※ 本記事は、Yih-Wen Lin による”SAP users, are cloud migrations worth it for you? Find out with this self-assessment tool“を翻訳したものです。
クラウドは、デジタル トランスフォーメーションの重要なイネーブラーであり、AI や機械学習などの最先端のテクノロジへの直接アクセスやビジネスプロセスの容易な統合を可能とし、また、新しいビジネス・モデルとイノベーションを迅速に利用するための俊敏性を組織に提供します。ただし、従来の ECC および Business Suite 製品を使用している SAP のお客様にとって、クラウドへの道は簡単ではないようです。ビジネス アプリケーションのランドスケープを新しいデータベース[i]に合わせて再編成する必要があり、再実装のための作業[ii]が大量に発生する可能性があります。
何年にもわたって蓄積されたカスタマイズはどのような状況になるでしょうか?それらを SAP S/4HANA プライベート クラウドで維持できたとしても、クラウド ネイティブ ソリューション本来の柔軟性と俊敏性を完全には得ることは難しくなる可能性があります。[iii] せっかくのクラウドの利点が制限された状態になるかもしれません。このようなクラウド移行のプロジェクトは、本来、拡張に対してオープンで、簡単に適応できる新しいクラウド対応アプリケーション環境を確立することを目標とすべきです。SAP S/4HANA への移行を検討している場合、または既に開始している場合は、次の領域に注目して移行先がビジネス目標に沿っているかどうかを検証していただければと思います。
クラウドの利点:クラウド移行によって期待されるメリットを明確にしておく必要があります。SAP S/4HANA は、デジタル ビジネスの基盤としてプロモーションされており、その導入は、今後数年間にわたって採用するテクノロジーとビジネス オペレーションを決定することになります。導入の前に、クラウド機能に関してSAP には限られた実績しかないことを [iv]考慮すべきです。S/4HANA パブリック クラウドとプライベート クラウドの違い、製品ロードマップ、既存機能の範囲を十分に理解する必要があります。
ディスラプション:レガシー製品の保守終了に関するSAP の発表では、SAP の顧客はシステム更新のスケジュールを入力する必要があります。これは必ずしも顧客のニーズや要求時間枠に沿ったものではありません。また、S/4HANA の SaaS オプションには、オンプレミス バージョンのすべての機能が含まれていないため、ビジネスの継続性と完全なクラウドのメリットのどちらを選択するべきかというジレンマに直面しています。確かに、どのようなデジタル トランスフォーメーションにも中断のリスクが伴うことは確かですが、ビジネス アプリケーションをクラウドで実行することを決定するのであれば、それが最後の移行作業であることを事前に確認しておく必要があります。
コストとリスク:SAP S/4HANA への移行が高価なプロジェクトであることは周知の事実です。ほとんどの企業は、さまざまなビジネス ニーズに合わせて SAP の複数インスタンスを実行しており、コストと複雑さが倍増しています。技術基盤、アプリケーション アーキテクチャー、データ層が SAP ECC または SAP R/3 の実装とはまったく異なる新しい ERP 環境に移行する際には、慎重に計画を立ててリスクを軽減する必要があります。認識されている利点と再実装のコストとリスクを比較検討されましたでしょうか?
統合:ビジネスを運営する環境は絶えず変化するため、プロセスの統合は常に大きな課題です。さまざまな SAPの モジュール間、また、 SAP システムと外部システム間の内部統合ポイントが、効率的かつ動的なビジネス プロセスをサポートできることを確認する必要があります。それができない場合は、追加の統合作業が発生してコスト増につながる可能性があります。
分析:分析は、データドリブンの意思決定に不可欠なツールです。多くの組織では、それぞれの部門の多種多様なユースケースにおいて、複数のツールを使用しています。多くの場合、分析のためにデータを複製し、複数のバージョンのデータを作成されています。今後、運用改善や顧客の需要予測などの分野に分析を展開することを目的とされている場合には、クラウド移行によってそのような機能が提供されることを確認された方がよいと思います。
データ戦略:分析以上に重要なことは、豊富なデータを最大限に活用するための一貫した戦略です。ほとんどの企業は、自社のデータの可能性を十分に認識していません。自社のデータ活用において、機械学習機能を組み込んだデータドリブンのプロセスを採用することで、新しいビジネス モデルを探索したり、新しいサービス提供を考案したりすることができるかもしれません。後になって、多額の費用をかけてデータ統合や分析ツールが必要な状態にならないようにしてください。また、データやツールのサイロの状態にならないように気をつけてください。
コラボレーション:最新のビジネス アプリケーションには、ユーザーや部門間のコラボレーションを促進する機能が組み込まれている必要があります。クラウドの導入により、従業員はこれまで以上に簡単に互いに連携できるようになります。部門横断のコラボレーションの不足が、ビジネス プロセスの潜在的なボトルネックになっていることもあります。クラウドへの移行によってそれらにどのように対処できるかも特定された方がよいと思います。
使いやすさ:ユーザー エクスペリエンス (UX) は、きれいな画面レイアウトだけではありません。高度なUXのテクノロジーによって、ユーザーは仕事の生産性と満足度を高めることができます。ユーザーは、処理結果や分析結果を取得するために苦労してデータを探す必要はありません。機械学習とデジタル アシスタントの機能を活用しながら、ビジネス アプリの一般的なユーザーをガイドをもとに簡単にわかりやすく業務を進めることができます。高度なUXのテクノロジーがあれば、トレーニングなしで必要なタスクを完了させることができます。SAPでクラウド移行することで、ユーザーに最先端の UX を提供できるようになりますか?
トランスフォーメーション:デジタル エンタープライズ、データドリブン企業への変革の進捗状況は如何でしょうか? クラウドへの移行によって、来るべきディスラプションを乗り切り、新しい市場機会を獲得する能力を確保する必要があります。次世代の労働力をサポートし、より適切で迅速な意思決定を行い、ビジネスオペレーションのレジリエンス(回復力)を向上させる必要があります。そのためにも、トランスフォーメーションに関しての測定可能な目標を設定する必要があります。
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[i] Alexander Roan, “SAP HANA and S/4HANA – a simple guide,“ June 4, 2020, https://blogs.sap.com/2020/06/04/sap-hana-and-s-4-hana-a-simple-guide/
[ii] Martyn Hope, “SAP ECC to S/4HANA: Don’t call it an upgrade – it’s an implementation with a $$$m price tag,” Dec 2, 2022, https://blog.mastek.com/sap-ecc-to-s4-hana-migration-do-not-call-it-an-upgrade
[iii] “Hosting one of these legacy ERP solutions on a hyperscaler, such as Microsoft Azure, AWS or Google Cloud, does not transform the monolithic design of a legacy ERP. Its limitations are ported to the cloud, which can be frustrating for a digital company that expects agility and flexibility to reconfigure business processes dynamically.” Pedro L. Bicudo Maschio, ISG, “The cloud-native ERP of the Future,” May 2022, https://www.oracle.com/a/ocom/docs/applications/erp/oracle-isg-cloud-application-wp-research-paper.pdf
[iv] “When enterprises move to the cloud, notably the public cloud, they still need to extend and complement the core capabilities offered by SAP S/4 Cloud to differentiate themselves from competitors. This is somewhat similar to the customization approach previously used in the traditional on-premises application world.” Société Générale “2023 – the year of reconquest”, 12 July 2022