※ 本記事は、Cody Brinkmanによる”Save money and increase performance hosting Web3 and blockchain on OCI“を翻訳したものです。
インターネットは急速に進化していますが、そのインターネットの未来のかたちであるかもしれないWeb 3.0(Web3)は、インターネットの仕組み、そしてそのホスティングの需要を変革しようとしてます。われわれが今日知っているインターネットであるWeb2は、個人情報と引き換えにサービスへのアクセスを独占的に提供する大企業によってコントロールされています。他方でWeb3では、価値とデータの分権を通じ、ネットワークにアクセスできる者であれば誰でもサービスを利用でき、ブロックされたり拒否されたりしないことが目指されています。この目標のため、Web3アプリケーションはブロックチェーン、つまりサードパーティを関与させなくてもトラストを構成できる分散台帳の上で稼働します。そしてそうしたWeb3のワークロードの稼働に関して、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)ほどうってつけの場所はありません。
多くのWeb3関連のお客様が、OCI上でのホスティングにご満足されています。OCIの業界をリードするインフラストラクチャとネットワークの性能、グローバルな展開、低いデータ転送料金、スケーラビリティ、そして分散が、Web3とブロックチェーン技術の力を使いこなそうとする企業にとって理想的なプラットフォームになっています。Web3のお客様は、OCIの素晴らしい利点を活用しているのです。
Harvard Business Reviewによれば「クラウドコンピューティングによって、以前には大企業にしか利用できなかったような強力なツールやサービスにすべての企業がアクセスできるようになりました」。「これにより、競争の場は平準化され、中小サイズの企業にも新しいチャンスが回ってくるようになっています」。
Web3とブロックチェーンノードのホスティングのために必要なもの
-
コンピューティングおよびネットワークの性能:分権化され、分散化されたブロックチェーンネットワークを実現するためには、無数のノードがブロックチェーンの完全なコピーを保持する必要があります。新たなトランザクションが発生したときには、すべてのノードにブロードキャストされ、コンセンサスのためにレスポンスの確認も必要になります。
-
グローバルな展開:ユーザーはWeb2の応答時間に慣れています。性能面の理由でノードは世界中に広く分散させる必要があるでしょう。例えばEthereumでは、10000以上のフルノードが80カ国に分散され、お互いにやり取りしています。
-
高速なストレージ:各ブロックチェーンノードは台帳のトランザクションステートを管理しなければならず、これは非常に多数のリード、ライトに繋がります。したがって、チェーンの性能を向上させるためには、高性能なデータベースとストレージが不可欠というわけです。
-
スケーラビリティ:プラットフォームの発展やトランザクション量の増加はネットワーク上のノード数の増加につながります。ノードのデプロイはシームレスで、短時間で済ませられる必要があります。
-
分権化:ブロックチェーンの分権という哲学のコアな部分はすなわち、単一の誰か、何か(source)やサービスにコントロールされないということです。
なぜOCIが向いているのか?

業界で最高のインフラストラクチャ、ネットワーク、ストレージ性能
オラクルはAMD、IntelやAmpereとパートナーシップを結び、最新世代のコンピュート能力を持った幅広いVM(仮想マシン)やベアメタルのシェイプをお客様に提供しています。さらに、NVIDIAとの複数年パートナーシップを通じ、GPUやシステム、ソフトウェアまで完全なNVIDIAコンピューティングスタックをOCIで利用可能にしています。
われわれのネットワークは他のハイパースケーラーのものとは根本的に異なっています。コントロールプレーンをクライアントテナンシーと同じサーバーで動かすのではなく、性能とセキュリティを強化したコントロールプレーンを作り出しました。これにより、完全なベアメタルサーバーの提供が可能になっています。また、ノンブロッキングClosネットワークをクラウド全体の標準ネットワークモデルとして用いることにより、ネットワークの遅延と衝突の問題を解決し、ネットワーク性能の保証をSLAに盛り込んだ最初のクラウドプロバイダーになりました。構築したRemote direct memory access over Converged Ethernet(RoCE)バックプレーンにより、CPUおよびGPUワークロードのための業界で最高のクラスタリングも提供しています。
2016年のローンチ以来、OCIはストレージ性能の最前線に立ち続けてきました。ローカルにアタッチされたディスクを必要とするワークロードのために、ベンチマークで1.00MM以上のIOPS性能を発揮するNVMeストレージを備えたDenseIOとHPC(High-Performance Computing)シェイプを提供しています。ブロックストレージを利用するワークロードについては、ボリュームごとに最高で300,000 IOPS、2,680 MB/sスループットまで拡張可能なブロックボリュームを提供しています。
業界最高水準のコンピュートコストパフォーマンス
OCIは性能面とコスト面で最適化されています。ベアメタルインスタンス、VM、フレキシブルインスタンスなどすべてが他のハイパースケーラーの数分の1の価格で提供されています。汎用AMDインスタンスでは3倍のコストパフォーマンス、計算能力志向のインスタンスやHPC Intelインスタンスでは2倍以上のコストパフォーマンスがあります。さらに、固定サイズのシェイプに余分な費用を支払わなくて済むような、ワークロードサイズを調整可能なフレキシブルインスタンスも提供しています。
低いデータ転送料金
クラウドのワークロード一般に言えることですが、特にWeb3とブロックチェーンのワークロードでは、大きなデータ転送量とそれに伴う費用は悩みのタネです。OCIではこの問題に対し、以下のように対処しています:
-
イングレスのデータ転送にはすべて料金はかからない
-
月ごとに最大30TBのエグレスデータ転送の無料枠を提供(※訳注:クラウドテナンシーごとに{North America, Europe, and UK}、{APAC, Japan and South America}、{Middle East and Africa}のグループのデータセンターそれぞれ月10TBのエグレスデータ転送が無料枠)
-
パブリックインターネットを通じてリージョンを出ていくエグレストラフィックのみを課金対象としてカウント。リージョン内(例AD間)の通信は無料。また、プライベート回線(FastConnect)を通じて出ていくトラフィックも無料。
-
月ごとの無料枠を使い切ってしまった後にかかるGBあたりの費用も、他のプロバイダーよりも90%安い
一貫した価格で世界中にデータセンターを展開
エンドユーザーにできるだけ近い場所にシステムをデプロイするため、また、法令や規制に従うためにも、クラウドが世界に広く展開していることの重要性について、われわれの経営陣は早くから気がついていました。そのため、OCIは他のプロバイダーよりも多くのクラウドリージョンを提供しています。データセンターのオートメーションに関する効果的なエンジニアリングアプローチによって、(データ転送エグレス料金を除いて)グローバルでクラウドサービスの料金は同一になっています。例えば、AshburnでのVMとブロックストレージの料金はシンガポールでの料金と同じです。これにより、ブロックチェーンノードは地球上のどこにでもデプロイでき、同様のインフラストラクチャ料金の節約のメリットを享受できます。
スケーラビリティ
クラウドテクノロジーの重要な利点、そして魅力は、ワークロードの変化に対して柔軟に対処でき、必要なときに必要な分だけ利用でき、その分だけ支払えばいいという点です。フレキシビリティとスケーラビリティの両方がOCIのコアの要素です。インフラ管理をスムーズに行うためのキット、ツール、プラグインを提供していますし、OCIのすべてのサービス、リージョンはAPIやSDK、CLIでの操作が可能になっています。これらにより、どのようなアーキテクチャのデプロイをも自動化が可能になっており、また、お客様の需要に対し即座に対応することが可能になっています。
分権化
AWS(Amazon Web Services)自身が、彼らは世界のEthereumノードのうち25%をホストしていると主張しています。オラクルは最も安く、最も高性能なインフラストラクチャを提供することにフォーカスしています。オラクルはこうしたプロプライエタリな側面を持ち込んだり、あるグループに対して排他的になったりなどはしたくありません。われわれが重要だと考えていることとして、一般的なユーザーがノードを運用することができ、ノード運用がごくふつうのことになる、ということがあります。Web3やブロックチェーンの分権化という哲学は、こうした目標とともにしか果たされないでしょう。
ハンズオンサポート
各OCIのお客様には、アカウント担当営業とエンジニアから成る、セールスサイクルを一貫したアカウント担当チームが付きます。営業チームは適切な料金の管理、監視を継続的に確認し、エンジニアチームは技術的な助力を提供します。疑問や課題がどのようなものであれすぐさま返事ができるよう、週次の定例ミーティングやEメールのやり取り、さらにはチャットツールのジョイントチャネルなどを活用してきました。サポートはOCIの価格に含まれており、年額や割合課金などは発生しません。
まとめ
インターネットの次の波として広く捉えられているWeb3は、ブロックチェーン技術によって支えられるオープンソースの分権化されたアプリケーションにより成り立っています。こうしたアプリケーションには大きな、やり取りの多いノードをホストするグローバルなインフラストラクチャが必要です。その点で高性能、低価格、グローバルで一貫した価格、スケーラブル、分権化、そしてハンズオンサポートを備えたOCIは理想的な基盤です。多数のWeb3、ブロックチェーン企業が既にOCIのこうしたメリットを享受しており、このブログによりさらにその流れが加速することを願います。
