティ戦略が支援する基本的なビジネスドライバーにフォーカスします。それは、成長性、回復力、収益性の向上という3つの観点です。
コンポーザビリティーは複雑性を減らす
前回の記事では、すべてのコンポーザビリティが同じではないこと、断片的なアプリケーション戦略では、複雑さとコストが指数関数的に増大し、イノベーションを阻害する可能性があることをお話しました。このような断片化は、経営層が認識している課題であることは確かです。アクセンチュアの最新レポートでは、経営幹部の66%が、アプリケーションの数(平均的な企業では500以上)とそれに伴う技術的複雑さが、デジタル戦略を成功させる上での障壁になっていると回答しています。エンドツーエンドのアプリケーション戦略を持つことで、その複雑さとコストは軽減されます。組織はコンポーザビリティの考え方を利用することで、ビジネス目標を達成するのに非常に有利な立場に立つことができるのです。
コンポーザビリティは事業成長をサポートする
2023年の経済状況を逆風と予測するアナリストも多くいますが、米国ではヘルスケア業界や、サステナビリティー関連エネルギー、スマート・マニュファクチャリングなど、多くの産業が成長局面に向かいつつあります。各業界の中には、同業他社を凌駕するスピードの事業成長を遂げている企業もあります。そのような高い事業成長のスピードを誇る企業にとって最も避けたいことは、自社ビジネスの拡大スピードに合わせて拡張・適応できないシステムによって成長が鈍化してしまうことです。
この課題を認識し、回避したお客様の素晴らしい例が、木製玩具メーカーのMelissa & Dougです。Melissa & Doug社では、自社開発のシステムではビジネス拡張に対応できなくなった際の対応方法として、当初、中堅企業向けアプリケーションを採用することも考えました。しかし、そのようなアプローチでは、今後のシステムを更新・維持に多くのリソースが必要になり、コストと非効率性が増し、最終的には主要なミッションからリソースを奪ってしまうことになると考え、最終的にOracle Fusion Cloud Applicationsを選択しました。このソリューションでは、完全な統合クラウドソリューションの中で、必要な複合性(つまり、必要性が高まった時点でスイート内の機能をオンにできる)を実現しているためです。
コンポーザビリティはレジリエンスを向上させる
経営層に共通するもう一つのビジネス・ドライバーは、将来の大きなビジネスの変化や衝撃に組織をどう備えておくかということです。コンポーザブル戦略を採用する最大のセールスポイントの1つは、レジリエンスを高めることができることです。例えば、新しい競合による破壊的テクノロジーの出現や、地政学的な不安定さなど、環境が大きく変化したときに、最新の機能で対応することができる点です。環境が変化しても、陳腐化した機能を新しいものと簡単に交換することで、変化に適応しながら事業運営を行うことができます。間違った戦略を選択すると、ビジネス環境ではなく、アプリのアップデートのペースに合わせようとすることだけに集中することになり、行き詰まる可能性があります。
世界最大の製パン会社であるGrupo Bimboは、ベーカリーショップを展開しています。4大陸に200以上のベーカリーを持ち、33カ国で事業を展開し、全世界で320万以上の販売拠点を持っています。ここ数年で、十数社の製パン専門会社を買収しています。顧客の嗜好や期待が絶えず変化する中で、顧客基盤の拡大するために必要なレジリエンス対応のスケールは想像を絶するものです。さらに、グローバルなサプライチェーンの課題、世界的な景気後退の懸念もあります。しかし、そのような状況下でも、彼らは遅れを取ることはありませんでした。実際、Oracle Cloud Applicationsを全世界で採用し、エンドツーエンドのコンポーザブル戦略を選択したため、イノベーションを継続することができています。Grupo Bimboは、ITメンテナンスと手動による業務プロセスに費やす労力を減らすことができています。それによって、社内の新しいテクノロジー戦略の推進チームであるFuture Systems Landscapeなどのグループに多くのリソースを割くことができています。そして、オラクルのERPと、IoTインフラ、人工知能、高度な分析、ロボティクスといった業界特有のイノベーションを統合することで、ビジネスビジョンの推進に集中することができているのです。これは、同社のコンポーザブル戦略が、いかにイノベーションとレジリエンスを増幅させているかを示す典型例でもあります。
コンポーザビリティが利益を生む
事業戦略を評価ための基本項目の1つに、「株主価値を高めているか」という点があります。コスト削減、収益増加、あるいはその両方を実現できるのか?アクセンチュアは、報告書「Value Untangled」の中で、コンポーザビリティはその両方を実現することができると述べています。アクセンチュアでは、4,000人以上の経営層を対象に調査を行い、最も成功している企業は、最もアジャイルな企業であり、そのすべてに共通することとして、コンポーザブル・テクノロジーによって高い相互運用性を実現していることであることを発見しました。報告書によると、これらのアジャイル企業は、同業他社よりも6倍速く収益を伸ばし、さらに、同業他社よりも5%年間収益成長率が高かったということです。また、これらの企業は、収益性、回復力、価値創造の指標においても、同業他社を上回っています。
変化のためにデザインされ貴社のために作られている
オラクルのSaaSアプリケーション・スイートは、企業のあらゆる部分をつなぎ、最も重要なビジネス機能において一貫したプロセスと単一の真実の情報源(single source of truth)を提供することができます。このスイートは、今日のクラウド時代に向けて、一から構築された革新的なソリューションであり、貴社のクラウドへのジャーニーの過程において、どこのステージにいたとしても、貴社の環境に適合するように設計されています。
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