この記事は”Allen Best”の”Prevent Database Downtime: Why Every Business Needs a Modern Backup and Recovery Strategy“の日本語翻訳版記事です。

2025年8月4日


いまやデータは、企業の「資産」などという言葉では言い表せません。取引、顧客対応、戦略的意思決定――すべてがデータに支えられています。AIが技術の中心にあるこの時代にあって、驚くべきことに、未だに多くの企業がバックアップとリカバリの戦略を後回しにし、複数のツールをつなぎ合わせただけの手作業中心な体制で凌いでいるのが現実です。

しかし正直に言いましょう。これは極めて危険です。非効率を招き、リスクは高まり、ひとたび障害が起これば企業存続すら揺るがしかねません。

現代のバックアップ&リカバリ戦略とは、単なる「ファイル保護」にとどまりません。ビジネスの継続性、顧客の信頼、競争優位性を守るための経営課題です。IT部門の仕事ではなく、経営の中心にあるべき話なのです。

バックアップ&リカバリは「仕組み」ではなく「戦略」である

多くの企業が、バックアップ機能をテクノロジー基盤の一部として組み込むことの重要性に気づき始めています。この意識変化は、部門や事業ユニット全体に新たな要件を生み出しています。Gartnerの予測によれば、「2028年までに、企業の75%がSaaSアプリケーションのバックアップを重要課題として捉えるようになる」とのことです(2024年時点では15%にすぎません)。

では、なぜ今すぐに行動すべきなのでしょうか?

統合されたバックアップ&リカバリソリューションのビジネス的価値

これは単に「データを守る」ための話ではありません。予期せぬ事態にも揺るがない、強いビジネスを実現するための仕組みです。

1. 業務停止ゼロを目指す:「止めない」ことが最優先

Oxford Economicsによると、システムのダウンタイムは1分あたり約9,000ドルの損失に繋がるといわれています。統合されたバックアップソリューションは、物理サーバー、仮想マシン、クラウド、エンドポイントを一元管理し、迅速な復旧を可能にします。

2. サイバー脅威時代のセキュリティとコンプライアンス強化

ハードウェア障害だけでなく、近年急増するランサムウェアなどのサイバー攻撃も、データ保護の大きな対象です。現代のソリューションには次のような機能が備わっています:

  • イミュータブル(改ざん不可)なバックアップ:攻撃者でも削除・変更できません

  • エンドツーエンド暗号化:転送中も保存中もデータは安全

  • 自動コンプライアンスレポート:法規制対応も効率化

2024年には、重要インフラや高価値データを狙った大規模な攻撃が急増したという調査結果もあります(BlackFox調べ)。

3. シンプルな管理とコスト削減

複数のツール・部門でバラバラにバックアップを行っている環境は、一見すると対応できているように見えますが、実は大きな非効率と管理負担を生んでいます。フラグメント化されたバックアップ基盤とは、チームや部門、システムごとに異なるツールや手順、プラットフォームを使ってデータを保護している状態を指します。見た目には問題がないように思えるかもしれませんが、実際には深刻な課題を引き起こします。

特に規模が大きくなるほど、次のような問題が発生します:

  • バックアップされないデータが発生

  • リカバリ手順がチーム間で不統一

  • ポリシーのドリフトによるリスク増大

EONの「2025年クラウドバックアップ調査」によると、5社に1社が複数ツールを併用し、深刻な運用課題を抱えていると報告されています。

Fragmented Backup Architecture

4. 成長に追従できるスケーラビリティ

企業が拡大するにつれて(新しい拠点の開設、クラウドの導入、あるいは合併などによって)、スケーラブルなバックアップソリューションは、システムを一から再設計することなく、事業の成長に合わせてデータ保護も拡張できるようにします。これにより、予期せぬ障害なく、運用とともにデータ保護戦略もスムーズに成長させることが可能になります。

拠点の追加、クラウド移行、M&Aなど、ビジネスの成長に合わせて、バックアップ体制も柔軟に拡張できなければ意味がありません。TheHackerNewsによると、ITチームの多くが毎週10時間以上をバックアップ運用に費やしているというデータもあり、これが運用負荷を圧迫しています。

「後回し」こそが最大のリスク

危機対応型の思考が招く高コスト

障害発生後に初めてバックアップの重要性に気づく企業は、復旧に時間がかかり、データ損失や信用低下のダメージも大きくなります。

法規制の強化

グローバルにデータ保護規制が厳しくなるなか、迅速なデータ復旧ができないと高額な罰金や訴訟リスクが発生します。

ランサムウェアは「いつか来る」のではなく「必ず来る」

高度な攻撃者はバックアップ領域も標的にします。イミュータブルな、ネットワーク的に隔離された(エアギャップ)バックアップ戦略がなければ、完全復旧は不可能です。

解決策:ゼロデータロスリカバリの実現

Oracleの次世代バックアップソリューションである Zero Data Loss Recovery Appliance (ZDLRA) および Zero Data Loss Autonomous Recovery Service (ZRCV) は、オンプレミスでもクラウドでも、あらゆるOracle Databaseに対応し、データ保護の課題を抜本的に解決します。

High Level ZDLRA/ZRCV End-to-End Flow

1. リアルタイムで「ゼロデータロス」を実現

データが重要なものであるほど、ほんのわずかな損失でも大きな影響を与える可能性があります。だからこそ、私たちのリアルタイム取引保護技術は、組織にとって最も重要な情報を確実に復元できるよう設計されています。
常にバックアップの整合性を確認することで、データ損失のリスクをなくし、ダウンタイムを大幅に削減します。これにより、万が一の障害が起きても、業務をすばやく復旧できるという安心感を得られます。

2. データベースに最適化されたランサムウェア耐性

ランサムウェア攻撃が増えている今、ビジネスの中核であるデータベースを守ることがこれまで以上に重要になっています。
私たちのソリューションは、Oracleのデータベース環境と深く連携しており、異常を検知することで、最新の脅威への対策だけでなく、万が一攻撃を受けた場合でも迅速かつ賢く復旧できるようにします。
この仕組みにより、どんな高度なサイバー攻撃に直面しても、大切なデータとビジネスを安全に保つことができます。

詳しくは以下のブログで紹介しています:

ランサムウェア耐性:Oracle Databaseを攻撃から防御・回復させる方法
https://blogs.oracle.com/oracle4engineer/post/ja-ransomware-resiliency-recover-your-oracle-databases

3. 高速・軽負荷なバックアップ

バックアップは、負担であってはいけません。
私たちの「増分バックアップを永続的に続ける省スペースな戦略」により、システムへの影響を最小限に抑えつつ、いざという時にはすばやく復元できます。
変更されたデータだけを効率よく取得し、復旧もシンプルにすることで、大切なデータをしっかり守り、業務を止めることなく継続できます。
その結果、あなたはビジネスの本質に集中することができるのです。

4. エンタープライズ全体のOracle環境に対応

あなたのデータは、オンプレミス、クラウド、さらにはさまざまなプラットフォームやバージョンにまたがって存在しています。私たちのデータ保護ソリューションは、そうした現実を前提に設計されており、あらゆる場所にあるサポート対象のデータベースを確実に保護します。統一された管理と一貫した保護によって、企業全体のデータベース環境を安心して守ることができます。

 

まとめ:それは「保険」ではなく「戦略」

バックアップとリカバリは、単なる技術的作業ではなく、企業の信頼と持続性を守るための経営戦略です。統合的なソリューションにより、リスクを軽減し、イノベーションに集中できる体制を構築しましょう。

もし、あなたのバックアップ戦略がまだバラバラで属人的なものであれば、いまこそ見直すべき時です

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