2月末にORACLE MASTER Gold DBA Week と題して、ORACLE MASTER Gold DBA 2019の主要出題分野であるマルチテナント・アーキテクチャとバックアップ・リカバリについて次の無償セミナーを開催します。
2025年2月26日(水) 15:00〜17:00
【オンライン限定】ORACLE MASTER Gold DBA Week Oracle University 人気講師が解説する マルチテナント・アーキテクチャ
2025年2月27日(木) 15:00〜17:00
【オンライン限定】ORACLE MASTER Gold DBA Week Oracle University 人気講師が解説する バックアップ・リカバリ
Oracle Universityの人気講師が実機デモも交えて分かりやすく解説します。
さて、この記事では、現代のDBAにとって何故マルチテナント・アーキテクチャの知識が必要なのかをお話ししたいと思います。なお、参考として「ORACLE MASTER Gold DBA 2019 試験トピック解説講座」の関連記事へのリンクを添えています。技術的な内容を確認したい方は、これらの関連記事を読んでいただくと、イメージが掴みやすいかと思います。(なお、参照先の関連記事を執筆しているのは、ORACLE MASTER Gold DBA Weekで登壇する講師です。)
そもそも、マルチテナント・アーキテクチャとは、一つのCDB内に複数のPDBを作成できる機能です。これにより、別個のホスト上の複数のデータベースを一つのCDBに簡単に統合することができます(参考:第1回:マルチテナント・アーキテクチャの基礎 第2回:プラガブル・データベース(PDB)の作成)。
Oracle Database 21c以降のリリースでは、非コンテナ・データベース(非CDB)(従来の形式のデータベース)はサポートされません。Oracle Database 19cでは従来の形式のデータベースも非推奨とはいえ使用は可能ですが、その次のバージョンでは、必ずCDB構成にする必要があります。マルチテナント・アーキテクチャについて何も知らない状態だと、PDBの起動やPDBへの接続といったごく初歩的な操作の段階で躓いてしまいます(参考:第3回:CDBおよびPDBの起動および停止)。ですから、CDBを勉強したことがない方、CDBを使ったことがない方は、今のうちに勉強しておきましょう。
では、基本的なことなのですが、マルチテナント・アーキテクチャには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
マルチテナント・アーキテクチャのメリットとして、一番に挙げられるのは、コストの削減です。
もともと複数あった別個のDBをPDBとして一つのCDBに統合すればパッチ適用はCDBに対して行うだけで済みますし、バックアップ取得などの管理操作はPDBごとに行うこともできますがCDB全体で行うこともできるので、運用コストを削減できます(参考:第9回:マルチテナント環境におけるバックアップの実行)。バックグラウンド・プロセスやメモリー・リソースなどは全PDBで共有できるので、リソース・コストも削減できます。
では、マルチテナント・アーキテクチャが登場する前の、昔のDB統合とは何が違うのでしょうか。昔のDB統合では、複数のDBを一つのDBに統合していたので、統合するDB間でスキーマ名やオブジェクト名などの重複がないか調べ、必要に応じてアプリケーションを改修する必要がありました。また統合に当たっては、ユーザー・セキュリティや、運用ルールを検討する必要がありました。一方、CDBへの統合では、アプリケーションからは各PDBが個別のDBとして扱えますので、アプリケーションの改修は不要です。アプリケーションから見ると、接続が個別のDBのユーザーからPDBのローカルユーザーになるだけです。(参考:第4回:マルチテナント環境のユーザー、ロールについて 第5回:マルチテナント環境の権限付与について)。アプリケーションから見た時のデータベース(PDB)は分離されつつ、管理者が管理する対象のシステム(CDB)としては統合されているという、いいとこ取りをとても簡単に実現できるのがマルチテナント・アーキテクチャです。ですから、設計、構築、移行で必要な知識と言えます。
12c R1でマルチテナント・アーキテクチャについて学習された方は、ここまでの話はよくご存知かと思います。でも、12c R2以降でより便利に使えるように、痒いところに手が届くような拡張が行われているのはご存知ですか。
12c R2で拡張された機能の一つがアプリケーション・コンテナです。アプリケーション・コンテナを使用すると、共通のスキーマやオブジェクト定義を持つ類似したPDBを簡単に大量に作成することができます。SaaSプロバイダなどで役立つ機能です(参考:第7回:アプリケーション・コンテナの使用 第8回:アプリケーション・コンテナへのアプリケーション・インストール)。
セキュアに運用する上で欠かせないPDBロックダウン・プロファイルも12c R2で拡張された機能です。PDBロックダウン・プロファイルは、PDBに接続中のユーザーが、誤って他のPDBに影響が出るような操作を行ってしまうことがないように、可能な操作を制限する仕組みです(参考:第6回:マルチテナント環境のセキュリティについて)。
他にも、マルチテナント・アーキテクチャは、12c R2、18c、19cでいろいろ拡張され便利になっています。12cでORACLE MASTER Gold を取得したという方も、19cでは何が便利になっているかチェックしてみてください。
Oracle Database 管理者ガイド 12c R2 このリリースでの変更点
Oracle Multitenant 管理者ガイド 18c このリリースでの変更点
Oracle Multitenant管理者ガイド 19c このリリースでの変更点
12c R1の時に比べて、ずいぶんと便利になっていると思いませんか。マルチテナント・アーキテクチャの恩恵を十分に受けるには、12c R2以降の知識が必要です。もちろん、ORACLE MASTER Gold DBA 2019 では、12c R2以降の知識も問われます。
さて、ここまでお伝えしてきましたように、今後のシステム設計、構築、移行の場面では、19cのマルチテナント・アーキテクチャの機能について知っていることが重要です。そして、設計、構築、移行を行うDBAとして知っておくべきスキルを保有しているか証明するのがORACLE MASTER Gold DBA 2019資格です。だからこそ、ORACLE MASTER Gold DBA 2019 では19cのマルチテナント・アーキテクチャのスキルが問われるのです。
マルチテナント・アーキテクチャについて勉強しようかなと思った方、ORACLE MASTER Gold DBA 2019を目指してみようかなと思った方、ぜひ無償セミナーにご参加ください。アプリケーション・コンテナなどの分かりにくい概念を、たとえ話も交えて分かりやすく解説します。2月末の無償セミナーが待ちきれない、という方は、「ORACLE MASTER Gold DBA 2019 試験トピック解説講座」を読んでみてください。
